残業代を請求することができる場合がある
裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間の労働をしたものとみなす制度です。あらかじめ定めた時間が法定労働時間を超える場合などには、残業代を請求することができる可能性があります。
裁量労働制であっても深夜勤務や休日労働の残業代を請求できる
裁量労働制であっても深夜労働や休日労働の割増賃金の支払い義務が免除されることはありません。そのため、深夜または休日に労働をした場合には、別途残業代を請求できます。
裁量労働制であっても残業時間の上限規制がある
裁量労働制であっても、労働基準法の残業時間の上限規制は適用されます。そのため、残業時間が1か月45時間、1年360時間を超えた場合には違法となります。
裁量労働制が正しく導入されていない場合は違法
新たに裁量労働制を導入する場合には、就業規則を変更し労働者に周知をしたり、労働者本人の同意を得ることが要件とされています。そのため、労働者に対する周知や労働者の同意なく裁量労働制を導入することは違法です。弁護士にご相談ください。
1人で悩むより、弁護士に相談を
裁量労働制とは、あらかじめ定められた「みなし時間」にあわせて賃金が決定される働き方です。
たとえば、「1日8時間」と定められている場合は、5時間働いても10時間働いても、8時間働いたものとみなされます。
また出社時間や退社時間などの縛りはなく、求められる業務を遂行する限り、従業員が自由に働くことができます。
裁量労働制は、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類に分類されます。
専門型裁量労働制に分類されるのは、新商品・新技術の研究開発業務、情報処理システムの分析・設計業務、新聞・出版事業における記事・放送番組の取材・編集業務、大学の教授、公認会計士、弁護士、税理士などです。
具体的に19の業務が指定されており、それ以外の業務への専門業務型裁量労働制を導入することはできません。
一方、企画業務型裁量労働制とは、企業全体の事業の運営に影響を及ぼす事項について、企画、立案、調査及び分析の業務を担当する従業員に適用される制度です。
こちらの制度は、対象業務が具体的に限定されていない代わりに、制度導入のための手続的要件が厳格です。
これらの裁量労働制においては、労働時間管理が従業員本人に一任されているため、長時間労働になりやすい傾向にあります。
それに加え、上記裁量労働制を適用できる業務は限られているにもかかわらず、適用外の業務に裁量労働制を適用して、違法に賃金の支払いを免れようとする企業も存在します。
そのような場合には、本来支払うべきであった賃金を支払うよう求めることができます。
同じように、労働時間の配分を労働者が決めることができる制度として「フレックスタイム制」がありますが、次のような違いがあります。
裁量労働制を適切に導入している場合であっても、深夜勤務や休日出勤をした場合には割増賃金(深夜手当・休日手当)を請求することが可能です。
深夜勤務の場合は「1時間あたりの賃金(時給)×0.25×深夜勤務時間」という計算式で割増賃金を計算できます。休日出勤の場合は「1時間あたりの賃金(時給)×1.35×休日労働時間」です。
裁量労働制が問題なく運用されている企業でも、深夜勤務や休日出勤が見落とされている可能性がありますので、きちんと支給されているか給与明細等を確認してみましょう。
1人で悩むより、弁護士に相談を
「裁量労働制だから残業代は支払わない」などと言われたものの、本当に残業代が出ないのか疑問・不安に思った方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、弁護士に相談するとよいでしょう。
裁量労働制が採用されているケースでも、
などは、未払賃金(残業代)を請求できる可能性があります。
残業代を請求する場合は、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
1人で悩むより、弁護士に相談を
裁量労働制で働く方に多いお悩みについて、弁護士がコラムで解説!
あなたの悩みが解決できるかもしれません。ぜひご覧ください。
令和元年10月、有名なアニメ映画などを手掛けてきたアニメ制作会社の社員が「裁量労働制が違法に適用され、残業代が支払われなかった」として会社を提訴しました。
確かに効率的で自由な働き方が求められる現代において、裁量労働制は時代の流れを反映した制度として注目されています。
しかし、会社側が制度を悪用するケースもあり、残業代を支払わないことの根拠としている事例も目立つようになりました。多くの労働者が「裁量労働制だから」と本来もらえるはずの残業代が支払われず、未払い賃金が発生する事態も確認されています。
本コラムでは「裁量労働制」をテーマに、制度の詳しい内容をチェックしながら、裁量労働制が悪用されて未払い賃金が発生している場合の対処法について弁護士が解説します。
1日8時間、週40時間を超えて働いた場合に、残業代がもらえるということは多くの方がご存知かと思います。しかし、職種や業務によっては、実労働時間を把握するのが困難な場合もあります。その典型が、裁量労働制です。
今回は、裁量労働制のもとで働いている方でも残業代がもらえるのかどうかについて説明していきます。ご参考になれば幸いです。
なお、ここでいう「裁量労働制」とは、労働基準法38条の3、38条の4に規定する制度を指すこととします。
近年、デジタル庁の新設が予定されるなどデジタル化がますます推進される中、需要が高まっている職種がプログラマーです。
プログラマーといえば、毎日残業ばかりで休日出勤も当たり前という劣悪な環境で働いている人、というイメージのある方もいるでしょう。また長時間労働にもかかわらず、裁量労働制などを理由に、残業代を一切支払ってもらえないケースもあるようです。
本記事では、プログラマーの労働において採用されやすい「裁量労働制」とはどのような働き方なのか、プログラマーが裁量労働制で働く場合には本当に残業代を請求できないのか、そもそもの労働時間の考え方と併せて解説します。
「裁量労働制が適用される場合、残業代請求できない」と考えていませんか?
「裁量労働制」を適用できるケースは非常に限定されており、会社から「裁量労働制」と言われていても、残業代請求できる可能性があります。
今回は、会社から裁量労働制だから残業代は出ないと言われていても残業代請求できる可能性があるケースについて、弁護士が詳しく解説します。
裁量労働制の残業問題が起きやすい職業について、弁護士が解説しています。