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労働者が解雇予告手当をもらうには? 条件や計算方法まとめ

2025年10月27日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 解雇予告手当

労働者が解雇予告手当をもらうには? 条件や計算方法まとめ

労働基準法では、会社が労働者を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に解雇の予告をすることが義務付けられています。もし30日前に予告を行わずに解雇するなら、その不足日数に応じて労働者へ「解雇予告手当」を支払わなければなりません。

会社から突然解雇された方は、手当を受け取れる条件や計算方法を正しく理解し、万が一支払ってもらえないときの対応を知っておくことが重要です。

今回は、解雇予告手当をもらえる条件、計算方法や支給時期、会社が支払わない場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、解雇予告手当はどんなときにもらえる?

解雇予告手当は、労働者が突然解雇されてしまった場合に、生活が立ち行かなくなるのを防ぐために設けられた制度です。

ただし、すべてのケースで支給されるわけではなく、法律で定められた例外も存在します。
以下では、解雇予告手当を受け取れる条件と、もらえないケースについて説明します。

  1. (1)解雇予告手当をもらう条件

    解雇予告手当は、会社が労働者を解雇する際に30日前までに予告を行わなかった場合、不足日数に応じて支払うお金です。

    具体的には、以下のようなケースで解雇予告手当が支給されます。

    ① 即日解雇された場合:原則として、30日分の平均賃金を解雇予告手当として受け取ることが可能です。
    (例)出社したその日のうちに解雇を言い渡されたため、30日分の平均賃金が支払われた。

    ② 解雇予告が30日未満の場合不足する日数の平均賃金を手当として受け取ることが可能です。
    (例)10日前に解雇通知を受け、10日後に解雇されたため、20日分の平均賃金が支払われた。

    会社から解雇予告手当を支払ってもらえない場合
    解雇される30日前までに解雇通知を受けたにもかかわらず、会社から解雇予告手当を支払ってもらえない場合は、その支払いを請求できる可能性があります
    後述の3章でご紹介する対処法を検討しましょう。

  2. (2)解雇予告手当がもらえないケース

    法律により、解雇予告手当がもらえない場合もあります。
    代表的なケースは、以下のとおりです。

    解雇予告手当がもらえない代表的なケース
    • 試用期間14日以内、日雇い労働者、4か月以内の季節労働者など特定の就労形態
    • 退職勧奨に応じた場合(会社が退職を勧め、本人が合意したケース)
    • 天災地変など不可抗力により事業継続が困難な場合(ただし、労働基準監督署の「解雇予告除外認定」が必要)
    • 労働者の重大な規律違反(横領、社内で暴力をふるったなど、懲戒解雇に相当するような場合。ただし、労働基準監督署の「解雇予告除外認定」が必要)

    これらの場合、解雇予告手当は支給されません

  3. (3)懲戒解雇を理由に支払われない場合

    一方で、会社から懲戒解雇を理由に解雇予告手当を支払わないと主張された場合は、そもそも懲戒解雇の有効性を確認しましょう

    懲戒解雇は納得できない場合は、弁護士などの専門家に相談するのが安心です。

2、いくら受け取れる? 解雇予告手当の計算方法と支給時期

解雇予告手当の金額は一律ではなく、労働者ごとの賃金水準に応じて算出されます。
以下では、平均賃金の計算方法や実際の計算例、支給時期について詳しく説明しましょう。

  1. (1)手当の計算には、平均賃金の算出が必要

    まず、解雇予告手当の計算は以下のとおりです。

    解雇予告手当=平均賃金×(30日-解雇予告を受けてから解雇になるまでの日数)

    平均賃金とは?
    直近3か月の賃金総額から1日当たりの賃金を算出したものをいいます。
    具体的な平均賃金の計算方法は以下のとおりです。

    平均賃金=直近3か月に支払われた賃金総額÷直近3か月の総日数(暦日)

    ここでいう「賃金総額」には、基本給だけでなく、残業代や手当も含まれます
    ただし、臨時の賞与などは含まれないことがあります
    また、「総日数」には、出勤日だけでなく休日も含めた暦日数が使われる点に注意が必要です。

  2. (2)解雇予告手当の計算方法と計算例

    先述の内容をもとに、解雇予告手当を計算してみましょう。

    解雇予告手当=平均賃金×(30日-解雇予告を受けてから解雇になるまでの日数)
    • 計算例1:平均日給が1万円の労働者が即日解雇された場合
      →1万円×30日=30万円
    • 計算例2:平均日給が1万円で、10日前に解雇を予告された場合
      →1万円×(30日-10日)=20万円
  3. (3)解雇予告を受けて無断欠勤すると、欠勤控除が適用されることも

    解雇予告期間中に労働者が無断欠勤をすると、その分の賃金は控除される可能性があります。
    たとえば、解雇予告を20日前に受け、その間に10日間無断欠勤をした場合、欠勤日数に応じて支給額が減額される可能性があります。

    もっとも、欠勤が正当な理由によるものであれば、控除されないこともあるため、会社からの減額に納得できない場合は確認が必要です。

  4. (4)解雇予告手当の支給時期

    解雇予告手当は、遅くとも解雇日当日までに支払われるのが原則です。
    これは、解雇によって翌日から収入が途絶える労働者の生活を守るためです。

    ただし、実務上は、最後の給料日に最後の給与と一緒に支払われることも少なくありません

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3、会社が解雇予告手当を支払わない場合の対処法・注意点

解雇予告手当を受けられる条件を満たしているはずなのに、実際には解雇日までに支払ってもらえないこともあるかもしれません。
「違法行為ではないの?」などと疑問に思う方も多いはずです。

以下では、解雇予告手当が支払われない場合に取るべき具体的な対応と、注意点を説明します。

  1. (1)解雇に関する証拠を集める

    まずは、解雇された事実を客観的に証明できる証拠を集めましょう。
    証拠になりうるものは、以下のとおりです。

    解雇の証拠の例
    • 解雇通知書(文書で交付されているものがベスト)
    • 解雇理由証明書(労働者が請求すれば、会社は交付義務あり)
    • メールやLINEなどで「解雇」を明言しているやり取り
    • 給与明細・勤怠記録(未払い賃金や、解雇時点での労働条件を裏付けられる)

    証拠がないと受け取れない可能性も
    解雇された証拠がないと、争点が

    • そもそも解雇されたのかどうか
    • 退職勧奨ではなかったのか

    となり、本来もらえるはずだった解雇予告手当を受け取れないリスクが発生します。
    できる限り「会社から解雇を通達された」と分かる記録を集めることが大切です。

  2. (2)内容証明郵便で解雇予告手当を請求する

    会社が解雇予告手当を支払わない場合は、内容証明郵便を利用して解雇予告手当を正式に請求するのが効果的です。

    内容証明郵便は、「いつ、誰が、どのような内容を通知したか」を郵便局が証明してくれるため、強力な証拠となります。
    文面には、以下のような内容を記入しましょう。

    請求時に記載するポイント
    • 解雇日
    • 解雇予告手当の計算根拠(平均賃金と不足日数)
    • 請求する金額と支払期限

    配達証明で、「受け取っていない」を回避!
    さらに、郵便局のオプションで「配達証明」を付けると、宛先に配達が完了した日付を証明でき、会社から「そんな書面は受けていない」などと言われる心配もありません

    このように、会社に法的なプレッシャーを与えることで、任意の支払いに応じさせる効果が期待できます。

  3. (3)労働基準監督署へ申告する

    内容証明郵便を送っても会社が支払いに応じない場合は、労働基準監督署への申告を検討しましょう。

    労働基準監督署は、労働基準法などの労働関係の法令に違反した行為を取り締まる行政機関です。解雇予告手当の未払いについても、調査のうえ是正勧告を行い、会社に支払いを促してくれるかもしれません

    申告には、解雇通知書や給与明細、請求の経緯をまとめた資料などを持参するとスムーズです。相談費用はかからず、匿名での相談も可能なため、比較的相談しやすい手段といえます。

    解雇予告手当を取り立ててくれるわけではない
    ただし、労働基準監督署ができることは行政指導にとどまるため、実際に会社からお金を取り立てるわけではありません
    労働基準監督署の指導があっても会社から支払いがない場合は、最終的に民事裁判や労働審判を検討する必要があります。

    その際は、弁護士への相談がおすすめです。

  4. (4)解雇予告手当の請求時効は、退職から2年

    解雇予告手当には請求期限があるため、解雇後しばらくしてから請求をお考えの方は注意が必要です。

    解雇予告手当は労働基準法115条の「その他の請求権」に該当するとして、2年で時効になると判断されます。
    そのため、退職から2年を過ぎると、時効により解雇予告手当を請求する権利が失われてしまう可能性が高いでしょう。

    請求期限が迫っている場合や、会社がかたくなに支払いを拒む場合には、時効を迎える前に弁護士へ相談することが重要です。

4、解雇のトラブルは、弁護士に相談を

会社に解雇予告手当の支払いを拒まれた場合や、解雇そのものの有効性を争う場合、ひとりで対応するのは困難です。特に、証拠収集や交渉、法的手続には専門知識が必要なので、弁護士のサポートが欠かせません

以下では、解雇に関するトラブルに巻き込まれた際、弁護士へ相談する主なメリットを紹介します。

弁護士に依頼するメリット 手間やストレスを減らせる!:面倒な手続きや会社側との交渉を自分の代わりに、ほぼ全て任せることが可能 会社から支払われる金額が多くなるかも!:残業代・和解金・慰謝料等が多く得られる可能性がある 弁護士のサポートで、交渉から手続きまで安心!:解決策がみつかる 証拠資料を法的に判断 証拠がない場合、集め方をアドバイス 会社はいい加減な対応ができなくなる 弁護士が代理人として会社と交渉 労働審判、訴訟(裁判)をサポート
  1. (1)法的に解雇予告手当の支払い請求ができる

    自分ひとりで交渉しようとすると、会社が聞いてくれないことや、軽く扱われてしまうこともあるかもしれません。
    ですが、弁護士であれば、法律に基づき交渉を行うため、一気に交渉力を高められるのが大きなメリットです。

    さらに、適切な根拠を用意することで、会社は「支払わなければ法律違反になる」と強く意識し、支払いに応じてくる可能性があります

  2. (2)未払い残業代や不当解雇の解決金も一緒に請求できる

    解雇予告手当だけでなく、未払い残業代や不当解雇についての悩みを同時に解決できるのも、弁護士に依頼する利点です。
    実際の解雇トラブルでは、「解雇予告手当は支払われたが、残業代は未払いのまま」といった複合的な問題も少なくありません。

    弁護士であれば、関連する請求を一括して整理し、まとめて会社に交渉できます
    結果として、労働審判や裁判まで発展する前に、有利な条件で和解が成立する可能性も高まるでしょう。

  3. (3)労働審判や裁判になっても引き続き対応できる

    会社が解雇予告手当を支払わない場合、最終的には労働審判や裁判に進むことがあります。その際、弁護士に依頼していれば、手続きをスムーズに進められ、専門的な主張・立証を行うことも可能です。

    労働審判は、短期間で結論が出る手続ですが、証拠の提出や主張の整理が重要であり、専門知識がなければ不利な結果になるリスクがあります。

    弁護士は、依頼者に代わって書面作成や出廷によってサポートできるため、安心して問題の解決を目指せるでしょう。

    その他の弁護士に依頼するメリットは詳しくはこちらで解説しています。

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5、まとめ

解雇予告手当は、会社が解雇の30日前までに解雇を予告しなかった場合に支払われる賃金補償です。
ただし、試用期間14日以内や、懲戒解雇に相当するケースなどでは支払われないこともあるため、注意が必要です。
解雇予告手当をもらえるはずが、解雇日まで支払われないときは、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、労働問題に精通した弁護士が、未払い手当や不当解雇の解決を力強くサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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