近年、業績が悪化を理由に解雇されてしまったという例が後を絶ちません。 令和2年6月末にはその人数が2万9000人に上っています。
急に勤め先から不当解雇されると、いいようのない怒りの気持ちがわき上がると同時に、当面の生活をどうすればよいのか、経済面の不安も押し寄せてくるものです。
一般的に、失業中に受け取れる金銭といえば多くの方が失業保険を思い浮かべるでしょう。しかし不当解雇の場合における取扱いはどうなるのでしょうか。会社と不当解雇を争う場合には、失業ではないのだから受給できないのか、あるいは係争の結果に影響を与えるのではないかとの懸念も生じます。
この記事では、不当解雇と失業保険をテーマに、勤め先と不当解雇を争う方法を含めて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
ただし、誰でも受け取れるものではなく、以下の条件を満たし、ハローワークに「求職の申し込み」をする必要があります。
不当解雇でも、もちろん失業保険を受給できます。
ただし、ご自身が置かれている状況によって一定の違いがあります。
退職の理由が「会社都合」か「自己都合」によって、給付される時期が異なります。
雇用保険法第33条が定める「給付制限」です。
不当解雇された際、解雇が無効であるとして会社と争うことが可能です。
会社と争っている間、会社は解雇が正当だとして賃金を支給しないわけですが、一方で失業を前提とした失業保険は受けられないとなれば、生活が困窮してしまう可能性があります。
そこでハローワークでは、解雇の係争中(労働審判、労働訴訟などの裁判上の争いを指し、裁判外の交渉は除きます。)における失業保険の「仮給付」を認め、通常の失業保険と同じ金額を受け取れるようになっています。
しかし、あくまでも「仮」なので、解雇が無効だと認められた場合は失業していなかったことになり、受け取った失業保険を返還しなくてはなりません。
一方で、解雇が無効だと認められた場合には、解雇期間中の賃金を受け取ることができます。
場合によっては、不当解雇を理由とした損害賠償金や和解金を得られる可能性もあるでしょう。
もし解雇が正当だとされた場合は、失業保険をそのまま受け取ることができます。
仮給付の有無は不当解雇の係争結果に影響はしませんので、申請するデメリットは特にないといえるでしょう。
退職理由は離職票に記載されていますので、よく確認してください。
もし、会社都合にもかかわらず、自己都合と書かれていた場合、ハローワークを通じて会社へ是正を求めましょう。それでも改善されない場合は、ハローワークへ異議申立てもできます。まずは窓口で流れを確認してみることをおすすめします。
③ 法的手段(労働審判や訴訟)
任意の交渉が決裂した、あるいは交渉に応じてもらえない場合は、法的手段を利用します。方法としては、労働審判や訴訟(労働裁判)の提起があります。
労働審判とは、解雇などの労働トラブルを柔軟に解決するために設けられている制度です。原則3回以内の期日で審理するため、早期の解決を目指すケースでよく利用されます。
失業保険の仮給付を受ける場合の注意点
なお、失業保険の仮給付を受ける場合、解雇について係争中であることを示すために、裁判所の受領印のある訴状のコピー、労働審判申立書のコピーなどが必要になります。
離職票や身分証明書などの必要書類とあわせてハローワークに提出しましょう。
不当解雇などの労働問題は、弁護士へ相談されることをおすすめします。
そもそも不当解雇にあたるのか、和解金や損害賠償金を得られる可能性がどの程度あるのかなどの判断は、個別の案件ごとに法的な知識を必要とします。
弁護士へ相談するタイミングとしては、できるだけ早いほうが望ましくあります。
特に不当解雇の場合は、会社が解雇した場合に退職合意書への署名を求めてきたりすることがありますので、取り返しのつかない事態とならないよう慎重に判断するべき点があります。任意で会社と交渉する場合にも、交渉力や情報収集力の面で劣る個人が会社と対峙するのは難しい面があります。
弁護士を介することで迅速な解決が期待できますので、法的手段の利用を避けたいと感じている方にもメリットが大きいでしょう。
労働審判や訴訟を利用する場合でも、早い段階で弁護士に相談しておくと、その後のサポートがスムーズです。
どのような方法を選択するのかも含め、弁護士へアドバイスを仰ぐと、ご自身にとってよりよい選択肢が見つかるはずです。
不当解雇された場合は、失業保険の仮給付制度がありますが、これは労働審判や訴訟など裁判上の手続きを踏んでいることが必要となり、少しハードルが高いと思います。
そのため、会社との交渉が難しい場合は、弁護士への相談をおすすめします。
状況やご希望に応じて適切な方法を選択できるため、理想的な条件での解決に近づくでしょう。
不当解雇問題でお悩みであれば、解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へお気軽にご相談ください。
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