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管理職の残業代が出る・出ないの違いは? 自分は出るか要チェック!

2025年09月25日
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管理職の残業代が出る・出ないの違いは? 自分は出るか要チェック!

管理職であっても、状況によっては会社に残業代を請求できる場合があります。しかし、他管理職に対して、残業代を全く支払わない会社があるようです。

従業員とほとんど変わらない待遇で働いているにもかかわらず、残業代を支払ってもらえない場合、弁護士のサポートを受けながら、未払い残業代の回収を目指しましょう。

本記事では、管理職の残業代の取り扱いについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、なぜ管理職になると残業代が出ないの?

会社から「管理職には残業代を支払わない」などと主張され、残業代を支払ってもらえない方もいるかもしれません。
会社が管理職に残業代を出さない理由は、労働基準法上の「管理監督者」に関する規定を根拠にしているからと考えられます。

では、実際のところ管理職には残業代が出ないのか、詳しく解説します。

  1. (1)管理監督者とは?

    管理監督者とは、監督または管理の地位にある労働者のことを指します(労働基準法第41条2号)。

    「監督または管理の地位にある」とは、労働条件の決定やそのほかの労務管理について、経営者と一体的な立場にあることを意味します。

  2. (2)管理監督者に当たる場合、残業代は支払われない

    このような立場の性質上、労働時間の厳格な管理を行うのは適切でないと考えられるため、管理監督者に対する以下の残業代の支払いは不要とされています。

    【管理監督者に対する支払いが不要であるもの】
    ① 法定内残業手当
    就業規則で定められた所定労働時間を超え、法定労働時間(原則として1日当たり8時間、1週間当たり40時間)を超えない残業に対する手当。

    ② 時間外手当
    法定労働時間を超える残業に対する手当。

    ③ 休日手当
    法定休日の労働に対する手当。

    ④ 法定休日
    労働基準法に基づいて付与が義務付けられている休日。1週間につき1日、または4週間を通じて4日(その他の休日における労働は、法定内残業または時間外労働となります)。
  3. (3)管理監督者の要件

    厚生労働省では、管理監督者に該当するかどうかの基準として以下の内容を挙げています。自分が管理監督者に当たるかどうか、基準に照らして確認しましょう。

    ① 地位・職務内容・責任・権限
    肩書だけではなく、職務内容・責任・権限などの観点から、経営者に近い立場にあるかどうかが考慮されます。

    ② 勤務態様(労働時間など)
    定時が設けられていないなど、勤務の実態が経営者に近いものであれば、管理監督者と判断されやすくなります。
    これに対して、労働時間に関する裁量がなく、出退勤の時刻を会社側に厳密に定められている等、労働時間について厳格な管理をされている場合は、管理監督者ではない通常の労働者であると判断される可能性が高くなります

    ③ 待遇(賃金)
    通常の労働者と比べて、その地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)が与えられているかどうかが考慮されます。
  4. (4)「管理職」と「管理監督者」は全くの別物!

    会社における「管理職」と、労働基準法上の「管理監督者」は同じではありません
    会社における管理職とは、主に部下を管理する地位にある従業員のことです。肩書は部長・課長・係長などさまざまですが、権限や待遇は個々に異なります。

    管理職と呼ばれる方のなかには、経営者と一体的な地位にある(=管理監督者である)と評価できる方もいるでしょう。
    重要な意思決定権を持っていて、勤務時間が自由、さらに高額の賃金を受け取っているような管理職は、管理監督者に当たる可能性が高いといえます。

  5. (5)会社の言い分にだまされないで!

    しかし、管理職であっても、上記のような状況に置かれていないケースも少なくありません。肩書は管理職でも、ほかの従業員とほとんど変わらない権限や待遇しか与えられていない方もいるでしょう。

    このような方は「名ばかり管理職」と呼ばれることもあり、労働基準法上の管理監督者に当たりません。

    名ばかり管理職に心当たりがありながら、会社から「管理職には残業代を支払わない」などと言われている場合、会社は労働基準法を誤って解釈している可能性があります。
    また「管理職手当(役職手当)に残業代が含まれている」などと言われていても、それとは別に残業代を請求できるかもしれません

    会社の言い分を鵜呑みにすることなく、未払い残業代請求ができないかどうかをよく検討しましょう。

2、要チェック! 管理職でも残業代が出る3つのケース

会社から管理職扱いされていても、以下に挙げるような状況にある場合は、名ばかり管理職に当たり、会社に対して残業代を請求できる可能性が高いと考えられます。

  1. (1)部下の人事権など、重要な意思決定の権限がない

    経営者に近い重要な意思決定の権限が与えられていれば、管理監督者と言われる可能性があります。

    部下の人事権などの重要な意思決定権を与えられておらず、上司の指示に従って業務を行っているにすぎない場合は、管理職であっても管理監督者に当たらず、残業代を請求できる可能性があります。

  2. (2)労働時間の裁量がない(定時がある)

    先述のとおり、管理監督者に対して残業代の支払いが不要とされているのは、その職務の性質上、労働時間を厳格に管理することが適切でないと考えられるためです。

    通常の労働者と同様に、労働時間の裁量がなく定時勤務が義務付けられている方もいるかもしれません。
    その場合、管理職であっても管理監督者に当たらず、残業代を請求できる可能性があります。

  3. (3)賃金額が他の従業員と大差ない

    経営者と一体的な地位にふさわしい額の賃金が与えられていれば、管理監督者に該当すると評価される可能性があります。

    しかし、肩書が管理職であっても、賃金額がほかの従業員と大差ない方の場合、管理監督者に当たらず、残業代を請求できる可能性があります。

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3、深夜手当は管理監督者でも支払われる

1章で紹介したとおり、管理監督者は、法定内残業手当・時間外手当・休日手当を受け取ることができません。

一方、管理監督者であっても、深夜残業手当は発生します
午後10時から午前5時までに労働した管理監督者は、通常の賃金に対して25%以上の深夜手当を受け取ることが可能です。

「管理職だから」という理由で深夜手当が支払われていない場合は、会社に対して未払い額を請求しましょう。

4、未払い残業代がある場合の対応方法

管理監督者ではないのに残業代が支払われていない方や、深夜手当が支給されていない方は、以下の手順で未払い残業代を請求しましょう。

  1. (1)残業の証拠を確保する

    まずは、未払いの残業代があることを証明するために、残業の証拠を確保しましょう。
    タイムカードなど、以下で紹介する証拠をできる限り多く確保すれば、未払い残業代請求の成功率が高まります

    【残業があったことを証明しやすい証拠の例】
    • タイムカードや勤怠管理システムの記録
    • 社用PCのログイン情報
    • オフィスの入退館記録
    • 業務に関するメールなどの送受信記録
    • 家族に退勤の連絡をしたメッセージ
    • 交通系ICカードの乗車記録
    • ETCカードの記録
    • 業務日誌
    など
  2. (2)未払い残業代を計算する

    証拠を集めたら、その証拠をもとに残業時間を集計し、未払い残業代がいくら発生しているのか計算しましょう。
    残業代の額は、例えば月給制であれば、以下の式によって計算します。

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増賃金率×残業時間数

    1時間当たりの基礎賃金=1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間
    【総賃金から除外される手当】

    • 残業手当(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離などに応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    月平均所定労働時間=(365日(※)-1年間の所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月
    ※閏年の場合は366日

    先述のとおり、残業には種類があります。
    それぞれ、割増賃金率が異なるため、確認しましょう。


    残業の種類 割増賃金率
    法定内残業
    ※1日8時間・週40時間のなかで所定労働時間より長く働いた際の残業
    割増なし
    時間外労働
    ※1日8時間・週40時間以上働いた際の残業
    25%以上
    ※月60時間を超える部分については50%以上
    休日労働
    ※法定休日に働いた際の残業
    35%以上
    深夜労働
    ※夜10時から朝5時の間に働いた際の残業
    25%以上

    上記の方法で計算した残業代の額から、実際に支払われた残業代の額を差し引くと、未払い残業代の額を計算することができます。

  3. (3)労働基準監督署・労働組合・弁護士へ相談する

    未払い残業代請求の方法が分からない場合や、専門的なアドバイスを受けたい場合は、労働基準監督署や労働組合、弁護士に相談しましょう。
    それぞれ、どのような相談を依頼できるか紹介します。

    ① 労働基準監督署
    残業代の未払いなど、労働基準法違反に当たる事実を申告することで、企業への調査を求めることができます。
    未払い残業代の請求方法などについても、一般的なアドバイスを受けることが可能です。

    ② 労働組合
    未払い残業代の支払いを求める団体交渉を依頼できます。

    ③ 弁護士
    会社との交渉や裁判手続きなど、未払い残業代請求に必要な対応全般の代行を依頼できます。

    【弁護士への相談がおすすめ!】
    弁護士に依頼すると、残業の証拠収集、未払い残業代の計算、会社との交渉などについて幅広くアドバイスを受けることが可能です。
    詳しくは、弁護士に依頼するメリットをご覧ください。

    必要になる手続きも全面的に代行できるため、少しでも負担を減らして残業代を請求されたい方は、弁護士に相談することをおすすめします。

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5、管理職の残業代トラブルは弁護士へ相談を!

会社では管理職として扱われていても、勤務形態や待遇などの状況によっては「名ばかり管理職」に当たり、未払いの残業代を請求できる可能性があります。
残業代が支払われていないことについて不満があるときは、労働問題に詳しい弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。

ベリーベスト法律事務所は、未払い残業代請求に関するご相談を随時受け付けております。「管理職だから」という理由で残業代が支払われず、納得できない方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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