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不当解雇・退職勧奨の弁護士コラム

退職勧奨は拒否できる? 違法な退職勧奨とは? 弁護士が解説

2021年01月25日
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退職勧奨は拒否できる? 違法な退職勧奨とは? 弁護士が解説

会社から、突然退職を勧められてしまった場合、大きなショックを受けることでしょう。

中には、高圧的な態度で強引に退職を迫るという悪質なケースもあるため、精神的に追い詰められたり、また、「どうして自分が退職勧奨の対象者となってしまったのか」、「今後の生活はどうすればいいのか」など、いろいろと思い悩むことでしょう。

しかし、一度立ち止まってよく考えてみましょう。退職勧奨は、会社の勝手な都合である場合も多くあります。自身は納得がいかないのに、本当に退職をしなければならないのでしょうか?拒否することはできないのでしょうか?

今回の記事では、退職勧奨とはどのような法的性質を持つのか、どこまでの退職勧奨が適法なのか、そして、退職勧奨を受けてしまった場合にはどのように対応すればいいのか、などについて、ベリーベストの弁護士が解説していきます。

1、退職届を出すのはNG! 退職勧奨は拒否できる

  1. (1)退職勧奨とは?

    退職勧奨という言葉は、よく耳にする言葉ではありますが、実は法律に定義のある用語ではありません。退職勧奨とはどういったものなのでしょうか。

    退職勧奨とは、文字どおり、「会社から従業員に対して、退職を勧める行為」のことです。
    退職勧奨は会社から従業員に対して「退職をしてくれませんか?」とお願いしているにすぎません。

    退職勧奨という言葉は法律には出てこないものの、実際上はよく問題となるため、判例の集積があります。

    判例
    鳥取県教員事件(鳥取地判昭和61年12月4日労判486号53頁判時1216号32頁)では、退職勧奨は、使用者が労働者に対して退職を促すための事実行為または労働契約の解約の申込もしくは申込の誘因とされ、使用者は原則として自由に行うことができる一方、労働者もこれに応じる義務はない、とされています。

    すなわち、退職勧奨には法的効果はなく、あくまで自由意思の範囲内で行われるものなのです。この点で、従業員の労働者たる地位を強制的にはく奪する「解雇」とは異なります。

  2. (2)退職勧奨に納得がいなかければ、きっぱり拒否しよう

    退職勧奨は、あくまでも「退職を促す行為」です。
    会社は、同意なく従業員を無理やり辞めさせることはできません。

    退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも従業員の意思で決定されます。
    従業員は会社からの退職勧奨の提案に、乗ることも、拒否することもできるのです。
    会社をやめたくないのであれば、きっぱりと退職勧奨を拒否しましょう。

    退職勧奨がなされて、その場の空気にのまれて応じてしまいそうになった場合は、「検討する。」などと言って、その場を離れた方がいいでしょう。

  3. (3)安易に退職届は出してはいけない!

    会社が早期退職との引き換えに条件の良い退職金を提示してきた場合や、条件のよい転職先を確保しているときには、退職勧奨に応じるという選択肢もありうるでしょう。

    しかし、最終的な結論が出ないうちに、退職届を出すのは非常に危険です。

    たとえば、会社側からの説得に負けて、退職届を出してしまったとしましょう。
    ですが、あとになってよく考えた結果、やはり会社に残りたいと思ったとしても、退職届を出した時点で、会社からの退職勧奨に応じたとして、退職の合意が成立したと認められてしまうことになります。

    一度退職の合意をしてしまうと、それを覆すのは極めて困難となります。

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2、違法な退職勧奨とは?

  1. (1)執拗な退職勧奨で、損害賠償が認められた裁判例も

    一口に退職勧奨と言っても、さまざまな態様のものがあります。
    会社側が腰を低くしてお願いしてくるものもあれば、高圧的に、半ば無理やりにやめさせようとする「退職強要」に近いものまであるでしょう。

    では、どの程度の勧奨であれば違法となるのでしょうか。

    ここで、退職勧奨の違法性について判断した著名な判例、下関商業高校事件(最一小昭和55年7月10日労判345号20頁)を取り上げます。

    事案の概要
    この事件の原告らとなったのは、市立商業高校の教員でした。

    同市の基準では、57歳以上が退職勧奨の対象となる年齢となっており、原告らがこれに達したことから、同市の教育委員会は、原告らに対して退職勧奨をしました。
    しかし、原告らはこれを拒否しました。そこで、同教育委員会は優遇措置を条件とする勧奨を打ち切り、原告らが61、2歳のとき改めて勧奨をし、原告の1人に対し2月から5月の間に16回、もう1人に対し2月から7月まで21回、時に教育委員会に出頭を求めて退職を勧めました。

    これに対し、原告は違法な退職勧奨により精神的損害を受けたとして、国家賠償法に基づく損害賠償を求めました。

    判決要旨
    この訴えに対し、裁判所は、次のように判断しました。

    退職勧奨においては、従業員が自由に退職するかどうか決定できるものであり、勧奨行為に応ずる義務はない。また、原告は最初の面談において、退職勧奨に応じないと意思を示しているにもかかわらず、10回以上も退職勧奨をしていることは、明らかに許容できる限度を超えている。

    そして、原告らの主張が認められました。

  2. (2)どの程度であれば「違法な退職勧奨」となるかの判断基準

    退職勧奨に関するさまざまな裁判例をみると、退職勧奨の態様が社会通念上相当と認められる範囲を超えたときに違法と判断されています。

    その判断要素としては、

    • 退職勧奨の回数、時間、期間
    • 退職勧奨を迫る際の言動
    • 本人の拒否の程度

    などが挙げられます。

    前述した裁判例のように、以下のような場合には、違法な退職勧奨と判断される可能性が高くなります。

    • 何度も繰り返し執拗に退職を促した
    • 威圧的な態度で退職を迫った
    • 暴言を浴びせたり、業務時間外に呼び出して面談するなどの行為があった
    • 本人が退職勧奨に応じないことを明確に表明し会社に対し確実に認識させた後も退職勧奨を継続した
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3、退職勧奨を受けた場合の具体的な対処法

  1. (1)まずは、退職勧奨の理由・条件を確認!

    まずは退職を受け入れるべきか、よく検討しましょう。
    退職勧奨に応じる場合には、早期退職の優遇条件などがあるのか、ある場合はその内容などを、できれば書面(データでも可)で確認しておきましょう。

  2. (2)自己都合退職か、会社都合退職か、どちらになるのかを確認

    また、退職理由について、自己都合退職と会社都合退職のいずれとするのかを確認しておきましょう。
    ここで、自己都合退職と会社都合退職の違いについてみてみましょう。

    自己都合退職とは
    労働者側の都合で、すなわち労働者が自分の意思によって退職することをいいます。
    たとえば、転職、結婚、出産、介護など、労働者側の事情で退職することです。

    会社都合退職とは
    使用者側の都合で労働契約の終了することをいいます。
    たとえば、整理解雇や倒産、早期退職制度への応募などがこれにあたります。

    そして、「自己都合退職」のほうが、失業手当の受け取りが不利になってしまいます。

  3. (3)失業手当を受け取る要件は、自己都合か会社都合かにより異なる

    ① 失業手当を受け取る要件
    まず、自己都合退職のほうが、失業手当を受け取る要件が厳しくなっています。

    自己都合退職
    離職前2年間で通算12か月以上は雇用保険の被保険者であった必要あり

    会社都合退職
    離職前の1年間で6か月以上雇用保険の被保険者であった必要あり


    ② 失業保険の待機期間
    また、失業保険の待機期間についても以下のような差があります。

    最低支給開始日
    自己都合退職:7日間+3か月
    会社都合退職:7日間

    会社都合であるほうが、早く失業手当が給付されます。


    ③失業手当の支給日数
    そして、失業手当が給付される日数も以下のような差があります。

    支給日数の違い
    自己都合退職:90~150日
    会社都合退職:90~330日


    ④ 退職勧奨に合意する場合でも、退職理由に注意が必要
    退職勧奨に合意したということは、「退職してください」という会社からのお願いに対し、「はい、分かりました。退職します」と自ら認めたということになるため、「自己都合退職」の扱いになりかねません。

    特に、

    • 次の仕事が見つかるまでの間、貯金が少なく生活が不安
    • 年齢やコロナ禍の影響などで、次の仕事をすぐに見つけることが難しい

    という状況下にある方は、自己都合退職扱いにされてしまうと、失業手当の支給が遅くなり、生活に困窮してしまう可能性があるため注意が必要です。

  4. (4)会社に対して退職条件の交渉を

    会社から提示された条件は納得できないけれど、もう少し良い条件であれば退職してもよいとお考えになることもあるでしょう。
    そのような場合は、納得のいく条件にならないか、会社と交渉しましょう。

    ただし、会社としても労働者の求める条件での退職に合意する義務があるわけではありませんので、希望どおりにならないことがあることに注意しましょう。

  5. (5)退職に応じない場合は、拒否の意思をはっきり示す

    退職勧奨に応じない場合は、きちんと拒否の意思表示をしましょう。
    会社側も、あの手この手で退職を勧めてくるかもしれませんが、決して弱気になって承諾してはいけません。
    きっぱりと退職勧奨を拒否したにもかかわらず、会社側がしつこく退職勧奨をしてくる場合には、違法な退職勧奨となり得ることを伝えましょう。

  6. (6)メールや書面で退職の意思がないことを伝えよう

    口頭で「辞めません」と伝えただけでは、言った・言わないの水掛け論になってしまう可能性もあり、最悪の場合、勝手に退職に合意したことにさせられてしまう可能性もあります。
    そのため、メールや書面などではっきりと退職の意思がないことを伝え、形に残しておくことをおすすめします。

    万一、「勝手に退職手続きをとられてしまった」という場合、退職に合意していないことを証明するための証拠として使うことができます。

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4、退職勧奨を受けたら弁護士に相談を

違法な退職勧奨を受け、ひとりで戦うことは、非常に精神的な負担を伴うものでしょう。
仕事中にも、その場に居づらいような気持ちになり、「いっそのこと辞めてしまったほうがいいのでは」と思うこともあるかもしれません。

しかし、退職勧奨を受けた労働者側には会社に残る権利があるのですから、辞めたくないのであれば堂々と戦うべきです。

弁護士は、労働関係法にも精通していますので、違法な退職勧奨に対して法律に基づいて警告をしたり、代理人として退職の条件について交渉をしたりすることができます。

また、違法な退職勧奨によって精神的苦痛を被った場合などで訴訟をする際にも、その専門性を発揮することができます。

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5、まとめ

納得がいかない退職勧奨に応じる必要は全くないこと、違法な退職勧奨に対しては争うことができることがお分かりいただけたかと思います。

しかし、実際に会社を相手に戦うことは精神的な負担も大きく、また法的知識がない方が、「違法な退職勧奨にあたるのか」を判断することは難しいため、ハードルが高いでしょう。

そのような場合、ぜひ私たちベリーベスト法律事務所にご相談ください。
労働問題に詳しい弁護士が、退職勧奨の問題を解決へと導きます。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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