フレックスタイム制でも残業代の支払いは必要
フレックスタイム制では、1日8時間を超えたかどうかではなく、清算期間(1週間や1か月単位)に対応する法定労働時間の総枠を超えて働いた場合に、残業代を請求することができます。
フレックスタイム制でも、残業時間は1分単位での計算が原則
フレックスタイム制でも、1日単位の残業時間は1分単位で計算しなければなりません。実際に働いた時間分、残業代が正しくついていない場合には弁護士にご相談ください。
フレックスタイム制でも残業時間の上限規制はある
フレックスタイム制でも労働基準法上の残業時間の上限規制が適用されます。フレックスタイム制であっても、月45時間、年360時間を超える残業は原則として違法です。
労働時間の考え方が異なるため計算方法が違ったとしても違法ではない
フレックスタイム制は、通常の労働時間制とは残業時間の考え方が異なる働き方です。そのため、同じ会社でフレックスタイム制が採用されている人・されていない人で残業代の計算方法が違っていたとしても、それぞれの労働者ごとに適切な計算方法がとられていれば、違法ではありません。
1人で悩むより、弁護士に相談を
フレックスタイム制とは、あらかじめ決められた総労働時間の中で、従業員が始業時刻や終業時刻などを自由に決定できる制度のことを指します。
多くの企業は、フレックスタイム制導入の際に
を分けて設定しています。
たとえば、通常であれば「午前9時から午後5時までが勤務時間で、休憩時間は1時間」と定められているところを、コアタイムを設けたフレックスタイム制であれば、「始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午前7時から午前11時まで、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午後3時から午後7時までの間」などとして、従業員が出社時間や退社時間、働く時間を自由に設定できます。
一方、コアタイム制を採用せず、完全に自由に出退勤時間を設定できるフレックスタイム制の場合には、「11時に出社して休憩しながら21時までの間に7時間働く」といった働き方も可能です。
ちなみに、フレックスタイム制では、1日単位ではなく「清算期間」(最長3か月間)の「総労働時間」で労働時間を規定します。
たとえば、清算期間を1か月とし、1か月の総労働時間を140時間とした場合には、従業員はその範囲内で自由に勤務することになります。
フレックスタイム制と混同しがちなのが「裁量労働制」です。
裁量労働制はみなし労働時間が決まっており、与えられた業務を遂行すれば業務時間が短くても構いません。
フレックスタイム制においては、あらかじめ決められた総労働時間分は働かなければならないので、裁量労働制とは異なります。
また、裁量労働制は適用できる業種が限られていますが、フレックスタイム制は職種に限定はありません。
1人で悩むより、弁護士に相談を
フレックスタイム制は働き方の自由度がある分、残業代のルール・計算方法は通常の勤務形態とは異なり複雑です。
フレックスタイム制には「精算期間」という「労働者が実際に働いた時間と、事前に定めた総労働時間を清算するための期間」が定められています。
ほとんどの会社では、精算期間は「1か月」の場合が多いのですが、2019年4月から、働き方改革関連法の法改正により、清算期間の上限が「1か月以内」から「3か月以内」延長されました。
会社によって「1か月以内~3か月以内」の間で、精算期間を自由に設定することができるようになり、労働者にとっても企業にとっても、より柔軟な働き方ができるようになりました。
ですが一方で、勤怠管理は複雑になりました。
「精算期間が月をまたいだ残業代の計算」が必要になってくる場合もあるためです。
ここに、さらに深夜労働や休日労働の割増率のなどが加わると、より計算は複雑になります。
フレックスタイム制性の残業代の考え方は、一般的な残業代の考え方とは異なる点が多く、法的知識がない方には計算が非常に難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、複雑な残業代の計算も、きちんと法的な基準にのっとり計算をすることができます。
もちろん、残業代の計算だけではなく、証拠集め・会社との交渉・法的な手続きまで、トータルでサポートしてくれますので、残業代請求を行うにあたり、心強い存在になるでしょう。
フレックスタイム制で残業代にお悩みの方は、弁護士にご相談をいただくことをおすすめします。
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