経営難に陥っても、会社(店舗)は従業員を無条件で解雇できるわけではありません。
また仮に解雇が認められる場合でも、働いた分の賃金が未払いのままで許されるわけでもありません。
本コラムでは、飲食店を解雇されてしまった方に向けて、金銭面での不利益を受けないためにできる4つの対策を解説します。
飲食店を解雇されてしまった方は、以下4つの対策を検討する余地があります。
解雇される日までに働いた分の給与や残業代については、当然に請求できます。
会社は従業員に対して賃金を必ず支払う義務があります(労働基準法第11条)。
ここでいう賃金には、給与や残業代、賞与、退職金といった名称のいかんを問わず、労働の対償として支払われるものはすべて含まれます。
会社は従業員を解雇したからといってこの義務から免れることはなく、解雇が有効か無効かどうかも関係ありません。
未払いの給与や残業代を請求する場合は、雇用契約書、就業規則、タイムカードなどの証拠をそろえ、未払いとなっている賃金を計算したうえで会社に対して請求書を送付するのが基本的な流れです。
会社は従業員を解雇する際、少なくとも30日前に予告をするか、予告なしで即日解雇された場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。
そのため、従業員が解雇の予告なしに解雇された場合は「解雇予告手当」を請求できます。また、解雇の予告があった場合でも、解雇までの期間が30日間に満たない場合には、その日数分の解雇予告手当の請求が可能です。
請求の流れは以下の通りです。
請求する際は、内容証明で
会社から「請求書を受け取っていない」と反論されないように、日付、内容、相手に送付した事実などを郵便局が証明してくれる、配達証明付の内容証明郵便を利用するようにしましょう。
会社から休業命令を受けた時期や、店舗が休業になったため出勤できなかった時期があった場合は、労働基準法第26条にもとづく「休業手当」を請求できる可能性があります。
休業が不可抗力である場合は「使用者の責に帰すべき事由」にあたらないため会社に休業手当の支払い義務は生じませんが、ほかの代替手段の可能性や会社による休業回避の努力の有無などを総合的に勘案して判断されます。
会社の倒産などにより賃金が未払いのまま退職を余儀なくされた方は、未払賃金立替払制度を利用できる可能性があります。
未払賃金立替制度とは
未払い賃金のうち8割(上限あり)について、独立行政法人労働者健康安全機構が従業員に立替払いし、本来の支払い責任者である会社に求償する制度です。
このほかに会社側の要件もあります。
制度の利用に際しては労働基準監督署へ相談してみましょう。
飲食業ではパートやアルバイトなどの非正規社員が多く活躍しています。
前述したような法的対策は、非正規社員でも可能か気になるところです。
結論からいうと、会社と雇用関係にある限り、アルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規社員であっても労働基準法の労働者にあたるため、上記4つの対策を利用できます。
請求関連の判断で悩んだら、まずは弁護士に相談してみましょう。
経営が悪化したことを理由に解雇された場合、当該解雇が不当であるかどうかを判断するには、整理解雇における4つの要件を満たしているかが重要となります。
しかし、業績不振であっても労働者を軽々に解雇することは許されません。
そのため、整理解雇には以下の4つの要件が必要となります。
業績悪化により店舗が閉店に追い込まれた場合や、他店舗での雇用も困難である場合です。
・業績は悪化したが、店舗経営は可能
・自身は解雇されるのに、同じ職種で採用の募集を継続している
といった場合、人員整理の必要性は否定され、不当解雇と判断されるケースもあります。
解雇の前に雇用調整助成金を利用する、他店舗での勤務を提案するなど解雇を回避するための措置をしていなければ解雇は認められません。
解雇対象者の選定にあたっては客観的・合理的な理由が必要です。
必然的な理由もなく解雇対象者を選定することは認められません。
解雇の前に労働組合や従業員に対して経営状況を説明する、従業員の納得を得るために話し合いの場を設けるなどの手続きが必要です。
整理解雇の4要件を満たさず解雇された場合は不当解雇にあたるため、復職や就労できなかった期間の賃金を請求できる可能性があります。
飲食業で働いていた人が解雇された場合や未払いの給与・残業代がある場合などには、まずは、労働問題の解決実績がある弁護士へ相談してみましょう。
解雇が不当であるかどうかは個別の状況によって異なるため、一般の方が簡単に判断できるものではありません。
弁護士であれば法律の知識や裁判例と照らして解雇の正当性を争う余地があるかどうかを判断します。
また、未払い給与や解雇予告手当、休業手当などの請求権があるか、金額はいくらになるのかなど、具体的な対策についても相談できます。
さらに、不当解雇や未払い給与などの問題で会社側と争う場合でも、弁護士に一任すれば有益な証拠の判断をはじめ、必要に応じて証拠開示請求をすることも可能です。
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ですが、ご相談に証拠が絶対必要というわけではありません。
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解雇は従業員の生活の糧を奪う行為であるため無条件で認められるわけではありません。
また、未払い賃金や解雇予告手当などが請求できる可能性もあります。
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