労働基準法では、労働者の休日に関するルールが定められています。休日のルールに違反して、使用者が労働者を長期間連勤させることは違法です。
また、過度な連勤は労働者の健康を害するため、労働基準法に抵触しないとしても、別の法律に基づいて違法となる場合があります。
会社に連勤を命じられ、働くことのつらさを感じている方は、お早めに弁護士へご相談ください。今回は労働者の連勤について、何日まで認められるのか、連勤が違法になるケースの例、連勤時に発生する残業代の計算方法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
使用者が労働者を連勤させることができる日数の上限は、法定休日の設定の仕方によって異なります。
法定休日が週1日の場合は12連勤、4週間に4日の場合は48連勤が、連続勤務日数の上限です。
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に与えるべき休日に関するルールを定めています。
使用者は労働者に対して、以下のいずれかを選択して休日を与えなければなりません。
労働基準法第35条の規定に基づいて付与される休日を「法定休日」といいます。
これに対して、法定休日以外の休日は「法定外休日」と呼ばれています。
法定外休日は労働契約や就業規則に基づいて付与されますが、労働基準法によって付与が義務付けられたものではありません。
たとえば週1日の法定休日を付与する会社において、実際には週2日の休日が設定されていたとします。
この場合、いずれか1日のみが法定休日で、残りの1日は法定外休日です。
法定休日と法定外休日は、以下の要領で区別されます。
労働基準法に基づく連勤の上限日数は、使用者に付与が義務付けられている法定休日を基準に考えます。
法定休日が週1日の場合は、12連勤が上限です。
法定休日が4週間を通じて4日の場合は、48連勤が上限です。
使用者の労働者に対する連勤の指示は、労働基準法の上限を超過していれば違法となります。
また、労働者の健康を害するような過度の連勤は、労働契約法や労働安全衛生法の違反にも該当する可能性があります。
前述のとおり、法定休日が週1日の場合は12連勤、4週間を通じて4日の場合は48連勤が上限です。この上限を超えて労働者を連勤させることは、労働基準法違反に当たります。
また、常に12連勤(または48連勤)が認められるわけではなく、1週間に1日(または4週間を通じて4日)の法定休日を確実に与えなければなりません。
さらに、時間外労働の時間数や休日労働(法定休日における労働)の日数は、労働者側との間で締結した労使協定(36協定)のルールに従う必要があります。
36協定の上限を超えて時間外労働や休日労働をさせている場合も、労働基準法違反です。
労働基準法に違反する連勤を指示した場合、労働基準監督署による行政指導や刑事罰の対象となります。
使用者は、労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように、必要な配慮をする義務を負います(労働契約法第5条)。これを「安全配慮義務」といいます。
過度な連勤は、労働者が健康を害するリスクを高めます。労働基準法の上限は超えていなくても、あまりにも長期間の連勤を指示することは、使用者が安全配慮義務に違反している可能性が高いです。
安全配慮義務違反となる連勤を指示した場合、使用者は労働者に対して損害賠償責任を負います。
労働安全衛生法により、使用者には快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保することが義務付けられています(同法第3条第1項)。
労働者に対して過度な連勤を命じることは、上記の安全・健康確保義務に違反する可能性があります。
労働安全衛生法に違反する連勤を指示した場合、労働基準監督署による行政指導などの対象となります。
長期間にわたって連勤している場合は、残業代がきちんと支払われているかどうかを確認しましょう。
実際には、未払い残業代が発生しているケースが非常に多いです。
残業の種類や振替休日・代休の取り扱いなどによって計算方法が異なるほか、消滅時効にも注意が必要なので、弁護士にご相談ください。
残業や休日出勤について生じる残業代は、以下の式によって計算します。
残業・休日出勤の種類 | 概要 | 割増率 |
---|---|---|
法定内残業 | 所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない部分の労働時間 ※法定外休日の労働を含む |
通常の賃金 |
時間外労働 | 法定労働時間を超える部分の労働時間 ※法定外休日の労働を含む |
通常の賃金×125% ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×150% |
休日労働 | 法定休日における労働時間 | 通常の賃金×135% |
深夜労働 | 午後10時から午前5時までの労働時間 | 通常の賃金×125% |
時間外労働かつ深夜労働 | 通常の賃金×150% ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×175% |
|
休日労働かつ深夜労働 | 通常の賃金×160% |
以上が計算の基本的な考え方ですが、実際の勤務状況・勤務の実態にそって計算する必要があり、一般の方が正確な残業代を算出するのはハードルが高いと言えます。
正確な残業代を知りたい方は、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
弁護士であれば、勤務時間の記録などの証拠をもとに、法的根拠に基づいた正確な残業代を出すことができます。計算を全て任せることができるので、手間もかかりません。
もし、勤務時間の記録などがない場合でも、証拠の集め方からアドバイスをしてくれたり、会社に勤務時間の記録を開示するように請求することもできますので、安心です。
残業代請求権は、発生から3年が経過すると時効消滅します(労働基準法第115条、同法附則第143条第3項)。
3年以上前の残業代は請求ができないということです。
そのため、残業代請求は早めに行うべきです。
未払い残業代の発生が長期間にわたる場合には、弁護士に相談して早期に内容証明郵便を発送し、残業代請求権の時効完成を阻止しましょう。
法定休日に出勤した労働者に対しては、振替休日または代休が割り当てられることがあります。
長期間にわたる連勤をつらく感じている方は、業務負担の軽減などについて、すぐに会社へ相談しましょう。また、有給休暇の取得を申請することも検討すべきです。
業務負担の軽減や有給休暇の取得について、会社に難色を示され、ご自身での対処が難しい場合は、労働基準監督署または弁護士にご相談ください。
労働基準監督署と弁護士では、以下のような違いがあります。
特に弁護士は、労働者の権利を守るために、未払い残業代請求などの具体的な対応ができます。連勤がつらく悩んでいる方は、お早めに弁護士までご相談ください。
労働基準法によれば、労働者による連勤の上限日数は12日または48日です。
しかし、労働基準法上は許容されているとしても、会社による過度な連勤指示は安全配慮義務違反等に当たる可能性があります。
また、連勤が続いている場合は未払い残業代が生じているケースも多いので、弁護士への相談をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、会社とのトラブルに関するご相談を随時受け付けております。過度な連勤にお悩みの方や、未払い残業代請求をご検討中の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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