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労働条件・ハラスメントの弁護士コラム

会社からの減給の要請に同意しないとどうなる? 拒否した場合の影響とは

2022年01月20日
  • 労働条件・ハラスメント
  • 減給
  • 同意しない
  • 弁護士

会社からの減給の要請に同意しないとどうなる? 拒否した場合の影響とは

会社による一方的な賃金引き下げは、労働契約法に違反する可能性があります。会社が業績不振などで減給したいときは、従業員の同意が必要です。

一方で、従業員の立場からすれば、減給は自身の生活に直結する重大な問題であり、会社の要請を拒否することが可能です。ただし、要請を拒否した場合は、会社が一方的に減給したり、不当解雇したりする可能性も否定はできません。会社の意向に従うよう強要されたら、どのような対応を取るのがよいのでしょうか?

本コラムでは会社から減給を要請されたケースを取り上げ、同意しなかった場合の影響や適切な対応方法について解説します。

1、会社が減給に同意を求める理由

業績不振などを理由に会社が従業員の給与を引き下げようとする際、会社はなぜ従業員に同意を求めるのでしょうか。

会社が労働者の賃金を減額する方法としては、次のような方法などがあります。

労働者の賃金を減額する方法
  • ① 個別の労働者と合意をして賃金を減額する方法
  • ② 労働協約を締結しなおして、賃金を減額する方法
  • ③ 就業規則の変更を行って賃金を減額する方法
  • ④ 就業規則に「賃金査定条項」を設け、その条項に従って賃金を減額する方法
  • ⑤ 業務命令としての降格等に伴う賃金減額を行う方法
  • ⑥ 懲戒処分として賃金の減額を行う方法

上記方法の1つとして、会社は労働者に賃金減額の同意を求めてきます

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2、労働条件としての賃金を減額する方法

以下では、賃金減額のそれぞれの方法について、簡単に説明します。

  1. (1)個別の労働者と合意をして賃金を減額する方法

    賃金などの労働条件については、会社は従業員と労働契約を結んで定めています。
    そのため、会社(使用者)及び労働者の双方が合意をして、労働契約の内容を変更することは認められています(労働契約法8条)。
    つまり、労使間の合意があれば、減給のために労働条件を変更することができます

  2. (2)労働協約を締結しなおして、賃金を減額する方法

    労働協約とは、労働組合と使用者との間の労働条件その他に関する協定で、書面に作成され、労働組合及び使用者が署名または記名押印したものをいいます(労働組合法14条)。

    労働協約で「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」についての取決めをした場合、そこで定められた基準が、個別の労働契約で定めた労働条件の合意に優先して適用されます(労組法16条)。

    そのため、会社(使用者)は、賃金の減額を労働協約の内容とすることで、労働協約を締結した労働組合の組合員との間で(一定の条件のもと非組合員との関係においても)、賃金を減額することができます

  3. (3)就業規則の変更を行って賃金を減額する方法

    従業員の給与を引き下げたい会社は、就業規則に着目するかもしれません。
    就業規則には賃金に関する規定が含まれています。個別的な労働契約では定まっていない労働条件があり、就業規則でその内容が定められている場合や個別的な労働契約で定めた労働条件が就業規則の労働条件より不利益な場合は、就業規則が定める労働条件が労働契約の内容となります。

    そのため、就業規則の労働条件が内容になっている個別的労働契約においては、就業規則を変更することで、労働契約の内容を変更することができる可能性があります

    労働契約法9条は、従業員との合意がないまま就業規則を変更し、従業員の不利益になるような労働条件にすることはできないという原則を定めています。

    そして、変更後の就業規則が労働者に周知されている場合で、かつ、労働条件の変更の必要性や労働者の不利益などを考慮して就業規則の変更が合理的な場合には、例外的に就業規則変更後の内容を労働契約の内容とすることができます(労契法10条)。

  4. (4)就業規則に「賃金査定条項」を設け、その条項に従って賃金を減額する方法

    個々の労働者の業績や成果を評価・査定し、査定結果を賃金額に反映する仕組みを会社が採用している場合には、個別査定を用いて賃金減額を行うことがあります。

    個別的な査定に基づく賃金減額を行うためには、そのような仕組みを採用することを個別的な労働契約や就業規則、労働協約(以下「労働契約等」といいます。)で定めることが必要となります。

    そして、制度の内容が合理的で、適正に運用されている必要があります。

  5. (5)業務命令としての降格等に伴う賃金減額を行う方法

    役職や職位の降格に伴って賃金が減額されることが労働契約等で定められている場合、会社は、正当な人事権の行使として労働者の降格・異動を行うことで、就業規則に定められた賃金体系及び基準に従った賃金減額を行うことができます

    会社によっては、職位に応じて従業員をいくつかの等級に分類する職能資格制度や職務・役割等級制度を採用しているケースがあります。

    もっとも、労働者が職種限定契約など、地域や職種などが一定の範囲で限定されている場合には、会社が一方的にその範囲を超えた降格措置を行うことはできません

    たとえば、職能資格制度の場合、等級の引き下げは本来予定されていないため、引き下げの正当性は就業規則などの明確な根拠に基づき厳格に判断されます。

    職務・役割等級制度を採用しているケースでは、人事評価の手続きと決定権に基づく限り、等級の引き下げは原則として会社側の裁量が認められます。
    ただし、恣意(しい)的な引き下げは、人事権の濫用として無効になる場合があります。

  6. (6)懲戒処分として賃金の減額を行う方法

    会社が行う懲戒処分としての減給などです。
    会社は就業規則に、どんなときに懲戒処分を行うのか、懲戒の事由を定めることができます。

    懲戒処分は、会社の企業秩序を維持するために、従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰として課される労働関係上の不利益措置として理解されています。

    ただし、会社の企業秩序の維持のために、どのような行為をどのように罰することが必要であるかは、会社ごとに異なります。
    そのため、どのような労働者の行為が懲戒事由に該当するのか、その場合にどのような懲戒をすることができるのかについては、予め就業規則で定められている必要があります

    なお、労働基準法91条は、

    • 懲戒処分対象となる1回の行動につき減給が平均賃金の1日分の半額
    • 複数回の行動についても総額が1か月の賃金の10分の1を超えてはならない

    と定めており、減給額には限度があります

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3、会社が同意を求める方法

減給の同意については、同意書を作成して、これにサインするよう求めるケースが多いようです。

典型的なのは、従業員と個人面談し、業績が振るわないことや会社の経営が厳しいことなどを説明して、サインを求める例です。減給の対象者が多い場合には、説明会という形をとるケースもあります。

そのほか、上司がメールで同意書を送ったり、直接手渡したりするケースもあります。

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4、会社からの減給要請に同意する必要はある?

会社から減給の要請があった際に、同意する必要はあるのでしょうか。

  1. (1)減給の同意を拒否することも可能

    従業員は、会社からの減給の要請に対し、同意を拒否することができます

    賃金に関する労働条件の変更は、あくまで労使の合意が原則です。従業員が要請に従わなければならないものではありません
    会社の説明に対し、納得ができなければ、同意しない方がよいでしょう。

    同意を拒否する方法としては、口頭で応じる意思がないことを伝えるやり方があります。
    拒否の意思を伝えるには、口頭でも問題ありません。

    あるいは、手渡された同意書にサインせず、そのまま持ち帰るという方法もあります。
    同意書を持ち帰れば、自宅などで再度、内容を確認することができます。そのほか、メールや書面で同意する意思がないことを伝えてもよいでしょう。

  2. (2)減給の同意を拒否する影響

    会社からの減給要請に応じなかった場合、どのような影響が生じるでしょうか。

    労使の合意の原則を重視する会社であれば、同意を得られないときはあきらめて、現状維持で済むかもしれません。

    しかし、最初から減給するつもりで、同意を得ることを重視していない会社は、減給に踏みきる可能性があります。
    また、極端なケースでは、会社が従業員を解雇するかもしれません。

    そういった会社は、減給要請の目的が退職を促すためだった可能性もあり、目的が達成できないとわかった途端に強硬策に打って出ることがあります。

    客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、不当解雇です。減給の同意が得られないというだけでは、不当解雇にあたる可能性が高いといえます。

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5、会社からの減給要請に同意してしまった場合

会社からの要請に従い、やむを得ず賃金減額に同意してしまうこともあると思われます。
そのような場合でも、不利益の大きさや賃金減額に同意するまでの具体的な交渉のやり取りから、賃金減額の同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に認められない場合には、同意が無効となる可能性があります(東京地方裁判所平成30年2月28日判決参照)。

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6、減給要請があった場合にすべき対応

会社から減給の要請があった場合は、どう対応すればよいのでしょうか。

  1. (1)すぐに減給に同意しない

    減給は労働条件の変更にあたるため、労使の合意が原則になります。
    従業員が同意書にサインすると、双方が合意したことを意味し、労働条件が変更されます。

    もし、少しでも違和感を覚えたり、納得できない部分があったりすれば、サインはしないようにしましょう会社に同意を強要されても、すぐに同意してはいけません

    同意の前に減給の理由や期間など、会社に丁寧な説明を求めましょう。

  2. (2)早めに弁護士へ相談する

    減給については、会社が置かれた状況だけでなく、関連する法律や雇用契約、就業規則など、さまざまな要素が関係するため、妥当性を判断するのが難しいといえます。

    会社の対応に少しでも違和感を覚えたら、すぐに弁護士に相談するのが得策です。
    弁護士は対処法についてアドバイスできるだけでなく、従業員が減給に同意した後でも、それを無効にできる可能性があります

    会社に同意の無効を求めて争うことになった場合は、前述のとおり、「従業員が自由な意思に基づいて同意したかどうか」がポイントとなります。
    この際、証拠が重要になるため、ICレコーダーでやりとりの内容を録音したり、メモを書いたりして、証拠を残すようにしておくことをおすすめします。

    同意が無効となれば、減給前の給与との差額を会社に請求することができます
    また、同意なしに減給された場合も、減給が不当と認められれば、差額を請求することが可能です。

    前述したとおり、すぐに減給に同意しないことが大切ですが、同意しなかった場合、会社は何とか減給させようとさらに圧力をかけてくる可能性もあります。
    減給に納得がいかない場合は、早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

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7、まとめ

労働契約法は、労使間の合意を原則として、賃金など労働条件の変更を認めており、会社が従業員の給与を引き下げるには、従業員の同意が必要です。
会社から減給の同意を求められたときは、安易に同意せず、減給の理由や期間などについて説明を受けた方がよいでしょう

そのうえで納得できなければ、従業員は減給要請を拒否することも可能です。
会社から減給の同意を求められ、対応に悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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