【重要】労働だけの特殊なお知らせを掲載します。本番前に非表示対応

その他の弁護士コラム

労働組合の作り方は? 労働組合の役割・結成に必要な条件

2025年02月26日
  • その他
  • 労働組合
  • 作り方
  • 結成

労働組合の作り方は? 労働組合の役割・結成に必要な条件

労働組合とは、労働条件や労働環境の改善などを目的として労働者により結成される団体です。労働者個人では、改善が難しいような事項でも労働組合の団体交渉を利用すれば会社と対等な立場で交渉を進めることができます。

労働組合は労働者にとって非常に心強い団体ですが、会社によっては労働組合が存在しないこともあります。このような場合には、労働者が労働組合を作ることも可能です。

ただし、労働組合を作るにはいくつかの条件を満たさなければなりません。

今回は、労働組合の作り方や労働組合を結成するメリットなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、労働組合とは?

  1. (1)労働組合の目的・役割

    労働組合とは、労働条件や労働環境の改善など、より良い職場環境を作ることを目的として、労働者により結成される団体です。

    一般的に、労働者は使用者よりも弱い立場にあります。
    そのため労働者個人では実現が難しい内容でも、労働組合の組織力を利用することで、労働条件の改善や良好な職場環境の整備などを実現できる可能性が高くなります

  2. (2)労働組合に補償されている権利

    このような労働組合には、憲法により以下のような権利が保障されています。

    ① 団結権
    団結権とは、労働者が自由に労働組合を結成または労働組合に加入できる権利です。

    ② 団体交渉権
    団体交渉権とは、労働条件や労働環境などに関して使用者側と交渉を行い、文書などで合意内容を締結できる権利です。

    ③ 団体行動権
    団体行動権とは、労働条件や労働環境の改善などを実現するために、仕事を放棄し、団体で抗議する権利です。いわゆる「ストライキ権」と呼ばれるものになります。
  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

2、労働組合を作るために必要な条件

労働者には、憲法により団結権が保障されていますので、自由に労働組合を結成することができます。

ただし、労働委員会による救済手続等、労働組合法の保護を受けられる労働組合を結成するためには、以下のような条件を満たしていなければなりません(労働組合法2条)。

  1. (1)労働者が主体となり組織すること

    労働組合は、労働者が主体となって組織する団体ですので、使用者の利益代表者を労働組合に加入させることはできません
    使用者の利益代表者にあたる人とは、以下のような立場の人になります。

    • 役員(取締役、監査役、理事など)
    • 人事に関する権限を持つ監督者
    • 人事や労務部の管理職
    • 社長秘書や守衛

    また、社長の指示に従って組織された団体については、主体性の要件を欠くため、労働組合としては認められません

  2. (2)労働者が自主的に結成すること

    労働組合は、労働者が自主的に結成する組織ですので、使用者から経理上の援助を受けている場合には、労働組合として認められません
    経理上の援助にあたるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

    • 組合専従役員への賃金の支払い
    • 組合活動に関する諸経費や旅費の負担
  3. (3)労働条件の維持・改善を主な目的とすること

    労働組合は、労働条件の維持・改善を図ることを主な目的としている必要があります。
    そのため、従業員の親睦や政治活動などを主な目的として結成する団体は、労働組合としては認められません

  4. (4)労働組合規約に必要なルールが定められていること

    労働組合は、以下の事項を含む組合規約を定めて、公正かつ民主的な運営を確保することが条件となります(労働組合法5条2項)。

    • 名称
    • 主たる事務所の所在地
    • 組合員の平等権および均等取扱い
    • 組合員の資格の保護(人種・宗教・性別・身分・門地による差別をしないこと)
    • 役員の選出方法(組合員または代議員の直接無記名投票により選出されること)
    • 総会の開催回数(少なくとも年1回)
    • 有資格者による会計監査と組合員への報告
    • 同盟罷業の決定(組合員または代議員の直接無記名投票により過半数の賛成)
    • 規約の改正(組合員または代議員の直接無記名投票により過半数の賛成)
  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

3、労働組合法では会社側から組合側への不当労働行為を禁止している

労働組合を作ることで解雇や降格などの不安がある方もいるかもしれません。
しかし、労働組合法では以下に挙げる行為を「不当労働行為」として禁止していますので、労働組合の結成により不利益を受ける心配はありません

  1. (1)不利益取り扱い

    不利益取り扱いとは
    労働組合に加入することや労働組合を結成すること、労働組合としての正当な行為したことを理由に、労働者に対して不利益な取り扱いをすることをいいます。

    具体的には以下のような行為が禁止されています。

    • 労働組合に加入したことを理由に減給すること
    • 労働組合の団体交渉に参加した労働者を懲戒処分すること
    • 労働組合の活動としてビラ配りをした労働者を懲戒解雇すること
  2. (2)団体交渉の拒否

    団体交渉とは
    労働組合が会社と対等な立場で労働条件や労働環境の改善などを求めて交渉することをいいます。

    団体交渉は、憲法上保障されている権利ですので、正当な理由なく会社側は団体交渉の申し入れを拒否することはできず、団体交渉の拒否は、不当労働行為に該当します。

    会社側は、労働組合の要望に応じる義務まではありませんが、交渉には応じたうえで労働組合の要望を十分に聞き、資料を交付し、説明を尽くすなど誠実に交渉する義務があります。

    そのため、以下のような対応は、団体交渉の拒否にあたる可能性があります。

    • 労働組合からの質問に対して回答に必要な資料を開示しない
    • スケジュールが合わないなどの理由で団体交渉を先延ばしにする
    • 対面での交渉を拒否して、文書のみの回答で終わらせる
  3. (3)運営に対する支配や介入

    支配介入とは
    使用者が労働組合の結成・運営を支配し、不当な働きかけなどの介入をすることをいいます。
    労働組合は、使用者から独立している必要がありますので、使用者による支配介入は不当労働行為として禁止されています。
    具体的には、以下のような行為が支配介入にあたります

    • 労働組合を辞めるよう労働者を説得する
    • 労働組合への加入の有無を調査し、待遇に差を設ける
    • 社長や役員が労働組合を敵視する発言を繰り返す
  4. (4)報復行為

    報復行為とは
    不当労働行為の救済申し立てや労働争議のあっせん・調停・仲裁などの場での発言を理由に不利益な取り扱いをすることをいいます。

    具体的には、以下のような行為が報復行為にあたります

    • 不当労働行為の救済申し立てをしたことに対して、組合役員を懲戒解雇する
    • 不動労働行為事件の審査で出廷した組合側の証人を無給としながら、会社側の証人を有給扱いにする
    • 労働争議のあっせん申請をした従業員に対して、申請を取り下げるよう圧力をかける
  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

4、労働組合の作り方・流れ

労働組合結成の基本的な流れは、以下のようになります。

  1. (1)組合員を集める

    労働組合は、労働者が2人以上集まれば、いつでも自由に結成することができます
    ひとりでは労働組合を結成することができませんので、まずは労働組合に加入してくれる仲間を集める必要があります。

    「今の職場の課題を解消したい」という共通の思いを持つ仲間に声をかけてみるとよいでしょう。

  2. (2)準備委員会の結成

    労働組合の結成に必要なメンバーが集まったら、準備委員会を発足して、以下のような具体的な取り組みを進めていきます。

    • 職場課題の整理:現在の職場で生じているさまざまな課題を整理する
    • 定期的な勉強会の開催:労働者および労働組合の基本的な権利について理解を深める
    • 組合活動の在り方についての議論:労働組合結成後に取り組むべき課題を議論する

    労働組合結成の意識が醸成され、基本的な知識が身についたら、結成大会に向けて以下のような準備を進めていきます。

    • 加入活動
    • 規約作成
    • 活動方針案の作成
    • 要求案の作成
    • 大会準備
  3. (3)結成大会

    上記の準備が整い、
    ・加入対象者全員の同意を得た
    または
    ・加入対象者全員に呼びかけをし、過半数の同意を得た
    タイミングで結成大会を開催します。

    結成大会は、一般的に以下のような流れで進めていきます。

    • 開会
    • 大会議長選任
    • 大会書記任命
    • 来賓あいさつ
    • 経過報告
    • 議案審議(組合規約、活動方針、予算、役員体制)
    • 結成大会宣言
    • 閉会

    結成大会が終わると、その日から労働組合としての活動をスタートできます

  4. (4)会社へ労働組合を結成したことを通知する

    労働組合を結成したことを明らかにするために、会社に対して、労働組合結成通知書を送付します。

  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

5、労働組合結成にかかる費用・期間

  1. (1)費用

    労働組合を結成するにあたっては、主に以下のような費用が発生します。

    • 組合員を募集するためのチラシ作成などにかかる費用
    • 結成大会で使用する会場費
    • 結成大会などの会場へ移動するための交通費
    • その他、書類などを印刷する際の印刷費
  2. (2)期間

    労働組合結成にかかる期間については、ケース・バイ・ケースですが、一般的には組合員となるメンバーが固まり、結成に必要な書類が整ってからおおよそ1~2か月程度が目安となります。

  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

6、労働組合の結成・運営を弁護士に相談するメリット

労働組合の結成・運営を弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  1. (1)労働組合の運営に関するアドバイスができる

    会社側に顧問弁護士がいる場合、会社は日常的に法律上のアドバイスやサポートを受けていますので、労働組合が会社と対等に交渉するためには、労働組合側も法的な面からアドバイスやサポートを受ける必要があります。

    弁護士に相談をすれば労働組合の運営に関して適切なアドバイスをもらうことができますので、会社からの不当な介入があったとしても適切に対応することができます

  2. (2)不当労働行為が発生した場合の対応をサポートできる

    労働組合の結成や労働組合に加入したことなどを理由に解雇や降格、減給などの処分を受けた場合には、不当労働行為にあたる可能性があります。

    不当労働行為があった場合は、労働委員会に対して救済申し立てをすることができますが、結成したばかりの労働組合などにおいては、どのように対応すればよいかわからないことが考えられます。

    弁護士に相談をすれば、不当労働行為が発生した場合の対応をサポートしてもらえますので、救済命令を出してもらうことができるでしょう

  • 累計1万3,148件!豊富な解決実績
労働問題のお悩み
弁護士に相談しませんか?

7、まとめ

労働組合には、集団として会社と労働条件などの改善について交渉する役割があります。
個人では難しい労働条件や労働環境の改善の申し入れも、労働組合であれば会社と対等な立場で交渉ができますので、要求を実現できる可能性が高いといえるでしょう。

ただし、労働組合法によって保護されるたには必要な条件を満たさなければならないため、労働組合を作ることを検討している場合には弁護士に相談することがおすすめです。

労働組合に関するご相談は、労働問題の実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

1人で悩むより、弁護士に相談を

その他のコラム

1人で悩むより、弁護士に相談を

追加費用0円で家族も補償対象に 月額2,950円で弁護士費用を補償

弁護士費用保険のススメ

今すぐには弁護士に依頼しないけれど、その時が来たら依頼を考えているという方には、ベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

何か法律トラブルに巻き込まれた際、弁護士に相談するのが一番良いと知りながら、どうしても費用がネックになり相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。そんな方々をいざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。

ベンナビ弁護士保険に加入すると月額2,950円の保険料で、ご自身やご家族に万が一があった場合の弁護士費用補償(着手金)が受けられます。残業代請求・不当解雇などの労働問題に限らず、離婚、相続、自転車事故、子供のいじめ問題などの場合でも利用可能です。(補償対象トラブルの範囲はこちらからご確認ください。)

ご自身、そして家族をトラブルから守るため、まずは資料請求からご検討されてはいかがでしょうか。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

提供:株式会社アシロ少額短期保険 KL2022・OD・214