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残業時間とは? 上限は? 基礎知識・法改正後の最新ルールや計算方法

2025年11月17日
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残業時間とは? 上限は? 基礎知識・法改正後の最新ルールや計算方法

残業時間とは、所定労働時間または法定労働時間を超えて働いたときの労働時間を指す言葉です。

残業をした労働者は、会社に対して残業代を請求することができますが、そのためには残業時間の計算方法や残業時間の上限などの基本的なルールを理解しておくことが大切です。

本コラムでは、残業時間の計算方法や法律上の上限、法定労働時間との違いや勤務形態別の算出方法、割増賃金率の一覧などについて、最新の法改正情報に基づき労働問題専門チームの弁護士が解説します。

1、残業時間とは?|法律上の定義と基礎知識

残業時間とはどのように定義されているのでしょうか。
以下では、残業時間の法律上の定義と基礎知識について解説します。

  1. (1)労働基準法上における「残業時間」の定義と種類

    残業時間には、「法定外残業」と「法定内残業」の2種類があります。

    ・法定外残業
    法定外残業とは、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて行われた労働のことです。「時間外労働」ともいい、労働基準法で定義されている残業時間は法定外残業のことを指します。

    ・法定内残業
    法定内残業とは、企業が定めた所定労働時間を超えるものの法定労働時間内で行われた労働のことをいいます。法定労働時間を超えていないため、法定内残業に対しては割増賃金率が適用されません。
  2. (2)残業時間に該当するもの・しないもの

    残業時間に該当するかどうかは、使用者の指揮命令下に置かれている時間といえるかどうかによって判断します。

    残業時間に該当するものとしないものの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

    残業時間に該当するもの
    • 上司や会社の指示に基づいて行った残業
    • 業務開始前の準備や終了後の後片付け
    • 制服での業務が義務付けられている場合における着替え時間
    • 参加が義務付けられている場合の始業前の朝礼や終業後の終礼

    残業時間に該当しないもの
    • 会社が取得を義務付けていない資格取得のための居残り勉強
    • スキルアップのための自主的な自己研鑽の時間
    • 業務終了後の雑談
    • 通勤時間
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2、法改正で中小企業も対象に! 残業時間の上限規制

残業時間には法律上、上限が設けられています。
以下では、残業時間の上限規制について説明します。

  1. (1)労働基準法における残業時間の上限

    企業と労働者の代表(労働組合など)との間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出することで、1日8時間・1週40時間という法定労働時間を超えて残業を命じることができるようになります。

    しかし、残業時間は無制限ではありません。月45時間・年360時間という上限が設けられています。

    ただし、臨時的な「特別の事情」がある場合には、特別条項付きの36協定を締結・届け出することで、残業時間の上限を超えて働かせることが可能になります。

    しかしその場合でも、以下の範囲におさめられている必要があります。

    残業時間の上限
    • 時間外労働は年720時間以内
    • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
    • 時間外労働と休日労働の合計について2~6か月の各月平均がすべて(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」すべてということを意味します。)1月あたり80時間以内
    • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月が限度
  2. (2)法改正により令和5年4月からは建設業や運送業、中小企業なども対象に

    残業時間の上限規制は、大企業に対しては平成31年4月1日から、中小企業に対しては令和2年4月1日から施行されました。

    また、建設業や運送業に対しては、残業時間の上限規制の適用が5年間猶予されていましたが、令和6年4月1日から建設業・運送業も上限規制の適用対象となっています。

  3. (3)上限を超えた残業を命令した企業が受けうるペナルティー

    残業時間の上限規制に違反した企業に対しては、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金というペナルティーが科されます。

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3、特例:残業時間上限規制に、特別ルールがある業種もある

残業時間の上限規制は、業種に応じて特例が設けられているものもあります。

  1. (1)建設業

    建設業では、災害の復旧・復興の事業を除いて、残業時間の上限規制がすべて適用されます。
    ただし、災害の復旧・復興の事業においては、時間外労働と休日労働の合計について以下の規制は適用されません

    • 月100時間未満
    • 2~6か月の各月平均がすべて1か月あたり80時間以内
  2. (2)運送業

    運送業では、特別条項付き36協定を締結・届け出する場合における時間外労働の上限が年960時間となります。

    また、時間外労働と休日労働の合計についての以下規制、および時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月が限度という規制は適用されません

    • 月100時間未満
    • 2~6か月の各月平均がすべて1か月あたり80時間以内
  3. (3)医師

    医師については、一般企業の労働者とは異なり、以下の3つの水準に応じた残業時間の上限規制が設けられています。

    • A水準:診療に従事するすべての勤務医(他の水準にあてはまらない医療機関)
    • 連携B水準:地域医療確保のために医師を派遣する病院
    • B水準:地域医療確保暫定特例水準(年間1000台以上救急車を受け入れる2次救急病院や3次救急病院など)
    • C-1,C-2水準:集中的技能向上水準(研修などを実施する施設)

    各水準に応じた残業時間の上限は、以下のようになっています。


    医療機関に適用する水準 年間の残業時間の上限 面接指導 休息時間の確保
    A水準 960時間 義務 努力義務
    連携B水準 1860時間 義務
    B水準
    C-1水準
    C-2水準

    また、医師には残業時間の上限規制に関し、以下のような特例も設けられています

    • 月45時間を超過する時間外労働の回数制限がない
    • 2~6か月の各月平均がすべて1か月あたり80時間以内の規制がない
    • 医師の面接指導により月100時間を超える時間外労働が可能
    • 年間の時間外労働の上限は、A水準960時間、B・C水準1860時間
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4、基本的な残業代の計算方法

残業代の基本的な計算方法は、下記の計算式によって算出します。

1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増賃金率

したがって、時給制で働く労働者であれば時給額がそのまま「1時間あたりの基礎賃金」になります。

月給制の労働者の場合は、以下のような計算式により1時間あたりの基礎賃金を算出しなければなりません。

  • 1時間あたりの基礎賃金=月給(基本給+各種手当)÷1か月の平均所定労働時間
  • 1か月の平均所定労働時間=1年間の所定労働日数(365日(※)-年間の休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月
    ※閏年の場合は366日

年間の休日日数は、企業により異なります。就業規則を確認するようにしましょう。

手当ては月給から除外
なお、基礎賃金を計算する際に用いる「月給」からは、以下の手当てを除外しなければなりません。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
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5、勤務形態別! 残業時間計算方法と割増賃金率

残業代の基本的な計算方法は、上記のとおりですが、通常とは異なる勤務形態で働く方は、残業時間の考え方が異なりますので注意が必要です。

  1. (1)変形労働時間制

    変形労働時間制とは、ある一定の期間(変形期間)について、

    40時間(週の法定時間)×変形期間の暦日数÷7日(労働時間の総枠)

    の範囲内で、1日8時間、1週40時間以内の時間規制を超える所定労働時間の設定を許容する制度です。

    変形期間としては、1か月、1年などがあり、それぞれ、「1か月単位の変形労働時間制」「1年単位の変形労働時間制」と呼ばれていて、それぞれ残業時間の考え方が異なります。

    1か月単位の変形労働時間制
    1か月単位の変形労働時間制で残業時間になるのは、以下の時間です。

    • 所定労働時間を8時間超と定めた日の場合、所定労働時間を超えた時間
    • それ以外の日の場合、法定労働時間である1日8時間を超えた時間
    • 所定労働時間を40時間超と定めた週の場合、所定労働時間を超えた時間(ただし、日ごとで時間外労働となる時間は除く)
    • それ以外の週の場合、法定労働時間である週40時間を超えた時間(ただし、日ごとで時間外労働となる時間は除く)
    • 1か月の法定労働時間の総枠を超えた時間(ただし、日ごと又は週ごとで時間外労働となる時間は除く)

    1年単位の変形労働時間制
    1年単位の変形労働時間制で残業時間になるのは、以下の時間です。

    • 所定労働時間を8時間超と定めた日の場合、所定労働時間を超えた時間
    • それ以外の日の場合、法定労働時間である1日8時間を超えた時間
    • 所定労働時間を40時間超と定めた週の場合、所定労働時間を超えた時間(ただし、日ごとで時間外労働となる時間は除く)
    • それ以外の週の場合、法定労働時間である週40時間を超えた時間(ただし、日ごとで時間外労働となる時間は除く)
    • 1年の法定労働時間の総枠を超えた時間(ただし、日ごと又は週ごとで時間外労働となる時間は除く)
  2. (2)裁量労働時間制

    裁量労働制は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた一定時間労働したものとみなされます

    そのため、たとえばみなし労働時間が8時間と定められている場合、実際には10時間働いたとしても、時間外労働に対する残業代の請求はできません。

    ただし、たとえばみなし労働時間が10時間と定められている場合であれば、法定労働時間である8時間を超過した2時間分が時間外労働になるため、2時間分の残業代を請求することができます。

    この場合、以下のような計算式によって残業代を計算します。

    残業代=1時間あたりの賃金×割増率×残業時間

    なお、裁量労働制でも深夜労働や休日労働に対しては、割増賃金の支払いが必要になります。

  3. (3)基本給の50%割り増しになるのはいつ? 割増賃金率一覧

    労働時間の種類に応じた割増賃金率は、以下のとおりです。


    労働時間の種類 割増賃金率 条件
    時間外労働 25%以上 1日8時間・1週40時間を超えた労働
    深夜労働 25%以上 午後10時から翌午前5時までの労働
    休日労働 35%以上 労働基準法で定める週1日の法定休日にした労働
    法定外残業+深夜労働 50%以上
    (25%+25%)
    法定外残業と深夜労働が重複する場合に適用
    休日労働+深夜労働 60%以上
    (35%+25%)
    休日労働と深夜労働が重複する場合に適用
    月60時間超の時間外労働 50%以上 令和5年4月から中小企業にも適用
  4. (4)時間外労働と深夜労働があるなど複合的なケースの計算法

    時間外労働と深夜労働が重複するケース、深夜労働と休日労働が重複するケースでは、残業代計算の割増賃金率に注意が必要です

    複数の労働時間(時間外・深夜・休日など)が重なった場合、それぞれの割増率を加算して適用しなければなりません。

    なお、休日労働を行なった際は、1日8時間を超えて働いても、25%の割増が加算されて60%になることはなく、35%のままとなります。

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6、よくある残業時間トラブルQ&A|未払い賃金の請求法、時効、証拠

本項では、残業時間に関するよくあるトラブルについてQ&A形式で解説します。

  1. (1)部長などの管理職は残業代がないのは本当?

    部長が労働基準法における「管理監督者」に該当する場合、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外となっているため、残業代は支払われません。

    ただし、管理監督者であるかは単に「部長」などという肩書ではなく、以下のような観点から実質的に判断されます。

    • 経営者と一体的な立場にあるかどうか
    • 自分の勤務時間に対する自由裁量を有するかどうか
    • 役職手当等の地位にふさわしい処遇を受けているかどうか等

    たとえば、出勤や退勤時間が会社側から決められている、などの「名ばかり管理職」といわれるようなケースでは、管理監督者ではないと判断され、未払い残業代を請求できる可能性があるでしょう。

  2. (2)残業代を払ってもらえていない場合の対処法は?

    残業をした労働者は、会社に対して残業代を請求する権利がありますので、以下のような流れで会社に対して残業代請求を行うようにしましょう。

    • 未払い残業代に関する証拠収集
    • 未払い残業代の金額を計算
    • 会社に対して内容証明郵便を送付
    • 会社と交渉
    • 交渉が決裂したときは労働審判の申立てまたは訴訟提起
  3. (3)未払いの残業代請求はどこまでさかのぼれる? 時効は?

    残業代請求権の時効は3年ですので、未払いの残業代請求は3年前までさかのぼることができます。

    各給料支払日から3年が経過すると時効により残業代を請求する権利が消滅してしまいますので残業代請求をお考えの方は早めに行動することが重要です。

  4. (4)残業していた証拠の集め方

    未払い残業代請求をするには、残業代が未払いであることを証拠により立証していかなければなりません。

    残業していたという証拠は、タイムカードや勤怠管理システムの記録が主な証拠になりますが、サービス残業が常態化している職場ではタイムカードなどには残業をしていた記録が残っていないこともあります

    このような場合は、以下のような方法で証拠を集めるようにしましょう。

    • 出退勤時間を毎日メモ帳やスマートフォンに記録する
    • 退勤前にパソコンの画面をスクリーンショットで保存しておく
    • 労働時間記録アプリを利用する

    なお、会社を退職してからでは残業していた証拠収集が困難になりますので、会社に在籍中から証拠を集めるようにしましょう。

  5. (5)請求できるかわからないときの相談先

    残業代請求ができるか自分だけでは判断できないときは、以下のような相談先で相談してみるとよいでしょう。

    なお、自分で残業代請求をするのが不安だというときは弁護士に依頼することをおすすめします。
    労基署などの公共機関の窓口では相談はできますが、あなたの代わりに請求してくれることはありません

    他方で、弁護士であれば、あなたの代わりに会社との交渉を行えます。

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7、残業代の計算や相談は、弁護士がおすすめ!

残業時間に関する基本事項や残業代の計算方法を解説しました。
法律上でも職業などによって異なるうえに、勤務形態によって残業時間の考え方が異なるため、一般の方では判断が難しいケースが多々あります

自分だけでは残業代を請求できるかどうか判断できないというときは、労働問題についての知見が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

残業代請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
労働問題専門チームの弁護士が親身になって対応します。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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