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自分の会社は労働基準法違反? 違法なケースと罰則、解決方法

2024年07月01日
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自分の会社は労働基準法違反? 違法なケースと罰則、解決方法

労働基準法では、賃金・残業・休日・休憩・有給休暇などの最低ラインが定められています。

労働基準法違反の労働条件が設定されている場合は、協議・労働審判・訴訟を通じて会社に損害賠償等を請求することが可能な場合もあり得ます。もし労働基準法に違反する働き方を強いられているようであれば、社内窓口・労働組合・行政機関の窓口、弁護士などに相談しましょう。

本記事では、企業による労働基準法違反のパターンや労働基準法違反の働き方を強いられたときの相談先、トラブル解決のための対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、労働基準法とは

労働基準法とは、労働者に対する労働条件の最低ラインを定めた法律です。

使用者(経営者や事業主など)との関係で弱い立場に置かれがちな労働者を保護し、人たるに値する生活を営めるだけの待遇を確保することを目的としています。

  1. (1)労働基準法はすべての労働者に適用される

    労働基準法は、すべての労働者に対して適用されます。
    「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者をいいます(同法第9条)。

    つまり、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどの区別を問わず、会社の指揮命令下で働く人はすべて労働者であり、労働基準法の適用対象です

  2. (2)労働基準法上のルールの概要

    労働基準法では、労働条件に関するさまざまなルールが定められています

    労働条件に関する主なルール
    • ① 賃金の支払い(同法第24条)
    • ② 労働時間(同法第32条~第33条)
    • ③ 休憩(同法第34条)
    • ④ 休日(同法第35条)
    • ⑤ 時間外労働・休日労働に関する労使協定(=36協定、同法第36条)
    • ⑥ 時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金(同法第37条)
    • ⑦ 年次有給休暇(同法第39条)
    • ⑧ 解雇規制(同法第19条~第21条)
    など

    なお、解雇については労働基準法のほか、労働契約法第16条でも解雇権濫用の法理が定められています。

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2、ブラック企業にありがちな労働基準法違反のパターン

過酷な環境で労働者を働かせる、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる企業にありがちな労働基準法違反の主なパターンとしては、以下の例が挙げられます

ここからは、各違反の概要と違反企業に対する罰則について、紹介します。

  1. (1)労働時間に関する36協定の未締結・上限違反

    労働時間の上限は、原則として「1日当たり8時間、1週間当たり40時間」とされています(=法定労働時間、労働基準法第32条)。

    また、使用者は労働者に対して、1週間につき1日または4週間を通じて4日の休日(=法定休日)を与えなければなりません(同法第35条)。

    法定労働時間を超える労働を時間外労働、法定休日において行われる労働を休日労働といいます。使用者が労働者に時間外労働または休日労働をさせるには、労使協定(=36協定)を締結した上で、そのルールに従うことが必要です。

    36協定が未締結の状態で時間外労働・休日労働を命じることや、36協定で定められた上限を超えて時間外労働・休日労働を命じることは労働基準法違反に当たります。

    罰則
    違反者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるほか(同法第119条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  2. (2)産前産後休業の取得拒否

    6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間以内)に出産する予定であり、または産後8週間を経過しない女性労働者は、産前産後休業を取得することが可能 です(労働基準法第65条、産後8週間を経過しない女性労働者については、休業請求の有無にかかわらず、就業させることができません。)。

    罰則
    産前産後休業の取得を拒否することは労働基準法違反であり、違反者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるほか(同法第119条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  3. (3)賃金(残業代など)の未払い

    使用者は労働者に対して、 毎月1回以上一定の期日を定めた上で、賃金を通貨で直接労働者に全額支払う必要 があります(労働基準法第24条)。

    罰則
    残業代を支払わないことや、弁償代などを賃金から天引きすることは労働基準法違反であり、違反者は、前者については、同法第37条に違反し、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に(同法第119条第1号)、後者についても30万円以下の罰金に処される(同法第120条第1号)ほか、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  4. (4)休憩の付与義務違反

    使用者は労働者に対し、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩 を与えることが必要です(労働基準法第34条第1項)。

    罰則
    休憩を適切に与えないことは労働基準法違反であり、違反者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるほか(同法第119条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  5. (5)有給休暇の取得拒否

    使用者は原則として、有給休暇を労働者の請求する時季に与える必要があります(労働基準法第39条第5項)。事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に有給休暇を与えることができますが、有給休暇の取得自体を拒否することは認められません。

    罰則
    したがって、有給休暇の取得を拒否することは労働基準法違反であり、違反者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるほか(同法第119条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  6. (6)就業規則の作成・届出義務違反

    常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成した上で労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条)。

    罰則
    就業規則の作成・届出義務に違反した者は30万円以下の罰金に処されるほか(同法第120条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
  7. (7)解雇予告義務・解雇予告手当の支払義務違反

    使用者が労働者を解雇する際には、30日以上前に解雇を予告するか、または解雇予告手当を支払わなければなりません(労働基準法第20条第1項)。

    罰則
    解雇予告義務または解雇予告手当の支払義務に違反した者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるほか(同法第119条第1号)、法人に対しても30万円以下の罰金が科されます(同法第121条)。
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3、労働基準法に違反していると感じたときの相談先

会社から労働基準法違反となることを強いられた労働者の方は、以下のいずれかの窓口へ相談しましょう

  1. (1)社内窓口

    経営陣へのホットラインや人事部などに連絡すれば、速やかに労働基準法違反の取り扱いが是正される場合があります。

  2. (2)労働組合

    会社ごとの労働組合や中央組織(連合・全労連など)に相談すれば、団体交渉を通じて不適切な労働条件の是正を求めてもらえます。

  3. (3)行政機関の窓口

    厚生労働省の労働条件相談ほっとライン労働基準監督署などに相談すれば、会社に対抗する方法についてアドバイスを受けられるほか、会社に対して是正勧告などを行ってもらえることがあります。

  4. (4)弁護士

    弁護士は依頼者の代理人として、会社に対する請求をサポートします。
    未払い賃金請求・残業代請求など、会社に対して具体的な請求を行う際には、弁護士への相談がおすすめです。

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4、勤務先の企業とのトラブルを解決する方法・流れ

勤務先の企業との間でトラブルに発展した場合は、協議・労働審判・訴訟によって解決を図りましょう。労働条件の改善が見られないため、やむを得ず退職する際には、弁護士による退職代行サービスの利用をご検討ください。

  1. (1)企業とのトラブルを解決する手続きの流れ

    企業と労働者のトラブルを解決する手続きは、主に協議・労働審判・訴訟の3種類です。
    一般的には「協議→労働審判→訴訟」の順に進めますが、労働審判を省略して訴訟を提起することもできます。

    ① 協議
    企業側と直接話し合うことで、労働問題の解決を図ります。

    ② 労働審判
    地方裁判所に申し立てを行い、裁判官および労働審判員の調停、または労働審判によって解決を図ります。原則として審理は3回以内で終結するため、スピーディーな解決を期待できるのが特徴です。

    ③ 訴訟
    裁判所の公開法廷において、会社に対する請求の当否を争います。長期化することが多いため、弁護士を代理人に立てて粘り強く対応しましょう。

    詳しくは、「ご相談・解決までの流れ」をご覧ください。
    弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらで解説しています。

  2. (2)退職・転職も検討すべき|退職代行は弁護士に依頼可能

    企業側が一向に労働条件を改善しない場合は、退職・転職なども検討すべきです。

    退職の意向を伝えるのが億劫な場合は、弁護士による退職代行サービスをご利用ください。 一般の業者が運営する退職代行サービスとは異なり、弁護士の退職代行サービスでは、残業代などの未払い賃金請求などについても併せて対応可能です

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5、まとめ

勤務先の労働条件が労働基準法に違反している場合は、企業側に対して是正を求めましょう。弁護士を代理人として法的根拠のある主張を行えば、速やかに労働条件が是正される可能性が高まります。

ベリーベスト法律事務所は、勤務先とのトラブルに関する労働者のご相談を随時受け付けております。ご自身の労働条件が労働基準法に違反しているのではないかと感じている方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

労働問題に関して経験・知見豊富な弁護士が、全力でサポートいたします。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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