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残業代の計算方法とは? 簡単に分かる方法も! 基礎知識や注意点

2025年10月29日
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残業代の計算方法とは? 簡単に分かる方法も! 基礎知識や注意点

残業代を正しく計算するためには、残業代の計算方法だけではなく労働形態別の違いや割増率、残業代が発生する条件、残業時間の上限規制などを理解しておくことが重要です。

残業代計算をした結果、未払い残業代があることが判明したときは、残業代が時効になる前に会社に対して未払い残業代請求を行うようにしましょう。

今回は、残業代の計算方法に関する基礎知識と注意点をベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、残業代とは?

そもそも残業代とはどのようなものなのでしょうか。
以下では、残業代の定義と残業代が発生する条件について説明します。

  1. (1)残業代の定義

    残業代とは、通常の労働時間に対する賃金とは別に残業をした労働者に対して支払われる賃金をいいます。

    残業には「時間外労働(法外残業)」と「法内残業」の2種類があり、どちらの残業に該当するかによって、割増賃金を支払う必要があるかどうかという点が異なります。

    ・時間外労働とは?
    時間外労働とは、1日8時間、1週40時間という法定労働時間を超えて働くことをいいます。
    時間外労働に対しては、後述の4章⑵の表のとおり、通常の賃金に対して増額した割増賃金の支払いが必要になります。

    ・法内残業とは?
    法内残業とは企業が独自に定めた所定労働時間を超え、法定労働時間の範囲内で働くことをいいます。
    法内残業に対しては、残業時間に応じた通常の賃金の支払いだけで足り、割増賃金の支払いは必要ありません。

    たとえば、所定労働時間が7.5時間の方が8時間勤務した場合、0.5時間の残業をしていることになります。
    この0.5時間については、1日8時間の法定労働時間を超えていない残業ですので、通常の賃金の支払いで足り、割増賃金が支払われることはありません。

  2. (2)残業代が発生する条件

    残業代が発生するのは、以下のいずれかに該当する場合です。

    時間外労働(法外残業)の場合
    • 法定労働時間を超えて働いた場合:1日8時間・1週40時間を超えた労働
    • 深夜時間帯に働いた場合:午後10時から翌午前5時までの間の労働
    • 休日労働をした場合:労働基準法で定められた週1日の法定休日の労働

    法内残業の場合
    • 所定労働時間を超えて働いた場合:各企業が独自に定めた所定労働時間を超えたものの、法定労働時間の範囲内の労働
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2、残業時間の上限規制と法改正のポイント

以下では、残業時間の上限規制と法改正のポイントについて説明します。

  1. (1)働き方改革関連法による残業時間の上限|原則:月45時間・年360時間

    働き方改革の一環として労働基準法が改正され、残業時間の上限が設けられるようになりました。

    これまでも大臣告示により残業時間の上限が定められていましたが、特別条項付きの36協定を締結すれば上限を超えて働かせることができ、罰則もないため実効性に乏しい規制でした。

    しかし、法改正により法律上の規制として残業時間の上限が設けられたため、違反した場合には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が企業に科されることになります。

    具体的な残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間ですが、臨時的な特別の事情がある場合には、特別条項付きの36協定を締結すれば例外的に残業の上限が以下のように延長されます。

    特別条項付きの36協定を締結した場合の残業時間
    • 時間外労働は年720時間以内
    • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
    • 時間外労働と休日労働の合計が2~6か月の平均がすべて(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」すべてということを意味します。)1月あたり80時間以内
    • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月まで
  2. (2)中小企業や一部職種への猶予措置は終了

    残業時間の上限規制は、平成31年4月1日に施行されましたが当初は大企業のみが対象であり、中小企業に対しては1年間の猶予措置がとられていました。

    また、建設業、自動車運転の業務(トラック運転手、タクシー運転手など)、医師については、上限規制の適用が5年間猶予されていました。

    しかし、現在は猶予措置が終了していますので、すべての企業・職種に対して残業時間の上限規制が適用されます

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3、今すぐ残業代が分かる! 簡単に計算できる方法とは?

正確な残業代を計算するには、複雑な計算が必要になります。
ですが、「ざっくりでいいから、自分の残業代を知りたい!」という方も多いでしょう。

その場合は、こちらの残業代チェッカーがおすすめです。
どなたでも簡単に自分のおおよその残業代が計算できます。

なお、詳しい計算方法について知りたい方は、次の章で解説します。

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4、残業代の計算方法

簡単に自分の残業代を把握できたところで、次は詳しい残業代の計算方法を見ていきましょう。

  1. (1)残業代の基本的な計算方法

    残業代は、基本的には「1時間あたりの基礎賃金×割増賃金率×残業時間」という計算式によって算出します。

    このうち「1時間あたりの基礎賃金」は、例えば月給制であれば以下のように計算します。

    • 1時間あたりの基礎賃金=月給÷1か月の平均所定労働時間
    • 1か月の平均所定労働時間=(365日(※)-1年間の所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月
      ※閏年の場合は366日

    なお、「月給」には以下の手当・賃金は含まれません。

    月給に含まない手当・賃金
    • 家族手当
    • 通勤手当
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住居手当
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  2. (2)割増賃金率とは

    残業代を計算する際に適用される割増賃金率は、労働の種類に応じて以下のようになっています。


    労働の種類 内容 割増賃金率
    時間外労働 法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えたとき 25%以上
    時間外労働が1か月60時間を超えたとき 50%以上
    休日労働 法定休日(週1日)に労働したとき 35%以上
    深夜労働 午後10時から翌午前5時までの間に労働したとき 25%以上
    時間外労働+深夜労働 法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超え、
    深夜時間帯(午後10時から翌午前5時まで)に労働したとき
    50%以上
    (25%+25%)
    時間外労働が1か月60時間を超え、深夜時間帯
    (午後10時から翌午前5時まで)に労働したとき
    75%以上
    (50%+25%)
    休日労働+深夜労働 法定休日(週1日)に労働し、深夜時間帯
    (午後10時から翌午前5時まで)に労働したとき
    60%以上
    (35%+25%)

    ※休日労働を行なった際は、休日労働の規制のみが適用されるので、1日8時間を超えて働いても、25%の割増が加算されて60%になることはなく、35%のままです。

  3. (3)残業代計算の具体例

    以下のモデルケースを用いて、残業代を計算してみましょう。

    基本給:月給30万円
    所定労働時間:1日8時間、週5日(=1か月の平均所定労働時間を160時間と仮定)
    残業時間
    ① 通常の時間外労働:20時間
    ② 深夜労働(22時以降):5時間
    ③ 休日労働:8時間

    ① 1時間あたりの基礎賃金
    月給30万円÷月160時間=1875円

    ② 残業代の計算
    通常の時間外労働:1875円(1時間あたりの基礎賃金)×1.25(割増賃金)×20時間=4万6875円
    深夜労働:1875円(1時間あたりの基礎賃金)×1.25(割増賃金)×5時間=1万1719円
    休日労働:1875円(1時間あたりの基礎賃金)×1.35(割増賃金)×8時間=2万0250円

    ③ 残業代の合計
    4万6875円(通常の時間外労働)+1万1719円(深夜労働)+2万0250円(休日労働)=7万8844円

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5、割増賃金率の適用条件と計算例

残業代計算にあたっては、労働の種類に応じて異なる割増賃金率が適用されるため、それぞれを区別して計算しなければなりません。

以下では、割増賃金率の適用条件と計算例を説明します。

  1. (1)時間外労働

    割増賃金率が適用される時間外労働には以下の2種類があり、それぞれ適用される割増賃金率が異なります。

    • 法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えた時間外労働:25%以上
    • 1か月60時間を超える時間外労働:50%以上
    モデルケース
    勤務時間が午前9時から午後6時(休憩1時間)の企業で午後9時まで残業をした場合(1時間あたりの基礎賃金を1500円と仮定)。

    計算
    その月の時間外労働が60時間を超えていない場合
    1500円×1.25×3時間=5625円

    その月の時間外労働が60時間を超えており、そのうちこの3時間が超過分の場合
    1500円×1.5×3時間=6750円
  2. (2)休日労働

    休日労働とは、法定休日に働くことをいいます。
    労働基準法では毎週少なくとも1日または4週で4日以上の休日を与えなければならないと定められており、これが「法定休日」です。

    なお、会社が定めた「所定休日」に働いた場合でも、週の労働時間が法定労働時間(原則40時間)を超えていなければ、割増賃金が発生しないことがあります。所定休日の扱いには注意が必要です。

    一方、法定休日に労働させた場合は、その労働時間に対し35%以上の割増賃金を支払う必要があります

    モデルケース
    法定休日に午前9時から午後6時(休憩1時間)働いた場合の残業代(1時間あたりの基礎賃金を1500円と仮定)。

    計算
    1500円×1.35×8時間=1万6200円
  3. (3)深夜労働

    深夜労働とは、午後10時から翌午前5時までの深夜時間帯に働くことをいいます。

    深夜労働の割増賃金率は25%以上ですが、深夜労働と時間外労働の割増率は重複して適用されますので、深夜残業をした場合の割増賃金率は時間外労働25%+深夜労働25%=50%以上になります。

    モデルケース
    勤務時間が午前9時から午後6時(休憩1時間)の企業で午後11時まで残業をした場合(1時間あたりの基礎賃金を1500円と仮定)

    計算
    時間外労働(午後6時〜午後10時の4時間)
    1500円×1.25×4時間=7500円

    深夜残業(午後10時〜午後11時の1時間)
    1500円×1.5×1時間=2250円

    合計:7500円+2250円=9750円
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6、労働形態別における残業代の計算方法

ここまでは一般的な労働形態を前提として残業代計算の方法を説明してきましたが、残業代計算は労働形態に応じて異なる計算が必要になるケースがあります。
以下では、労働形態別における残業代の計算方法を説明します。

「1時間あたりの基礎賃金」の計算方法は、時給制・日給制・月給制・年俸制などの労働形態に応じて求め方が異なってきます。
以下では、それぞれの労働形態ごとの残業代の計算方法を説明します。

  1. (1)時給制

    時給制の場合は、時給額がそのまま「1時間あたりの基礎賃金」になります。
    そのため、パートやアルバイトの労働者は、ご自身の時給に割増賃金率と残業時間をかければ簡単に残業代を計算することができます。

  2. (2)日給制

    日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間で割ることで「1時間あたりの基礎賃金」を求めることができます
    具体的には、以下のような計算になります。

    1時間あたりの基礎賃金(日給制)=日給額÷1日の所定労働時間
  3. (3)月給制

    月給制の場合は、すでに説明したとおり、以下のような計算式で1時間あたりの基礎賃金を求めます。

    • 1時間あたりの基礎賃金(月給制)=月給÷1か月の平均所定労働時間
    • 1か月の平均所定労働時間=(365日(※)-1年間の所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月
      ※閏年は366日
  4. (4)年俸制

    年俸制の場合は、以下の計算式で1時間あたりの基礎賃金を求めます。

    • 1時間あたりの基礎賃金(年俸制)=年俸額÷12か月÷1か月の平均所定労働時間
    • 1か月の平均所定労働時間=(365日(※)-1年間の所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月
      ※閏年は366日
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7、フレックス制やみなし残業制の注意点

特殊な勤務制度にフレックス制みなし残業制(みなし労働時間制)というものがあります。
これらの勤務制度が適用される場合、残業代計算にあたっては以下の点に注意が必要です。

  1. (1)フレックス制の注意点

    フレックス制とは、労働者が自分で始業時間や終業時間を自由に決めることができる勤務制度です。
    フレックス制は、1日ごとの勤務時間ではなく、1か月(または最大3か月)の期間内でトータルの労働時間を調整します。

    そのため、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えたとしても直ちに残業代が発生するわけではなく、清算期間内の労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合の超過分が残業となり、超過分に対して割増賃金が発生します。

  2. (2)みなし労働時間制の注意点

    みなし労働時間制とは、実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ定めた時間(みなし時間)を働いたものとみなして賃金を支払う労働時間制をいいます。
    いわゆる「裁量労働制」も、このみなし労働時間制の一つです。

    みなし労働時間制では、実際に法定労働時間を超過して働いたとしてもみなし時間が法定労働時間の範囲内であれば残業代は発生しません

    ただし、みなし時間が法定労働時間を超えて定められているときは、超過分が残業になりますので残業代を請求することができます

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8、残業代未払い時の対応方法

残業代を計算した結果、未払い残業代があることが判明したときは、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)未払い残業代があることが判明したら証拠収集を行う

    未払い残業代があることが判明したときは、すぐに残業代請求をするのではなく、まずは未払い残業代の証拠を集めるようにしましょう。

    会社に対して残業代請求をするには、労働者が未払い残業代の存在と金額を立証しなければなりませんので、残業代が未払いになっている証拠がなければ未払い残業代の支払いに応じてもらうのは難しいでしょう。

    未払い残業代請求の証拠となるものは事案によってさまざまですが代表的なものを挙げると以下のとおりです。

    残業代請求の証拠となる代表的なもの
    • タイムカード
    • 勤怠管理システムのデータ
    • 日報、業務報告書
    • 業務メールやチャット履歴
    • パソコンのログ履歴
    • 雇用契約書
    • 就業規則
    • 給与明細、源泉徴収票
    など
  2. (2)弁護士に残業代請求を依頼する

    未払い残業代があることが判明したときは証拠を確保後、会社に対する未払い残業代請求をすることになります。
    その際には、以下のようなメリットがありますので弁護士に依頼するのがおすすめです。

    ① 迅速かつ正確な残業代計算ができる
    残業代計算は、非常に複雑な計算になりますので、一般の方では正確にご自身の残業代を計算するのは困難です。
    特に、フレックス制やみなし残業制など特殊な勤務制度が適用されている場合、残業代計算はさらに複雑なものとなります。
    正確に残業代を計算するには、専門家である弁護士のサポートが不可欠ですので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

    ② 会社との交渉を任せられる
    弁護士に依頼すれば会社との交渉をすべて任せることができます。
    労働者個人だと会社が誠実に対応してくれないケースも多いですが、弁護士が窓口になって交渉をすれば真摯に対応せざるを得なくなるため、交渉で解決できる可能性が高くなります
    また、会社側は、残業代を支払いたくないという理由でさまざまな理屈をつけて残業代の支払いを拒んできますが、弁護士であれば会社の主張が法的に正当なものであるかどうかを判断できますので、適切な反論をすることにより未払い残業代の支払いを求めていくことができます。
    弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらで解説しています。
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9、まとめ

残業代の計算は、基礎知識や注意点を理解することが重要で、法改正のポイントも押さえておくべきです。

未払い残業代の請求を考えている方や、残業代の正確な計算に不安がある方は、労働問題に詳しいベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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