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労働条件・ハラスメントの弁護士コラム

介護休業の条件|取得できる人は? 介護休暇との違いについても解説

2024年04月18日
  • 労働条件・ハラスメント
  • 介護休業
  • 条件

介護休業の条件|取得できる人は? 介護休暇との違いについても解説

育児・介護休業法では、働いている人が仕事と介護の両立ができるように「介護休業」という制度を定めています。ご家族に要介護者がいるなど一定の条件を満たす場合には、介護休業を取ることができますので、対象となる方は、積極的に利用していくとよいでしょう。

ただし、利用条件に関しては細かい定めがありますので、介護休業の取得をお考えの方は、細かい条件をしっかりと理解しておくことが大切です。

今回は、介護休業の取得条件や介護休暇との違いについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、介護休業とは

介護休業とはどのような制度なのでしょうか。以下では、介護休業の概要について詳しく説明します。

  1. (1)制度の概要

    介護休業とは、要介護状態にある対象家族を介護するために取得できる休業です。家族に要介護状態の方がいる場合には、介護に時間や労力を割かなければならず、仕事を辞めざるを得ない方も少なくありません。介護休業はそのような方々を対象として仕事と介護の両立を図るべく制定された制度です。

    介護休業を利用すれば、仕事と介護の両立体制を整えることができますので、キャリアを維持しながら家族の介護を行うことが可能です。
    なお、介護休業は、育児・介護休業法で定められた法律上の制度ですので、会社に介護休業の規定がないとしても、介護休業の取得は可能です。

  2. (2)介護休業の日数

    介護休業期間は、対象家族ひとりにつき93日までとされています。また、介護休業は、3回まで分割して取得することが可能ですので、1回で93日分を取得することもできますし、30日、30日、33日と3回に分けて取得することもできます。

  3. (3)休業中の賃金と給付

    介護休業中は、企業には給料の支払い義務がありませんので、基本的には無給です。

    しかし、ハローワークに申請をすることで「介護休業給付金」の支給を受けることができます。介護休業給付金とは、介護休業中に直近6ヶ月の平均給料の67%の支払いを受けられる制度です。介護休業給付金は、正社員だけでなくパート、アルバイト、契約社員などすべての労働者が対象になります。ただし、介護休業開始日前の2年間で雇用保険に12か月以上加入していることなどの条件がある点に注意が必要です。

  4. (4)介護休業を理由に不当な扱いをすることは禁止されている

    育児・介護休業法では、介護休業の取得を申し出たこと、介護休業を実際に取得したことを理由として、労働者に不利益な扱いをすることが禁止されています。

    介護休業を理由に以下のような取り扱いをされた場合には、違法・無効を主張することができます。

    • 解雇
    • 雇い止め
    • 契約の更新回数の上限が明示されている場合にその回数を引き下げる
    • 退職の強要
    • 正規雇用から非正規雇用へと労働契約内容の変更をする
    • 労働者の意に反する労働時間の短縮
    • 降格、減給
    • 不利益な配置転換
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2、介護休業の条件

介護休業を利用するためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。以下では、介護休業の条件について説明します。

  1. (1)介護対象者の条件

    介護休業は、要介護と認定された家族を介護する場合に取得することができます。「要介護状態」とは、ケガや病気、心身の障害により、2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態をいいます。

    具体的には、以下のいずれかの条件に該当する場合に要介護状態と認定されます。

    • 介護保険制度の要介護状態区分で要介護2以上であること
    • 以下の状態のうち(2)が2つ以上または(3)が1つ以上該当し、その状態が続くと認められること

    (1) (2) (3)
    座位保持 できる 支えてもらえればできる できない
    歩行 つかまらずできる 何かにつかまればできる できない
    移乗 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
    水分・食事摂取 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
    排せつ できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
    衣類の着脱 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
    意思の伝達 できる ときどきできない できない
    外出先からの帰宅 できる ときどきできない ほとんど毎回できない
    破壊行為 ない ときどきある ほとんど毎日ある
    物忘れ ない ときどきある ほとんど毎回ある
    服薬 できる 一部介助や見守りなどが必要 全面的介助が必要
    日常の意思決定 できる 本人について、重要な意思決定ができない ほとんどできない
  2. (2)介護をする家族の範囲

    介護休業の対象家族の範囲は、以下のとおりです。

    • 配偶者(事実婚を含む)
    • 父母
    • 子ども
    • 祖父母
    • 兄弟姉妹
    • 配偶者の父母
  3. (3)労働状況に関する条件

    介護休業は、労働者であれば、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員などの有期雇用労働者も対象になります。
    ただし、有期雇用労働者については、以下の条件を満たす必要があります。

    【有期雇用労働者が介護休業を取得するための条件】
    有期雇用労働者は、以下の2つの要件を満たした場合に、介護休業を取ることができます。
    • ① 雇用期間が1年以上ある
    • ② 取得予定日から93日間経過する日から、6か月間の間に労働契約が満了することが明らかでない

    【介護休業の対象にならない人】
    労使協定を定めることで、以下のいずれかに該当する労働者を介護休業の対象外にすることも認められています。
    • 入社してから1年未満
    • 申し出日から93日以内に雇用が終了する
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3、介護休暇との違い

介護休業と似た言葉に「介護休暇」というものがあります。介護休業と介護休暇ではどのような違いがあるのでしょうか。

  1. (1)取得日数

    介護休暇は、対象家族ひとりにつき1年で5日間取得することができます。また、対象家族が2人以上なら10日間取得することができます。

    上で説明した介護休業は、対象家族ひとりにつき93日間取得することができますので、取得の日数の上限に大きな差があることがわかります。

  2. (2)賃金・給付金の有無

    介護休暇および介護休業期間中は、企業には給料の支払い義務がありませんので、基本的には無給です。

    また、介護休暇に関しては、介護休業のように介護休業給付金の支給を受けることはできません

  3. (3)申請できる日

    介護休暇を取得する場合には、事業主への申し出が必要となりますが、当日の申請でも可能です。

    介護休業を取得する場合には、開始日の2週間前までに事業主に書面で申し出る必要がありますので、介護休暇の方がより簡易・迅速に休みを取得できることになります。

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4、介護休業を理由に不当な扱いをされたら弁護士へ

介護休業・介護休暇を理由に会社から不当な扱いをされたときは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)育児・介護休業法に関する裁判例

    以下では、育児・介護休業法に関する裁判例を紹介します。

    ① 大阪高裁平成26年7月18日判決
    この事件は、病院に勤務する男性看護師が3か月の育児休業を取得したところ、翌年度の昇給が行われなかったため、昇給した場合の給料との差額の支払いを求めた事件です。
    裁判所は、「3か月以上の育児休業を取得した場合、翌年度の定期昇給で職能給の昇給をしない」旨の定めは、育児・介護休業法10条が禁止する不利益取り扱いにあたり、無効と判断しまし、昇給した場合の給料との差額の支払いが一部認められました。

    ② 東京地裁平成27年3月13日判決
    この事件は、育児休業後の復職予定日に会社に出社できなかったことについて、会社が退職扱いとする通知を出すなどしたことが原因であるとして、会社に対して慰謝料および賃金の支払いを求めた事件です。

    裁判所は、会社には、育休後にスムーズに職場復帰し、継続して働くことができるように必要な措置を講じる義務があるとし、本件では、そのような措置がとられていないことから会社の対応は違法として、会社に対して、賃金および慰謝料の支払いを命じました。

    以上はいずれも育児休業に関する事案ですが、育児・介護休業法16条において、育児休業の取得の場合と同様に、介護休業の取得等に関しても不利益取り扱いを禁止する規定があるので、考え方は同様と言って差し支えないでしょう。

  2. (2)不当な取り扱いを受けたときの対処法

    会社から不当な取り扱いを受けたときは、以下のような対処法が考えられます。

    ① 労働基準監督署
    介護休業取得の申し出、および介護休業の取得を理由とする不利益な取り扱いは、育児・介護休業法により禁止されています。労働基準監督署は、企業の法令違反の有無を監督する機関ですので、介護休業に関して不当な取り扱いを受けた場合には、労働基準監督署に相談することができます

    労働基準監督署から企業に対して、指導や是正勧告などが出されれば、状況が改善される可能性があります。

    ② 労働組合
    労働組合は、労働条件の維持・改善などを目的として組織された団体で、団体交渉権を行使することにより、労働者の正当な権利を実現することができます。

    会社から不当な扱いを受けた場合には、労働組合に相談することで、不当な取り扱いの撤廃に向けて活動してくれる可能性があります。

    ③ 弁護士
    弁護士は、介護休業をはじめとした労働問題全般をトータルにサポートすることができる専門家です。弁護士に相談することで解決に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、弁護士に依頼すれば、労働者の代理人として、会社と交渉をしたり、裁判をすることで権利の実現を図ることができます。

    また、家族の介護にあたっては、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

    • 介護施設とのトラブル、介護事故
    • 保険会社との介護保険に関するトラブル
    • 介護費用の負担についての親族間のトラブル
    • 亡くなられた場合に備えての生前対策

    このようなトラブルについても弁護士であれば対応可能です。
    ただし、相談費用については、事案内容によって異なります。事案内容によっては、無料相談でのご案内が難しいケースもございます。詳しくはお問い合わせください。

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5、まとめ

家族の介護が必要になったとしても、育児・介護休業法の介護休業制度を利用することで、仕事と介護の両立を図ることができます。法定の要件を満たす場合には、会社は介護休業・介護休暇の取得を拒否することができず、介護休業・介護休暇の取得を理由とする不利益扱いも禁止されていますので、安心して家族の介護に専念することができるでしょう。

介護休業・介護休暇の取得を理由に会社から不当な扱いを受けた場合には、会社からの処分の違法・無効を主張できる可能性がありますので、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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