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残業代請求の弁護士コラム

残業の上限は「原則、月45時間」超えたら会社に罰則はある?

2022年05月19日
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残業の上限は「原則、月45時間」超えたら会社に罰則はある?

長時間の残業が常態化している職場で働いており、会社の残業が違法ではないかと疑問を感じている方は少なくないでしょう。

長時間労働は心身の疲労が蓄積される大きな要因となるため、少しでもはやく状況を改善したいと考えるのは当然のことです。特に残業が月45時間を超えたら、会社の違法性を確認するべき段階にあるといえます。

本コラムでは残業時間の上限や会社に科せられる罰則の内容、違法となるケース・ならないケースについて、平成31年4月に施行された労働基準法改正の内容も踏まえて解説します。

1、残業時間の上限は月45時間・年360時間

法律が定める残業時間の上限は月に45時間と、年に360時間です。
働き方改革にともない平成31年4月に改正労働基準法が施行され、条文に明記されています。

  1. (1)残業をするには36(サブロク)協定が必要

    会社勤めをしている方は当たり前のように残業をしているかもしれませんが、そもそも労働基準法では1日8時間、1週40時間を超えた労働が原則として禁止されています(第32条)。

    つまり多くの方が当然のように課せられている残業は、本来は違法なのです。

    しかし、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は当該労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数代表者と使用者との間で「時間外・休日労働に関する協定届」を締結し、労働基準監督署へ届け出た場合には、例外的に残業が認められます。

    同協定は労働基準法第36条に定められていることから「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

  2. (2)36協定があっても残業時間には上限がある

    36協定は無制限な残業を許容する趣旨で存在するわけではありません。
    36協定を結んだ場合でも、残業時間の上限は、原則として「月に45時間・年に360時間」と定められています(第36条第4項)。

    以前、この上限は厚生労働大臣の告示(限度基準告示)によって定められていたため、会社が違反しても行政指導の対象となるのみでした。

    しかし働き方改革の推進にともない労働基準法に罰則付きで上限が規定されたことから、違反すれば会社が刑罰を受ける可能性があります。

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2、45時間以上の残業が認められるケース

36協定を結んだ場合の上限は、月に45時間と年に360時間ですが、これを超える残業が認められるケースがあります。
もし、ご自身が月45時間を超えて残業している場合は、以下に該当するかを確認しましょう。

  1. (1)特別条項付き36協定を締結した場合

    臨時的な理由があったり、特別な事情があり、限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、労働者側と使用者側双方が合意すれば、「月に45時間・年に360時間」を超えて残業することができます

    当該合意を付加した協定を、「特別条項付き36協定」といいます。
    臨時的・特別な事情とは突発的な注文や納期がひっ迫している状況などを指すものであり、恒常的な残業を対象とすることは許されません。

    以前は残業の上限規制が大臣告示にすぎなかったうえに、特別条項付き36協定を結んだ場合の残業時間の上限は定められていなかったため、実質的に残業を無制限に行うことが可能でした。

    しかし労働基準法の改正後は、特別条項付き36協定を締結しても、会社は以下を厳守しなければならなくなりました。

    時間外労働 年720時間以内
    時間外労働+休日労働の合計 月に100時間未満、かつ2~6か月の平均時間が80時間以内である
    月45時間超の時間外労働 年に6か月まで

    違反すれば会社は行政指導を受けるだけでなく刑罰を科される場合があります。

  2. (2)上限規制がかからない、または猶予となる事業・業務の場合

    新技術・新商品などの研究開発業務は上限規制がかかりません。
    また以下の事業・業務では一部上限規制がかからなかったり、一部猶予となっています。

    建設事業

    令和6年3月31日まで 上限規制が適用除外されています。
    令和6年4月1日以降 災害の復旧・復興の事業は、月100時間未満、2~6か月の平均時間が80時間以内の規定が適用除外。
    そのほかの事業は上限規制がすべて適用。

    自動車運転の業務

    令和6年3月31日まで 上限規制が適用除外されています。
    令和6年4月1日以降 特別条項付き36協定を結ぶ場合の時間外労働が年960時間まで。
    月100時間未満、2~6か月の平均時間が80時間以内、月45時間超が年6か月までの規定は適用除外。

    医師

    令和6年3月31日まで 上限規制が適用除外されています。
    令和6年4月1日以降 勤務医・特定地域医療提供機関・技能向上集中研修機関・特定高度技能研修機関ごとに省令で定める時間が上限規制となります。

    鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業

    令和6年3月31日まで 月100時間、2~6か月平均80時間以内の規定は除外。
    令和6年4月1日以降 上限規制をすべて適用。
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3、残業上限を超えた場合に会社が受ける罰則

どのようなケースで残業が違法となるのかを確認しながら、違反した場合に会社が受ける罰則の内容について見ていきましょう。

  1. (1)残業が違法となるケース

    残業が違法となるのは以下のようなケースです。

    • 36協定が締結・届け出されていないのに残業が行われた
    • 36協定が締結・届け出されているが、36協定で定めた時間を超える残業が行われた
    • ある月の残業時間と休日労働の合計が100時間以上になった
    • 残業時間と休日労働の合計の2~6か月平均のいずれかが80時間を超えた
    • 月45時間を超える残業が行われた月が年7回以上あった
    など
  2. (2)違法となった場合に会社に科される刑罰

    上記のようなケースで会社に科される刑罰は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」です(労働基準法第119条)。

    労働基準法は違反行為者だけでなく事業主にも刑罰を科す両罰規定が存在するため(第121条)、違法な残業を指示した管理職などだけでなく、違法な残業を認識していながら是正のための措置を怠った会社の代表者なども罰則の対象となります

  3. (3)残業時間が月45時間を超えると労働者に何が起こり得るのか

    労働基準法の改正により残業時間の上限が月45時間と明文化されたのは、長時間労働が労働者の健康を阻害し、女性の仕事継続や男性の家庭参加を拒む原因となっていたことなどが理由です。

    特に労働者の健康については、過労死や健康障害の発生が起こり得ることから、長時間労働を抑制することが急務でした。

    厚生労働省によると、脳・心臓疾患を労災認定するうえでの基本的な考え方として、

    残業と休日労働がおおむね月45時間を超えて長くなるほど健康障害のリスクが徐々に強まり、月100時間超または2~6か月平均で80時間を超えるとそのリスクが強いと評価できる

    とされており、「過労死ライン」などとも呼ばれています。

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4、長時間の残業が続く場合にできること

長時間の残業が続き悩んでいる方は、どのような対策を講じることができるのでしょうか?

  1. (1)36協定を確認する

    勤務先に36協定や特別条項付き36協定が存在するのか、存在するとしてその内容に違反していないのかをまずは確認しましょう。

    「36協定なんて見たことがない」という方も多いかもしれませんが、会社は36協定を常時、作業場の見やすい場所への掲示や備え付け、書面での交付などの方法により労働者に周知させる義務があります(労働基準法第106条1項)。

    どこにあるか不明でも上司や総務課などの担当部署に聞けば確認できるはずですし、上司らが36協定の開示を拒むことはできません

  2. (2)労働基準監督署に通報する

    会社の違法性が確認された場合には、労働基準監督署に通報するのも有効な対策です。

    労働基準監督署には会社による労働関係法規違反を是正・指導する機能があるため、違法な残業に対する是正・指導を行ってくれる可能性があります。
    また労働基準監督官には逮捕や捜査、検察官送致などを行う権限もあります。

    ただし、労働基準監督署では多くの事案を抱えているため、法違反の証拠をそろえたうえで実名通報するなどしない限り、動いてもらえない可能性があります

    また、多くの事例において、刑事処分までは行われていません。

  3. (3)弁護士に相談する

    違法な残業が是正されることを望むなら、弁護士への相談が有効です。

    労働者個人が会社に対して長時間労働の是正を申し入れても相手にされないケースが多数ですが、弁護士からの申し入れ・交渉であれば、残業代が適切に支払われていない場合などは特に、会社が労働審判や訴訟への発展をおそれて応じる可能性が高まります

    実際に労働審判や訴訟を検討する場合でも弁護士に手続きや主張を任せることができます。

    また、違法な残業が行われている会社では、同時に残業代が未払いであるケースも考えられます。弁護士であれば未払いの残業代も適切に請求できます。残業代請求には時効があり、その期間は2年(令和2年4月以降は当面の間3年)です

    適切な残業代の支払いを求めるなら、なるべく早めに弁護士へ相談することが必要です。

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5、まとめ

働き方改革にともなう労働基準法の改正により、36協定が締結されている場合でも月45時間・年360時間を超える残業は、原則としてできなくなりました。

月45時間を超えるような長時間残業が続くと健康を害するおそれがあるため、できるだけ早く弁護士へ相談し、残業代の請求をしたり、長時間残業の是正に向け会社との交渉をはじめましょう。

労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が全力でサポートします。
長時間残業は当たり前のことではありません。
勤務先の残業に少しでも疑問があればご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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