会社都合退職とは、解雇や倒産など、会社側の都合で労働契約が終了することをいいます。
会社都合退職と自己都合退職では、失業給付金の受給条件などが異なるため注意が必要です。
本記事では、会社都合退職の概要や自己都合退職との違い、会社都合退職として認められるための条件などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「会社都合退職」とは、解雇や倒産などの会社側の都合による退職を意味します。
形式上は合意退職であっても、会社側の退職勧奨に応じた場合などには、会社都合退職として取り扱われます。
これに対して、労働者側の都合による退職は「自己都合退職」と呼ばれます。
一般論として、会社都合退職の場合は唐突に会社を辞めることになる場合が多いため、自己都合退職に比べて労働者を保護する要請が強いです。そのため、雇用保険や労働条件に関する法律において、会社都合退職をする労働者については厚く保護が図られています。
会社都合退職と自己都合退職では、主に以下の4点が異なります。
以下で解説していきます。
また、雇用保険の基本手当の給付日数も、多くの場合において、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも長くなります。
このように、失業保険金の受給に関しては、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも有利であると理解しておきましょう。
会社が退職金規程を定めている場合は、その内容に従って退職金が支払われます。
実際の取り扱いは退職金規程の内容によるので一概にいえませんが、一般的には会社都合退職のほうが、退職金に関して自己都合退職よりも優遇されているケースが多いです。
会社都合退職の代表例として、会社が労働契約を一方的に終了させる「解雇」があります。
なお会社都合退職であっても、解雇ではなく合意退職とする場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要です。
転職活動などの際に作成する履歴書には、過去の職歴について退職理由を記載するケースがあります。この場合、事実とは異なる内容を記載すると経歴詐称に当たり、後に懲戒処分などの対象になり得るので注意が必要です。
したがって、退職の具体的な理由を記載する場合は、実態に合わせた内容とする必要があります。
ただし、「一身上の都合により退職」などと概括的に書くこともできますし、退職理由を全く書かなくても問題ありません。履歴書に退職理由を書くかどうかは、基本的に作成者の任意となります。
よって、会社都合退職と自己都合退職のどちらであるかは、履歴書の記載や転職活動などに対して大きな影響はないと考えられます。
会社都合退職と自己都合退職の違いの中でもっとも重要なのは、雇用保険の基本手当の受給条件に差がある点です。
雇用保険との関係で、どのような場合に会社都合退職として認められるのかを解説します。
会社の倒産などによって離職した場合、「特定受給資格者」に当たり、会社都合退職扱いで雇用保険の基本手当を受給できます。
具体的には、以下に当てはまる者が倒産などによる特定受給資格者に当たります。
会社による解雇などによって離職した場合も、「特定受給資格者」に当たり、会社都合退職扱いで雇用保険の基本手当を受給できます。
具体的には、以下に当てはまる者が解雇などによる特定受給資格者に当たります。
雇用保険との関係では、自己都合退職であっても「特定理由離職者」として、会社都合退職扱いで基本手当を受給できることがあります。
特定理由離職者に当たるのは、以下理由によって離職した者です。
退職勧奨を受けての退職など、本来は会社都合退職であるにもかかわらず、労働者に対して「自己都合退職扱いにしてほしい」などと会社側が頼んでくるケースもあり得ます。
労働者としては当然ながら、実態にそぐわない自己都合退職扱いは拒否して構いません。退職勧奨を受けている場合には、自己都合退職であれば合意退職に応じないと伝えるのがよいでしょう。
また、会社の要求に応じて、自己都合で退職する旨の退職届を提出してしまったが、実際には会社都合退職である場合、後の会社との金銭交渉時やハローワークへの申請時に利用できるよう、会社とのやり取りが記載された文書やメール、録音等、実際には会社都合退職であることの証拠を確保しておきましょう。
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弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらで解説しています。
会社都合退職は、会社の倒産や解雇など、会社側の都合によって労働者が退職することを意味します。
自己都合退職に比べると、会社都合退職は雇用保険の受給条件について有利であるほか、退職金についても優遇される場合が多いです。
もし会社側が実態に反して自己都合退職として処理しようとしたら、不適切な取り扱いについて抗議しましょう。
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