頻繁に休日出勤を強制する会社で働くのは、労働者にとって肉体的・精神的に大きな負担でしょう。
会社の休日出勤命令には、従わなくてよい場合があります。頻繁に休日出勤を強制されている方は、従う必要があるのかどうかなどについて弁護士にご相談ください。
今回は、会社が労働者に休日出勤を強制することの可否や、休日出勤について発生する給料の計算方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
大前提として、36協定の締結や就業規則・雇用契約の規定により、休日出勤を命じるための要件がそろっていなければなりません(詳しくは後述)。
また、形式的には休日出勤命令の要件が満たされていても、必要性や相当性に欠ける休日出勤命令は、権利濫用として違法となる可能性があります。
会社の休日出勤命令が違法ではないかと感じている方は、弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。
労働基準法に基づく休日の取り扱いにつき、以下の各点に関して基本的なルールを解説します。
実は、労働基準法では、休日と休暇が区別されています。
労働基準法では、有給休暇(同法第39条)と生理休暇(同法第68条)が認められています。また、会社が独自に休暇制度を設けているケースも多いです(夏季休暇、年末年始休暇、傷病休暇など)。
休日については、原則として労働者は働く必要がありません。
ただし一定の要件を満たす場合には、会社の指示に従って休日出勤しなければならないことがあります。
休日には、「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の2種類があります。
法定休日と所定休日では、休日出勤の労働時間に関する取り扱いが異なります。
法定休日・所定休日における休日出勤の給料(賃金)の計算方法については、後で詳述します。
法定休日に働く労働者については、会社の制度に基づき「振替休日」または「代休」が付与されることがあります。
会社に振替休日や代休の制度があるかどうかは、就業規則などの定めをご確認ください。
会社が労働者に休日出勤を命じるには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
時間外労働または休日労働に当たる休日出勤を命じるには、労使間で36協定が締結されていなければなりません。
36協定では、時間外労働・休日労働をさせることができる場合(理由)や上限日数・上限時間数が定められます。
会社が労働者に対して休日出勤を命じることができるのは、36協定において定められた理由・日数・時間数の範囲内に限られます。
個々の労働者との関係で、就業規則または雇用契約に基づき、会社に休日出勤命令の権限が認められていなければなりません。
有効に締結された雇用契約における定めは、当事者である労働者に対して効力を有します。
就業規則の定めは、雇い入れ前に定められたものであれば当該労働者に対して有効です。
これに対して、雇い入れ後に定められたものについては、当該労働者に対して無効の場合があります(労働契約法第9条、第10条)。
業務上の必要性がない場合や、他の労働者で代替できるにもかかわらず、都合の悪い労働者に対してあえて行う場合には、権限濫用として休日出勤命令が違法となることがあります。
休日出勤について生じる給料は、以下の式によって計算します。
労働時間の種類 | 休日出勤の態様 | 割増賃金率 |
---|---|---|
法定内残業 | 所定休日に出勤した際の労働時間のうち、法定労働時間を超えないもの ※例えば、週の所定労働時間が35時間の会社において、特定の週の通常の労働日に計35時間働き、所定休日に5時間以内の時間働いたような場合 |
割り増しなし |
時間外労働 | 所定休日に出勤した際の労働時間のうち、法定労働時間を超えるもの ※例えば、特定の週において、通常の労働日に計40時間働き、所定休日に更に働いたような場合 |
通常の賃金に対して125%以上 ※時間外労働が1か月当たり60時間を超える場合は、超過部分につき通常の賃金に対して150%以上 |
休日労働 | 法定休日に出勤した際の労働時間 | 通常の賃金に対して135%以上 |
※法定労働時間は原則として1日8時間、1週間40時間(労働基準法第32条)
具体的な計算方法の例は以下の通りです。
以上が基本的な休日出勤の計算方法ですが、ご自身で計算するのは手間がかかりますし、計算結果が正しいのか、不安な方もいらっしゃるでしょう。
正確に計算したい場合は、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
弁護士であれば、労働の実態に即して、正確な残業代を算出することが可能です。
タイムカードなどの勤務時間の証拠を弁護士に提出すれば、すべて代わりに計算してくれますし、法的根拠に則った正しい計算ができるので、手間もかからず安心です。
もし証拠がない場合は、集め方をアドバイスしてくれたり、弁護士から会社に対して勤務時間の開示請求をすることも可能ですので、「証拠がないから…」と諦めずに相談してみましょう。
休日出勤をしてもその分の給料(残業代)が支払われない、違法な休日出勤命令を断ったら懲戒処分を受けたなど、休日出勤に関するトラブルに遭ったら弁護士にご相談ください。
弁護士は、労働基準法のルールに照らして休日出勤の取り扱いを分析し、違法状態が生じているか否かを精査します。
もし違法状態となっている場合には、会社に対して法的説得力のある主張を行い、労働者の権利を守るために尽力いたします。
和解交渉・労働審判・訴訟などの手続きも、弁護士に一任いただければ安心です。
会社が労働者に休日出勤を命じる際には、36協定や就業規則・雇用契約の規定に従わなければなりません。また、必要性・相当性を欠く休日出勤命令は、権限濫用として違法となる可能性があります。
会社に納得できない休日出勤を命じられた場合は、その当否や対抗手段について弁護士へのご相談をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、会社とのトラブルに関する労働者のご相談を随時受け付けております。
当事務所は、全国各地に事務所がありますので、職場や住まいの近くでご相談いただくことが可能です。また、全国各地の労働事件を解決していることから、知見も豊富です。
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