「忙しくて休憩時間がなかなか取れない……」そんな状態が続いて、会社に対して休憩時間にあたる時間にも給料を支払ってほしいと思ったことはありませんか?
会社は従業員に対して、労働時間に応じて休憩時間を与える義務があります。また、休憩時間にも原則があり、それに則した休憩ができない場合は、会社から適切な休憩が与えられているとはいえません。
上司の指示や膨大な業務量などが原因で適切な休憩がとれなかった場合は、その分の残業代を請求できる可能性があるのです。
本記事では、休憩時間に関する労働基準法のルールや、休憩時間がとれなかった場合に残業代を請求する方法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
労働基準法では、一定時間以上働く労働者に対して、休憩を与えることを会社側に義務付けています。まずは、労働基準法における休憩時間のルールを確認しておきましょう。
会社側は、1日の労働時間に応じて、労働者に対して下表の水準以上の休憩時間を与えなければなりません(労働基準法第34条第1項)。
1日の労働時間 | 休憩時間 |
---|---|
6時間以下 | なし |
6時間を超え8時間以下 | 45分以上 |
8時間超 | 1時間以上 |
会社が労働者に対して休憩時間を与える際には、以下の3原則を遵守しなければなりません。
労働基準法では、これらの休憩時間のルールに違反した場合、会社側には「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という重い罰則が定められています(労働基準法第109条1号)。それほど休憩時間は労働者にとって大切な権利なのです。
適切に休憩時間が運用されていない場合は、会社側に是正を求めましょう。
業務の特殊性や自律性などの理由から、以下のいずれかに該当する労働者には、休憩に関する規制が適用されません(労働基準法第41条、第41条の2)。
したがって、これらの労働者には休憩時間の3原則に沿った休憩が付与されないことがあるため注意しましょう。
ただし、管理監督者や高度プロフェッショナル制度が適用される者には、業務上の広い裁量が認められているので、適宜自分の判断で休憩をとることができます。
適切な休憩時間を付与しないことは、労働基準法違反に該当します。
使用者に対して、労働基準法に従って休憩を付与するように求めましょう。
また、休憩が与えられなかった分多く働いたことになるので、その分の残業代を請求することが可能です。
特に以下のようなケースでは、休憩のはずなのに働かざるを得なかった時間であるため、残業代を請求できる可能性が高いと考えられます。
本来であれば休憩時間なのに、上司が「忙しいから休憩するな」などと言われたことはありませんか?
上司からこのような指示を受けた場合、その時間は休憩時間ではなく労働時間として扱われ、残業代を請求する権利が発生します。
これは、会社(使用者)の指揮命令下で働かされていると法的に判断されるためです。
「残業が禁止されているのに、業務量が多すぎる。」
「休憩時間をつぶして仕事をするしかない……」
適切に労務管理がされておらず、職場でこのような状況に追い込まれている方もいらっしゃるかと思います。
こんな場合は、休憩時間に働いた時間についても残業代を請求可能です。
所定労働時間の範囲では到底終わらないような業務量を与えられている場合は、休憩時間も働くことを、会社や上司から直接は言われていないものの、実質的に強制されていると解釈できます。
ただし、会社側からの指示がなく、緊急性の高い業務もないような状況では、自主的に休憩時間に働いても残業代は請求できない可能性が高いのでご注意ください。
対応すべき具体的な業務はないものの、指示があれば業務に対応できるように待機を命じられている時間を「手待ち時間」といいます。
手待ち時間は、使用者の指揮命令によって待機しており、労働の義務から完全に解放されていません。そのため、手待ち時間は労働時間に該当し、残業代が発生します。
仮眠時間についても、起こされて業務対応を指示される可能性がある場合は、手待ち時間と同じく労働時間に該当し、残業代が発生します。
休憩時間にも働かざるを得ない状況が続いていて、未払い残業代を請求したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
残業代の未払いについては労働基準監督署にも相談できます。労働基準監督署は会社の違法な労働状態(休憩時間中の労働強制)を是正する権限を持っていますが、会社に対して個人の未払い残業代請求を代わりに行ってくれるわけではありません。
これに対して、弁護士であれば、代理人として未払い残業代請求を代わりに行うことができます。
残業代の計算方法は複雑で、請求した未払い残業代が法的に適正であると証明するためには専門知識が必要になります。
後述で計算方法を解説しますが、これをご自身で対応するのは、骨がおれる作業ですし、頑張って計算しても、計算結果が合っているのか、分からない・自信がないというケースも多いでしょう。
ですが、弁護士であれば、任せるだけで適正な金額の算出が可能です。
また、残業の証拠の確保が難しい場合には、弁護士を通じて証拠開示を会社に請求することもできます。
このように、弁護士のサポートを受けることにより、適正額の未払い残業代を回収できる可能性が高まります。休憩時間に働かされた分の未払い残業代を請求したい方は、まず弁護士にご相談ください。
未払い残業代請求に当たり、休憩時間にも働かざるを得なかったことを証明するためには、以下のような証拠が役立ちます。
客観的な残業の証拠が存在しなくても、日々記録したメモや業務日誌などが残業の立証に役立つこともあります。
適切な休憩が取れず、実質的には労働時間になっている場合は、会社側に休憩時間に働いた分の賃金を残業代として請求することが可能です。
休憩時間に働かされた場合、所定労働時間と働いた休憩時間の合計が法定労働時間を超える場合は、時間外労働の割増賃金の計算することになります。
ご自身で未払い賃金(残業代)がいくらになるのか知りたい方のために、計算方法を解説します。
なお、まずはおおよその残業代知りたい場合は残業代チェッカーを利用するのが便利です。
まずは以下の式によって、1時間当たりの基礎賃金を求めます。
1時間当たりの基礎賃金は、残業代の時給に相当するものです。
次に、以下の種類に応じて残業時間を集計します。
集めた残業の証拠を参照して、残業時間を漏れなく集計しましょう。
法定内残業 | 所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない残業 |
---|---|
時間外労働 | 法定労働時間を超える残業 |
休日労働 | 法定休日における労働 |
深夜労働 | 午後10時から午前5時までに行われる労働 |
※法定休日は1週間につき1日、または4週間を通じて4日のみです。法定休日以外の休日(=法定外休日)における労働は、法定内残業または時間外労働として取り扱います。
1時間当たりの基礎賃金と残業時間数が分かったら、以下の式によって残業代の額を計算します。
残業代の割増率は、残業の種類に応じて下表のとおりです。
残業の種類 | 割増率 |
---|---|
法定内残業 | 割増なし |
時間外労働 | 通常の賃金に対して125% ※月60時間を超える部分については、通常の賃金に対して150% |
休日労働 | 通常の賃金に対して135% |
深夜労働 | 通常の賃金に対して125% |
以上の手順で計算した賃金(残業代)とすでに支払われた賃金の差分が、未払いであるとして会社に請求することができます。
割増賃金の計算方法について、詳しくは以下の記事もご覧ください。
ご自身で残業代を計算するのはハードルが高い、面倒だと感じる方は、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
休憩時間にも働かざるを得なかった場合は、勤務先の企業に対して残業代を請求できる可能性があります。
休憩時間に働いたことを示す証拠集めや、適切な残業代計算などは専門的な知識が必要なため、弁護士のサポートを受けながら未払い残業代の回収を目指しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、会社に未払い残業代請求を検討している方からのご相談を随時受け付けております。残業代請求についての相談料は何度でも無料で、全国各地にオフィスがあるため、お住まいの近くでご相談いただけます。
休憩時間に仕事した分の未払い残業代を請求したい方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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