休日出勤をした労働者は、代休を取得できる場合があります。しかし、代休を取得できるかどうかは会社によって異なるので、就業規則等の内容を確認してみましょう。
また、休日出勤や代休の取得については、労働契約や労働基準法に照らして、違法な取り扱いをしている会社もあります。ご自身が不当な取り扱いを受けていると感じている方は、お早めに弁護士へご相談ください。
今回は、休日出勤の代休に関する取り扱いについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
休日出勤をした場合でも、必ず代休を取得できるわけではありません。
会社によっては代休の制度がなく、取得できない場合もあります。
ただし、代休取得や休日出勤につき、違法な取り扱いをしている会社も存在するので注意が必要です。
休日出勤をさせた従業員に代休を取得させることは、会社にとって法律上の義務ではありません。
代休取得のルールはあくまでも、労働契約または就業規則などの社内規定によって、会社ごとに定められます。
従業員は、労働基準法などの法令を根拠に、会社に対して代休取得を求めることはできません。
ただし、労働契約または就業規則などの社内規定により、従業員に代休取得の権利が認められている場合には、会社はそのルールに従う必要があります。
たとえば、「従業員の申請があれば代休取得を認める」というルールであれば、会社が不合理に代休取得申請を拒否することは認められません。
代休取得以前の問題として、休日出勤命令そのものが違法となるケースもあります。
労働基準法上、法定休日(※)に従業員を労働させることは、原則として禁止されています(労働基準法第35条)。
使用者は、労働者に対して、
必要があるため、休日出勤をしたにもかかわらず代休が与えられず、月の休みが3日しか与えられなかったという場合は違法となります。
例外的に認められるケース
ただし例外的に、時間外労働(法定労働時間を超える労働)・休日労働に関する労使協定(36協定)が締結されていれば、会社はそのルールの範囲内で、法定休日であっても従業員に出勤を命ずることができます。
言い換えれば、36協定で定められた範囲を超えて、会社が従業員に休日出勤を命ずることは違法です。仮にその後代休取得を認めたとしても、違法な休日出勤が適法になることはありません。
当然ながら、そもそも36協定が締結されていない場合は、法定休日に出勤するよう命令することは一切認められません。
代休の取得を拒否されたことだけでなく、休日出勤命令そのものが違法である可能性も念頭に、36協定の有無や内容をチェックしましょう。
法定休日に出勤した場合には、休日労働の割増賃金が発生する点に注意が必要です。
また、振替休日・有給休暇との間で取り扱いの違いがある点も知っておきましょう。
代休と振替休日は、いずれも、元々は休日だった日の労働に代えて、従業員に休日を与える制度です。
しかし法的には、代休と振替休日は次のとおり異なります。
(例)法定休日である9月25日に労働した後、9月26日に代休申請を行い、9月27日に代休を取得した。
(例)休日であった9月25日と、労働日であった9月27日をあらかじめ振り替えたうえで、9月27日は振替休日として休んだ。
前述のとおり、法定休日に出勤した場合は休日労働の割増賃金(35%以上)が発生する一方で、振替休日の場合は休日労働の割増賃金が発生しません。
上記の設例を用いて、代休・振替休日を取得した場合の賃金計算がどのように異なるのかを見てみましょう。
なお、労働契約・就業規則などによって代休取得が強制されていない限り、従業員は代休を取得する代わりに、有給休暇を取得することもできます。
有給休暇を取得すれば、休んだ日についても賃金全額が支払われる点が大きなメリットです。
前述と同じ、上記の設例を用いて解説します。
会社が従業員に対して、代休や振替休日を強制的に取得させることは、労働契約や就業規則などのルールに沿っていれば問題ありません。
この場合、代休や振替休日の取得についても、契約内容の一部になっているからです。
これに対して、労働契約や就業規則に定めがないにもかかわらず、代休や振替休日を強制的に取得させることは違法となります。
なお、従業員による有給休暇の取得申請を拒否して、代休または振替休日扱いにする場合も、上記と同様です。
労働契約や就業規則などのルールに沿っていれば問題ありませんが、そうでなければ違法となります。
これまで解説した内容を踏まえて、休日出勤・代休に関する取り扱いが違法になり得るケースの代表例をまとめました。
法定休日に労働した場合、会社は通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
休日労働の割増賃金が正しく支払われていない場合は労働基準法違反であり、従業員は会社に対して未払い賃金の支払いを請求できます。
未払い賃金の請求は、弁護士へご依頼いただくのがスムーズです。
36協定の上限を超えて、会社が従業員に休日出勤を命じることも労働基準法違反です。
過剰な休日出勤は、従業員の健康に悪影響を与えかねません。
もしルール違反の休日労働を命じられている場合は、お早めに弁護士へご相談ください。
会社が従業員に対して強制的に代休を取得させることができるのは、労働契約や就業規則などにおいて、強制取得を認めるルールがある場合のみです。
このようなルールがないにもかかわらず、会社が従業員に対して強制的に代休を取得させることは違法です。
会社の取り扱いに疑問がある場合は、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
有給休暇の取得を拒否して、強制的に代休扱いにする場合も、強制的に代休を取得させる場合と同様に取り扱われます。
すなわち、労働契約や就業規則などで認められていない場合は、このような取り扱いは違法となりますので、弁護士にご相談ください。
休日出勤をした従業員が代休を取得できるかどうかは、労働契約や就業規則などのルールによります。
休日出勤と代休の取得については、休日手当の未払いや、違法な代休の強制取得など、会社の取り扱いに問題がある場合が見られます。
休日出勤や代休の取り扱いについて、疑問がある場合や納得できない場合には、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。
1人で悩むより、弁護士に相談を
1人で悩むより、弁護士に相談を