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労働問題全般の弁護士コラム

有給の買い取り請求は違法? 会社から買い取りが認められるケース

2022年09月29日
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有給の買い取り請求は違法? 会社から買い取りが認められるケース

「未消化の有給がたまっているものの、繁忙期で有給を消化できない」「退職することになったが、退職予定日までに有給を使い切れない」など、未消化の有給について悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

このような場合、会社に有給を買い取ってもらいたいと考える方もいるかもしれませんが、有給の買い取りは、原則として違法とされています。

しかし、例外的に有給の買い取りが認められることもありますので、どのようなケースであれば、有給の買い取りが認められるのかを、しっかりと知っておくことが大切です。

今回は、有給の買い取りが認められるケースと、注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、有給の買い取りは基本的には違法! 買い取りがダメな理由

有給とは、正式には「年次有給休暇」といい、賃金が支払われる休暇のことをいいます。
使用者は、業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならないとされています(労働基準法39条)。

年次有給休暇を与えなければならない一定の要件とは?
雇い入れ日から6か月が経過し、なおかつ、その期間の全労働日の8割以上出勤していることをいいます。


有給は、労働者の心身の疲労回復を目的とした、ゆとりのある生活を保障するための休暇です。
有給の買い取りを積極的に認めてしまうと、会社が有給を取得させない可能性もあり、法律で定められた意図がなくなってしまいます

そのため、たとえ労働者の同意があった場合でも、有給の買い取りは原則として違法です。

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2、有給の買い取りが認められる、例外的なケースとは?

有給の買い取りは、原則として違法とされていますが、以下のようなケースの場合、例外的に有給の買い取りが認められることがあります。

  1. (1)退職時に有給が残っているケース

    後任者への引き継ぎや、退職日までの日数の関係などから、すべての有給を使い切ることができないまま退職日を迎えてしまった場合、有給の買い取りが可能とされています。

    退職時に未消化となっている有給は退職後に使うことができません。そのため、有給の買い取りは労働者にメリットがあり、退職時に未消化の有給を買い取ったとしても労働者を休ませるという有給の趣旨に反しません。

    そこで、有給の買い取りが例外的に認められるとされています。

  2. (2)特別休暇など、会社独自に規定している有給があるケース

    労働基準法で定められている有給のほかにも、福利厚生の一環として、以下のような特別休暇を認めている会社もあります。

    • 慶弔休暇
    • リフレッシュ休暇
    • 夏季休暇
    • バースデイ休暇
    • ボランティア休暇
    • アニバーサリー休暇
    など

    こういった休暇は、会社が独自に定めた休暇のため、特別休暇が有給であったとしても、買い取りをすることは違法にはあたりません。

  3. (3)有給を使い切れずに失効してしまうケース

    有給は、その年に使い切れなかったとしても、翌年に繰り越して使用することができます。

    しかし、有給には期限が定められており、有給休暇取得日から2年たってしまうと、時効により有給が消滅してしまいます。

    時効で消滅してしまった有給については、労働者が請求したとしても使うことができません。そのため、消滅した有給を会社が買い取ったとしても、労働者を休ませるという有給の趣旨に反することはありません。
    そこで、有給の買い取りが例外的に認められるとされています。

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3、有給はいくらになる? 買い取り時の計算方法

有給を買い取ってもらう場合、いくらで買い取ってもらうことになるのでしょうか。

  1. (1)有給の買い取り時の計算方法は3パターン

    有給の買い取り時の計算方法としては、以下の3つのパターンがあります。

    ① 通常賃金で買い取る場合
    通常賃金とは、通常どおりの勤務をした場合に得られる賃金のことです。

    たとえば、月給制の場合には、「月給額÷その月の所定労働日数」で計算した金額によって、有給を買い取ることになります。
    ② 平均賃金で買い取る場合
    平均賃金とは、直近3か月の賃金総額を、その期間の総日数で割った賃金のことです。

    ただし、賃金が時間額や日額、出来高給で決められており労働日数が少ない場合など、総額を労働日数で割った額の6割に当たる額の方が高い場合にはその額を適用する場合もあります(最低保障額)。
    ③ 標準報酬月額を利用して買い取る場合
    標準報酬月額とは、健康保険法によって定められている保険料額を算定する際に用いられる金額です。

    標準報酬月額の30分の1に相当する金額が有給を買い取る金額となります。
    なお、標準報酬月額による算定を選んだ場合には、書面による労使協定の締結が必要になります。
  2. (2)有給の買い取り金額の決め方

    有給の買い取りは、法律上の制度ではないため有給の買い取り金額の決め方には法律上のルールはありません

    そのため、会社の就業規則などで、有給買い取り時の計算方法についてのルールが規定されている場合には、それに従いましょう。

    しかし、そのような規定がない場合には、会社との話し合い、上記3つの計算方法のどれか1つを選択し、算出することになります。

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4、有給を買い取ってほしい! 注意点と交渉のコツ

会社に有給を買い取ってほしいという場合には、会社と交渉をしていくことになりますが、その際に以下の点に注意が必要です。

  1. (1)そもそも会社側は有給買い取りに応じる法的な義務はない

    例外的に有給の買い取りが認められるケースであった場合、会社に対して有給の買い取りを求めていくことになります。

    この際に注意しなければならないのは、会社には有給を買い取る法的な義務がないという点です

    会社の就業規則などで、有給の買い取り制度が規定されている場合には、会社に有給休暇買い取り義務が生じることもあります

    しかし、この規定がない会社では、有給の買い取りを会社に求めても、会社が拒否した場合、有給を買い取ってもらうことができないのです。
    そのため、有給の買い取りをしてもらうためには、会社とうまく交渉をしていくことが必要になります。

  2. (2)有給を買い取ってもらいやすくするには? 買い取り交渉のポイント

    有給を買い取ってもらうためには、会社と労働者の合意によって行うのが原則となります。
    買い取り交渉をし、合意を得るためのポイントとしては、以下の点が挙げられます。

    ① 円満退職ができる場合
    例外的に有給の買い取りが認められるケースであった場合、以下のような状況で円満な退職ができるのであれば、交渉の余地は十分あるでしょう

    • 在職中の勤務態度が良好
    • 突然の退職ではなく、会社の規定にのっとり、十分に期間をとって退職をする
    • 引き継ぎなどをきちんと行い、会社の業務に影響を与えない

    ② 会社側にとってメリットがある場合
    有給の買い取りは、労働者だけでなく、会社にとってもメリットがある場合があります。

    たとえば、有給を消化してから退職をする場合、有給消化中は企業に在籍している状態となりますので、その間は会社が社会保険料を負担しなければなりません。
    有給を買い取り、早期に退職してもらうことで、社会保険料の負担を軽減できるというメリットがあります。

    また、万が一、労働者が有給消化中にトラブルを起こした場合、会社にも責任が及ぶおそれがあります。

    こういった、問題を起こした従業員を早く退職させたいケースでは、有給消化よりも、有給を買い取るほうが、早く退職させられるというメリットがあります。

    このように会社側にとって、メリットがある場合には、買い取り交渉が比較的に進めやすいです。

    ただし、先ほど解説した通り、会社には有給買い取りに応じる法的義務がないため、最終的に有給を買い取ってもらえるかどうかは、会社の判断次第です。

  3. (3)買い取ってもらえた場合に注意するべき点

    会社に有給を買い取ってもらうことができた場合には、買い取り方法によって税務処理が異なってきますので注意が必要です。

    退職に伴う有給の買い取りだった場合には、退職時に支払われる賃金のため、原則として税法上は「退職所得」として扱われることになります。

    それ以外の有給買い取りのケースについては、原則として「給与所得」として扱われることになります。

    退職所得と給与所得は、どちらも所得税が課税されることになりますが、退職所得については、退職後の生活費の原資になるという面がありますので、給与所得に比べて税金面で優遇されています。

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5、まとめ

有給の買い取りは、原則として違法とされていますが、例外的に買い取りが認められるケースもあります。

例外的に買い取りが認められるケースであったとしても、会社には有給を買い取る義務はありません。
そのため、有給を買い取ってもらうためには、会社と交渉を進めていくことが必要です

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この記事の監修者
萩原達也

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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