会社をクビになった(解雇された)場合には、「解雇予告手当」「雇用保険の基本手当」といった手当を受け取れる可能性があります。
完全失業率は2.6%(2023年の年平均完全失業率)で2021年からは減少し2022年からは横ばいという状況ではあるものの、失業中で可能な限り手当を受け取っておきたいという方は少なくないでしょう。
ただし、これらの手当を受け取るには条件があり、手続き方法もそれぞれ異なります。今回の記事では、会社をクビになったときに受け取れる可能性がある手当について、具体的な内容と条件、受け取るための手続きなどについて解説します。
(出典:「労働力調査年報」(総務省統計局))
会社をクビになった(解雇された)場合、「解雇予告手当」や「雇用保険の基本手当」といった手当を受給できる可能性があります。
まずは、これらがどのような手当なのか、内容を把握しておきましょう。
会社が労働者を解雇しようとするとき、会社側は通常、解雇予定日の少なくとも30日前には労働者に対して解雇の予定を知らせなくてはなりません。
しかし最近では、即日解雇など、30日前の予告をおこなわずに労働者を解雇する会社も増えています。
会社が30日前までの予告をしない場合には、会社は労働者に対して30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。これが「解雇予告手当」です。
解雇予告手当の額は、解雇日までの日数や、賃金の額によって異なります。
なお、解雇予告手当の支払いは解雇予告の代わりにあたるものなので、解雇予告から実際に解雇される予定の日までの期間が30日以上ある場合には、解雇予告手当は発生しません。
「雇用保険」とは、一般に「失業手当」や「失業保険」と呼ばれているものの正式名称で、会社を離職したときに支払われるのが雇用保険の中の「基本手当」です。
雇用保険の基本手当は、離職理由にかかわらず、雇用保険に一定期間加入しており、かつハローワークが提示する受給要件を満たしている場合に受け取れます。
この受給要件については、のちほど詳しく解説します。
解雇予告手当の受け取りを希望する場合の手続き方法と注意事項について解説します。
解雇予告手当をもらうための手続きは、自身の勤め先である会社(解雇される会社)との間で進めます。
もし、こちらからの請求に会社が応じない場合は、内容証明を送ったり、労働審判や裁判を起こしたりして請求することになります。話し合いで解決できない場合には、客観的な証拠をしっかり揃えたうえで手当を請求する必要があるでしょう。
多くの会社はきちんと解雇予告手当を支払うのですが、中には、解雇予告手当の支払いを渋る会社や、解雇予告手当の支払いが必要だということ自体を知らない経営者も存在します。
そのようなケースでも確実に解雇予告手当を受け取るために、「解雇予告通知書」を必ず受け取るようにしましょう。
無事に解雇予告通知書を受け取ったら、書面上の「解雇理由」と「解雇する日」を見て、解雇予告手当を受け取れる権利があるのかを確認しましょう。
実際には会社都合でクビにされたにもかかわらず、解雇予告通知書上の離職理由が「自己都合」となっていたり、身に覚えのない理由が書かれていたりするケースがあります。
このようなケースは不当解雇に該当する可能性があるため、解雇理由に納得がいかない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
雇用保険の基本手当の受け取りを希望する場合の手続き方法と注意事項を説明します。
雇用保険の基本手当を受給するために満たすべき条件も把握しておきましょう。
雇用保険の基本手当の申請手続き先は、主にハローワーク(公共職業安定所)になります。
会社から送られてきた離職票などの書類を持って、自分の住所を管轄するハローワークに出向き、手続きをおこないましょう。
手続きに必要な持ち物は、以下の通りです。詳細はハローワークのホームページに記載されています。
雇用保険の基本手当は、次の条件を満たすことで受け取れます。
① 受給要件をみたさないケースに要注意
などは、1の条件を満たさないため、基本手当を受け取ることができません。
② 特定受給資格者もしくは特定理由離職者に当てはまる場合
また、2の条件について、特定受給資格者もしくは特定理由離職者に当てはまる場合には、離職日以前の1年間のうち、雇用保険への加入期間が通算6か月以上あれば足ります。
解雇によって離職した人(クビになった人)は、特定受給資格者に含まれます。
雇用保険の基本手当は、離職票に記載された離職理由によって給付制限を受ける場合があります。
基本手当の給付制限とは?
基本手当の給付制限とは、手続きから7日経過後から3か月の間は基本手当が支給されないことをいい、正当な理由のない自己都合による離職は給付制限の対象となります。
なお、令和2年10月1日以降に離職した場合は、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3か月ではなく2か月となります。
また自己都合による離職では、解雇による離職に比べて、基本手当の給付日数が少なく設定されています。
注意したいのは、実際には会社都合でクビにされた(解雇された)にもかかわらず、離職票の上では自己都合とされているために、給付制限を受ける、給付日数が減ってしまうなどの不利益が生じるケースです。
この場合、ハローワークの窓口に申し出ることで離職理由を自己都合から会社都合に変更することが可能です。ただし、会社都合での離職であることを裏付ける証拠の提示が必要になるため、弁護士に相談するのがおすすめです。
会社をクビになったときには、解雇理由をめぐってトラブルが発生することも少なくありません。トラブルが起きたらまず弁護士に相談しましょう。
特に以下のようなケースでは、弁護士に相談することで問題が解決に向かう可能性があります。
解雇予告通知書や離職票に、事実とは異なる解雇理由が書かれているケースでは、会社へ異議申し立てをおこなったり、ハローワークに事情を説明したりする必要があります。
その際には実際の解雇理由を裏付けるための証拠が必要です。
弁護士は、このとき必要になる証拠集めに関して有効なアドバイスをおこない、問題解決をサポートします。
また、そもそも解雇を受け入れず、解雇予告に対して抗議をしたい場合もあるでしょう。そういった場合にも、弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士は、どうすれば会社との交渉をうまく進められるかをアドバイスできます。
今回の解雇が不当解雇にあたるのではないかと悩んでいる場合にも、弁護士への相談が有効です。
もし違法な解雇であれば、解雇の無効を主張し、そのうえで無効が認められれば解雇後の賃金を請求できます。悪質な不当解雇だった場合には、慰謝料が請求できる可能性もあります。
ただし、実際に不当解雇に該当するか否かを判断するのは、法的な知識が必要となるため、簡単ではありません。不当解雇が疑われる場合には、まず弁護士に相談することをおすすめします。
解雇には厳しい基準があり、会社側の一方的な都合で労働者をクビにすることは原則として認められていません。
また、本来あってはならないことですが、言い渡された解雇理由や、解雇予告通知書・離職票に書かれている離職理由が、事実と異なっているケースも珍しくありません。
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