労働者が解雇された場合、収入源を失うだけでなく、その後の再就職にも影響がおよぶ可能性があります。
そもそも、会社が労働者を解雇するためには、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要になりますが、このような合理的な理由や相当性のない解雇、すなわち「不当解雇」が社会的にも問題となっているのです。
さて、自分自身が不当解雇を受けたのか、それとも有効な解雇なのかという判断がつかない場合にはどうしたらよいのでしょうか。本コラムでは、不当解雇の特徴や対応策、解雇予告等に関してベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
解雇は、その理由に応じて「普通解雇」・「整理解雇」・「懲戒解雇」の3つに分類されます。各解雇の特徴は次のとおりです。
また、併せて、雇用期間が定められている場合の「雇止め」についても見ていきましょう。
何らかの規律違反等がある場合に会社が労働者との労働契約を一方的に解約するのが「普通解雇」です。
一般的にいう「解雇」は普通解雇にあたり、たとえば無断欠勤や、病気によって出勤できない状態が続いた、職務を遂行する能力が足りない、職務命令に違反するなどの場合に適用される可能性があります。
会社の都合で従業員を解雇する場合は「整理解雇」にあたります。
もっとも代表的なケースは業績悪化による人員削減ですが、単に「経営が悪化したから」というだけでは合理的な理由とはいえません。
整理解雇では、具体的に次の4つの事情を考慮して合理的な理由があるかどうかが判断されます。
<整理解雇の4つの事情>
労働者に対する最も厳しい処分として存在するのが「懲戒解雇」です。
刑事事件を起こして一定以上の刑罰が確定した、長期の無断欠勤をした、会社の信用を毀損する重大な非違(ひい)があるなどの場合に選択されます。
懲戒処分がされるに当たっては、対象となる労働者に弁明の機会が与えられるべきではありますが、会社が労働基準監督署の「除外認定」を受けた場合には、対象の労働者は、解雇予告手当を支払ってもらうことができません(労働基準法第20条第1項ただし書・第3項、同法第19条2項)。
また、就業規則において、懲戒解雇の場合には退職金は支給されないことが規定されていることもあります。
雇用期間が定められている労働者が、契約期間を満了した際に契約の更新を拒否されること、すなわち「雇止め」もいわば解雇の一形態です。
契約期間が定まっている場合、本来は契約期間が終了すれば、更新をしないのは会社の自由ですが、契約の更新回数等によっては、労働者が契約更新を期待していたとして、労働者保護の観点から、雇止めに対し、客観的に合理的理由、社会通念上の相当性が求められることになります(労働契約法19条)。
ただし、大規模な地震災害のような、天災などの影響でやむを得ない事由で事業が継続できない状態になったり、または、労働者の責めに帰すべき事由がある場合、その事由について労基署長に認定(いわゆる「除外認定」)を受けた場合には、解雇予告手当は支給されません(労働基準法第20条第1項ただし書・第3項、同法第19条第2項)。
会社から解雇予告を受けた場合、労働者としてはどのように対応するべきなのでしょうか。ここでは解雇予告を受けた際の対応について紹介します。
まずは自身が受けたのが「解雇予告(通告)」にあたるのかを確認しましょう。
一方的な解雇なのか、自主退職を促すための「退職勧奨」なのかによって対処法が変わります。
退職勧奨であれば「退職はしない」との意思を明示することで退職者候補から外されるかもしれません。
解雇通知書が出されていれば、解雇理由を確認し、正当な理由がなければ不当解雇のおそれがあります。
一方、単に口頭で解雇が言い渡されているだけの場合は、早急に解雇通知書や、より詳細に解雇理由が書かれた「解雇理由証明書」の交付を求めましょう。
解雇を受け入れる方針であれば、解雇通知書や解雇理由証明書の記載内容を見て、誤りがないか確認しましょう。
チェックするポイントは以下のとおりです。
気になる箇所があれば、会社側に問い合わせてください。
解雇理由を確認し、その理由や手続きが不当であると考えられる場合は、解雇の有効性を争うことが可能です。
会社に解雇撤回を求めて争う場合は、弁護士に相談して不利な発言や行動をとらないよう助言を受け、撤回に向けた対応を依頼しましょう。
すでに解雇通告を受け、その解雇の理由等が不当だと考えられる場合は、次のような方法で対処しましょう。
不当解雇を受けたら、解雇理由の確認は必須です。
解雇の理由が事実に基づくのか、労働者の自己都合なのか、それとも会社都合の解雇なのか等を確認して、不当性をより明確に判断する必要があります。
もし、口頭で解雇を告げられただけで書面による通知がなかったのであれば、「解雇理由証明書」の交付を会社に求めましょう。
解雇通知書を受け取っている場合でも、解雇理由証明書の交付を請求してください。
解雇通知書に記載されている解雇理由よりも詳細な解雇理由を確認できる可能性があります。
解雇に納得がいかない場合には、労働関係の法令に対して深い知見を持つ弁護士に相談し、不当解雇か否かを判断してもらいましょう。
弁護士に相談すると、不当解雇にあたるさまざまなケースへの対処法について助言も得られ、正式に依頼をすることで解雇撤回や解雇予告手当の請求交渉等を代理で行ってもらうことができます。
会社には、労働基準法の定めに従い、労働者の求めがあった場合に遅滞なく解雇理由証明書を交付する義務があります(労働基準法第22条第1項・第2項)。
労働基準監督署に相談して是正勧告をしてもらったり、弁護士に依頼して交付を請求してもらうといった方法で対処しましょう。
解雇通告を受けたときは、まず解雇される理由を確認することが大切です。
正当な解雇なのかを、解雇通知書や解雇理由証明書といった書面で確認しましょう。
解雇に納得ができない場合は、労働トラブルの知見が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。
未払いの解雇予告手当の請求や解雇の撤回など、依頼者の要望に応じて適切なサポートを行います。
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