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ストライキとは? 給与や処分はどうなる? 日本でのルール

2022年12月20日
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ストライキとは? 給与や処分はどうなる? 日本でのルール

労働環境や賃金などの労働条件に納得できない場合、労働組合が主導してストライキを行うこともひとつの選択肢です。

ただし、ストライキを行う際には満たすべき要件があるほか、ストライキ中の給与や会社の対抗手段にも注意が必要です。実際にストライキを決行する場合には、事前に弁護士へご相談のうえで作戦を立てることをおすすめいたします。

今回はストライキについて、種類・手順・満たすべき要件・注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、ストライキとは

使用者が労働環境や労働条件の改善に応じない場合、労働者側はストライキなどの争議行為を行うことも検討しましょう。

  1. (1)労働組合等が主導して、労働者が一斉に休業すること

    ストライキとは、労働者が労働条件の改善・維持などの要求を貫徹するため、集団的に労務の提供を拒否することです

    ストライキを行う権利は、労働基本権の1つである「団体行動権」(日本国憲法第28条)の一環として、労働者に保障されています。

    使用者としては、労動者に一斉に休業されてしまっては操業が不可能となり、売り上げや利益の面で大きな打撃を受けてしまいます。
    そのため労動者側は、ストライキの取りやめを交渉材料として、使用者に労働環境や労働条件の改善を求めることができるのです。

  2. (2)ストライキの主な種類

    ストライキには、さまざまな種類・分類がありますが、ストライキの範囲の違いで区別した場合には「全面スト」と「部分スト(指名スト)」の2種類に分かれます。

    ① 全面スト
    「全面スト」とは、会社内すべての部門において行われるストライキです。
    操業が一切停止するため、会社にとっては大きな打撃となります。

    ② 部分スト(指名スト)
    これに対して、特定の部門に絞って行うストライキは「部分スト」と呼ばれています。
    部分ストは、基幹事業に絞ってストライキを行うことで、全面ストに匹敵する打撃を会社に与えられる一方で、労働者側の不利益を軽減することができます。

    また、部分ストの中でも労働組合が特定の労働者を指名し、指名された方のみでストライキを行わせることを「指名スト」と呼びます。
  3. (3)ストライキの法律上の保護

    ストライキは、その性質上使用者に損害を与える行為ですが、適法なストライキである限りは、特別に法律上の保護が与えられています

    ① 刑事免責
    1つは、刑事免責というもので、適法なストライキである限りは、例え犯罪に当たるような行為であっても、罰せられないものとされています(労働組合法第1条第2項、刑法第35条)。

    ② 民事免責
    2つ目は、民事免責というもので、適法なストライキである限りは、例え使用者が損害を受けても、労働者に対して賠償を請求することができないとされています(労働組合法第8条)。

    このように、ストライキは、法律上強力に保護されているのです。

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2、ストライキを実施する際に満たすべき要件・実施手順

ストライキは、労働者側にとって使用者への強力な対抗手段である一方で、適法に行うためには厳格な要件を満たさなければなりません。

実際にストライキを行う場合は、法律上の要件を踏まえ、適切な手順を踏んで実施することが非常に大切です。

  1. (1)ストライキを適法に実施するための6つの要件

    ストライキなどの争議行為を適法に実施するためには、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります

    ① 正当な争議行為主体が実施すること
    ストライキは、労働者の団体行動権の一環として認められているため団体交渉を行うことができる組織が主導して行うことが必須です。
    そのため、一部の労働者が独自にストライキを行うことはできません。

    そして、ストライキを実施するためには、その組織内で承認を得る必要があります。
    たとえば労働組合の場合には、労働組合員またはその労働組合員の直接無記名投票により選出された代議員が、直接無記名投票の過半数により決議する必要があります(労働組合法第5条第2項第8号)。

    ② 労働環境・労働条件の維持・改善が目的であること
    ストライキは、労働組合の目的である、労働環境・労働条件の維持・改善に沿ったものでなければなりません。

    ③ 手段・態様が正当であること
    ストライキの名目で暴力を行使することは許されません(労働組合法第1条第2項但し書き)。
    あくまでも、平和的な手段・態様によって行われる必要があります。

    ④ 使用者側との協議を尽くしたこと
    団体交渉を経ないでストライキを行うことは認められず、ストライキの正当性が否定されることになります。もっとも、いったん団体交渉が開始されれば、どの段階でストライキを行うかは労働組合の選択に委ねられているため、交渉が行き詰まりとなっていなくてもストライキを行うことは可能です。

    とはいえ、団体交渉を行ってすぐにストライキを行った場合には、裁判でストライキの正当性が否定される可能性があるため、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

    使用者側が協議に応じる姿勢を見せている場合や、すでに労働者の主張がおおむね受け入れられている場合などには、ストライキが違法とされる可能性があります。

    ⑤ 労働協約を遵守すること
    会社と労働組合が労働協約を締結している場合、ストライキを実施する際には、労働協約で定められた要件・方法に従いましょう。

    ⑥ ストライキが法律で禁止されていないこと
    以下のストライキは法律で禁止されています。

    • 国家公務員によるストライキ
    • 地方公務員によるストライキ
    • 工場における安全保持の施設の正常な維持・運行を停廃し、またはこれを妨げるストライキ
    • 電気事業者による、電気の正常な供給を停止するなど、電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめるストライキ
    • 船員による、船舶が外国の港にあるときのストライキ、または人命・船舶に危険を及ぼすストライキ
    など
  2. (2)ストライキの実施手順

    実際にストライキを行う場合、以下の手順を踏むことが求められます。

    ① 使用者との協議を尽くす
    まず、使用者側との協議を十分に尽くす必要があります
    後にストライキの適法性を証明できるように、議事録などをきちんと作成したり、レコーディングしたり、証拠になるものを保管しておきましょう。

    ② ストライキの適法性を検討する
    前述のとおり、ストライキを適法に実施するためには、多くの要件をクリアしなければなりません。どのような場合に適法なストライキとなるのかは、個別具体的な事情によって異なりますので、弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

    法律・労働協約・過去の裁判例などを分析・検討して、ストライキを適法に実施できるかどうかを事前によく検討しましょう。

    ③ 労働組合員等の過半数により実施を決議する
    ストライキの要件を満たせることを確認したら、労働組合員などによる実施決議を行いましょう

    実施決議では、ストライキの方法・期間・対象となる部署などを具体的に定めます。

    ④ ストライキを実施する
    実施決議の内容に従って、ストライキを決行します。
    いかなる場合でも、暴力行為は認められませんので、必ず平和的な方法によってストライキを行ってください(労働組合法第1条第2項但書参照)。

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3、ストライキ中の給与・ストライキ後の処分などに関する注意点

ストライキは、労働者側も痛みを伴う団体行動です。
特にストライキ中の給与や、ストライキ後の処分などについては、以下のようなリスクが伴います。

  1. (1)ストライキ中は無給|ノーワーク・ノーペイの原則

    使用者が労働者に対して支払う給与(賃金)は、労働の対価です(労働基準法第11条)。
    労働者が労働力を提供する代わりに、使用者は給与を支払います。
    そのため、労働者が実際に労働力を提供しなければ、労働者は使用者に対して給与の支払いを求めることができません(民法第623条、第624条第1項)。
    これを「ノーワーク・ノーペイの原則」と言います。


    ストライキを行い、労働を行わなかった場合には、使用者は労働者に給与を支払う義務を負いません。
    ストライキが適法であるとしても、その期間中は労働が提供されないので、ノーワーク・ノーペイの原則により無給となります

    そのため、ストライキが行われた月については、給与が減額されてしまう点に注意が必要です。

  2. (2)ロックアウトで対抗される可能性がある

    労働者側のストライキにより、かえって使用者側が著しく不利な圧力を受ける場合には、使用者が作業所を閉鎖する「ロックアウト」が認められる可能性があります

    ロックアウトを適法に行うことができるかどうかは、以下の事情に鑑みて、衡平の見地からストライキへの対抗防衛手段として相当と認められるかどうかによって判断されます。

    • 労使間の交渉態度
    • 交渉経過
    • ストライキなどの態様
    • ストライキなどによって使用者側が受ける打撃の程度
    など

    実際に最高裁昭和50年4月25日判決の事案では、以下の事情を考慮して、ロックアウトの適法性が認められました。

    • ストライキが暴力行為を伴う相当熾烈(しれつ)なものであったこと
    • 会社の正常な業務の遂行が著しく阻害され、作業能率も低下して、会社経営に支障をきたすおそれが生じたこと
    • ロックアウトにより不完全な労務の提供の受領(じゅりょう)を拒否し、賃金の支払いを免れることで、当面の著しい損害の発生を阻止しようとしたこと

    ロックアウトが適法に行われれば、労働者側にとっては、給与の支払いを受けられない期間が長引くことになるので要注意です。

  3. (3)違法なストライキに対しては損害賠償請求・差止仮処分・刑事処分のおそれあり

    要件を満たさない違法なストライキを決行した場合、会社から損害賠償請求を受けるおそれがあります(民法第415条第1項)。

    また、ストライキが暴力行為などによって他者に生命・身体の安全を害する客観的危険性が認められるような違法なストライキとなる場合には、仮処分による差止めの対処となる可能性があります。(民事保全法第23条第2項)。

    さらに、違法なストライキを行った場合には、その内容によって、強要罪(刑法第223条)、威力業務妨害罪(刑法第234条)、住居侵入罪(刑法第130条)、公務執行妨害罪(刑法第95条)に問われる可能性もあります。

  4. (4)違法なストライキに参加した労働者は解雇のおそれあり

    適法なストライキに参加した労働者の解雇は、労働委員会による救済手続の対象となる、使用者が特別に禁止されている行為である不当労働行為に該当し、公序に反して無効となります(労働組合法第7条第1号、民法第90条)。

    この場合、労働者は、使用者に対して、不法行為責任を追及することができる場合がありますので、適法なストライキに参加されたにもかかわらず解雇されてしまった場合には、弁護士に相談されることをおすすめいたします。

    一方、ストライキが違法である場合には、ストライキへの参加を理由として、懲戒処分を受ける可能性があります

    しかしこの場合でも、単にストライキへ参加しただけの労働者に対して、諭旨退職処分や懲戒解雇処分を行うことは、懲戒権・解雇権の濫用として違法・無効となる可能性が高いです(労働契約法第15条、第16条)。

    悪質な違法ストを主導する立場にあった場合は別として、そうでない労働者がストライキへの参加を理由に解雇された場合には、弁護士へご相談のうえで解雇無効を主張することをおすすめいたします。

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ストライキに参加した後、会社から不当解雇・減給・パワハラなどの不利益な取り扱いを受けた場合、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士は、労働組合法などの法令上のルールと、具体的な事情を踏まえて、会社側の対応の問題点を指摘・追及し、労働者の権利を守るために尽力いたします。

労働運動・労働争議を巡る会社とのトラブルについては、お早めに弁護士までご相談ください。

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5、まとめ

労働組合が主導してストライキを実施する際には、法律上の要件・手続きに沿って行うとともに、給与の不支給や使用者側の対抗手段などにも注意する必要があります

ベリーベスト法律事務所は、ストライキを適法・円滑に実施しつつ、労働者側にとっての痛みを軽減するための方策についてアドバイスいたします。

ストライキ前後に行う使用者側との団体交渉についても、弁護士が同席することにより、法的な根拠に基づいた説得力のある主張を展開することが可能となります。

ストライキの実施を検討している労働組合の担当者は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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