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不当解雇・退職勧奨の弁護士コラム

試用期間に解雇されても仕方ない? 理由別、解雇できるケース・できないケース

2021年12月02日
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試用期間に解雇されても仕方ない? 理由別、解雇できるケース・できないケース

多くの企業では、労働者を採用した後、一定期間の試用期間を設けています。試用期間中に、会社から解雇された場合には、受け入れるしかないのでしょうか。

「試用」という言葉から、会社の都合によって簡単に解雇されても仕方がないと考える方もいますが、実際には、試用期間中の解雇についても、厳格な要件を満たす必要があり、正当な理由のない場合は不当解雇として争うことができる可能性があります。

今回は、試用期間中の解雇が不当解雇になるケースについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、試用期間だから簡単に解雇されても仕方がない!?

そもそも試用期間とはどのような期間なのでしょうか。
以下では、試用期間の概要と試用期間中の解雇について説明します。

  1. (1)試用期間とはどういう期間か

    会社が労働者を期間の定めのない契約で雇用する場合に、採用後の一定期間を試用期間として定め、その間に労働者の職業能力や企業適応性など、当該会社で働く労働者としての適格性を観察・評価し、試用期間経過後に本採用を拒否することがあります。

    試用期間としては、1か月から6か月程度の期間を定めるのが一般的ですが、期間に関する法的な制限はありませんので、これ以上の期間を試用期間と定めたとしてもそれだけでただちに問題になる訳ではありません。

  2. (2)「試用期間だから、解雇されても仕方ない」は間違い

    試用期間の法的性質については、内定の問題とは異なり、すでに労働者は働き始めていることから、労働契約が成立していることは争いありません。
    その上で、試用期間満了をもって当然に契約が終了する、というはっきりとした取り決めがない場合には、

    会社は、採用後の調査や試用期間中の労働者の勤務状況などによって、労働者について採用時には知ることができなかった事実を知り、その事実が、引き続き当該労働者を雇い続けるのは困難であると判断せざるを得ないようなものだった場合に解約することができるという限度で、会社に解約権が残されている

    と考えるわけです。
    このような法的性質から、試用期間中の労働契約は、「解約権留保付の労働契約」と理解されています。

    このように見ていくと、試用期間中に解雇することも、試用期間満了後に本採用を拒否することも、解雇にあたることになります。
    つまり、試用期間であることを理由に、会社は直ちに労働者との雇用契約を解約できるわけではないのです。
    だから、「試用期間だから解雇されても仕方ない」と諦めてしまうのは時期尚早です。

    もっとも、試用期間中は、会社側に解約権が留保されていますので、正式な採用後に比べると解雇が正当なものとして認められやすい状態であるという点には注意が必要です。

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2、理由別に解説! 解雇できるケース・できないケース

試用期間中であっても、会社が従業員を解雇できるのは、客観的合理的な理由があって、社会通念上相当な場合に限られます。
以下では、試用期間中に解雇できるケースとできないケースについて紹介します。

  1. (1)能力不足

    試用期間は、労働者の勤務状態を観察して適格性を判断する期間ですので、能力不足という理由は、解雇理由にあたることがあります。
    しかし、試用期間中に完璧に仕事をこなせることまで要求することは酷ですし、労働者の教育・指導は、本来は会社の役割であるといえます。

    そのため、会社側の教育・指導が不十分な状態で、能力不足を理由に解雇された場合には、解雇の有効性を争うことができる可能性があります。

  2. (2)勤務態度

    正当な理由がないにもかかわらず、労働者が遅刻や欠勤を繰り返しているなど勤務態度が悪いという場合には、会社はこれを理由として労働者を解雇することがありえます。

    しかし、(1)と同様に、正当な解雇理由にあたるためには、会社側から労働者に対して勤務態度の改善を求めるよう教育・指導がなされものの、改善の見込みがないといったことが必要になります。

  3. (3)経歴詐称

    採用時の書類に虚偽の記載があった場合には、会社はこれを理由として労働者を解雇することがありえます。

    しかし、虚偽の記載があればすべて正当な解雇理由になるというわけではなく、以下のような場合に限り、解雇が有効となります。

    • 職歴や保有資格が採用の前提となっていたような重大な経歴を偽った場合
    • 会社が労働者の能力や人格を正しく評価することを著しく困難にし、ひいてはこの先続けて働いていく上での信頼関係が大きく損なわれるような詐称があった場合
  4. (4)妊娠・出産

    男女雇用機会均等法では、結婚、妊娠、出産を理由として解雇をすること、及び、妊娠中や出産後1年以内に解雇することを禁止しています(男女雇用機会均等法9条)。

    そのため、試用期間中に妊娠が発覚したとしても、それを理由に解雇することは、不当解雇になります。

  5. (5)病気・ケガ

    労働者が、仕事上の原因で病気になったりけがをした場合には、

    会社は、労働者が療養のために仕事ができない期間、及び仕事ができるようになってから30日の間は、労働者を解雇してはならない

    という規定があります(労働基準法19条1項)。

    これは、仕事上の事故で仕事ができなくなった労働者が、安心して労災(労働者災害補償)を受けることができるようにするための規定ですが、同時に、不当解雇を許さない趣旨の規定でもあります

  6. (6)会社の経営不振

    会社の経営不振による解雇は、「整理解雇」と呼ばれる解雇です。
    整理解雇は、会社側の一方的な都合により行われるものですので、解雇のなかでも最も厳格な要件で判断されることになります。

    具体的には、以下の4つの要件が必要とされています。

    • ① 人員削減の必要性(経営不振が深刻で、その解消に解雇が合理的であること)
    • ② 解雇回避努力義務の履行(残業の削減や希望退職を募るなど、解雇以外の方策を検討すること)
    • ③ 人選の合理性(人選について合理的な基準を定めて公正に適用すること)
    • ④ 手続の妥当性(労働協約や就業規則の定めに従い、労働者と誠実に協議すること)

    この4つの要件を満たしていない場合には、不当解雇になる可能性があります。

    ただし、正社員よりも試用期間中の労働者を優先して解雇すること自体は、上記③の問題として、合理性があると判断される可能性があります。

  7. (7)会社に損害を与えた

    業務上のミスによって会社に損害を与えたとしてもそれだけでは解雇理由にはなりません。
    会社が労働者を解雇することができるのは、以下の場合限られます

    解雇できる場合であることが就業規則や労働契約で定められている場合であって、さらに客観的合理的な理由と社会通念上の相当性があるとき

    つまり、労働者のミスの程度や頻度がはなはだしく、業務遂行や企業秩序維持に重大な支障が生じているというような事情が必要になります。
    そのような事情もなく解雇をすることは、不当解雇と判断される可能性があります。

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3、不当解雇だと思った時に相談する場所は?

不当解雇だと思った時には、以下のところに相談に行くことをおすすめします。

  1. (1)労働組合

    会社に労働組合がある場合には、労働組合に相談をするという方法があります。
    労働組合に相談をすることによって、労働組合が会社との間で団体交渉を行い、解雇の有効性について争ってくれます。

    労働者個人では、会社と対等に話し合いを行うことが難しい場合でも、労働組合という団体の力を借りることによって対等な話し合いを実現することが可能になります。
    これによって、会社側に解雇を撤回させることが期待できるでしょう。

  2. (2)労働基準監督署

    労働基準監督署は、会社が労働基準法に違反する行為をしていた場合には、是正勧告などの措置を行い、労働者の権利を守ってくれる機関です。
    労働基準監督署に不当解雇の相談をすることによって、無料でアドバイスなどをしてくれることがあります。

    ただし、労働基準監督署では、労働基準法以外の法令違反や民事上のトラブルについては介入することができませんので、労働基準法違反のない不当解雇については、相談をしたとしても、解決は難しいでしょう。

  3. (3)弁護士

    不当解雇について会社と争うことを検討している場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。

    弁護士は、法律の専門家ですので、当該解雇が正当な解雇であるかどうかを証拠から適切に判断することができます。
    不当解雇であるといえる場合には、弁護士が労働者の代理人として会社と交渉をすることができますので、それによって解雇の撤回を求めることも可能です。

    また、話し合いによって解決できない場合には、労働審判や裁判を起こすなどして、法的手段によって解決を図ることができます。

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4、不当解雇だと疑った場合、行うべきこと

不当解雇を疑った場合には、今後解雇を争うためにも、以下の対応をとるようにしましょう。

  1. (1)解雇理由証明書の発行

    会社から解雇を言い渡されたり、解雇を予告された場合には、まずは解雇の理由を確認することが必須です。
    口頭で解雇と言われた場合でも、何らかの書面で通知された場合でも、まずは、会社に対して「解雇理由証明書」の発行を求めましょう。

    解雇理由証明書とは?
    解雇理由証明書とは、労働者を解雇した理由について記載されている書面のことです。
    労働基準法22条により、労働者から解雇理由証明書の発行を求められた場合には、会社は、必ず発行しなければならないとされています。

    労働者は、解雇されて既に会社から閉め出されてしまっている場合はもちろん、在職中であっても、解雇の予告を受けていれば、解雇理由証明書の発行を求めることが可能です(労働基準法22条1項/労働基準法22条2項)。

    雇理由証明書を取得することによって、具体的な解雇理由を知ることができ、不当解雇かどうかを判断する出発点となります。

    解雇理由証明書は、労働者から請求をしなければ発行されませんので、解雇時には必ず請求するようにしましょう。

  2. (2)退職合意書にサインしない

    会社側は、実質的には解雇であるにもかかわらず、労働者が自発的に退職した、という形をとりたいために、労働者に退職合意書へのサインを求めてくることがあります。
    しかし、解雇に納得できない場合には、退職合意書にサインをしてはいけません

    会社が退職合意書へのサインを求めるのは、将来の解雇をめぐる争いを回避することが目的です。解雇の場合には、厳格な要件を満たす必要がありますが、退職であればお互いの合意が得られれば自由に行うことができます。

    退職合意書にサインをしてしまうと、後日、不当解雇であると争う際に、会社側から「合意して退職した」と反論されてしまう可能性があります。
    そのため、解雇に納得できず、将来不当解雇であるとして争う予定である場合には、絶対にサインをしてはいけません

    また、

    • 業務の引継や退職金について質問する
    • 会社においてある私物を持ち帰る
    • 会社からの貸与物を自分から返却する

    などの、退職を認めたかのような行動もとるべきではないでしょう。

  3. (3)会社と交渉→審判→裁判をする

    不当解雇である場合には、解雇の撤回を求めて会社と交渉をする必要があります。

    会社と話し合いをしても、会社が解雇の撤回を認めてくれない場合には、当事者同士の話し合いでは解決は困難ですので、次の段階として、裁判所に労働審判を申し立てます。

    労働審判とは、使用者と労働者との間の紛争を、原則として3回の期日で審理を終え、結論を出す手続きですので、一般的な裁判に比べると迅速な解決が期待できる手続きです。

    ただし、労働審判の結論に不服がある場合には、異議申し立てをすることができますので、適法な異議申し立てがなされた場合には、訴訟手続きに移行することになります。

    訴訟手続きでは、労働者と使用者の双方から証拠に基づき主張立証がなされて、最終的に裁判官が解雇の有効性についての結論を下します

    また、労働審判を経ずに、いきなり訴訟を行うことも可能です。
    解雇に納得がいかない場合には、このような法的手段によって労働者自身の権利を守ることができます。

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5、まとめ

以上のように、会社は労働者を、試用期間であることを理由に、自由に解雇することができるわけではありません。
「試用期間だから理由なく解雇されても仕方ない」と諦めるのではなく、解雇理由証明書を要求したり、弁護士に相談することで不当解雇を争うことができるかもしれません。

ベリーベスト法律事務所は、労働問題に関して豊富な解決実績があります。
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この記事の監修者
萩原達也

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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