「お金を貸したのに返してくれないから、弁護士に依頼して回収したい!」
「身内が逮捕されてしまって、刑事裁判になりそう!」
こうした場合に、弁護士費用はいくらかかるのでしょうか。
今回は、裁判をするためにかかる弁護士費用について、民事訴訟と刑事訴訟に分けて説明していきます。ご参考になれば幸いです。
以前は、弁護士報酬は一律に定められていましたが、現在では弁護士の料金体系は自由に決めることができます。そのため、弁護士事務所によって弁護士費用は異なります。
実際に民事事件を弁護士に依頼した場合には、以下のような費用がかかります。
相場としては、1時間1万円ほどですが、最近は相談無料としている弁護士事務所も多いようです。
着手金とは、事件着手時に発生する費用のことで、結果にかかわらず、返金されないものです。
依頼する事件(例えば、過払い金の請求を求める場合)によっては、着手金を無料にしている弁護士事務所もありますので、着手金がいくらかかるかは依頼する事件によって、または弁護士事務所によって異なります。
報酬金とは、事件の解決時に発生する費用ことをいいます。仕事の結果について、例えば「回収金額の何%」というような形でかかることになります。
① 旧報酬規程
弁護士事務所によって報酬金の金額は異なりますが、現在でも基準として利用する事務所が多いことから、前述の弁護士会の旧報酬規程が、一応の参考になります。
経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下の部分 | 8% | 16% |
300万円~3000万円の部分 | 5% | 10% |
3000万円~3億円の部分 | 3% | 6% |
3億円を超える部分 | 2% | 4% |
② 残業代請求の相場
実際に回収できた金額の20%~30%が相場です。
残業代請求・弁護士相談費用一覧 ベリーベスト法律事務所
③ その他債権回収全般の相場
①の旧報酬規程を相場にしている弁護士事務所が多いようです。
⑤ 交通事故
任意保険に弁護士特約が付いている場合には、基本的に弁護士費用はかかりませんが、弁護士特約が付いていない場合には、弁護士を自費で負担しなければなりません。
交通事故の弁護士費用は弁護士事務所によって異なりますが、現在でも基準として利用する事務所が多いことから、①の旧報酬規程が、一応の参考になります。
もっとも、最近では、着手金無料で完全成功報酬型としている事務所もあります。具体的には以下のような報酬体系が相場といえるでしょう。
日当とは、弁護士が遠方へ出張した際に生じる費用のことです。
実費とは、例えば、書面の作成や事件調査といった、仕事に関して生じる費用のことです。また、弁護士が活動するにあたり発生した交通費もここに含まれます。
弁護士費用は、裁判で負けた方が支払うと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、民事訴訟で弁護士費用を負担するのは、それぞれ委任した人(依頼者)になります。
「訴訟費用は〇〇の負担とする。」との判決が出ますが、この訴訟費用とは訴訟にかかる印紙代程度のことで、実際にかかった弁護士費用は、それぞれご自身で支払うことになります。弁護士費用を負けた方に支払わせることはできません。この点は注意して下さい。
私選弁護人とは、被疑者・被告人自身あるいは家族等から直接委任を受けた弁護人のことをいいます。そして、私選弁護人は、実際に面談等をした上で、委任する弁護士を選ぶことができます。
刑事事件を私選弁護人に依頼した場合には、以下のような弁護士費用がかかります。
① 相談料
相場としては、1時間1万円ほどですが、最近は相談無料としている弁護士事務所も多いようです。
② 依頼前の接見費用
相場としては、5万円〜10万円ほどです。
③ 着手金
相場としては、30万円ほどです。
なお、一般的に否認事件(逮捕された者が容疑の事実を認めていない事件)の場合には着手金が高額になる傾向があります。
④ 成功報酬金
相場としては、30万円ほどです。
なお、着手金の場合と同様、一般的に否認事件(逮捕された者が容疑の事実を認めていない事件)の場合にはより高額になる傾向があります。
⑤ 追加の接見費用
依頼後複数回接見した場合に接見ごとにかかる費用のことで、相場としては、接見1回につき3万円〜5万円ほどです。
⑥ 無罪判決を獲得したら裁判費用を支払わなくてもいい?
有罪判決の場合はもちろんのこと、無罪判決を獲得したとしても裁判費用はご自身の負担となります。
刑事事件・弁護士相談費用一覧(ベリーベスト法律事務所)
国選弁護人とは、被疑者・被告人が貧困等の理由で弁護人を選任できない場合に、国(裁判所)に選任される弁護人のことをいいます。国選弁護人が選任されるには、一定の資力要件(現金や預金が50万円を超えないこと)を満たす必要があります。また、被疑者段階で国選弁護人が選任されるのは、特定の罪名(法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件)に該当し、かつ勾留されている場合に限ります。
国選弁護人が刑事事件を担当する場合には、費用がかかる場合とかからない場合があります。具体的には、以下の通りです。
① 費用がかかる場合
有罪判決が出た場合には、基本的に弁護士費用を支払う必要があります。しかし、貧困の場合には支払う必要がないとされています。
そして、実際にいくら支払うかは判決主文(有罪か無罪か、懲役何年かなど)の後に裁判官から言い渡されることになります。仮に、弁護士費用を支払わなければならないとしても、その金額は前述の私選弁護人の弁護士費用の相場よりは安くなる傾向にあります。
なお、具体的な国選弁護の報酬基準は、日本司法支援センター(法テラス)の「国選弁護人の事務に関する契約約款」の中で、基本的には弁護士の労力や被疑者・被告人の利益に比例して報酬が高くなるように定められています。
詳しくは、法テラスの「国選弁護人の事務に関する契約約款」をご覧下さい。
② 費用がかからない場合
無罪判決が出た場合には、弁護士費用はかかりません。
今回は、弁護士費用について、民事事件と刑事事件とに分けて説明してきましたが、いかがだったでしょうか。ぜひ、弁護士費用が実際にいくらかかるかについて、ご参考になれば幸いです。
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