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労働問題全般の弁護士コラム

非正規(派遣)社員の格差問題。正社員との待遇差が不満な場合の対処法

2021年01月06日
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非正規(派遣)社員の格差問題。正社員との待遇差が不満な場合の対処法

非正規雇用で働く方が増えている中、正社員と非正規社員の待遇格差が社会問題となっています。

正社員と非正規社員では雇用形態が違うとはいえ、非正規社員の中には、実質的には正社員と同じような働きをしている方もいらっしゃるのが実情です。

このような非正規社員に対して、正社員との間に不合理な労働条件の格差を設けることは、「同一労働同一賃金」の考え方に照らして違法になる可能性があります。

パートタイム・有期雇用労働法が施行され(大企業については2020年4月1日から施行、中小企業については2021年4月1日から施行)、非正規社員の方が法律上とることのできる手段が拡大しました。

格差問題に疑問を感じた方は、弁護士に相談して適切な対応を取りましょう。
この記事では、正社員と非正規社員の待遇格差に関する法律上の問題を中心に、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、同じ仕事をしているのに…非正規社員を格差問題から守る法律とは

正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず、賞与や退職金が支給されなかったり、有給休暇が十分に認められなかったりするなど、待遇格差の問題に悩まされている非正規社員は非常に多くなっています。

正社員と非正社員の間の不合理な待遇差を解消することにより、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられるように、こうした待遇格差の問題を是正することを目的としているのが、「パートタイム・有期雇用労働法」です。

  1. (1)パートタイム・有期雇用労働法とは

    パートタイム・有期雇用労働法は、正式名称を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といいます。

    いわゆるパート・アルバイトなどの「短時間労働者」、契約期間の定めがある雇用契約によって雇用される「有期雇用労働者」は、無期雇用の正社員に比べて、あらゆる面で待遇が低く抑えられがちです。

    こうした不合理な待遇差が存在することを踏まえ、パートタイム・有期雇用労働法には、正社員と非正規社員の間の待遇格差を是正するためのさまざまな規定が置かれています。

  2. (2)非正規社員が格差問題について会社に要求できること

    パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条の規定により、同一の企業内で働く正社員と非正規社員の間では、不合理な待遇差をつけることが禁止されます。

    これを「同一労働同一賃金」といいます。

    パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条は、強行法規です。
    仮に非正規社員が会社から不合理な待遇差別を受けている場合には、基準となる正社員が受けている待遇との差額相当額について、不法行為(民法709条)に基づき会社に対して損害賠償請求できる場合があります。

    また、待遇格差が不合理であるかどうかの判断材料とするため、非正規社員は会社に対して、以下の事項に関する説明を求めることが可能です(同法第14条第2項)。


    • 正社員との間の待遇差の内容、理由
    • 待遇差を決定するにあたって考慮した事項
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2、非正規・正規で不合理な格差が認められない待遇とは

パートタイム・有期雇用労働法に規定される、同一労働同一賃金の考え方に照らして、正社員と非正規社員の間で問題となる、待遇格差の具体的な内容を見ていきましょう。

  1. (1)あらゆる待遇について不合理な格差は認められない

    パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条の法文上、不合理な差別禁止の対象となっているのは、「基本給、賞与、その他の待遇」です。
    つまり、同一労働同一賃金の考え方は、金銭的な待遇のみならず、あらゆる待遇について適用されます。

    したがって、従業員に与えられるすべての待遇については、正規・非正規という雇用形態による区別ではなく、「どのような働きをしているか」という観点から、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と 認められる事情を考慮して判断されることになります。

  2. (2)格差が問題となる待遇の具体例

    正社員と非正規社員の間の待遇格差が問題となる待遇の具体例としては、以下のものが挙げられます。


    • 基本給
    • 賞与
    • 退職金
    • 有給休暇
    • 夏期休暇、冬期休暇
    • 休業手当
    • 家族手当
    など
  3. (3)合理的な理由のある待遇差は認められる

    ただし、同一労働同一賃金の考え方によれば、正社員と非正規社員を必ず全く同じに取り扱わなければならないわけではありません。
    パートタイム・有期雇用労働法第8条の法文上も、不合理と認められる待遇差を禁止しています。

    前述したとおり同一労働同一賃金の趣旨は、正社員と非正社員の間の不合理な待遇差を解消することにより、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられることにありますので、合理的な理由が認められる場合には、待遇差を設けることも認められる可能性があります。

    たとえば、正社員と非正規社員の間で、業務の内容や責任の程度、人事異動の範囲などに差がある場合は、その差に応じて合理的な範囲の待遇差を設けることは禁止されません。

    待遇格差がどのような場合に認められるのか、またどのような場合に認められないのかについては、次の項目で詳しく見ていきましょう。

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3、【最新判例】非正規社員の格差問題について最高裁はどう判断した?

2020年10月13日と同月15日に、正社員と非正規社員の待遇格差が問題となった5件の事件について、相次いで最高裁判決が言い渡されました。

最高裁は、それぞれの事件において、同一労働同一賃金の考え方について、詳細かつ具体的な認定を行っていますので、その内容について解説します。

  1. (1)待遇格差の合理性を判断するための主な着眼点

    同一労働同一賃金を定めるパートタイム・有期雇用労働法第8条は、待遇格差の合理性を判断するための考慮要素として、以下のものを例示しています。

    待遇格差の合理性は、これらの考慮要素を総合的に考慮して判断されます。

    労働者側の事情として
    • 業務の内容、業務に伴う責任の程度(併せて「職務の内容」)
    • 職務の内容および配置の変更の範囲

    待遇そのものに関する事情として
    • 待遇の性質
    • 待遇を行う目的 


    最高裁も、5つの事件すべてにおいて、上記の考慮要素を中心に認定したうえで、待遇格差の合理性に関する判断を行いました。

  2. (2)最高裁で適法・不合理ではないと認められた待遇差

    最高裁は、5つの事件の中で、以下の待遇格差を適法と認定し、非正規社員側の請求を退けました。

    ① 賞与(大阪医科薬科大学事件、2020年10月13日判決)
    賞与の支給は正社員の人材確保・定着を目的としていることを前提に、主に以下の各点を重視して、アルバイト社員に対する賞与がないことを不合理と認められるものではないと判示しました。

    • アルバイト社員の業務は相当に軽易であったこと
    • アルバイト社員は原則として配置転換がないこと


    ② 私傷病による欠勤中の賃金(休職手当)(大阪医科薬科大学事件、2020年10月13日判決)
    休職手当の支給は、長期雇用を前提とした生活保障・雇用の確保を目的としていることを前提に、主に以下の各要素を考慮して、アルバイト社員に対する休職手当の支給がないことを不合理であると評価することができるものではないと判示しました。

    • アルバイト社員は、長期的な雇用を前提とした勤務である、と考えられていないこと
    • 原告自身の会社在籍期間も長期とはいえないこと


    ③ 退職金(メトロコマース事件、2020年10月13日判決)
    退職金が労務の対価の後払いや継続的な勤務等に対する功労報償等の複合的な性質・意味合いを有していることは認めつつも、基本的には正社員の人材確保・定着が目的であると判断されました。

    そのうえで、業務内容や配置転換などを理由に、契約社員に対する退職金の支給がないことは不合理であるとまでは評価できないと判示しました。

  3. (3)最高裁で違法・不合理とされた待遇差

    これに対して、最高裁により非正規社員の主張が認められ、不合理と認定された待遇格差は、以下のとおりです。

    ① 夏期休暇・冬期休暇(日本郵便(佐賀)事件、2020年10月15日判決)
    夏期休暇・冬期休暇の目的は、年次有給休暇や病気休暇等とは別に、従業員が労働から離れることによって心身の回復を図ることにあることが認定されました。

    その前提の下、その趣旨は契約社員にも当てはまるとして、契約社員に対して夏期休暇・冬期休暇を付与しないことは違法・不合理であると判示しました。

    ② 年末年始勤務手当(日本郵便(東京)事件、日本郵便(大阪)事件、2020年10月15日判決)
    年末年始勤務手当は、業務の最繁忙期かつ多くの労働者にとって休日である期間に労働したことの対価である、と認定されました。

    そのうえで、制度趣旨は契約社員にも妥当すると認定し、契約社員に年末年始勤務手当を支給しないことは違法・不合理であると判示しました。

    ③ 扶養手当(日本郵便(大阪)事件、2020年10月15日判決)
    扶養手当の目的は、正社員の生活保障や福利厚生を図ることにより、長期継続雇用を確保することにあると認定されました。

    そして、原告の契約社員が契約期間を何度も更新しているなど、長期継続勤務が期待できる状況にあったことから、制度趣旨が妥当すると判断され、扶養手当の不支給は違法・不合理であると判示しました。

    ④ 有給の病気休暇(日本郵政(東京)事件、2020年10月15日判決)
    有給の病気休暇を与える目的は、生活保障による長期継続雇用の確保にあると認定されました。

    そのうえで、原告である契約社員の勤続年数が長かったことから、制度趣旨が妥当すると判断され、有給の病気休暇を付与しないことは違法・不合理と判示しました。

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4、非正規社員と正社員の待遇格差に疑問を感じたら弁護士に相談を

非正規社員の方が、正社員との待遇格差が不合理ではないかと感じた場合にはお早めに弁護士に相談することをお勧めいたします。

  1. (1)法律に照らして待遇格差が不合理かどうかを精査できる

    正規・非正規の待遇格差が適法か違法かは、待遇の目的や労働者の業務内容などから、ケース・バイ・ケースで判断されます。

    5件の最高裁判決は示されているものの、いずれも具体的事例に対する判断であり、事情が異なれば結論も変わってくることになるのです。

    ご自身が非正規社員として置かれている状況を踏まえて、待遇格差が不合理かどうかを正しく判断するためには、弁護士に相談して法律的な観点からのチェックを受けることをおすすめします。

  2. (2)不合理な待遇差について具体的な請求までサポートを受けられる

    仮に待遇格差が不合理であるとなれば、会社に対して損害賠償請求をすることができる場合もあります。

    その際、最初から弁護士に依頼をしておけば、交渉・労働審判・訴訟などのステップへの移行もスムーズです。

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5、まとめ

パートタイム・有期雇用労働法に定められる同一労働同一賃金の考え方により、正社員と非正規社員の間の不合理な待遇格差は違法となりました。
しかし、待遇格差が適法か違法かは、複数の考慮要素により、ケース・バイ・ケースの判断が必要となります。

ベリーベスト法律事務所は、正社員との待遇格差にお悩みの非正規社員の方を支援しています。
待遇格差に問題を感じていて、会社に対して何らかの請求をしたいとお考えの方は、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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