給与が未払いになっているものの、会社との関係が悪化するのをおそれて泣き寝入りしている方もいると思います。しかし、労働者には働いた分の給与を受け取る権利がありますので、泣き寝入りする必要はありません。
給与未払いは労働基準法に違反する違法な状態です。雇用契約を締結したことと働いたことの証拠があれば、会社から未払い給与の支払いを受けることが可能です。ただし、未払い給与の請求権については、時効がありますので、早めに行動することが大切です。
今回は、給与未払いを泣き寝入りせずに解決する方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
以下では、給与未払いに関して押さえておくべき基本事項を説明します。
給与に関しては、労働基準法において以下の基本的な4つの原則が定められています。
給与未払いは、給与に関する4つの原則のうち「全額払いの原則」に違反しています。
つまり、労働基準法に反している状態です。
また、労働者には働いた分の給与を受け取る権利がありますので、違法な給与未払いをしている会社に対しては、未払い給与の請求をすることができます。
給与未払いで泣き寝入りしないためにも、給与未払いが起こった場合に労働者がとるべき行動を把握しておきましょう。
未払い給与を請求するには、労働者側で、証拠により給与の請求権があることを証明していかなければなりません。
証拠がなければ未払い給与を支払ってもらうことは困難ですので、普段から給与明細、就業規則、タイムカードなど未払い給与の立証に役立つ証拠を保管しておくようにしましょう。
会社に対して未払い給与を請求するには、労働者の側で給与の請求権があることを証明しなければなりません。
特に、タイムカードなどの労働したことや労働時間が分かる証拠集めは重要です。
上記の証拠に基づいて給与を計算した結果、未払い給与があると分かったら、会社に対して、確認してみるとよいでしょう。
など、単純に支払い手続きのミスが原因だった場合、まともな会社であれば、すぐに未払い分の給与を支払ってもらえる可能性が高いです。
給与の未払いがあるのに会社がそれを認めない場合や、何かと理由をつけて支払ってくれない場合は、以下のような対応をしましょう。
まず、会社に未払い給与の支払いを求める内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便を利用することで、労働者側の本気度を会社に示すことができ、会社も真剣に交渉に応じてくれる可能性が高くなります。
時効の完成を猶予する効果がある
また、給与の請求権には時効があり、給料日から3年が経過すると未払い給与を請求することができなくなってしまいます。
しかし、内容証明郵便を利用して未払い給与の請求をすれば、時効の完成を6か月間猶予できますので、時効が迫っているようなケースではさらに有効な手段です。
会社に内容証明郵便が届いたら、未払い給与に関する交渉してみましょう。
交渉では、事前に収集した証拠を提示しながら労働者側の請求の正当性を説明していきます。
会社との交渉でも解決しない場合は、法的手段で訴えることになります。
給与未払いの問題を解決するための法的手段としては、主に労働審判と訴訟があります。
どちらを利用してもよいですが、会社との話し合いの余地が残されているようであれば、早期かつ柔軟な解決が可能な、労働審判がおすすめです。
もっとも、労働審判でも解決できないときは、訴訟により解決を図ることになります。
未払い給与の支払いを命じる判決が確定すれば、それをもとに強制執行の申し立てをして、会社の財産から強制的に未払い給与の回収をすることができます。
ここまで給与未払いの解決法について解説してきましたが、給与未払いの問題は、自分だけで対応しようとするとうまくいかずに泣き寝入りしてしまうリスクがあります。
そのため、給与未払いが判明したときは、以下のような相談窓口の利用もおすすめです。
労働基準監督署は、会社が労働基準法などの労働関係法令を守っているかどうか監督し、法令違反があれば指導・勧告を行う機関です。
給与未払いは、労働基準法に違反している状態ですから、労働基準監督署に相談をすれば、会社に対して指導・勧告を行ってくれる可能性があります。
ただし、労働基準監督署による指導・勧告には強制力がありませんので、会社が任意に従わなければ意味がありません。
なお、実際に相談する場合には、全国各地に設置された「総合労働相談コーナー」に連絡を取りましょう。総合労働相談コーナーは、さまざまな労働問題を相談できる行政の相談窓口です。
労働組合は、労働者が主体となって組織する団体であり、会社に対して、賃金や労働条件の改善、経済的地位の向上などを求めて交渉を行うことができます。
労働者が交渉しても会社が真剣に取り合わないという場合でも、労働組合による団体交渉については真剣に対応せざるを得ません。
労働組合による団体交渉を拒否すれば、法律違反になってしまうからです。
ただし、会社によっては労働組合が存在しない、存在していても機能していないケースもあります。その場合は、社外の労働組合に参加する方法もあります。
弁護士は、労働問題に関する専門家として給与未払い問題の解決に向けたアドバイスができます。
労働者の代理人として会社と交渉や労働審判・訴訟などの法的手段を講じることができます。労働者の代理人として行動できるのは、弁護士だけです。
給与未払いが判明したときは、以下のようなメリットがありますので、弁護士に対応を依頼するのがおすすめです。
未払い給与を請求するには、証拠が重要になりますが、ご自身ではどのような証拠が必要になるのか、どのような方法で証拠を集めればよいかわからないことも多いと思います。
弁護士であれば証拠収集のアドバイスをすることができ、弁護士が代わりに証拠収集を行うこともできます。
証拠がない状態でも弁護士に相談することができます。
給与の未払いが発生しているような会社では、残業代の未払いも発生している可能性があります。
しかし、残業代計算は、非常に複雑な計算になっていますので、知識や経験がなければ正確な計算は困難です。
弁護士に依頼すれば、未払い給与の金額や残業代計算を任せることができますので、迅速かつ正確に未払い給与・残業代の金額を把握することが可能です。
労働者個人で会社と交渉をしても、適当にあしらわれてしまい真剣に話を聞いてもらえないケースもあるでしょう。
このような場合には会社との交渉を弁護士に任せるのがおすすめです。
弁護士であれば、労働者の代理人として会社と交渉できますので、会社も真剣に対応せざるを得なくなります。
会社との交渉が決裂したときは、労働審判や訴訟などの法的手続きが必要になります。
法的手続きは一般の方には難しい手続きですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が安心です。
弁護士であれば裁判などの法的手続きになった場合でも、代理人として対応が可能ですので、すべての手続きを任せることができます。
弁護士に依頼するメリットはこちらで詳しく解説しています。
給与未払いが判明したときは、会社に対して、未払い給与を請求することができます。
ただし、未払い給与の請求にあたっては証拠を収集しなければならず、会社との交渉や労働審判・訴訟の対応が必要になります。
このような対応をすべて労働者個人で行うのは負担が大きいため、未払い給与の請求は、専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
未払い給与の請求には時効がありますので、早めにベリーベスト法律事務所までご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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