会社から解雇されたものの、ちゃんとした解雇理由ではないなどの場合には、不当解雇の可能性があります。
不当解雇による対処法のひとつに、解雇の撤回を求めて会社と交渉をしていくことが考えられますが、その際には内容証明郵便を利用することによって、会社が誠実な対応をしてくれることもあるでしょう。
ただし、内容証明郵便を利用する場合には、いくつか気を付けるべきポイントがあるため、しっかりとそのポイントを押さえておくことが大切です。
本コラムでは、不当解雇で内容証明を送る際のチェックポイントと注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
不当解雇された場合に労働者がやるべきこととしては、以下の5つが挙げられます。
会社から解雇をされた際に、会社から退職届の提出や退職合意書へのサインを求められたとしても、絶対に応じてはいけません。
その理由は、退職届の提出や退職合意書へのサインをすると、解雇ではなく合意退職したものと扱われてしまうからです。
そうなると、実際に不当解雇であったとしても、解雇の無効を争うことができなくなってしまいます。
会社から解雇を言い渡された場合には、会社に対して解雇理由証明書の交付を求めましょう。
解雇理由証明書とは、会社がどのような理由で労働者を解雇したのかが記載されている書面です。解雇理由証明書によって解雇理由を知ることが、不当解雇を争う第一歩となります。
なお、解雇理由証明書は、解雇された労働者に対して一律に交付される書面ではありません。つまり、労働者側から請求をしなければ交付されないものであるため、解雇時には忘れずに交付を求めるようにしましょう。
解雇の無効を争うためには、不当解雇であることを裏付ける証拠が必要になります。
証拠がない状態では、会社に対して解雇の撤回を求めても応じてもらえず、裁判になっても解雇の無効を認めてもらうことができません。
不当解雇を争う際には、解雇の撤回だけではなく解雇期間中の賃金などを請求することができます。会社への要求は、口頭で行うのではなく、内容証明郵便を利用して書面で行うのが一般的です。
相手に対して通常の郵便で文書を送ったとしても、「そんな文書は受け取っていない」「文書は受け取ったが内容は違う」などと相手から主張されてしまうと、送った文書はすでに存在しないために、内容を証明することができません。
しかし、内容証明郵便であればそのような事態を防ぐことが可能です。
また後日、争いになった場合でも有力な証拠となります。
なお、不当解雇を争う場合の内容証明郵便の書き方や記載内容などの詳しいことについては、本コラムの3章で説明します。
不当解雇をされた場合には、弁護士に相談することも有効な手段のひとつです。
解雇の有効性は法的判断が必要な事項になるため、弁護士に相談をして不当解雇であるかどうかを判断してもらうと良いでしょう。
また、実際に不当解雇にあたる場合、そのまま弁護士に依頼をすれば、会社との交渉などを任せることもできます。ひとりでの対応に不安を感じている方は、まずは弁護士にご相談ください。
不当解雇にあたる場合には、会社に対して、以下のような5つの要求をすることができます。
不当解雇にあたる場合には、解雇が無効となりますので、当初の雇用契約が継続していたことになります。
そのため、職場への復帰を希望するときは、解雇の無効を主張して、当初の雇用契約と同一の条件で職場への復帰を求めることが可能です。
解雇が無効である場合は、解雇日以降も雇用契約が継続している状態といえます。
労働者は、解雇日以降会社で働いてはいませんが、働くことができなくなったのは会社側に全面的な責任があります。
そのため、働いていなかったとしても、その期間の賃金を請求することが可能です。
請求すべき賃金の計算がわからないというときにも、弁護士に相談することをおすすめします。
会社が労働者を解雇する場合には、30日前までに解雇の予告をしなければなりません。
もし、会社から30日前までに解雇予告がなされなかった場合には、解雇予告期間に不足する日数分の解雇予告手当を受け取ることが可能です。
もっとも、解雇予告手当金を求めることは解雇を受け入れたと判断される要素となるため、不当解雇を争う場合には積極的に求めないようにしましょう。
不当解雇に関する問題を会社との話し合いによって解決した場合には、解決金というお金が支払われることがあります。
注意点としては、会社との話し合いのなかで出てくるものが解決金であり、法的に、労働者に解決金というお金を請求できる権利があるわけではありません。
会社から解決金の提示があり、金額などで悩むことがあった際には、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
不当解雇をされた労働者に対して、常に慰謝料が発生するわけではありません。
ただし、解雇に付随して、暴行や暴言、嫌がらせなどの悪質な行為があった場合には、例外的に、慰謝料の請求が認められることがあります。
ご自身のケースで慰謝料請求が可能であるかを知りたいという場合も、弁護士に相談することで見通しがつけられるでしょう。
不当解雇を争うために会社に対して内容証明郵便を送る際は、どのような内容を記載すると良いのでしょうか。内容証明郵便の記載内容について、注意点とともに説明します。
内容証明を利用するには、定められた書式のルールに従うことが必要です。
たとえば、文字数・行数に関して、以下の通り定められています。
なお、電子内容証明(e内容証明)郵便を利用する場合には、1枚あたり1584文字以内であれば行数に関する制限はありません。
不当解雇を会社と争う際は、一般的に、内容証明郵便の送付をまず行います。
内容証明には、以下のような事項を記載することが必要です。
解雇理由証明書を取得すれば、会社がどのような理由で解雇したかを知ることができます。それを踏まえて、解雇理由証明書の解雇理由には客観的合理的な理由がないこと、および解雇という手段が社会通念上相当ではないことを記載し、不当解雇であることを示しましょう。
なお、解雇理由証明書をまだもらっていないようでしたら、内容証明の中で請求していきましょう。
解雇日以降の賃金を請求するためには、労働者側に就労意思があるにもかかわらず、会社の不当解雇によって働くことができなくなったことを示すことが必要です。
そこで、内容証明郵便には、解雇日以降も就労意思がある旨を記載します。
不当解雇を理由として、解雇の無効を主張する場合には、職場への復帰や解雇日以降の賃金の支払い請求をすることが可能です。
内容証明には、「不当解雇だ」と記載するだけではなく、不当解雇であるとして会社に対し、どのような要求をするのかということを明確に記載しましょう。
解雇日以降の賃金や慰謝料などの支払いを求める場合には、振込先の口座も明記します。
また、支払期限や書面に対する回答期限を設ける場合には、「本書面到達後○日以内に書面でご回答ください」などと記載するようにしてください。
内容証明を利用する際には、以下の3点に注意が必要です。
内容証明は、文書の内容などを証明できますが、文書に記載された内容を強制的に実現する効果まではありません。
そのため、内容証明を受け取った会社が労働者からの要求に応じてくれないこともあります。
内容証明を送付すればそれで終わりというわけではなく、その後は、会社との間でお互いの認識のすり合わせをするための交渉が必要です。
交渉は、直接顔を合わせて行うケースや書面のやり取りのみで行うケースもありますので、ご自身の状況に応じて交渉の方法を検討してみましょう。
内容証明を送付しても問題が解決できない場合には、労働審判や裁判といった法的手段を講じる必要があります。
ただし、事案によっては、労働審判に不向きなものがあるのも事実です。
もし労働審判に不服がある場合には、異議申し立てによって訴訟(裁判)に移行します。
不当解雇でお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼をした場合には、弁護士が労働者の代理人として内容証明を送付することが可能です。
内容証明の作成を弁護士に任せることで内容証明作成に関する時間と手間を省くことができるだけでなく、弁護士名義で内容証明が届けば、相手に対してプレッシャーを与えることができるというメリットもあります。
内容証明自体はご自身で送ることもできますが、要求内容を無視する・話し合いに応じないなどの悪質な会社もあるでしょう。
そのような場合には、労働者個人名義で送るよりも、弁護士名義で送った方が争う姿勢や本気度が伝わり、任意での解決が期待できます。
解雇理由に納得できないからといって、そのすべてが不当解雇になるわけではありません。
解雇が無効になるかどうかは、解雇に客観的合理的な理由があるかどうか、解雇が社会通念上相当であるかといった法的観点からの検討が不可欠となります。
このような判断は、専門家である弁護士でなければ難しいといえますので、不当解雇の疑いがある場合には、まずは弁護士に相談をして判断してもらいましょう。
弁護士に依頼をすれば、会社との交渉をすべて任せることが可能です。
そのため、不慣れな交渉を行わなければならないことによる精神的負担を大幅に軽減することができます。
また、交渉が決裂し、労働審判や裁判に発展するケースもあるでしょう。
そんなときでも、引き続き弁護士に対応を任せることができますので、ひとりでの対応に不安を抱いている方は、最初から弁護士に任せてしまうことがおすすめです。
不当解雇をするような会社では、未払いの残業代などの問題も生じている可能性があります。
弁護士に依頼をすれば、不当解雇の問題だけでなく他の労働トラブルについても同時に対応してもらえるため、すべての労働に関する問題を一括解決することができるでしょう。
不当解雇を争う場合には、まずは、会社に対して内容証明を送ることから始まります。
内容証明は労働者個人でも送ることができますが、弁護士が対応することによって、会社側も本気で対応せざるを得なくなりますので、スムーズな解決が期待できるといえます。
会社からの不当解雇でお悩みの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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