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不当解雇・退職勧奨の弁護士コラム

仕事ができないという理由でクビに! 不当解雇で会社を訴えられる?

2022年07月28日
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仕事ができないという理由でクビに! 不当解雇で会社を訴えられる?

労働契約法第16条によると、会社が労働者を解雇するには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。

客観的に見て解雇もやむを得ないと判断できるような事情がなければ解雇は認められないわけですが、その事情に「仕事ができないこと」は含まれるのでしょうか?

本コラムでは能力不足を理由にした解雇が認められるケース・認められないケース、不当解雇への対抗策について解説します。

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1、「仕事ができない」ことを理由にクビになる?

結論からいえば、「仕事ができない」ことを理由としたクビ(解雇)は原則として認められません。能力不足や成績不良を理由に解雇されたのであれば、不当解雇の可能性があります。なぜそう言えるのか、裁判所の考え方を確認しましょう。

  1. (1)「仕事ができない」の定義

    能力不足や成績不良の定義・水準が法律に明記されているわけではありません。どの程度なら「仕事ができない」といえるかは、個人の感じ方によって大きく異なります。

    しかしひとつ言えるのは、裁判所はその労働者が本当に「仕事ができない」かどうかを、厳格に判断するということです。

    一般に会社側がいうところの能力不足とは、会社が求める水準に達していないことを指すのでしょう。一方、裁判所は会社の主観ではなく、客観的に見て著しい能力不足があるかどうかを慎重に見極めます

    会社が想定する「仕事ができるかどうか」の水準と裁判所が想定する水準には大きな差があるため、会社がいくら能力不足を理由に解雇しようとしても裁判所はそう簡単には認めません。

  2. (2)「仕事ができない」だけではクビにならない

    仮に、本当に「仕事ができない」労働者だったとして、裁判所も能力不足自体は認めたとしても、ただちに解雇が有効だと判断するわけではありません。

    裁判所は、

    • その能力不足が、労働を継続することが期待できない程に重大であるか
    • 会社側が労働者に改善や矯正を促し、努力や反省の機会を与えたのに改善されなかったか
    • 今後の指導による改善の見込み等を総合考慮して、解雇の理由があるかどうか


    を決めます。

    また能力が向上するまではいったん降格や減給にするなどの処分も考えられるため、いきなり解雇するのではなく、段階的な措置を経ているかどうかも確認するでしょう

    労働者から退職を言い出すように勧める「退職勧奨」も、執拗であれば違法となり得ます。そもそも退職勧奨は退職の意思決定が労働者に委ねられているものであり、退職の意思がなければ応じる必要はありません。

2、能力不足を理由としたクビが不当解雇とされるケース

能力不足を理由とした解雇が不当解雇だと判断される可能性が高い、典型的なケースについて解説します。

  1. (1)ほかの労働者より能力が低い

    ほかの労働者と比べて能力が低いことを理由にした解雇です。

    • 営業を担当する部署の中で一番営業成績が悪い
    • ほかの労働者よりもミスが多い
    • ほかの労働者よりも仕事の覚えが悪い
    • 効率が悪くてほかの労働者と同じ時間内に業務を終わらせられない
    など


    他者との比較によって成績・能力を決める相対評価は人事考課のひとつの方法ではあるものの、あくまで評価範囲内の順位付けにすぎません。相対評価では、その労働者が本当に能力不足なのかを確実に判断することはできないでしょう

    もしも相対評価による解雇が認められてしまえば、会社組織内にいる下位の順位の者は常に解雇の対象になってしまいます。

  2. (2)教育や研修が不足している

    会社は能力不足が認められる労働者に対して、教育や研修を実施するなどして、能力不足が解消されるよう努めなければなりません。
    会社が何の教育も実施せずに、あるいは教育が不十分な状態で、労働者だけに責任を押しつけて解雇することを裁判所は認めないのです

    裁判所は、どのような教育・研修をどの程度行ったのかなど、会社が労働者の能力不足を改善するために努力したかどうかを確認します。

  3. (3)配置転換や担当替えの機会が与えられていない

    所属部署や担当業務では能力を発揮できなくても、別の部署やほかの業務であれば能力を発揮できる可能性があります。

    そのため会社は適切な部署への配置転換を実施する、それが無理でも業務内容や配分を見直すなどして、可能な限り労働者が能力を発揮できる機会が与えられなければなりません

    このような機会が設けられずにいきなり解雇された場合は不当解雇と判断される可能性があります。

3、能力不足による解雇が認められるケース

能力不足による解雇は原則として認められませんが、「重大な能力不足」がある場合は解雇が認められるおそれがあります
重大な能力不足の基準も明確ではありませんが、裁判所は以下のような要素を考慮します。

  1. (1)改善の見込みが乏しい

    会社が労働者に対して何度も研修を実施する、教育担当係をつけて丁寧に指導するなど十分な教育の機会を与えたのに、改善の見込みが乏しい場合です。

    労働者に改善の意欲が見られない、意欲は口にするものの具体的な改善のための行動が実行されないといったケースが考えられるでしょう。

  2. (2)業務の遂行に支障が生じている

    労働者の能力不足により、業務の遂行に支障が生じている場合です。
    たとえば、契約をまったく取ってこない営業職に対して高額の固定給を支給し続けており経営を圧迫している、度重なる労働者のミスを直接の理由として大口取引先に契約を打ち切られてしまったといったケースです。

    もっとも、労働者一人の能力不足が会社の経営や業務運営に直接的な影響をおよぼすのであれば、会社側の人材配置や業務配分に問題がある可能性も大きいはずです。
    裁判所は会社側にも落ち度がないかどうかを含めて慎重に判断するでしょう。

  3. (3)特定の能力・スキルの存在を前提として高給で採用されていた場合

    特定の能力やスキルがあることを前提として高給で採用されたのに、実際にはその能力やスキルがなかった場合には重大な能力不足として解雇が有効になるケースがあります。

    たとえば、英語を使うことを前提として採用されたのに英語で仕事上のやり取りができなかった、プログラマーとして採用されたのにプログラムが組めなかったといったケースです。

    この場合は特定の能力やスキルをいかして即戦力として活躍することを期待されて入社しており、その対価として能力・スキルに見合うだけの給与も支払われています。

    他部署での活用や教育・研修による能力向上はもともと想定されていないため、裁判所も解雇の正当性の判断基準をある程度緩める傾向があります。

4、能力不足を理由にクビを通知された場合にできること

能力不足を理由に解雇を言い渡されてしまったら、まず重要なのは退職届を提出しないことです。退職届を提出してしまうと、後の裁判などで解雇を受け入れた証拠として扱われてしまうおそれがあります。

そのうえで、以下の対抗策をとることができます。

  1. (1)解雇理由を確認する

    会社が労働者を解雇するには、正当な解雇理由が必要です。解雇理由が正当かどうかを判断するためには、どのような理由で解雇されたのかを正しく把握しましょう。

    会社側から解雇理由が明示されていなければ、説明を求めます。あわせて、解雇理由証明書の交付を請求することが大切です
    後に労働審判や裁判になった場合の証拠とすることができるため、口頭だけで説明を受けるのではなく、必ず書面で受け取るようにしましょう。

    労働基準法第22条1項では、

    退職時の証明書(解雇の理由を含む)を解雇された労働者が請求した場合、使用者は遅滞なく交付しなければならない


    と定められており、会社には証明書の発行義務があります。

    また、労働者は、解雇を予告されている場合には、在職中でも解雇理由の証明書の発行を請求することができます(同2項)。

  2. (2)解雇無効・地位確認請求

    労働審判や訴訟によって解雇無効と地位確認を請求できます。
    地位確認請求とは、現在も雇用契約上の地位を有すること、つまり労働者であることを確認するための手続きです

    解雇無効・地位確認請求が認められると、当該解雇はなかったことになるため、希望すれば職場復帰することが可能です。

    また、労働者としての地位が継続していたことになるため、解雇日以降の未払い賃金も請求できます。トラブルがあった会社ではもう働きたくないのであれば、精神的苦痛に対する損害賠償金や和解金を受け取って自主退職するという選択肢もあります。

    労働審判や訴訟を提起するには法律や手続きの知識が必要となり、相応の証拠も集めて的確に主張しなければなりません。

    会社側は顧問弁護士に相談したうえで能力不足を示す具体的事実を示してくるでしょう。個人で対応するのは難しく、納得のいく結果を得られないおそれもあるので、労働問題の実務に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。

5、まとめ

会社が労働者を「仕事ができない」という理由だけで解雇することはできません。労働審判や訴訟で争えば解雇が無効と認められる可能性は十分にあります。
ただし、重大な能力不足が証拠によって認定された場合など、事案によっては解雇が正当だと認められるケースも存在します。

ご自身のケースでどのような結果が見込まれるのか、不当解雇を訴えたい場合にどうすればよいのかについては弁護士へ相談するのがよいでしょう。
労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が全力でサポートします。まずはご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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