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労働条件・ハラスメントの弁護士コラム

有給休暇の法律上のルールは? 有休トラブル時の相談先と対処法

2023年12月21日
  • 労働条件・ハラスメント
  • 有給休暇
  • 法律

有給休暇の法律上のルールは? 有休トラブル時の相談先と対処法

年次有給休暇に関するルールは、労働基準法で定められています。会社が労働基準法のルールに従わず、有給休暇を適切に渡さない場合は、お早めに弁護士へご相談ください。

本記事では、有給休暇に関する法律上のルール・違反事例・トラブルが生じた場合の相談先などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、法律上の有給休暇に関するルール

有給休暇に関するルールは、労働基準法第39条において定められています。

  1. (1)有給休暇とは

    「有給休暇」とは、取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

    一定期間勤続した労働者(従業員)に対して、心身の疲労回復をしたり、生活にゆとりを持つことができるよう、有給休暇が与えられます。
    労働者は、有給休暇を原則として、いつでも自由に取得可能です

  2. (2)有給休暇の要件|パートやアルバイトにも有給休暇がある

    有給休暇は、雇い入れの日から起算して6か月間続けて勤務し、全労働日の80%以上働いた労働者が対象です(労働基準法第39条第1項)。

    出勤率は、最初の有給休暇については雇い入れ後の6か月間、2回目以降に有給休暇については直前の1年間で判定されます。

  3. (3)有給休暇の取得単位

    有給休暇は、1日単位が原則です
    ただし、労働基準法としては、使用者が進んで半日の有給休暇を付与する取扱いを何ら妨げるものではないと解しているため(東京地判平成7年6月19日)、労働者が希望し、会社が同意した場合には、半日単位で有給休暇とすることもできます

    また、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、または事業場の労働者の過半数代表者と会社が労使協定を締結すれば、時間単位の有給休暇とすることも認められています(労働基準法第39条第4項)。

    さらに、年度内に取得されなかった有給休暇は次年度に繰り越され、仮に就業規則で翌年度に繰り越せない旨を定めていても、年次有給休暇の権利は消滅しません
    なお、2年間の時効が定められています(労働基準法115条)。

  4. (4)有給休暇の取得は原則自由|ただし会社の時季変更権あり

    有給休暇は、原則として、労働者が希望する時期に自由に取れるものです。
    そして、会社は正当な理由なく、労働者の有給取得申請を拒否できません(労働基準法第39条第5項本文)。

    そのため、使用者は労働者の希望する時期において有給休暇を取得できるように、勤務体制を調整するなど、配慮をする必要があります。

    会社の時季変更権
    ただし、配慮をしてもなお、「繁忙期があり、その時季に有給を取る人がいると仕事がうまく回らない」といった場合には、会社は別の時季に有給休暇を取るよう変更を求めることができます(同項ただし書)。

  5. (5)有給休暇の買い取りについて

    会社が有給休暇を与えるのではなく、その分をお金として労働者に渡すことは「有給休暇の買い取り」と呼ばれています。

    有給休暇の買い取りは、原則として労働基準法違反です
    これは、買い取りが「心身の疲労回復・ゆとりある生活を送る」という有給休暇の趣旨に反するものだからです。

    例外:退職する労働者からの有給休暇の買い取り
    なお例外的に、退職する労働者から余った有給休暇を買い取ることは認められています。ただし、会社に有給休暇を買い取る義務まではありません
    あくまでも、双方の合意に基づいて有給休暇の買い取りが行われています。

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2、有給休暇の権利が発生する時期とその日数

有給休暇の権利が発生する時期と、その日数について解説します。

  1. (1)有給休暇の権利が発生する時期

    有給休暇の権利が発生するのは、雇い入れから6か月が経過した時点です。
    それ以降は、1年が経つごとに、有給休暇を得る権利が発生します。
    また、有給休暇の権利発生は、基準期間の全労働日の80%以上出勤した労働者が対象です。

    有給休暇の基準期間は、権利が発生する日の前1年間です。
    しかし、最初の有給については、6か月が経過した時点で発生するため、働いた半年を期間として計算されます。

  2. (2)有給休暇の日数

    有給休暇の日数は、フルタイム労働者(※)とそうでない労働者で異なります。

    ※フルタイム労働者:以下のいずれかに該当する労働者
    • ① 1週間の所定労働日数が5日以上
    • ② 1年間の所定労働日数が217日以上
    • ③ 1週間の所定労働時間が30時間以上

    フルタイム労働者には、継続勤務期間に応じて、以下の日数の有給休暇が発生します(労働基準法39条2項)。


    継続勤務期間 有給休暇の日数
    6か月 10日
    1年6か月 11日
    2年6か月 12日
    3年6か月 14日
    4年6か月 16日
    5年6か月 18日
    6年6か月以上 20日

    これに対して、フルタイム労働者でない労働者には、継続勤務期間と所定労働日数に応じて、以下の日数の有給休暇が発生します(労働基準法39条3項、労働基準法施行規則24条の3第3項)。


    所定労働日数 1週間 4日 3日 2日 1日
    1年間 169日以上216日以下 121日以上168日以下 73日以上120日以下 48日以上72日以下1日
    継続勤務期間 6か月 7日 5日 3日 1日
    1年6か月 8日 6日 4日 2日
    2年6か月 9日 6日 4日 2日
    3年6か月 10日 8日 5日 2日
    4年6か月 12日 9日 6日 3日
    5年6か月 13日 10日 6日 3日
    6年6か月以上 15日 11日 7日 3日

    なお、1週間の所定労働日数と1年間の所定労働日数は、有給休暇の日数が多くなる方が適用されます。

    たとえば継続勤務期間が3年6か月で、1週間の所定労働日数が3日、1年間の所定労働日数が169日の場合、有給休暇の日数は10日間です。

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3、有給休暇の時季指定義務について

有給休暇が年間10日以上ある労働者については、そのうち5日間を、会社が労働者ごとに時季を定めて与えなければなりません(労働基準法第39条第7項)。これを有給休暇の「時季指定義務」といいます。

周囲の同僚や業務の状況を見て、遠慮してしまい有給休暇を取らない労働者が多いことが問題視されていたため、2019年4月から時季指定義務の規定が新設されました。

そのため労働者が自発的に有給休暇を取得しない場合であっても、使用者が5日間の時季を指定して、実際に労働者が有給休暇を取得することまで必要とされます。

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4、有給休暇に関する違反事例

会社から以下のような取り扱いを受けた場合は、労働基準法違反に当たる可能性が非常に高いので、速やかに弁護士などへご相談ください。


  1. (1)有給休暇を取得する理由を言うように強要された

    労働者は会社に対して、有給休暇の取得理由を明らかにする必要はありません
    有給休暇取得は労働者の権利なので、どのような理由であっても自由に取得できます。

    したがって、会社が労働者に対して、有給休暇を取得する理由を言うようにしつこく強要することは違法です。

  2. (2)ルールに従って有給休暇を申請したのに拒否された

    労働者は、有給休暇を自由に取得できるのが原則です。
    時季変更権が認められる場合を除き、会社が有給休暇取得申請を拒否することは認められません。

    したがって、有給休暇を取得する理由が不適切であるなどとして、有給休暇取得申請を拒否することは違法です。

  3. (3)有給休暇を欠勤扱いにされ、給料が減らされた

    有給休暇を取得した日は、所定労働時間働いたものとみなされ、通常の労働日と同様の賃金が発生します。
    したがって、有給休暇を取得して休んだ労働者の賃金を減らすことは違法です。

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5、有給休暇についてトラブルが起きた際の相談先

有給休暇についてトラブルが発生したら、以下のいずれかの窓口へご相談ください。

なお、各窓口にはメリット・デメリットの両面があるので、状況に応じて使い分けましょう

各窓口の特徴や注意点については、次の通りです。

  1. (1)社内の労働相談窓口

    ・メリット
    社内の労働相談窓口には、手軽に相談できる点がメリットです。
    また、きちんと対応してもらえれば、速やかに有給休暇の取り扱いが改善される可能性があります。

    ・デメリット
    その一方で、窓口の独立性が確保されていない場合は、社内事情に対する忖度(そんたく)がなされたり、経営者や別の部署から圧力がかけられたりして、相談に対応してもらえないことがある点に注意が必要です。

  2. (2)労働組合

    ・メリット
    労働組合に相談すれば、会社との間で団体交渉を行ってもらえる可能性があります。
    団体交渉がなされれば、個人で会社に立ち向かうよりも、労働者にとって有利な解決が得られることが多いです。

    ・デメリット
    ただし、団体交渉を行うに当たっては、労働組合内部での意思決定が必要となります。
    そのため、結論が出るまでに時間がかかる可能性があります。

  3. (3)労働基準監督署

    ・メリット
    労働基準監督署に相談すれば、立ち入り調査(臨検)を経た後、会社に対して行政指導などが行われることがあります
    労働基準監督署の行政指導がなされれば、有給休暇に関する違法状態は改善される可能性が高いです。

    ・デメリット
    ただし労働基準監督署は、必ず動いてくれるわけではありません
    また、会社に対して何らかの請求をしたい場合は、労働基準監督署が代わりに請求を行ってくれるわけではない点にもご注意ください。

  4. (4)弁護士

    ・メリット
    弁護士は労働者の代理人として、会社に対して有給休暇に関する違法状態の解消を求めます。具体的な対応を迅速かつ適切にとることができる点が、弁護士に依頼することの大きなメリットです。

    弁護士以外の窓口に相談しても、きちんと対応してもらえないケースや、対応を開始するまでに時間がかかるケースが多いです。
    この点弁護士は、依頼者の抱える問題の解決に焦点を当てて対応するため、早期解決が期待できます

    また弁護士は、有給休暇のほかにも、未払い残業代請求や不当解雇などのご相談も受け付けています。幅広い労働問題に対応できますので、会社とのトラブルは何でも弁護士にご相談ください。

    ・デメリット
    弁護士に依頼する場合、一定の費用が掛かります
    しかし、最近は相談だけなら無料という法律事務所も増えていますので、ご自身が依頼した場合の費用や具体的な対応について、まずは相談してみると良いでしょう

    ベリーベスト法律事務所のご相談費用については、こちらをご覧ください。

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6、まとめ

労働基準法のルールに従い、労働者には有給休暇が与えられます。
そして、労働者は原則として、有給休暇を自由に取得できます。

会社が有給休暇の取得を拒否する場合や、その他の労働問題(残業代の未払い、不当解雇など)にお悩みの場合は、実績豊富な弁護士に対応を依頼するのが安心です。

ベリーベスト法律事務所は、会社とのトラブルに関する労働者のご相談を随時受け付けております。有給休暇の取得などについて、会社の取り扱いに納得がいかない方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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