【重要】労働だけの特殊なお知らせを掲載します。本番前に非表示対応

残業代請求の弁護士コラム

残業代は何時間から発生? 計算方法と未払い残業代の請求方法

2024年11月12日
  • 残業代請求
  • 残業何時間から

残業代は何時間から発生? 計算方法と未払い残業代の請求方法

「残業代は何時間から発生するのか?」残業代のルールを知らない方で、このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。正確なルールを知らないために、正しく残業代が支払われているのかどうか分からない方もいらっしゃるかと思います。

実は残業代は、所定労働時間を1分でも超えれば発生します。正しい方法で残業代を計算した上で、きちんと残業代が支払われていないことが分かった場合は、弁護士のサポートを受けて未払い残業代を請求しましょう。

本記事では、残業に関する基本的なルールや、残業代の計算方法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、残業は何時間から? 残業に関する基本的なルール

実際の労働時間に比べて、残業代がカットされているように感じている方はいらっしゃいませんか。

残業代の計算や支給を不適切な方法で行っている企業は、実のところたくさんあります。正しいルールに基づいて残業代を計算し、支給漏れがあれば企業に対して未払い残業代を請求しましょう。

まずは残業に関する基本的なルールを解説します。

  1. (1)所定労働時間を1分でも超えれば、残業代が発生する

    会社が定める所定労働時間(後述)を1分でも超えれば、残業代が発生します。
    また、休日に働いた場合にも、1分単位で残業代が発生します。

    例外的に、以下の場合には残業代の切り捨てが認められますが(昭和63年3月14日基発第150号)、その他の理由で残業代を切り捨てることはできません。

    • 1円未満の端数を四捨五入する場合
    • 1か月単位で、30分未満の端数を切り捨てる場合
  2. (2)所定労働時間・法定労働時間とは

    残業代を計算する際の基準として知っておくべきなのが、「所定労働時間」「法定労働時間」です。

    「所定労働時間」とは
    労働契約や就業規則によって定められた労働時間をいいます。
    所定労働時間を超える労働について、残業代が発生します。
    「法定労働時間」とは
    労働基準法によって定められた、働く時間の上限です。原則、法定労働時間は「1日8時間、1週間で40時間」とされています(労働基準法第32条)。
    法定労働時間を超えない部分の残業は「法定内残業」、法定労働時間を超える部分の残業は労働基準法上の「時間外労働」となります。
  3. (3)法定休日・法定外休日とは

    残業代を計算する上では、「法定休日」と「法定外休日」の区別についても知っておく必要があります。

    「法定休日」とは
    労働基準法で、会社が従業員に付与しなければならないと決められている休日です。
    使用者は労働者に対して1週間につき1日、または4週間の中で4日の法定休日を与えなければなりません(労働基準法第35条)。

    「法定外休日」とは
    法定休日以外の休日です。

    法定休日を1週間に1日付与する場合において、1週間に2日以上の休日を設けるときは、そのうちいずれか1日のみが法定休日となり、その他の休日は法定外休日となります。

    どの休日が法定休日に当たるのか
    どの休日が法定休日に当たるのかは、以下の要領によって決まります。

    労働契約や就業規則に定めがある場合
    その定めに従います。

    労働契約や就業規則に定めがない場合
    日曜から土曜を1週間として、もっとも後ろに位置する休日が法定休日となります。

    法定休日に労働した場合は休日労働となりますが、法定外休日に労働した場合は法定内残業または時間外労働となります。

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

2、残業の種類と割増率

  1. (1)法定内残業・時間外労働・休日労働・深夜労働

    残業代が発生する労働(=残業)は、以下の種類に分類されます。

    ① 法定内残業
    所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない部分の労働
    ※労働日または法定外休日の労働

    ② 時間外労働(法定外残業)
    法定労働時間を超える部分の労働
    ※労働日または法定外休日の労働

    ③ 休日労働
    法定休日の労働

    ④ 深夜労働
    午後10時から午前5時までに行われる労働
  2. (2)割増率

    法定内残業を除く残業については、下表の割増率による割増賃金が適用されます。


    残業の種類 割増率
    法定内残業
    時間外労働 25%以上(月60時間を超える時間外労働については50%以上※)
    休日労働 35%以上
    深夜労働 25%以上
    時間外労働かつ深夜労働 50%以上(月60時間を超える時間外労働については75%以上※)
    休日労働かつ深夜労働 60%以上

    休日労働の場合の割増賃金の考え方
    なお、休日労働となる場合は、休日労働の割増のみが適用され、1日8時間を超えても重ねて時間外労働の割増が適用されることはありません

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

3、時間外労働と休日労働のルールを定める「36協定」

使用者が労働者に対して時間外労働または休日労働を指示するためには、事業場ごとに労働者側との間で「36協定」を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

36協定では、時間外労働・休日労働を指示できる場合や、上限時間・上限日数などのルールを定めることができます。
使用者が労働者に、時間外労働や休日労働を指示する際には、36協定の制限を守らなければなりません。

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

4、残業に関する規制が適用されない労働者

以下の労働者については、労働時間や休日などの法規制が適用されず、残業代が発生しません。ご自身が当てはまるかどうか確認しましょう。

  1. (a)農林・畜産・養蚕・水産事業に従事する労働者(労働基準法第41条第1号)
  2. (b)管理監督者である労働者(同条第2号)
  3. (c)機密の事務を取り扱う労働者(同)
  4. (d)監視・断続的労働に従事する労働者であって、使用者が労働基準監督署の許可を受けたもの(同条第3号)
  5. (e)高度プロフェッショナル制度が適用される労働者(同法第41条の2)
  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

5、残業代の計算方法

前述のとおり、残業代は原則として1分単位で計算します。
残業代計算の方法は、以下のとおりです。

なお、上記は原則的な計算方法であり、特殊な勤務形態で働く労働者には異なる計算方法が適用される場合がある点にご注意ください。

もし、正確な残業代を知りたい場合は、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

  1. (1)1時間当たりの基礎賃金を計算する

    「1時間当たりの基礎賃金」は、残業代の「時給」に相当します。
    月給制で働く労働者の1時間当たりの基礎賃金は、以下の式で求めます。

    1時間当たりの基礎賃金
    =1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間
    総賃金から除外される手当
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限定)
    • 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
    • 通勤手当(通勤距離等に対応して支払うものに限定)
    • 別居手当、単身赴任手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に必要な費用に対して支払うもの限定)
    • 臨時に支払われた賃金(結婚手当や加療見舞金など)
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
    月平均所定労働時間の求め方
    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月

    (例)
    1か月の総賃金(上記手当を除く)が32万円、月平均所定労働時間が160時間の場合

    1時間当たりの基礎賃金
    =32万円÷160時間
    =2000円

  2. (2)残業時間を集計する

    残業時間は、「法定内残業」「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」に分類して集計しましょう。
    なお、深夜労働とその他の労働は重複も認められています

    残業時間の集計に当たっては、残業の証拠を確保することが大切です。
    勤怠管理システムやタイムカードの記録など、客観的な証拠をできる限り集めましょう。

  3. (3)残業代の額を計算する

    最終的な残業代の金額は、以下の式によって計算します。

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数

    (例)
    1時間当たりの基礎賃金を2000円とした場合、
    法定内残業:20時間
    時間外労働:30時間(うち深夜労働10時間)
    休日労働:10時間

    残業代
    =2000円×(20時間+1.25×20時間+1.5×10時間+1.35×10時間)
    =14万7000円

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

6、未払い残業代を請求する方法

未払い残業代を請求する際の手続きの流れは、大まかに以下のとおりです。

  • ① 残業の証拠を集める
  • ② 未払い残業代を計算する
  • ③ 会社と交渉する
  • ④ 交渉が決裂した場合は、労働審判の申立てや訴訟の提起を行う

未払い残業代請求の成功率を高めるためには、上記の手続きを一括して弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、証拠集めの段階からアドバイスを受けることができ、漏れなく残業代を回収できる可能性が高くなります。

未払い残業代を請求できる権利は、発生から3年間が経過すると時効によって消滅してしまいます(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。
残業代の未払いが生じているのではないかと疑っている方は、お早めに弁護士へご相談ください。

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

7、弁護士に残業代請求を依頼するメリット

弁護士であれば、残業代の証拠集めの段階からアドバイスができるというメリットを紹介しましたが、弁護士に依頼するメリットはそれ以外もあります。

  1. (1)会社とのやり取りを任せることができる

    未払いの残業代の請求はお客さまご自身でも可能です。
    しかし、会社が「労働者が何か言っているだけだ」と侮って、話し合いのテーブルにつかない、相手にしないということもあります。

    この点、弁護士であれば、会社も対応せざるを得ません
    また、交渉が始まってからも法的知識を基に交渉できるため、未払い残業代をしっかり取り返せる可能性が高くなります

    また、交渉が不調に終わった場合は、労働審判や裁判といった法的手続きを取ることになりますが、その場合も弁護士であれば代理人となることができます

  2. (2)難しい残業代の計算を任せることができる

    1章や2章で解説しましたが、正しく残業代の金額を計算するには、残業代に関する法的知識が必要です。
    また、残業代はお客さまの働き方によっても変化します。
    たとえば固定残業代制で働いていれば、その制度の特徴を考慮したうえで、残業代計算をしたり交渉をしたりする必要があります。

    この点、弁護士であれば、正しい残業代計算が可能です
    残業代の計算が難しいと感じた場合には弁護士に任せることも検討しましょう。

  • 何度でも相談無料
  • 電話・オンライン相談可能
残業代を取り戻したい方、
弁護士に相談しませんか?

8、まとめ

残業代は、所定労働時間を1分でも超えた場合に発生します。
また、休日の労働や深夜の労働にも、労働基準法に基づいて手当が発生します。

未払い残業代は、発生から3年が経過するまで請求可能です。
在職中だけでなく、退職後であっても請求できます

残業代等を漏れなく回収するためには、残業時間を適切に集計した上で、正しいルールに基づいて金額を計算することが大切です。
弁護士のサポートを受けながら、会社に未払い残業代を請求しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、残業代請求についてのご相談を随時受け付けております。
残業代が正しく支払われていないと感じている方は、当事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

1人で悩むより、弁護士に相談を

残業代請求のコラム

1人で悩むより、弁護士に相談を

追加費用0円で家族も補償対象に 月額2,950円で弁護士費用を補償

弁護士費用保険のススメ

今すぐには弁護士に依頼しないけれど、その時が来たら依頼を考えているという方には、ベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

何か法律トラブルに巻き込まれた際、弁護士に相談するのが一番良いと知りながら、どうしても費用がネックになり相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。そんな方々をいざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。

ベンナビ弁護士保険に加入すると月額2,950円の保険料で、ご自身やご家族に万が一があった場合の弁護士費用補償(着手金)が受けられます。残業代請求・不当解雇などの労働問題に限らず、離婚、相続、自転車事故、子供のいじめ問題などの場合でも利用可能です。(補償対象トラブルの範囲はこちらからご確認ください。)

ご自身、そして家族をトラブルから守るため、まずは資料請求からご検討されてはいかがでしょうか。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

提供:株式会社アシロ少額短期保険 KL2022・OD・214