会社に対して未払い残業代請求を行う際には、残業の証拠を確保する必要があります。
タイムカードや勤怠管理システムの記録がもっとも有力な証拠となりますが、それが利用できない場合でも、別の証拠によって残業の事実を立証できる可能性があります。残業の証拠の集め方が分からないときは、弁護士にご相談ください。
本記事では、残業の証拠になるものの例や、残業の証拠の集め方などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
未払い残業代を請求する際には、残業をしたという事実を証明できる証拠を確保することが大切です。
残業と関係ありそうな資料でも、残業代請求の証拠として認められやすいものと、そうでないものがあります。
できる限り価値の高い証拠を豊富に集めましょう。
以下の資料は客観性が高いため、残業の事実を立証できる有力な証拠と評価されることが多いです。
残業の有力な証拠を確保できたら、コピーをとっておきましょう。
後で弁護士に相談するときや、会社に対して証拠を示すときなどに活用できます。
また、可能であれば複数の証拠を集めることが望ましいです。
証拠は豊富であればあるほど、残業の事実を立証しやすくなります。
以下の資料は主観的な認識を示すにすぎないため、残業の事実に関する証拠として認められないケースが多いです。
ただし、業務日誌や日記については、日々の残業の様子が詳しく克明に表現されており、かつ継続的に記録されていれば、残業の証拠として認められる可能性が高まります。
後に残業代請求を行うつもりであれば、業務日誌や日記を記録し続けましょう。
証拠の集め方については、詳しくはこちらをご覧ください。
残業の証拠の多くは会社側が保有しており、労働者側が入手するのは困難なケースもあります。
もし残業の証拠が手元にないときは、以下の方法によって証拠を集めましょう。
弁護士を通じて、会社に残業記録の開示を求めると、会社が応じることがあります。
残業の証拠を隠していると、後に訴訟などになった際、裁判所が会社に対して悪印象を抱く可能性があるからです。
会社が残業記録の開示を拒否している場合には、弁護士を代理人に選任し、会社と交渉しましょう。
上記のような交渉を通じた開示請求に会社が応じないときは、訴訟手続きを通じて証拠開示を求めることも考えられます。
訴訟手続きを通じて残業の証拠の開示を求める方法として、以下4つの例をご紹介します。
このような訴訟手続きを通じた残業記録の開示請求をお考えの場合には、弁護士に訴訟代理人として対応してもらうのが安心です。
状況に合わせた方法を選択し、効果的に開示請求を行ってもらえます。
詳しくは「勤務記録が手元にない場合は?」をご覧ください。
会社に対して残業代を請求したいと思っていても、忙しくてなかなか準備ができなかったり、会社との関係性が悪化するのを懸念して踏み切れないという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、残業代請求権は、発生から一定の期間が経過すると時効により消滅してしまいます。時効が完成すると残業代を回収できなくなるので、もし残業代請求をお考えなら、時効の完成を阻止しなければなりません。
残業代請求権の時効期間は、行使できる時から3年間です(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。
残業代請求権を行使できる時とは、本来残業代が支払われるべき日、すなわち給料日を指します。
残業代請求権の時効消滅を回避するには、時効の「完成猶予」または「更新」の効果を生じさせなければなりません。
時効の完成猶予・更新は、裁判上の請求や和解、民事調停などをした場合に認められます(民法第147条~第152条、第161条)。
時効完成を阻止するための内容証明郵便の送付や、その後の訴訟提起などについては、弁護士にご相談ください。
ここまで残業代請求の証拠の収集や時効について解説してきました。
では実際、弁護士に依頼し残業代請求をした場合、どのような流れとなるのでしょうか。
1章で解説しましたが、残業代請求を行う前に、まずは残業の証拠を収集する必要があります。
弁護士に依頼すれば、利用可能な証拠をできる限り豊富に集め、残業代請求の準備を万全に整えることができます。
残業の証拠がそろったら、請求する残業代の金額を計算します。
この残業代の計算は、労働者がどういう働き方で働いているか(固定残業制、みなし残業制など)、どの程度残業したか、深夜に残業したか、など多くの要素が絡み、複雑です。
弁護士に依頼すれば、正しい方法によって正確な残業代を計算できます。
残業の証拠収集と残業代の計算が完了したら、実際に残業代請求を行います。
残業代請求は、まず会社との交渉から始めるのが一般的です。
内容証明郵便などで請求書を送付し、会社からの返答を待って交渉を開始しましょう。
残業代請求に関する会社との交渉は、弁護士に任せるのが安心です。
弁護士が法的根拠を示して交渉すれば、適正額の残業代を早期に回収できる可能性が高まります。
会社との交渉がまとまらないときは、労働審判を申し立てることが考えられます。
労働審判は、労使紛争を迅速に解決することを目的とした法的手続きです。
裁判官1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、労使間の仲介をして調停を行うか、または労働審判によって判断を示して解決を図ります。
労働審判では、労働審判委員会に対して残業代請求の正当性を理解してもらうことが大切です。
弁護士を代理人に選任すれば、労働審判委員会に対して労働者側の主張を効果的に伝えることができます。
労働審判に対して異議が申し立てられた場合は、自動的に訴訟へ移行します。
また、労働審判を経ずに訴訟を提起することもできます。
訴訟は、残業代請求の問題を解決するための、最後の手続きです。
労働者側が、残業代請求権があることを立証し、会社側がそれに対して反論します。
裁判所は、双方から提出された資料等を検討し、残業代請求権があるかどうかについて判決を言い渡します。
残業代請求訴訟で労働者側が勝訴するためには、残業の事実に関する有力な証拠を提出することがポイントです。
弁護士に依頼すれば、事前準備から裁判所での対応まで全面的に任せることができます。
ご相談から解決まで流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
正しい金額の残業代を回収するには、残業の事実を立証し得る証拠を確保しなければなりません。手元に証拠がない場合でも、証拠を入手する方法は残されているので、弁護士に相談して対応を検討しましょう。
残業代請求権は、発生から3年が経過すると時効により消滅してしまいます。
そのため、できる限り早めに弁護士へ相談することが大切です。
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