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労働条件・ハラスメントの弁護士コラム

有給の理由は「私用」でOK? 有給休暇のウソ・ホント

2023年03月30日
  • 労働条件・ハラスメント
  • 有給
  • 理由

有給の理由は「私用」でOK? 有給休暇のウソ・ホント

有給休暇を取得しようとする場合に悩むのが有給休暇の申請理由です。会社によっては、有給休暇を取得する際に詳しい理由を尋ねられたり、理由によっては有給休暇の取得を認めてもらえなかったりするところもあるようです。

本コラムでは、そもそも、有給休暇の申請理由を会社に伝える義務はあるのかどうかから、申請理由によって有給休暇の取得の可否を判断することは違法ではないかという点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、有給休暇の理由は「私用」でよい理由

有給休暇とはどのような制度なのでしょうか。
また、有給休暇を取得する場合にはどのような理由で取得すればよいのでしょうか。

  1. (1)有給休暇とは

    有給休暇とは、正式には「年次有給休暇」といい、文字通り会社を休んでも給料が支払われる休暇日のことをいいます。労働者が心身の疲労を回復して、ゆとりのある生活を送ることができるよう法律上認められている休暇です。

    有給休暇は、以下の要件を満たした場合には当然に発生する権利です(労働基準法39条1項)。

    • 雇入れの日から6か月継続勤務をしたこと
    • 全労働日の8割以上出勤したこと

    この条件を満たした場合には、6か月間継続勤務した翌日に10日間の有給休暇が付与されます。

    ● 1年半以上継続勤務した場合
    そして、1年半継続勤務した場合には、1日加算した11日の有給休暇が付与され、2年半継続勤務した場合には、さらに1日加算した12日の有給休暇が付与され、3年半以降は1年ごとに各2日加算した有給休暇が付与されます。
    この加算年数は20日(6年半継続勤務後)になるまで認められます。(以上「労働基準法39条2項」)

    ● 1年度内に有給休暇を取得し切れなかった場合
    なお、1年度内に有給休暇を取得し切れなかった場合、時効により2年間で消滅することになっているので(労働基準法115条)、逆に言えば、次年度までは繰越しが可能ということになります。

    ● 「会社に有給休暇の制度がない」は認められない
    有給休暇は、法律上当然に認められる権利ですので、「会社に有給休暇の制度がない」という理由では、労働者からの有給休暇の取得を拒むことはできません。

  2. (2)有給休暇申請理由が必須、はウソ!

    有給休暇を取得する際にその理由を明らかにすることを求める会社も多いようです。
    しかし、法律上、労働者が会社に有給休暇の申請理由を伝える義務はありません

    有給休暇は、労働者に与えられた権利ですので、理由の内容を問わず労働者からの有給取得申請があった場合には、使用者はそれを認めなければならないのが原則です。

    理由を提出しなければ有給休暇を認めないという制度は、労働基準法に照らして違法となります。なお、使用者に対しての罰則もあり、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑」となっています。

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2、繁忙期など、自由に取得できないケースがあるのはホント!

労働者の側から有給休暇申請をしたとしても、以下のようなケースでは、希望した時期に有給休暇を取得することができなかったりする場合があります。

  1. (1)会社側が時季変更権を行使した場合

    労働者が有給休暇の取得申請をしたとしても会社側が「時季変更権」を行使した場合には、労働者が希望する時期での有給休暇取得は認められません

    時季変更権とは?
    時季変更権とは、労働者の有給休暇の取得によって会社の事業の正常な運営を妨げることになる場合に、労働者が取得する有給休暇の取得時季(時期)を変更することができる権利のことをいいます(労働基準法39条5項)。

    「事業の正常な運営を妨げる」のかどうかは、

    • 業務遂行のための必要人員を欠くなど業務上の支障が生じることだけでなく
    • 人員配置の適切さや代替要員確保の努力など労働者が指定した時季に有給休暇が取れるように使用者が状況に応じた配慮を尽くしているかどうか

    で判断されます。

    たとえば、繁忙期に有給休暇の取得申請があった場合や複数の労働者から同じ時期に有給休暇の取得申請があった場合に、代替要員確保の努力をしたが困難であるといった事情がある場合には、会社側の時季変更権が認められる可能性がでてきます。

    取得時期を変更できるだけで、有給自体を拒むことはできない
    ただし、時季変更権は、あくまでも有給休暇を取得する時期を変更することができる、ということに過ぎません
    したがって、労働者が希望した有給休暇を取得すること自体を拒むことができるというわけではありません。先ほども述べましたが、会社が有給休暇の取得自体を拒むことは違法です。

    また、会社が、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して年5日有給休暇を取得させないというケースも違法です。ご自身がどのくらい有給休暇をとれているかも確認してみましょう。

  2. (2)計画年休の対象である場合

    使用者と事業場の過半数代表が有給休暇を与える時季について労使協定を結んでいた場合には、使用者は、労使協定に基づいて、有給休暇を与える時期を指定することが出来ます。この制度のことを、計画年休と呼びます(労働基準法39条6項)。

    計画年休とは?
    計画年休とは、労使協定を締結することによって会社側が労働者の有給休暇の取得日をあらかじめ決めることができる制度です。

    ただし、計画年休によって会社側が有給休暇の取得日を決めることができるのは、有給休暇の付与日数のうち5日を超える部分に限られます。

    たとえば、10日間の有給休暇が付与されている場合には、5日分の有給休暇について、会社側が取得日を決めることができます。

    したがって、計画年休であらかじめ日程が定められた有給休暇については、これを他の時期に変更して取得することはできません。

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3、私用や虚偽の理由で有給申請しても大丈夫?

  1. (1)本来は「私用のため」でもOKだが、理解してもらえないケースもある

    有給休暇を取得する際には、法律上は、理由を伝える必要はなく、「私用のため」という理由でもよいとされています。ここでいう「私用」とは趣味や旅行など個人的な用事でなくても構いません。結婚式やお葬式、家族の用事、病院へ行く、公的な手続きを行う、などはすべて「私用」であると考えられています。

    有給休暇を取得する際には、会社に理由を伝える必要はありませんし、会社から理由を求められたとしても単に「私用のため」と伝えればよいです。(「私用のため」と伝えても、会社が納得せずしつこく理由を聞かれても、申告する義務は一切ありません。)また、私用の理由を言わないと有給を取得させてもらえないような場合は、違法となる可能性があります。

    しかし、実際には、有給休暇の取得理由が不要であるということに理解のない上司もいます。「私用のため」だけでは納得してもらえない、という場合には、4章を参考に取得理由を上司に伝えましょう。

  2. (2)虚偽の理由で有給を取得しても無効にはならない

    なお、虚偽の理由で有給休暇を取得したとしても、有給休暇が無効になるということはありません。
    しかし、懲戒処分の対象になる可能性もありますので注意が必要です。

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4、有給休暇を取りたい!上司を納得させやすい取得理由

会社に有給休暇の取得申請をしたにもかかわらず、有給休暇の取得を認めてもらえなかった場合には、以下のような理由を伝えることによってスムーズに有給休暇を取得することができる場合があります。

  1. (1)体調不良、通院のため

    体調不良であれば会社に出勤することができませんし、病院への通院は平日しか行くことが難しい場合もあります。
    したがって、休むのもやむを得ないものとして有給休暇の取得が認められやすいといえます。

  2. (2)冠婚葬祭のため

    結婚式や新婚旅行の予定があらかじめわかっている場合には、早めに会社に申請をすることによって、代替要員の確保も容易になりますので、有給休暇の取得がスムーズに進みます。

    また、家族や親族が亡くなったという場合には、労働者本人の心痛を察して柔軟に有給休暇の取得に対応してくれる会社が多いといえるでしょう。

  3. (3)家族の用事のため

    子どもの学校行事への参加や両親の通院に付き添うためという理由であれば、自分のための用事ではないため上司の理解を得やすい理由だといえるでしょう。

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5、有給休暇を断わられたら、取得できない理由と取得できる時期を確認

有給休暇の取得申請をしたにもかかわらず、有給休暇の取得を断られた場合には、有給休暇を取得することができない具体的な理由を確認しましょう。

法律上、会社は、労働者の有給休暇の取得申請を断ることはできず、事業の正常な運営を妨げる場合に限り時季変更権を行使することができるに過ぎません。

労働者が希望する時期に有給休暇を取得することによって、業務に支障が生じるのかどうかを確認するためにも、有給休暇を取得することができない詳細な理由を確認することが大切です

また、時季変更権の行使によって希望する時期に有給休暇を取得することができないという場合には、予定していたイベントを変更しなければなりません。

いつであれば有給休暇を取得することができるのかを確認しましょう。

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6、退職前の有給休暇取得の場合

  1. (1)早めに有給消化と引き継ぎのスケジュール調整を

    退職が決まった場合には、未消化の有給休暇を消化するために会社に対して申請をすることになります。退職日までのすべての出勤日を有給休暇とすることもできますし、それを会社が拒否することはできません。

    しかし、退職時には、後任者への業務の引き継ぎなどをする必要があります。円満に退職するためにも退職が決まった場合には、早い段階に会社に伝えて有給消化と引き継ぎの両立ができるスケジュール調整を行うとよいでしょう。

  2. (2)会社側は、有給の買い取りに応じる義務はない

    なお、退職日に未消化の有給が残っている場合には、会社に有給休暇の買い取りをしてもらうことができることがありますが、会社はそれに応じる義務はありません

    そのため、買い取りに応じてもらえず、有給休暇が無駄になってしまうということを回避するためにも早めに会社に相談をすることをおすすめします。

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7、有給休暇を使わせてもらえないときは、法的対応の検討も

上記のような対応をしても会社が有給休暇の取得を認めてくれないという場合には、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)労働基準監督署に申告

    有給休暇を取得することができない労働者の方は、会社に労働基準法違反行為があることを労働基準監督署に申告することができます。

    労働者から有給休暇の取得申請があったにもかかわらず、それを拒否することは労働基準法違反です。

    さらに、会社には、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては年5日の有給休暇を取得させなければならない義務があります。
    これらの義務に違反をした場合には、会社は30万円以下の罰金に処せられる可能性があるのです。

    労働者から申告のあった労働基準監督署では、立ち入り調査などを行い、労働基準法違反の状態があるかどうかを確認し、労働基準法違反の状態が確認できた場合には、指導や是正勧告などの対応をしてもらうことができます。

  2. (2)弁護士に相談

    労働基準監督署による指導や是正勧告には、法的拘束力がありません。
    そのため、指導や是正勧告がなされたとしても従わない会社が存在する可能性は否定できません。

    労基署からの指導や勧告を無視するような会社の場合には、弁護士に相談・依頼をすることをおすすめします。
    弁護士は、労働者の方に代わって会社と交渉することができますので、有給休暇を取得させるように会社を説得することができます。
    また、話し合いで解決することができない場合には、労働審判や裁判を起こして争うこともできます。

    労働者個人では、会社と対等な立場で交渉をすることは困難ですので、労働問題に詳しい弁護士に対応を任せることが安心です。

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8、まとめ

有給休暇を取得する際にはその理由を伝える必要はありません。
もし理由を求められたとしても「私用のため」と伝えるだけで十分です。

しかし、労働基準法に関する理解が不十分な企業では、詳細な理由を求めてきたり、正当な理由がないにもかかわらず有給休暇の取得を拒否されたりすることがあるようです。
そのような場合には弁護士に相談をすることをおすすめします。

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この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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