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不当解雇・退職勧奨の弁護士コラム

会社都合退職とは? 自己都合退職の場合と、退職金や失業給付の違い

2024年08月07日
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会社都合退職とは? 自己都合退職の場合と、退職金や失業給付の違い

会社都合退職とは、解雇や倒産など、会社側の都合で労働契約が終了することをいいます。

会社都合退職と自己都合退職では、失業給付金の受給条件などが異なるため注意が必要です。

本記事では、会社都合退職の概要や自己都合退職との違い、会社都合退職として認められるための条件などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、会社都合退職とは

「会社都合退職」とは、解雇や倒産などの会社側の都合による退職を意味します
形式上は合意退職であっても、会社側の退職勧奨に応じた場合などには、会社都合退職として取り扱われます。

これに対して、労働者側の都合による退職は「自己都合退職」と呼ばれます。

一般論として、会社都合退職の場合は唐突に会社を辞めることになる場合が多いため、自己都合退職に比べて労働者を保護する要請が強いです。そのため、雇用保険や労働条件に関する法律において、会社都合退職をする労働者については厚く保護が図られています

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2、会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職と自己都合退職では、主に以下の4点が異なります。

以下で解説していきます。

  1. (1)失業給付金の受給条件が異なる

    ・会社都合退職の場合
    雇用保険の基本手当(失業給付金)を申請してから7日間の待機期間が経過すると、支給が開始されます。

    ・自己都合退職の場合
    待機期間の経過後、さらに2か月ないし3か月の給付制限期間が経過しなければ、雇用保険の基本手当を受給できません。

    また、雇用保険の基本手当の給付日数も、多くの場合において、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも長くなります。

    このように、失業保険金の受給に関しては、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも有利であると理解しておきましょう。

  2. (2)退職金の支給額が異なる場合がある

    会社が退職金規程を定めている場合は、その内容に従って退職金が支払われます。

    実際の取り扱いは退職金規程の内容によるので一概にいえませんが、一般的には会社都合退職のほうが、退職金に関して自己都合退職よりも優遇されているケースが多いです。

  3. (3)解雇の場合は解雇予告などが必要

    会社都合退職の代表例として、会社が労働契約を一方的に終了させる「解雇」があります。

    ・会社都合の解雇の場合
    会社が労働者を解雇する際には、30日以上前に解雇を予告するか、または解雇予告手当を支払わなければなりません(労働基準法第20条第1項)。

    ・自己都合退職の場合
    これに対して自己都合退職の場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払い義務はありません。

    なお会社都合退職であっても、解雇ではなく合意退職とする場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要です。

  4. (4)履歴書への退職理由の書き方

    転職活動などの際に作成する履歴書には、過去の職歴について退職理由を記載するケースがあります。この場合、事実とは異なる内容を記載すると経歴詐称に当たり、後に懲戒処分などの対象になり得るので注意が必要です。

    したがって、退職の具体的な理由を記載する場合は、実態に合わせた内容とする必要があります。

  5. (5)履歴書に退職理由を書くかは自由

    ただし、「一身上の都合により退職」などと概括的に書くこともできますし、退職理由を全く書かなくても問題ありません。履歴書に退職理由を書くかどうかは、基本的に作成者の任意となります。

    よって、会社都合退職と自己都合退職のどちらであるかは、履歴書の記載や転職活動などに対して大きな影響はないと考えられます。

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3、会社都合退職として認められる条件とは?

会社都合退職と自己都合退職の違いの中でもっとも重要なのは、雇用保険の基本手当の受給条件に差がある点です。
雇用保険との関係で、どのような場合に会社都合退職として認められるのかを解説します。

  1. (1)倒産などにより離職した場合

    会社の倒産などによって離職した場合、「特定受給資格者」に当たり、会社都合退職扱いで雇用保険の基本手当を受給できます。

    具体的には、以下に当てはまる者が倒産などによる特定受給資格者に当たります。

    ① 会社の倒産に伴う離職
    破産、民事再生、会社更生などの倒産手続きの申し立てをした場合や手形取引の停止に伴う離職

    ② 大規模なリストラなどに伴う離職
    事業所が、大量雇用変動(1か月に30人以上の離職を予定)が生じる旨の届け出を提出した、または雇用されている被保険者のうち3分の1を超える人が離職したことによる離職

    ③ 事業所が廃止したこと(事業活動が停止し、今後再開の見込みがない場合も含む)に伴う離職

    ④ 事業所が移転し、通勤が困難となったことによる離職
  2. (2)解雇などにより離職した場合

    会社による解雇などによって離職した場合も、「特定受給資格者」に当たり、会社都合退職扱いで雇用保険の基本手当を受給できます。

    具体的には、以下に当てはまる者が解雇などによる特定受給資格者に当たります。

    ① 解雇による離職
    自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇の場合を除く

    ② 労働契約締結時に明示されていた労働条件と事実が著しく異なることによる離職

    ③ 賃金(退職手当を除く)の3分の1を超える額が未払いとなったことによる離職
    ・連続2か月以上の未払い
    ・離職の直前6か月間に3か月以上の未払い

    ④ 賃金が85%未満に低下した(または低下することとなった)ことによる離職
    ただし、低下を予見し得なかった場合に限る

    ⑤ 離職の直前6か月間において以下いずれかの長時間の時間外労働が認められ、行政機関から危険・健康障害のおそれを指摘されたにもかかわらず、その防止措置が講じられなかったことによる離職
    ・3か月連続で45時間を超える時間外労働
    ・1か月で100時間を超える時間外労働
    ・2か月~6か月の平均で月80時間を超える時間外労働

    ⑥ 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたことによる離職

    ⑦ 事業主が労働者の職種転換などに際して、職業生活を継続するために必要な配慮を行っていなかったことによる離職

    ⑧ 有期雇用労働者で、3年以上継続雇用された後、雇い止めになったことによる離職

    ⑨ 有期労働契約の更新が明示されたにもかかわらず、当該労働契約が更新されないとなったことによる離職
    上記⑦に該当する者を除く

    ⑩ 上司や同僚などから、故意に以下の行為を受けたことによる離職
    ・排斥
    ・著しい冷遇
    ・嫌がらせ
    ・セクハラ


    ⑪ 事業主から退職勧奨を受けたことによる離職
    以前から会社に設けてある「早期退職優遇制度」などに自ら応募して離職した場合を除く

    ⑫ 使用者の責めに帰すべき事由による休業が連続3か月以上続いたことによる離職

    ⑬ 事業所の業務が法令に違反したことによる離職
  3. (3)自己都合退職でも、会社都合退職扱いとなる場合がある(特定理由離職者)

    雇用保険との関係では、自己都合退職であっても「特定理由離職者」として、会社都合退職扱いで基本手当を受給できることがあります。
    特定理由離職者に当たるのは、以下理由によって離職した者です

    特定理由離職者
    • ① 有期労働契約の更新を希望したにもかかわらず、事業主との合意が成立しなかったことが理由で離職した者
    • ② 以下に挙げる、正当な理由のある自己都合によって離職した者
      ・体力不足、心身における障害、疾病、負傷、視力・聴力・触覚の減退など
      ・妊娠、出産、育児などにより離職し、雇用保険法に基づく受給期間延長措置を受けた
      ・家庭の事情の急変(両親の死亡、疾病、負傷、扶養、親族の看護など)
      ・配偶者または扶養親族との別居生活の継続が困難となった
      ・通勤が不可能または困難となった
      ・希望退職者の募集に応じた
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4、会社都合退職ではなく、自己都合退職にしてほしいと言われたらどうする?

  1. (1)実態にそぐわない自己都合退職扱いは拒否してOK

    退職勧奨を受けての退職など、本来は会社都合退職であるにもかかわらず、労働者に対して「自己都合退職扱いにしてほしい」などと会社側が頼んでくるケースもあり得ます。

    労働者としては当然ながら、実態にそぐわない自己都合退職扱いは拒否して構いません。退職勧奨を受けている場合には、自己都合退職であれば合意退職に応じないと伝えるのがよいでしょう。

  2. (2)自己都合で退職する旨の退職届を提出してしまった場合

    また、会社の要求に応じて、自己都合で退職する旨の退職届を提出してしまったが、実際には会社都合退職である場合、後の会社との金銭交渉時やハローワークへの申請時に利用できるよう、会社とのやり取りが記載された文書やメール、録音等、実際には会社都合退職であることの証拠を確保しておきましょう

    真実に反して自己都合退職扱いとして処理された場合や、強要にわたる退職勧奨を受けた場合などには、弁護士にご相談ください。
    会社に対する抗議や、損害賠償請求などの法的対応をサポートいたします。

    弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらで解説しています。

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5、まとめ

会社都合退職は、会社の倒産や解雇など、会社側の都合によって労働者が退職することを意味します。

自己都合退職に比べると、会社都合退職は雇用保険の受給条件について有利であるほか、退職金についても優遇される場合が多いです。
もし会社側が実態に反して自己都合退職として処理しようとしたら、不適切な取り扱いについて抗議しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、会社とのトラブルに関する労働者のご相談を受け付けております。会社から退職勧奨を受けて困っている方や、退職条件について会社と交渉したい方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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