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残業40時間ってブラック? 違法? 残業代に納得いかない場合の対処法

2025年10月01日
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残業40時間ってブラック? 違法? 残業代に納得いかない場合の対処法

毎月40時間程度の残業が続いている場合は、日本全体の平均値と比べても労働時間が長いと言えます。

36協定の締結状況や、残業時間の管理状況などによっては、月40時間の残業が労働基準法違反に当たる可能性もあります。残業が長すぎる、つらいと感じている場合は、早い段階で弁護士に相談しましょう。

本記事では、月40時間の残業に関する法律上の問題点や、違法残業が疑われる場合の対応・相談先などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、月40時間の残業は違法なのか?

月40時間の残業は、労働者(従業員)の心身に大きな負担がかかります。
恒常的に月40時間の残業が続くと、メンタル不調や過労死などのリスクが高まるので注意が必要です。

労働基準法との関係でも、月40時間の残業は違法となるケースがあります

  1. (1)月40時間の残業は長い! 平均は月10時間程度

    厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、令和6年度の規模5人以上の事業所における平均所定外労働時間は月10.0時間でした。
    フルタイムの一般労働者に絞ると、平均所定外労働時間は月13.4時間となっています(※)。

    このデータと比較すると、月40時間の残業はかなり長い部類であることが分かります。

    出典:「毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報」(厚生労働省)

  2. (2)法定内残業と時間外労働の違い

    労働日に行われる残業は、「法定内残業」と「時間外労働」の2つに分類されます。

    所定労働時間と法定労働時間 所定労働時間:会社のルール(就業規則等)で定められている労働時間のこと 上限:法定労働時間(1日8時間、週40時間)の範囲内で、企業が自由に設定 働きかたのイメージ 3時間 1時間休憩 4時間 9時始業 17時終業 うちの会社の所定労働時間は7時間だから働きやすい 法定労働時間:法律(労働基準法)で定められた労働時間の上限のこと 上限:法定労働時間(1日8時間、週40時間)の範囲内で、企業が自由に設定 原則として1日8時間、週40時間まで 働きかたのイメージ 3時間 1時間休憩 5時間 9時始業 18時終業 1日の労働時間の上限は8時間まで これ以上、働かせるのは原則NG!
    ① 法定内残業:所定労働時間を超えてはいるものの、法定労働時間を超えない部分の残業です。
    ※所定労働時間:労働契約や就業規則で定められた労働時間

    ② 時間外労働:法定労働時間を超える残業です。
    ※法定労働時間:労働基準法によって定められた労働時間の上限。原則として1日当たり8時間、1週当たり40時間。
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2、時間外労働を指示するには、36協定の締結が必要

使用者による残業の指示は、労働契約や就業規則にその根拠となる定めがあることが必要です。
法定内残業を超えて、使用者が労働者に時間外労働を指示するためには、更に労働組合または労働者の過半数代表者との間で「36協定」(サブロク協定)を締結していなければなりません。

  1. (1)36協定とは?

    36協定の上限 会社がこのルールを守らず残業させると違法! 残業時間・休日労働の上限のイメージ 36協定:残業時間・休日労働の上限(原則) ・月45時間以内 ・年間360時間以内 1日あたり2時間程度の残業 36協定(特別条項付き):残業時間・休日労働の上限(例外) ・年間6ヶ月まで ・年間720時間以内 ・月100時間未満(※休日労働を含む) ・複数月平均80時間未満(※休日労働を含む) 1日あたり4時間程度の残業 臨時的な特別の事情がある場合に限りOK 法定労働時間:労働基準法 労働時間の基本ルール 原則として1日8時間、週40時間まで

    36協定は、時間外労働や休日労働に関するルールを定めるもので、協定で定めた範囲内で、使用者は労働基準法上の法定労働時間及び法定休日の違反を免れる効力が認められます。

    36協定が締結されていないのに残業させたらどうなる?
    36協定が締結されていない場合、使用者は労働者に時間外労働を指示することができません。
    36協定が未締結の状態で月40時間もの残業をしている場合は、労働基準法違反の可能性が極めて高いといえます。

  2. (2)36協定の上限を超える残業の指示は違法

    36協定がある場合でも、使用者は労働者に対して36協定の上限を超える時間外労働を指示することはできません。

    36協定で定めることができる時間外労働の限度時間は、原則として1か月当たり45時間、1年当たり360時間までです。

  3. (3)36協定の例外(特別条項)

    例外的に、特別条項を定めていれば、年に6か月までは、上記の限度時間を超える時間外労働を指示できることがあります。

    ただし、
    通常予見できない業務量の大幅な増加に伴い臨時的に限度時間を超えた時間外労働の必要性ある場合
    といった厳しい条件を満たさなければならず、かつ、その場合の時間外労働の上限は年720時間、1か月100時間未満(休日労働時間を含む)等とされています。

  4. (4)会社の規定による上限があるケースも

    会社(企業)によっては、時間外労働の上限を「月20時間まで」「月30時間まで」などと定めているケースもあります。
    このような場合には、月40時間の時間外労働はその会社の規定の上限を超えるため、指示することができません

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3、残業40時間で発生する割増賃金(残業代)の額は?

残業をした労働者に対して、使用者は残業代を支払う必要があります。
40時間残業をした場合に発生する残業代の計算方法を解説します。

  1. (1)残業代の計算式と割増率

    残業代の額の計算式は、以下のとおりです。

    1時間当たりの賃金(基礎賃金)×割増率×残業時間数=あなたの残業代

    ここで問題になるのが、1時間当たりの賃金(基礎賃金)ですが、その出し方は、以下の通りです。

    1時間当たりの賃金(基礎賃金)=1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間

    総賃金から除外される手当
    • 残業手当(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    そして、月平均の所定労働時間は、以下の計算式で出します。

    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月

    労働の種類に応じて、以下の割増率が適用されます。

    労働の種類 割増率
    法定内残業(所定外労働) 割り増しなし(通常の賃金)
    時間外労働 通常の賃金+25%以上
    ※月60時間を超える部分については+50%以上
    休日労働
    ※法定休日(=労働基準法によって付与が義務付けられた休日)における労働
    通常の賃金+35%以上
    深夜労働
    ※午後10時から午前5時までに行われる労働
    通常の賃金+25%以上

    たとえば、9時から18時(休憩1時間)で働く労働契約を結んでいる社員が、勤務日(※休日でない)に午前2時まで働いた場合には、
    ・9時~18時=割増率無し
    ・18時~22時=時間外労働で割増率25%以上
    ・22時~2時=時間外労働かつ深夜労働で割増率50%以上
    で残業代を計算します。

  2. (2)残業40時間に対する残業代の計算例

    たとえば、1時間当たりの基礎賃金が3000円である場合、残業40時間に対する残業代の額は以下のようになります。

    ① 法定内残業20時間、時間外労働20時間の場合
    3000円×20時間+3000円×1.25×20時間
    =13万5000円
    ② 法定内残業10時間、時間外労働30時間の場合
    3000円×10時間+3000円×1.25×30時間
    =14万2500円
    ③  時間外労働40時間の場合
    3000円×1.25×40時間
    =15万円
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4、月40時間の残業が違法となるケース。こんな会社は危険かも!

たとえば次に紹介するケースでは、月40時間の残業指示が労働基準法違反に当たる可能性があります。

これらの場合には、労働者は使用者に対して未払い残業代を請求できるほか、使用者は刑事罰の対象となります(行為者につき6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、会社につき30万円以下の罰金)。

  1. (1)36協定を締結していない

    前述のとおり、使用者が労働者に対して時間外労働を指示するためには、あらかじめ36協定を締結しなければなりません。

    月40時間も残業をしている場合は、ほぼ確実に時間外労働が含まれています。
    そのため、36協定が締結されていない場合は労働基準法違反に当たる可能性が高いです。

  2. (2)45時間を超える残業をしている月が頻繁にある

    コンスタントに月40時間程度の残業をしているケースでは、残業時間が45時間を超える月もしばしば発生していることもあるでしょう。

    使用者が労働者に月45時間を超える時間外労働を指示できるのは、36協定に特別条項が定められている場合に限られます
    この場合でも、時間外労働が45時間を超える月は1年間で6回以内としなければなりません。
    時間外労働が頻繁に月45時間を超える場合も、労働基準法違反の可能性が高いと考えられます。

  3. (3)タイムカードを前倒しで打刻させられている

    記録上の時間外労働は月40時間程度でも、タイムカードを前倒しで打刻させられている場合は、実際の時間外労働は月45時間を超える可能性があるため36協定違反が疑われます。

    また、実際の残業時間に応じた適切な残業代が支払われていない場合も、労働基準法違反となります。

  4. (4)どんなに働いても、残業代の額が変わらない

    何らかの手当に含まれているとの理由で、労働時間にかかわらず一律の残業代を支給する会社がしばしば見られます。

    会社が支払う残業代を固定額とすることができるのは、固定残業代制を適切に導入している場合に限られます。

    固定残業代のルール 1か月40時間の固定残業代制で、労働契約をしている場合:会社 うちの会社は、1か月40時間までの固定残業代を給与として月8万円お支払いします。 労働者 わかりました! 例:月35時間、残業した場合 今月は35時間残業したけど、固定残業代制だから残業代を8万円もらえた! 残業35時間:5時間余り 固定残業代:40時間内なら8万円の残業代 例:月45時間、残業した場合 今月は45時間残業したけど、固定残業代制は40時間までだから、超過した5時間の残業代は別でください! 残業40時間 残業5時間超過 固定残業代 40時間内なら8万円の残業代 超過した分の残業代は別途、支払われないと違法!

    固定残業代制を導入する場合は、以下の事項を労働者に対してはっきりと示さなければいけません。

    • ① 固定残業代を除いた、基本給の額
    • ② 固定残業代に関する労働時間数と、その固定残業代の金額、金額の計算方法
    • ③ 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、割増賃金を追加で支払う旨

    また上記③のとおり、固定残業時間を超えると追加残業代が発生するため、どんなに働いても残業代の額が同じというわけではありません。

    毎月長時間にわたる残業をしているにもかかわらず、残業代の額が全く変わらない場合は、労働基準法違反の可能性が疑われます

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5、月40時間の残業がつらい! 労働者の対応と相談先

月40時間の残業でお困りの場合には、以下の対応の中から、ご自身に合った方法を検討しましょう。

  1. (1)仕事を効率化する

    ご自身の効率化の努力で残業が減らせるのであれば、それに越したことはありません。
    ただし、効率化は素晴らしいことですが、それにも限度があります。
    残業が多いのは自分のせいだけではないかもしれません。会社や第三者に相談することも視野に入れましょう

  2. (2)転職する

    心身がまだ健康なのであれば、健康なうちに転職も視野に入れましょう。
    ただし、転職するにしても、正当な残業代を受け取る権利はありますので、残業代を会社に請求する作業も併せて行いましょう

  3. (3)上司や会社の上層部に、仕事の軽減を相談する

    会社や上司が、話を聞き対策を打ってくれる可能性がある場合は、有効な手段でしょう。
    仕事を効率化したらさらなる仕事を課されるとか、話を聞いただけで何も対応してくれないのであれば、社外に相談することを考えましょう。

  4. (4)医療機関を受診や休職の検討

    心身の健康を維持するのが一番大切です。
    心身がつらい場合には、早めに医療機関を受診や休職を検討しましょう。

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6、会社に相談しても、取り合ってもらえない場合の相談先

会社から受けている残業指示が違法ではないかと感じているが会社には取り合ってもらえないという場合には、以下に挙げる窓口へ相談することをおすすめします。

  1. (1)労働基準監督署

    労働基準監督署は、労働基準法などの順守状況を監督する行政機関です。

    労働基準監督署に36協定違反や残業代未払いなどの事実を申告すると、その事実に関する立ち入り調査(臨検)が行われることがあります。
    臨検によって違法状態が発覚した場合は、会社に対する是正勧告が行われます。この場合は、速やかに違法な残業指示が停止され、未払い残業代も支払われる可能性が高いです。

  2. (2)労働組合

    事業場に労働組合がある場合は、労働組合に相談することも選択肢のひとつです。
    労働組合に相談すれば、団体交渉を通じて不適切な残業指示や残業代の未払いの是正を求めてもらえます。

  3. (3)弁護士

    残業が多すぎる状況の改善や、未払い残業代の回収を目指した対応を迅速に行ってもらいたいなら、弁護士に相談することをおすすめします。

    弁護士は労働者の代理人として、法的根拠に基づいて会社の違法行為を指摘し、その是正を求めます。会社との交渉に加えて、労働審判や訴訟などの裁判手続きも一任できるので安心です。

    残業が多すぎてつらい、残業代が適切に支払われていないなどとお悩みの方は、早い段階で弁護士にご相談ください。

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7、残業代請求の悩みは、弁護士に相談を

月40時間の残業は36協定によって許容される場合もありますが、会社が不適切な運用をしている場合には違法となります。

「残業が多すぎるのではないか」「適切に残業代が支払われていないかもしれない」などと疑問を持ったら、弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。
ベリーベスト法律事務所は、残業代請求に関する労働者のご相談は何度でも無料です。
お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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