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みなし残業がおかしい! 違法性を見極めるチェックリストと対処法

更新日:2026年02月16日
公開日:2026年02月16日
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みなし残業がおかしい! 違法性を見極めるチェックリストと対処法

あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支給する「みなし残業制(固定残業代制)」は、多くの企業で導入されています。

しかし、制度の運用が適正に行われていない企業も存在し、労働基準法違反となるケースも少なくありません。実際の残業時間に対して適切な賃金が支払われていない場合、未払い残業代を請求できる可能性があります。

本記事では、みなし残業制が違法になるケースや、おかしいと感じた場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、みなし残業がおかしいと感じたときのチェックリスト

みなし残業制がおかしいのではないかと感じた場合は、以下の項目を確認してみましょう。

1つでも「いいえ」の項目がある場合は要注意!
みなし残業制が不適切に運用されており、未払い残業代を請求できる可能性があると考えられます。

基本給の金額が明示されているか(固定残業代と分けて記載されている) はい いいえ
固定残業代の金額が具体的に明示されているか はい いいえ
月45時間超の固定残業時間が設定されているか はい いいえ
固定残業時間を超えた残業について、固定残業代とは別に割増賃金が支払われているか はい いいえ
固定残業代の基本給の額が低過ぎないか(最低賃金を下回っていないか) はい いいえ
勤怠管理システムやタイムカードにより、残業時間が正確に記録されているか はい いいえ
みなし残業制について、労働契約や就業規則に明記されているか はい いいえ


このチェックリストで「おかしい」と感じる項目があった方は、次章でみなし残業制の仕組みや、どのような場合に違法となるのかを確認してみましょう。

2、【図解】みなし残業制(固定残業代制)とは?

「みなし残業制(固定残業代制)」が有効であるためには、裁判例上、いくつかの要件を満たす必要があると考えられています。
不適切な形で運用されている場合は労働基準法違反となり、未払い残業代を請求できる可能性があります

「みなし残業制」とは、一定時間分の残業代を、あらかじめ固定で支給する制度です。
「固定残業代制」とも呼ばれています。

36協定の上限 会社がこのルールを守らず残業させると違法! 残業時間・休日労働の上限のイメージ 36協定:残業時間・休日労働の上限(原則) ・月45時間以内 ・年間360時間以内 1日あたり2時間程度の残業 36協定(特別条項付き):残業時間・休日労働の上限(例外) ・年間6ヶ月まで ・年間720時間以内 ・月100時間未満(※休日労働を含む) ・複数月平均80時間未満(※休日労働を含む) 1日あたり4時間程度の残業 臨時的な特別の事情がある場合に限りOK 法定労働時間:労働基準法 労働時間の基本ルール 原則として1日8時間、週40時間まで
  1. (1)固定残業時間以内で働いた場合

    みなし残業制で働く人には、固定残業時間に対応する残業代(=固定残業代)が、実際の残業時間にかかわらず毎月必ず支払われます

    たとえば固定残業時間が40時間であれば、40時間分の固定残業代を必ず受け取れます。
    実際の残業時間が40時間を下回っていても、固定残業代全額を受け取ることができます。

  2. (2)固定残業時間を超えた場合

    その一方で、実際の残業時間が固定残業時間を超えた場合には、超過分の残業代を追加で受け取れます。この点は誤解している人が多いので要注意です。

    たとえば固定残業時間が40時間で、実際の残業時間が45時間だった場合は、固定残業代に加えて5時間分の残業代を受け取ることができます。

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3、みなし残業制の要件と違法になるケース

  1. (1)みなし残業の条件を明示していない場合

    使用者がみなし残業制を導入するに際し、労働者(従業員)に対して以下の事項を明示しなければ、みなし残業制が無効となる可能性があります。

    ① 基本給及び固定残業代の金額
    ② 固定残業時間と、固定残業代の計算方法
    ③ 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、割増賃金を追加で支払うこと

    上記の事項を明示していない場合は、みなし残業制は無効と判断される可能性があり、無効と判断された場合、固定残業代の支給は残業代の支払いとして認められません

    この場合、労働者は使用者に対し、実際の残業時間に応じた残業代全額を請求できる可能性があります

  2. (2)明示した内容とは異なる取り扱いをしている場合

    また、労働者に対して明示した内容とは異なる取り扱いをしている場合も、残業代の未払いなどの労働基準法違反に当たります。

    たとえば以下のようなケースでは、みなし残業制が不適切または違法と判断される可能性が高いでしょう。

    ① 基本給と固定残業代が明確に区別されていない(「給与」などとまとめられている)
    賃金の内訳が不明確だと、固定残業代が有効に成立せず、残業代の支払い義務を免れられないため

    ② 基本給の金額が、地域の最低賃金を下回っている
    固定残業代を加算する前の基本給が地域別最低賃金を下回っていると、最低賃金法違反となり、制度自体が無効になるため

    ③ 固定残業時間が契約書などに明示されていない
    何時間分の残業代が含まれているか不明確な場合、労働者に不利益を与える不透明な契約とみなされ、固定残業代の有効性が否定されるため
    ※固定残業時間が明示されていない場合であっても、基本給のうち固定残業代がいくらであるかが明示されている場合、残業代計算のための基礎単価を算出すること自体は可能であり、そこから固定残業時間も算出できる可能性があり、その場合は違法と判断されない可能性もあります。

    ④ 固定残業代の金額や計算方法を伝えられていない
    金額の根拠が示されていなければ、残業代の算定が適切に行われているか検証できず、違法と判断されやすいため
    また、基本給との区別の明確性も欠いている可能性があるため

    ⑤ 固定残業時間を超えて残業しているのに、超過分の残業代が支払われていない
    労働基準法は時間外・休日・深夜労働ごとに割増賃金の追加支払いを義務付けており、超過分を支払わないのは明確な違法行為となるため
    など

4、みなし残業制と36協定の関係

労働者に時間外労働や休日労働をさせるためには、労使間で「36協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

36協定とは?
36協定とは、時間外労働や休日労働のルールを定めた労使協定です(労働基準法 第36条)。事業場ごとに、使用者と労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数代表者との間で締結します。

みなし残業制において定められる固定残業時間は、36協定に基づく時間外労働・休日労働の上限の範囲内で定めるのが適切と考えられます。

たとえば、36協定で定めた時間外労働の原則的な上限(月45時間)を超えて、固定残業時間を月100時間と定めるのは不適切と判断される可能性が高いです。

このような場合には、法定を超える部分の固定残業時間が無効と判断され、その超過分について未払い残業代を請求できる可能性があります。

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5、みなし残業制が違法と思われる場合の対処法

みなし残業制が不適切に運用されており、未払い残業代が発生している可能性があると感じた場合には、以下の手順で対応しましょう。

  1. (1)弁護士に相談する

    まずは労働問題に精通した弁護士への相談を検討しましょう。

    弁護士に依頼するメリット 手間やストレスを減らせる!:面倒な手続きや会社側との交渉を自分の代わりに、ほぼ全て任せることが可能 会社から支払われる金額が多くなるかも!:残業代・和解金・慰謝料等が多く得られる可能性がある 弁護士のサポートで、交渉から手続きまで安心!:解決策がみつかる 証拠資料を法的に判断 証拠がない場合、集め方をアドバイス 会社はいい加減な対応ができなくなる 弁護士が代理人として会社と交渉 労働審判、訴訟(裁判)をサポート

    弁護士は未払い残業代請求のサポートを行っています。
    証拠収集・内容証明郵便の送付・和解交渉・労働審判・訴訟など、必要な手続き全般を任せることができるので安心です。

    特に、会社側が請求に応じない場合や、残業代の算定に争いがある場合は、法的知識と交渉力を持つ弁護士に依頼することで、より適切な解決が期待できます
    早い段階で相談することで、時効や証拠喪失のリスクを防げる可能性もあります。
    弁護士に依頼するメリットはこちらで詳しく解説しています。

  2. (2)残業の証拠を確保する

    未払い残業代を請求するには、実際に残業を行っていたことを示す客観的な証拠を確保することが非常に重要です。
    請求額の根拠としても使用されるため、証拠の有無が解決の成否を左右する場合があります。

    以下のような資料が、残業の証拠として有効とされます。
    できる限り多くの証拠を集めましょう。

    証拠の例
    • 勤怠管理システムの記録
    • タイムカードの記録
    • オフィスの入退館記録
    • 会社のシステムへのアクセス記録
    • 業務用メールの送受信記録
    • 交通系ICカードの乗車記録
    • 業務日誌
    など

    証拠が一部しか残っていない場合でも、弁護士が補足的に主張・立証できるケースがあります。「証拠がないから無理」と思わず、まずはご相談ください。

  3. (3)内容証明郵便で請求書を送付し、和解交渉をする

    残業の証拠を確保し、請求する未払い残業代の額が計算できたら、会社に対して内容証明郵便で請求書を送付するのが一般的な対応方法です。

    残業代請求権は、発生してから3年が経過すると時効によって消滅します。
    内容証明郵便が会社に到達すれば、その時点から消滅時効の完成が6か月間猶予されます。早い段階で内容証明郵便を送付することが大切です。

    和解合意書の作成を忘れずに
    内容証明郵便に対して会社から返信があったら、未払い残業代の支払いについて和解交渉を行います。合意が得られたら、その内容をまとめた和解合意書を締結して、確実な支払いを受けるための証拠として保管することが大切です。

  4. (4)労働基準監督署に申告する

    会社が未払い残業代の支払いに応じないときは、労働基準法違反の疑いがあるとして、労働基準監督署に申告することが可能です。

    申告を受けた労働基準監督署は、提出された申告内容に基づいて事業場に対して調査を行い、労働基準法違反の事実を認めた場合は是正勧告を行います。
    是正勧告がなされれば、未払い残業代は速やかに支払われるケースが多いです。

    ただし、労働基準監督署の対応には時間がかかるケースが多いうえに、必ず対応してもらえるとは限りません

    早期の解決や確実な請求を希望する場合
    弁護士への相談・依頼もあわせて検討するとよいでしょう。

  5. (5)労働審判や訴訟を検討する

    会社との任意の交渉で解決に至らない場合は、法的手段として「労働審判」または「訴訟」の利用を検討することになります。

    ① 労働審判
    裁判官1名と労働審判員2名が、会社と労働者の主張を公平に聞き取ったうえで、調停(合意)または労働審判による解決を図ります。
    審理は原則3回以内で終結するため、迅速な解決が期待できます。ただし、当事者のいずれかが労働審判に対して異議を申し立てると、自動的に訴訟へ移行します。

    ② 訴訟
    裁判所が証拠と法律に基づき判断を行い、最終的には判決により法的な結論を下す手続きです。訴訟の途中で和解(合意による解決)が成立するケースもあります。

    労働審判と訴訟は、どちらも法律上の検討が必要であることに加えて、かなりの時間と労力を要します

    確実かつ有利に進めるために、弁護士のサポートを受けて、十分な準備を整えたうえで対応しましょう。

6、残業代請求に成功! みなし残業の解決事例

みなし残業制でも、固定残業時間を超えた労働に対しては、超過分の残業代(割増賃金)を請求する権利があります。超過分の残業代が適切に支払われていないときは、弁護士のサポートを受けながら会社に請求しましょう

ベリーベスト法律事務所では、みなし残業制に関する多数のご相談を受け、残業代の獲得に成功した事例が多くあります。実際の解決事例をいくつかご紹介します。

  1. (1)会社に反論! 400万円の残業代を獲得

    相談者は、退職前に長期間の時間外労働に従事していたにもかかわらず、会社から適正な割増賃金を受け取っていませんでした。
    会社は、固定残業代さえ支払えば割増賃金を支払う必要はないと主張し、支払いを拒否しました。

    ベリーベスト法律事務所の弁護士が就業実態と給与明細等を精査した結果、

    • 固定残業代と基本給が明確に区別されていない
    • 固定残業代が月100時間を超える過大な残業時間を前提としていた

    といった点から、制度そのものが労働基準法上無効となる可能性が高いと判断しました。

    和解交渉において弁護士が上記の事実を主張したところ、会社側は追加残業代の支払義務を認め、400万円の残業代を獲得することに成功しました。

  2. (2)会社が提示した額の2倍に近い約360万円の残業代を獲得

    相談者は、教育関連企業で長時間残業や休日出勤を重ねていたにもかかわらず、残業代を一切受け取っていませんでした
    退職を機に、未払い残業代請求についてベリーベスト法律事務所へご相談いただきました。

    ベリーベスト法律事務所の弁護士は、相談者が持参したタイムカードのデータを検討したところ、残業の事実を立証できる可能性が高いと判断しました。

    また、就業規則に記載されたみなし残業の定めについても、必要な明示事項が欠けており無効である可能性が高いことも分かりました。

    会社側は当初、残業代を200万円までしか支払えないと主張しましたが、弁護士は過去の裁判例を引用して上記の各点を主張し、粘り強く反論しました

    最終的に、当初の提示額よりも2倍近く高い約360万円の残業代を獲得することができました。

7、みなし残業がおかしいと感じたら、弁護士へ相談を

みなし残業制の運用がおかしいと感じたら、雇用契約書や就業規則に記載された条件と労働の実態を照らし合わせて、適切に残業代が支払われているかどうかを確認しましょう。

みなし残業制について運用が不適切な場合、固定残業代の制度が無効と判断され、未払い残業代を請求できるかもしれません
泣き寝入りをせず、残業の証拠をできる限り確保したうえで、早めに弁護士へご相談ください。

ベリーベスト法律事務所は、未払い残業代請求に関するご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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