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残業代請求の弁護士コラム

深夜残業って何時から? 正しい深夜残業の割増賃金の計算方法

2024年07月10日
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深夜残業って何時から? 正しい深夜残業の割増賃金の計算方法

業界や職種によって、また、繁忙期など時期によって、深夜までの残業をしなければならないことも珍しくありません。しかし、深夜まで残業したにもかかわらず、適切な残業代が支払われないという悩みを持った方もいらっしゃるでしょう。

もしも、あなたが適切な残業代の支払いがされていないと少しでも気になっているのであれば、残業代を請求することを考えた方がよいかもしれません。実際に、賃金手当等(解雇予告手当を含む)を目的とした「労働審判」が、裁判所に新しく受理された件数は、令和5年1282件ありました。(出典:「令和5年司法統計年報第91表 労働審判事件数―事件の種類及び新受,既済,未済―全地方裁判所」より)

今回は、深夜残業における残業代の計算方法や深夜残業代に関して知っておくべきポイント、労働時間該当性の判断基準、時効などについて解説をします。

1、残業と深夜残業の定義、残業代の計算方法

  1. (1)残業の定義とは?

    ① 所定労働時間を超えて働くと残業になる
    残業とは、所定の労働時間を超えてさらに労働をすることです。

    所定労働時間は会社によって異なりますが、多くの企業では、労働基準法で定められた労働時間、つまり「法定労働時間」(原則1日8時間、週40時間)がそのまま所定労働時間とされていることが多いため、多くの場合は、「法定労働時間」を超えて労働をした場合に残業代が発生することになるでしょう。

    そして、深夜残業とは、原則として、夜10時から午前5時までに残業をすることを指します(労働基準法第37条第4項)。

    ② 法定労働時間とは
    「法定労働時間」は、原則として、1日8時間(休憩時間を除く)、週40時間とされています(労働基準法第32条)。

    たとえば毎日8時間労働だったとすると、週5日勤務によってちょうど40時間労働ですから、それを超えて労働すれば「(法律上定められた)時間外(の)労働」ということになります。

    一方、会社の規定により毎日5時間労働だとすると、週7日働いたとしても35時間となるため、この場合には「時間外労働」は発生しません。

  2. (2)深夜残業にあたるのは何時から何時まで?

    会社は、午後10時から午前5時までに行う労働について、深夜労働による割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条第4項)。

    もちろん、すでにその日8時間以上労働しているのに、さらに同じ日に深夜労働もしているという場合には、時間外労働によって支払われる賃金(通常賃金+割増賃金)と深夜労働による割増賃金の両方を支払う必要があります。

  3. (3)深夜残業代の計算方法

    すでにご説明したように、労働者が時間外労働をした場合、会社は、その時間に対する通常の賃金に加え、時間外労働による割増賃金も支払わなければならず、深夜労働も行っていれば、深夜労働の割増賃金も併せて支払わなければならないことになります。

    では、割増賃金については、どのように計算をしたらよいでしょうか。
    この点をご説明します。

    まず、割増賃金は、以下のように算出されます。

    ①賃金単価(時給)×②割増率×③残業時間

    ① 賃金単価(時給)
    このうち、「①賃金単価(時給)」については、当該年度の1月当たりの所定労働時間を計算した上、その月に支払われた賃金(月給)をもとに、その月の1時間当たりの賃金(賃金単価)を計算します。

    なお、この「賃金単価」は、原則として、家族手当、通勤手当、住宅手当など一定の手当を除外した賃金をもとに計算されます(労働基準法施行規則第21条参照)。


    ② 割増率
    そして、「②割増率」は以下のように規定されています。

    • 時間外労働の割増率……通常賃金の25%増し以上
    • 深夜労働の割増率……通常賃金の25%増し以上
    • 時間外労働かつ深夜労働の割増率……通常賃金の50%増し以上


    ③ 残業時間
    ③残業時間」については後ほどご説明します。

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2、深夜の残業代に関するポイント

  1. (1)深夜残業中の仮眠時間について

    職場での宿泊を伴う勤務の場合などの仮眠時間は、常に休憩時間として「残業時間」から除外されるわけではなく、「残業時間」として残業代が発生する可能性があります。

    仮眠時間とされていても、自由に過ごすことができず、頻繁に業務への対応をしなければいけないような場合等は「残業時間」として残業代が支払われる場合があります。

  2. (2)管理職でも深夜は割増賃金が出る

    労働基準法第41条第2号の「管理監督者」にあたる従業員には、時間外労働に対する残業代の支払義務はありません。

    管理監督者とは、たとえば部長職などについて、経営者と一体といえるような大きな権限を持っていて、地位にふさわしい待遇を受けているような労働者のことです。
    しかし、労働基準法第41条では、深夜労働に関する規定は除外されていません。
    つまり、管理監督者にも深夜割増賃金は発生するのです。

    管理監督者の残業代については、以下のコラムで詳しく解説しています。

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3、労働時間の判断基準とは

  1. (1)労働時間について

    残業代は、所定労働時間を超える「労働時間」に対して支払われる賃金ですから、そもそも「労働時間」とは何かを理解しておく必要があります。

    労働時間とは、使用者の指揮命令下に労働者が置かれている時間を意味し、先ほどご説明した仮眠時間でも、使用者の指揮命令下にあると認められる場合があり得るため、「仮眠時間」とされているからといって直ちに「労働時間」にあたらないというわけではありません。

    そこで、どのような基準によって「労働時間」なのかを判断すればよいのかが問題となります。

  2. (2)判例から見る労働時間の判断基準

    たとえば、仕事の準備や後片付けは「労働時間」に含まれるのでしょうか。
    一つひとつの作業は短くとも、積もり積もれば相当な時間となります。

    この疑問について判断を示したのが、最高裁平成12年3月9日判決です。

    この事件では、会社が、準備や後片付けの時間を1日8時間の所定労働時間内に行えないように就業規則が定められ、勤怠管理が行われていたところ、労働者側が、準備や後片付けの時間も法律上の労働時間にあたるとして1日8時間を超える部分の割増賃金を請求したのです。

    判決では、労働時間は就業規則等の定めによって決まるものではなく、あくまでも指揮命令下にあるかどうかを客観的に判断するとされました。
    そして、業務の準備行為や後片付けであっても、事業所内で行うことを会社が義務付けているなら、会社の指揮命令下に置かれているとして、労働時間に該当すると判断しています。

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4、残業代の時効について

  1. (1)未払賃金と時効

    残業代が正しく支払われていない場合はその支払を請求することができます。
    しかし、過去の未払いの賃金(残業代)の全てを請求できるわけではなく、未払いのまま一定期間が経過すると時効によって請求できなくなります。

    これまで、未払賃金(未払残業代)についての時効期間は2年間とされていましたが、令和2年4月1日に新たに施行された改正労働基準法により、未払賃金(未払残業代)についての時効期間が3年間とされました。
    その結果、令和2年4月1日以降に支払われるべき残業代の時効期間は3年間となったのです。

    詳しくはこちらでのコラムで解説しています。

  2. (2)時効の完成猶予とその方法

    賃金が月払いの場合、残業代は毎月の賃金支払日に支払われるため、毎月の賃金支払日(たとえば令和2年3月25日)に、その2年前(平成30年3月25日)に支払われるべきだった残業代が時効によって消滅することになります。

    しかし、催告(残業代の請求)を行えばその日から6か月間、時効の成立(完成)が猶予され、時効による残業代の消滅を先送りにできますし、その6か月の間に訴訟提起などを行えば、その決着がつくまで時効の成立(完成)は猶予されます。
    催告は、内容証明郵便の送付などによることが一般的です。ただし、内容証明郵便の書き方によっては催告の効果を得られない場合がありますので、注意が必要です。

    また、残業代の請求をしてもすぐに会社が応じてくれるとは限らず、紛争が長引いてしまうと、訴訟提起等をせざるをえなくなってしまうこともあります。
    そして、法的な書類を作成して会社側と交渉したり、訴訟提起等を行うにあたっては、法律に関する十分な知識が必要となります。

    そのため、会社との交渉や訴訟等をスピーディーかつスムーズに進めるためには経験豊富な弁護士に依頼する必要があるでしょう。

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5、まとめ

今回は残業代の定義から残業代の計算方法、深夜残業代に関するポイントなどをご説明しましたが、深夜残業については、残業代未払いによるトラブルが生じやすいものです。

なぜなら、労働者が深夜まで残業している会社は、経営が順調でない場合が少なくなく、なんとか深夜残業代を支払わずにコスト削減したいと考えていることも多いからです。
また、そうした会社では残業代の未払いのほかにさまざまな労働問題が起きていることも珍しくありません。

時間外労働、有給休暇の未取得など、少しでも気になることがあれば、早めに弁護士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、残業代請求を考えている方に最適な解決方法をご提案いたします。ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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