【重要】労働だけの特殊なお知らせを掲載します。本番前に非表示対応

みなし残業、45時間を超えて働くと違法? 残業代はどうなる?

更新日:2026年03月25日
公開日:2026年03月25日
  • 残業代請求
  • みなし残業
  • 残業代
  • 45時間

みなし残業、45時間を超えて働くと違法? 残業代はどうなる?

一定時間までの残業代が固定額となる「みなし残業制(固定残業代制)」は、多くの会社で導入されています。

みなし残業を月45時間、あるいはそれを超える長時間に設定しているケースがよくみられますが、状況によっては違法となることがあります。その場合は、会社に対して未払い残業代を請求できる可能性が高いです。弁護士のサポートを受けながら、適正額の未払い残業代の獲得を目指しましょう。

本コラムでは、みなし残業制(固定残業代制)の概要や、月45時間を超えるみなし残業が違法となるケースなどを、ベリーベスト法律事務所 労働問題専門チームの弁護士が解説します。

1、「みなし残業月45時間」は合法? みなし残業制の仕組みと要件

「みなし残業制(固定残業代制)」とは、一定時間までのあらかじめ固定額として支払われる制度です。
個別の労働契約上で定められた固定残業時間に達するまでは、実際の残業時間にかかわらず固定残業代が支払われます

みなし労働時間制と固定残業制の違い 【みなし労働時間制】労働時間が増減しても給与は同額※事業場外みなし労働時間制または裁量労働制 【概要】実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定められた労働時間を働いたとみなす制度【残業代が支払われるか】状況によっては支払われる・みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えている場合・深夜労働・休日労働を行なった場合など【固定残業代制】残業時間が増減してもあらかじめ定められた一定時間内の残業であれば給与は同額【概要】実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定められた固定の残業代が支払われる制度【残業代が支払われるか】超過分は支払われる あらかじめ定められた残業時間を超過して働いた分の残業代は支払われる ベリーベスト法律事務所

たとえば固定残業時間が月30時間で、固定残業代が8万円だとします。
この場合、実際の残業時間が30時間以下であれば、固定残業代の8万円が支払われます。0時間でも30時間でも同じです。
実際の残業時間が30時間を超えた場合には、固定残業代8万円のほか、超えた部分に対応する残業代が追加で支払われます。

固定残業時間は企業ごとに定められており、月45時間とすることも基本的には可能です。ただし、みなし残業制が有効と認められるための要件が満たされていなければなりません。

  1. (1)みなし残業制が有効と認められるための要件

    会社側から労働者(従業員)に対して以下の内容が明確に示されていない場合、みなし残業制が「法的に有効である」と認められない可能性が高くなります。

    要件
    • ① 固定残業代を除いた基本給の額
    • ② 固定残業時間と、固定残業代の金額等の計算方法
    • ③ 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

    たとえば、雇用契約書などに、以下のような記載があるかどうかを確認してください。

    (例)
    基本給:○○円
    固定残業代:時間外労働の有無にかかわらず、△時間分の時間外手当として××円を支給
    ※△時間分を超える時間外労働分についての割増賃金は、追加で支給します。
  2. (2)みなし残業制が無効である場合の取り扱い

    会社側からあなた、つまり労働者に対して明示している事項に不足がある場合、みなし残業制が無効となります。

    この場合、固定残業時間の範囲内の部分を含めて、実際の残業時間に応じた残業代全額を請求できるケースがあります。

    (例)
    たとえば、固定残業時間が月45時間で、実際の残業時間が40時間だったとします。
    みなし残業制が有効であれば、支払われる残業代は固定残業代のみです。
    しかし、みなし残業制が無効の場合は、固定残業代とされている金額とは別に、40時間分の残業代を請求できる可能性があるのです。

2、月45時間を超えるみなし残業が違法になりうるケース

実際の法律相談の場では、一部の会社で月45時間を超える固定残業時間を設定しているケースがみられます。
月45時間を超える固定残業時間はかなり長い部類で、違法の可能性があると考えられるでしょう。

具体的には、以下のような場合には月45時間を超えるみなし残業が違法となりえます。

  1. (1)みなし残業制の要件を満たしていない場合

    みなし残業制が有効と認められるための要件」で述べたとおり、労働者に対して明示すべき事項に不足がある場合は、みなし残業制そのものが無効となります。

    この場合は実際の残業時間に応じた残業代が発生します。
    そのため、残業代の未払いという違法状態が生じていると考えられるのです。会社に対して未払い残業代を請求しましょう。

  2. (2)固定残業時間が36協定の上限を大幅に超える場合

    会社が労働者に時間外労働を指示するためには、事業場ごとに「36協定」と呼ばれる労使協定を締結しなければなりません。
    36協定では、時間外労働の上限時間などが定められます。

    36協定の上限 会社がこのルールを守らず残業させると違法! 残業時間・休日労働の上限のイメージ 36協定:残業時間・休日労働の上限(原則) ・月45時間以内 ・年間360時間以内 1日あたり2時間程度の残業 36協定(特別条項付き):残業時間・休日労働の上限(例外) ・年間6ヶ月まで ・年間720時間以内 ・月100時間未満(※休日労働を含む) ・複数月平均80時間未満(※休日労働を含む) 1日あたり4時間程度の残業 臨時的な特別の事情がある場合に限りOK 法定労働時間:労働基準法 労働時間の基本ルール 原則として1日8時間、週40時間まで

    36協定を締結していない場合や、固定残業時間が36協定で定められた上限時間を大幅に超えている場合は、公序良俗違反によってみなし残業制が無効となる可能性があります。

    なお、労働基準法では、36協定において定めることができる時間外労働の上限時間は、原則として月45時間が限度と規定されています(労働基準法第36条第4項)。
    したがって、月45時間を大幅に超える固定残業時間の定めは無効と判断される可能性があります。

    45時間を超える固定残業時間が設定されているケース
    また、みなし残業時間が50時間など、45時間を超える固定残業時間が設定されているケースがあります。
    このケースでは、特定の業種などではない限り、公序良俗違反として違法性が高いと判断され、固定残業時間の定めが無効と判断される可能性があります。

    一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。

  3. (3)固定残業時間を超えた部分につき、残業代が支払われていない場合

    みなし残業制を採用している場合でも、固定残業時間を超えて時間外労働などをした場合は、超過部分について追加で残業代が発生します。

    固定残業時間を超えた部分につき、会社が労働者に残業代を支払わないことは違法です
    この場合、労働者は会社に対して未払い残業代を請求できます。

    実際にベリーベスト法律事務所が受任した事案の中には、固定残業時間を超える部分の残業代が支払われていなかったケースがありました。
    弁護士はこれを指摘し、最終的に450万円の解決金を得られています



  4. (4)最低賃金を下回っている場合

    基本給や固定残業代などを合わせた賃金の総額が最低賃金を下回っている場合は、労働基準法および最低賃金法の違反となります。

    特に固定残業時間が45時間を大幅に超えるなど長すぎる場合には、計算してみると最低賃金を下回っているケースが少なくありません

    たとえば、みなし残業時間が45時間と設定されているにもかかわらず、給与を時給換算して計算してみると実際には30時間分の残業代しか支払われていないケースがこれにあてはまります。この場合、固定残業代が不足しているだけでなく、最低賃金を下回っている可能性もあるのです。

    弁護士に相談して、最低賃金違反ではないかどうかを確認してください。

  5. (5)みなし残業制が雇用契約にも就業規則にも記載されていない場合

    みなし残業制を適用するためには、基本的には雇用契約か就業規則のどちらかにはその内容を明記しなければなりません。

    雇用契約や就業規則等の根拠がないにもかかわらず、みなし残業制によって残業代の支払いをしている場合は、残業代の一部が未払いとなっている可能性があるでしょう。

弁護士への
残業代請求の相談予約は、
メール・チャットから
24時間受付中です。
ただいまのお時間、電話でのご案内が可能です! ただいまのお時間、電話でのご案内が可能です!

3、あきらめないで!未払い残業代を請求する手順と注意点

みなし残業制の不適切な運用などが原因で、未払い残業代が発生していると考えられる場合は、以下の手順で会社に対して請求を行いましょう。

  1. (1)未払い残業代の額を計算する

    何よりも最初に、未払い残業代の額を計算する必要があります。
    計算の手順は以下のとおりです。

    ① 1時間当たりの基礎賃金を求める
    残業代の「時給」に相当する、1時間当たりの基礎賃金を計算します。計算式は以下のとおりです。

    1時間当たりの基礎賃金=1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間

    <総賃金から除外される手当>
    • 残業手当(時間外手当、休日手当、深夜手当)
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月

    ② 残業時間を集計する
    以下の種類ごとに、残業などの時間数を集計します。

    • 法定内残業(割増なし):所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない残業
    • 時間外労働(割増率25%、月60時間を超える部分は50%):法定労働時間を超える残業
    • 休日労働(割増率35%):法定休日における労働
    • 深夜労働(割増率25%):午後10時から翌日午前5時までに行われる労働
    残業の割増率 時間外労働 1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて働いた場合の賃金 月60時間未満 基礎となる賃金 (1時間) の1.25倍の賃金 月60時間超 基礎となる賃金 (1時間) の1.5倍の賃金 深夜労働 午後10時〜翌日午前5時の間に働いた場合の賃金 基礎となる賃金 (1時間)の1.25倍の賃金 休日労働 労働基準法で定められた休日(法定休日)に働いた場合の賃金 基礎となる賃金 (1時間)の1.35倍の賃金 重複した場合は、上乗せされる 時間外労働+深夜労働 基礎となる賃金 (1時間)の1.5倍の賃金 休日労働+深夜労働 基礎となる賃金 (1時間)の1.6倍の賃金

    ③ 正しい残業代の額を計算する
    以下の式によって、正しい残業代の額を計算します。

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数

    ④ 未払い残業代の額を計算する
    以下の式によって、未払い残業代の額を計算します。

    未払い残業代=正しい残業代-すでに支払われた残業代
  2. (2)内容証明郵便などで会社に請求する

    未払い残業代の額が計算できたら、会社側と信頼関係があるようでしたらまずは口頭で計算が間違っていないか確認してみてもよいかもしれません。
    しかし、口頭で伝えても対応してもらえないケースは残念ながら多々あります

    残業代請求権は3年!
    残業代請求権は、本来の支払日から3年が経過すると時効によって消滅してしまいます。このまま待っていても未払い残業代を請求する権利が失われてしまうのです。

    そのような事態を防ぐためにも、計算した未払い残業代の額や計算根拠などを記載した請求書を会社へ送付します。
    未払い残業代の請求書は、内容証明郵便で送付するのが一般的です。

    時効期間が経過する前に、内容証明郵便を必ず送付しましょう
    内容証明郵便が会社に到達すれば、時効完成が6か月間猶予されます。

    残業代の時効についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。

  3. (3)未払い残業代の精算について会社と交渉する

    請求書を受け取った会社から返答があったら、未払い残業代の精算について会社と交渉するフェーズに移ります。基本的には全額の支払いを求めるべきですが、早期解決を目指す観点からある程度の妥協を検討することもあるでしょう。

    会社との間で合意が得られたら、その内容をまとめた文書を締結した後、未払い残業代の支払いを受けます。

  4. (4)労働審判や訴訟を検討する

    会社との交渉がまとまらないときは、裁判所に対する労働審判の申立てや訴訟の提起を検討することになります。

    労働審判の流れ 労働審判の申し立て 労働審判委員会(裁判所が指定) 労働審判官 裁判官 「労働審判員」と共に労働トラブルを解決するための審理と判断を行う。 労働審判員 労働者側1名 使用者側(会社側)1名 労働関係に詳しい専門家。主に労働組合や使用者団体などから推薦される。労働現場の実情・慣行・実務などに即して判断を行う。 話し合いによる解決を試みる 原則3回以内で審理が終了 3か月以内に、約70%が終了 かかる期間:約2か月半(平均 77.2日) 訴訟(裁判)に比べて極めて短期間 弁護士がいると... 証拠の準備をしたり、弁護士が同席して質疑応答のサポートなどが可能なため、有利に進みやすくなる 【話し合いにより解決した場合】和解し、問題解決【話し合いが決裂した場合】審判:解決策を裁判所が提示 提示された審判に異議なしの場合 和解し、問題解決 提示された審判に異議ありの場合 裁判へ移行 弁護士のサポートが必須!裁判になると半年~1年以上かかる長期戦になるケースも多く、法的な専門知識も必要になる

    労働審判や訴訟は専門的な手続きです。多くの書面が必要となり、慎重な対応が求められるため、労働問題についての知見が豊富な弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

4、未払い残業代請求について、弁護士に相談するメリット

未払い残業代請求を検討しているのであれば、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼するメリット 手間やストレスを減らせる!:面倒な手続きや会社側との交渉を自分の代わりに、ほぼ全て任せることが可能 会社から支払われる金額が多くなるかも!:残業代・和解金・慰謝料等が多く得られる可能性がある 弁護士のサポートで、交渉から手続きまで安心!:解決策がみつかる 証拠資料を法的に判断 証拠がない場合、集め方をアドバイス 会社はいい加減な対応ができなくなる 弁護士が代理人として会社と交渉 労働審判、訴訟(裁判)をサポート

相談を受けた弁護士は、法律のルールや判例に基づき、未払い残業代の請求の可否や金額などを適切に判断できます。法的な見通しが分かれば、会社との交渉の準備も整えやすくなるでしょう。

正式に依頼を受けた弁護士は、会社との交渉はもちろん、労働審判・訴訟などの手続きを代行することが可能です。
適正額の未払い残業代を得られる可能性が高まるとともに、自身で書類をそろえる手間や会社と交渉するストレスも大幅に軽減できます

実際にベリーベスト法律事務所が受任した事案の中には、みなし残業制が無効であることを主張して会社と交渉した結果、約360万円の未払い残業代を得られた事例があります。

本件のように、高額の未払い残業代を回収できる可能性があります。
長時間労働をしているにもかかわらず残業代が支払われないとお悩みであれば、弁護士にご相談ください。

弁護士への
残業代請求の相談予約は、
メール・チャットから
24時間受付中です。
ただいまのお時間、電話でのご案内が可能です! ただいまのお時間、電話でのご案内が可能です!

5、まとめ

みなし残業制の固定残業時間が45時間を大幅に超えていませんか?
また、実際の残業時間が固定残業時間を超えているのに残業代が支払われていないとお悩みではないでしょうか。
このような状態は、会社がみなし残業制を違法に運用している可能性が疑われます

未払い残業代を請求できる可能性があるため、まずはタイムカード、就業規則、雇用契約書、給与明細などの証拠を集めて、早めに弁護士へ相談しましょう。
放置してしまうと、受け取れるはずだった残業代が時効により請求できなくなってしまいます。

ベリーベスト法律事務所では、未払い残業代請求に関するご相談を随時受け付けております。労働問題専門チームの弁護士が親身になって対応します。
まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

1人で悩むより、弁護士に相談を

残業代請求のコラム

1人で悩むより、弁護士に相談を

×
LOOV動画