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残業代請求の弁護士コラム

変形労働時間制とは? 残業代は支払われる? 残業の考え方と注意点

2023年12月07日
  • 残業代請求
  • 変形労働時間制

変形労働時間制とは? 残業代は支払われる? 残業の考え方と注意点

変形労働時間制は、繁閑に応じて労働時間を弾力的に決められる制度です。

変形労働時間制で働く労働者については、残業時間に関して通常とは異なるルールが適用されます。会社に対して未払い残業代請求などを行う際には、変形労働時間制のルールを正しく踏まえて金額を計算しましょう。

今回は変形労働時間制について、残業時間の考え方や注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、変形労働時間制とは?

  1. (1)変形労働時間制の考え方

    変形労働時間制とは、業務の繁閑などに応じて労働時間を弾力的に決められる制度です

    変形労働時間制で働く労働者については、1日ごとの労働時間でなく、一定期間における平均労働時間について、法定労働時間の範囲内かどうかを判定します

    期間中の平均労働時間が法定労働時間を超過していなければ、個々の労働日における労働が長引いても、時間外労働として取り扱われません。その結果、日々の労働時間を柔軟に調整することができます。

  2. (2)変形労働時間制は、3種類ある

    労働基準法によって認められている変形労働時間制には、以下の3種類があります。

    ① 1か月単位の変形労働時間制(同法第32条の2)
    1か月以内の一定期間につき、平均して1週間当たり40時間を超えないように労働時間を定める変形労働時間制です。

    ② 1年単位の変形労働時間制(同法第32条の4)
    1か月を超え1年以内の一定期間につき、平均して1週間当たり40時間を超えないように労働時間を定める変形労働時間制です。

    原則として、対象期間(変形期間)内の各日・各週の所定労働時間を定めます。ただし、対象期間が1か月以上となる場合は、最初の期間について各日・各週の所定労働時間を定めた上で、その後は期間の始まる30日前までに決定すれば足ります。

    また、労働時間の上限(原則1日10時間・1週52時間)、連続労働日数の上限(原則6日)が適用されるほか、対象期間が3か月を超える場合は労働日数の上限(1年当たり280日)も適用されます。

    ③ 1週間単位で労働時間を決める、非定型的変形労働時間制(同法第32条の5)
    1週間単位で毎日の労働時間を決める、非定型的な変形労働時間制です。1週間の合計が40時間を超えないように、各日の所定労働時間を最長10時間とすることができます。

    1週間単位の非定型的変形労働時間制は、労働時間が規模30人未満の小売業・旅館・料理・飲食店の事業においてのみ認められます。
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2、変形労働時間制とフレックスタイム制・裁量労働制の違い

労働基準法では変形労働時間制のほかにも、労働時間を調整できる制度として「フレックスタイム制」や「裁量労働制」などが認められています。
ただし、変形労働時間制とフレックスタイム制・裁量労働制は、以下に挙げる点において異なります。

  1. (1)変形労働時間制とフレックスタイム制の違い

    フレックスタイム制は、始業・終業の時刻を労働者が裁量的に決められる制度です(労働基準法第32条の3)。労使協定で定められるフレキシブルタイムの範囲内で、労働者は自由に始業・終業の時刻を決められます。

    変形労働時間制とフレックスタイム制は、どちらも1日の労働時間を弾力的に変動させられる点で共通しています。

    ただし、フレックスタイム制では始業・終業の時刻を労働者が決めるのに対して、変形労働時間制では会社があらかじめ始業・終業の時刻を決定する点が異なります

  2. (2)変形労働時間制と裁量労働制の違い

    裁量労働制は、業務の進め方や時間配分などを労働者が裁量的に決められる制度です。
    労働者に広範な裁量を与えるべき職種に限って認められており、職種に応じて以下の2種類に分かれます。

    • 専門業務型裁量労働制(労働基準法第38条の3)
    • 企画業務型裁量労働制(同法第38条の4)

    裁量労働制では、業務の進め方や時間配分などについて労働者に大幅な裁量が与えられますが、変形労働時間制ではこうした裁量は与えられず、労働者は会社の具体的な指示に従って業務を行う必要があります。

    また、裁量労働制ではみなし労働時間が適用されるのに対して、変形労働時間制では実際の労働時間を用いて残業代を計算します

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3、変形労働時間制の残業時間の考え方

変形労働時間で働いている場合、通常の労働者とは異なる計算式で残業時間を求めます。
残業の基準となる労働時間には、「所定労働時間」と「法定労働時間」の2種類があります。

① 所定労働時間
会社が定める日々の労働時間です。

② 法定労働時間
労働基準法で定められた労働時間の上限です。
原則として1日当たり8時間、1週間当たり40時間とされています。(ただし特例措置対象事業場では、1週間当たりの法定労働時間が44時間となります。)

所定労働時間が、法定労働時間より短い場合、残業時間が以下のとおり分類されます。

  • 所定労働時間を超え、法定労働時間以内の部分
    →法定内残業(通常の賃金が発生)
  • 法定労働時間を超える部分
    →時間外労働(25%以上の割増賃金が発生)
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4、変形労働時間制における残業時間の計算方法

変形労働時間制では、1日ごと・1週間ごと・対象期間ごとにそれぞれ時間外労働の時間数を計算し、最終的に合算して残業時間を求めます

たとえば4週間の変形労働時間制で、月曜から金曜が労働日であるケースを考えます。

  1. (1)STEP1:1日ごとの時間外労働の時間数を計算する

    所定労働時間 8時間 8時間 7時間 10時間 6時間
    実労働時間 8時間 8時間 8時間 11時間 7時間
    時間外労働 1時間

    変形労働時間制による所定労働時間を超える部分のうち、1日8時間を超える部分(=1時間分)のみが、1日ごとの時間外労働として取り扱われます。

  2. (2)STEP2:1週間ごとの時間外労働の時間数を計算する

    週合計
    所定労働時間 8時間 8時間 7時間 10時間 6時間 39時間
    実労働時間 8時間 8時間 8時間 11時間 7時間 42時間
    時間外労働 1時間 2-1=1時間

    週の所定労働時間が40時間以上の場合は、週合計の実労働時間が、所定労働時間を超えた時間だけが1週間ごとの時間外労働に当たります。

    週の所定労働時間が40時間未満の場合は、実労働時間のうち40時間を超える部分のみが1週間ごとの時間外労働に当たります(上記の場合は2時間分)。

    ただし、1日ごとの時間外労働の時間数は控除して(STEP1との重複を避けるため)、最終的な1週間ごとの時間外労働の時間数を求めます(上記の場合は2時間から1時間を控除して、1時間分)。

  3. (3)STEP3:対象期間ごと(4週間)の時間外労働の時間数を計算する

    1週目 2週目 3週目 4週目 4週間合計
    所定労働時間 39時間 41時間 41時間 38時間 159時間
    実労働時間 42時間 43時間 43時間 44時間 172時間
    時間外労働 1日ごと:1時間
    1週間ごと:1時間
    1日ごと:1時間
    1週間ごと:1時間
    1日ごと:1時間
    1週間ごと:1時間
    1日ごと:2時間
    1週間ごと:2時間
    12-10=2時間

    対象期間中の実労働時間のうち、上限労働時間
    計算式:歴日数÷7×40時間。今回の場合は4×7÷7×40=160時間

    上記の計算結果で出た、160時間を超えた部分が対象期間ごと(今回は4週間)の時間外労働となります。

    上記の場合は上限労働時間が160時間、実労働時間が172時間なので、対象期間ごとの時間外労働は12時間です。

    ただし、1日ごとおよび1週間ごとの時間外労働の時間数は引いて(つまりSTEP1とSTEP2との重複をなくして)、最終的な対象期間ごとの時間外労働の時間数を求めます(上記の場合は12時間から10時間を控除して、2時間分)。

  4. (4)STEP4:STEP1~3で求めた残業時間を合算する

    1日ごと・1週間ごと・対象期間ごとの時間外労働の時間数が求めたら、それらを合算します。
    上記の場合、1週目から4週目までの時間外労働の時間数は、合計12時間(1日ごと:計5時間、1週間ごと:計5時間、対象期間ごと:2時間)です。

  5. (5)STEP5:法定内残業を求める

    最後に、実労働時間が所定労働時間を超える部分(=残業時間)から、時間外労働の時間数を控除して、法定内残業の時間数を求めます。

    上記の場合、1週目から4週目までの残業時間は13時間(=172-159)です。時間外労働は12時間なので、法定内残業は1時間となります。

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5、変形労働時間制の残業に関する注意点

変形労働時間制の残業については、以下の3つの点にご留意ください。


  1. (1)変形労働時間制の詳細は、労使協定と就業規則で定められる

    変形労働時間制を導入する際には、労使協定の締結が必要とされています(労働基準法第32条の2、第32条の4、第32条の5)。
    また、変形労働時間制に関する事項は就業規則にも定めなければなりません(同法第89条第1号)。

    未払い残業代の請求などに当たって、変形労働時間制の詳細を知りたい場合は、労使協定と就業規則の規定を確認しましょう。

  2. (2)労働時間の繰り越しは認められない

    変形労働時間制で定めた所定労働時間に実労働時間が不足しても、労働時間の繰り越し(例えば、たまたま残業が多い日があり、その時間をほかの労働日の時間としてカウントする)は認められません。

    労働時間の繰り越しが認められているフレックスタイム制と混同している会社があるようですが、変形労働時間制における労働時間の繰り越しは違法です

    労働時間が繰り越されている場合は、未払い残業代が発生している可能性があります。

  3. (3)変形労働時間制でも、労働時間の上限規制が適用される

    変形労働時間制で働く労働者にも、三六協定で定められた時間外労働の上限が適用されます

    過度に長時間の残業が連日続いている場合は、三六協定に違反している可能性があります。三六協定の内容を調べた上で、違反が生じていれば会社に是正を求めるか、または労働基準監督署に申告しましょう。

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6、まとめ

変形労働時間制で働く労働者の残業代は、通常の労働者とは異なる方法で計算します。計算方法が非常に複雑なので、正確に計算するためには弁護士へご相談ください。

ベリーベスト法律事務所は、未払い残業代請求に関するご相談を随時受け付けております。労働事件に関する経験豊富な弁護士が、親身になってご対応いたします。

変形労働時間制で働いていて、残業代が適切に支払われているのかどうかわからない方、正確に残業代を計算してほしい方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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