解雇通知書とは、会社から解雇を言い渡される際に、会社から労働者に対して交付される書面のことです。
解雇通知書を受け取った後、解雇を受け入れるのか、争うのかによってとるべき対応が変わってきますので、解雇通知書の記載内容や受け取った際に確認すべき項目、発行してもらえない際の対応などを、しっかりと押さえておくことが大切です。
今回は、解雇通知書の役割や解雇通知書を受け取ったときの確認事項などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
解雇通知書とはどのような書面なのでしょうか。以下では、解雇通知書の役割と記載内容について説明します。
解雇通知書とは、会社が労働者を解雇する際に、会社から労働者に対して交付される書面です。解雇通知書には会社側の解雇意思を明確にするという役割があります。
解雇の通知方法については、法律上特別な決まりはありませんので、書面ではなく口頭で通知することも可能とされています。しかし、口頭で解雇を告げた場合には、解雇通知があったのか、いつ解雇通知がなされたのかなどをめぐってトラブルが生じる可能性があります。また、労働者としても解雇の効力を争う際には重要な証拠となるため、必ず取得しておきたい文書といえます。
解雇通知書の記載内容については、法律上の定めがありませんので、会社によって記載内容が異なります。
しかし、解雇通知書には、以下のような事項が記載されるのが一般的です。
解雇通知書は、解雇の有効性を争う際に必要な証拠となりますので、会社から解雇を告げられたときは、必ず交付を求めるようにしましょう。
解雇通知書と似た書面に、「解雇予告通知書」と「解雇理由証明書」があります。これらの書面は解雇通知書とどのような違いがあるのでしょうか。
解雇予告通知書とは、解雇の予告をした際に労働者に交付する書面です。労働者を解雇する際には、法律上30日前までに解雇予告をしなければならないとされており、解雇予告をしたということを明確にするために交付されます。
解雇通知書と解雇予告通知書は、いずれも会社が労働者を解雇するという意思表示を明確にするために交付する書面という点で共通します。他方、両者の違いとしては、交付時期が異なるという点にあります。解雇通知書は、即日解雇をする際に交付する書面であるのに対して、解雇日前に事前に交付するのが解雇予告通知書です。
解雇理由証明書とは、労働者を解雇した理由が記載された書面です。解雇理由証明書は、解雇されたとしても必ず発行されるわけではなく、解雇理由証明書が必要なときは、労働者の側から会社に請求しなければなりません。労働者から解雇理由証明書の交付申請があったときは、会社は速やかに発行することが義務付けられています(労働基準法22条)。
解雇通知書と解雇予告通知書は、会社が労働者に対して解雇の意思表示をしたことを明確にするために交付する書面であるのに対して、解雇理由証明書は、解雇理由を明らかにするために交付する書面ですので、両者は役割が異なっています。
解雇通知書、解雇予告通知書、解雇理由証明書は、いずれも不当解雇を争う際の重要な証拠となりますので、必ず入手するようにしましょう。
会社から解雇通知を受けたときは、以下の点を確認するようにしましょう。
会社が労働者を解雇する際には、30日前までに解雇予告をしなければなりません。解雇通知書に記載されている解雇日と解雇通知を受けた日を確認し、解雇予告日数が30日に満たない場合には、解雇予告手当を受け取ることができます。
解雇は、会社都合による退職として扱われることが多いですが、例外的に労働者の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合には、自己都合退職として処理されることがあります。
たとえば、刑法の規定違反、会社の信用失墜、故意または重過失による設備の破壊、労働基準法に基づく就業規則違反(違反の程度が重大なもの)などにより解雇された場合がこれにあたります。
自己都合退職か会社都合退職かは、その後の失業保険の受け取り時期に影響が出ますので、判断できないときは会社にしっかりと確認することが大切です。
解雇は、労働者にとって生活の糧を失うほどの重大な処分になりますので、法律上解雇には厳格な要件が課されています。そのため、会社は、自由に労働者を解雇することはできません。
会社から解雇通知を受けたときは、不当解雇の可能性がありますので、解雇理由を確認することが重要です。解雇通知書に解雇理由が記載されていない場合には、必ず解雇理由証明書の交付を求めましょう。
解雇通知書、解雇予告通知書、解雇理由証明書は、不当解雇を争う際に重要な書類になります。このような解雇関連書類が発行されないまま退職をしてしまうと、後日不当解雇を争うのが困難になってしまいます。
そのため、会社から解雇関連書類が発行されない場合には、すぐに退職に応じずに、以下の対応を検討しましょう。
口頭で会社に対して解雇関連書類の発行を依頼しても、応じてくれない場合には、内容証明郵便を利用して請求するという方法があります。
内容証明郵便は、文書を送付した日、送付先、内容などを証明できる郵便です。後日、争いになったときに、解雇関連書類の発行を請求したという証拠を残すことができるというメリットがあります。
内容証明郵便は、労働者個人でも送付することができますが、内容証明郵便の書き方や送り方に悩んだときは弁護士に相談することをおすすめします。
解雇理由証明書については、労働者から請求があった場合には、速やかに発行することが法律上義務付けられています。
そのため、会社が解雇理由証明書の発行をしないことは、労働基準法違反となりますので、労基署に相談するのも有効な手段となります。労働基準監督署(労基署)から会社に指導や是正勧告などがなされれば、解雇関連書類の発行をしてもらえる可能性が高くなるでしょう。
また、労働者個人からの請求では応じてくれないときは、労働組合の力を借りるのも有効です。労働組合は、組織として会社と対等な立場で交渉をすることができますので、要求に応じてくれる可能性があります。
労働者個人で対応するのが難しいという場合には、労働トラブルの実績がある弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば労働者の代理人として会社と交渉をすることができますので、個人の負担は大幅に軽減されます。
また、不当解雇の疑いがある場合には、解雇の取り下げや賃金支払いについて、引き続き弁護士に任せることができます。
不当解雇の疑いがあるときは、すぐに弁護士にご相談ください。
会社から解雇されたものの、解雇理由に納得ができないという場合には、不当解雇の可能性がありますので、まずは弁護士に相談しましょう。
解雇の有効性は、さまざまな事情を総合考慮して判断しなければならず、個人で判断するのが難しい事項です。弁護士であれば、解雇の経緯、理由などから解雇の有効性を判断し、今後の方針を明確にすることができるでしょう。
不当解雇であった場合には、解雇は無効となりますので、会社に対して、復職を求めていくことができます。
しかし、労働者によっては、不当解雇された会社には復職を希望しないという方もいるでしょう。そのような場合には、退職を前提とした金銭的な解決を図ることも可能です。弁護士であれば、労働者の希望を踏まえて最適な解決方法を提案することができます。
会社から解雇通知を受けた場合には、口頭での解雇通知で終わらせるのではなく、必ず解雇通知書、解雇予告通知書、解雇理由証明書などの書面を請求するようにしましょう。これらの書面は、不当解雇を争う際に重要な書類となりますので、不当解雇の疑いがある場合には、書面を持参して弁護士に相談するようにしましょう。
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