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基本給から残業代を計算するには? 固定残業の残業代はどうなる?

2025年08月13日
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基本給から残業代を計算するには? 固定残業の残業代はどうなる?

残業代を正確に計算するためには、基礎賃金や割増率の種類などについて理解する必要があります。基礎賃金には基本給だけでなく、そのほかの手当なども含まれる点にご注意ください。

固定残業代制が適用されている場合でも、固定残業代を超えて追加残業代を請求できる場合があります。弁護士に相談して、未払い残業代が生じていないかどうかをチェックしましょう。

本記事では、残業代の基本的な計算方法、基本給と基礎賃金の違い、固定残業代制における追加残業代の計算方法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、残業代の基本的な計算方法

残業代の金額は、「1時間当たりの賃金額」(基礎賃金)に「割増率」と「残業時間数」をかけて計算します。
基礎賃金と基本給の違いを含めて、残業代計算の基本的な方法を理解しておきましょう。

  1. (1)残業代の計算式と割増率

    月給制の場合、残業代の金額は以下の方法で計算します。

    残業代=1時間当たりの賃金額(基礎賃金)×割増率×残業時間数

    詳しくは、以下のような計算式になります。

    1時間当たりの賃金額(基礎賃金)=1か月の総賃金(以下手当を除く)÷月平均所定労働時間

    総賃金から除外される手当
    • 残業手当(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月

    残業代は、労働の種類に応じて割増率が変わりますので、それぞれの割増率について確認しておきましょう。


    労働の種類 割増率
    法定内残業(所定外労働)
    ※所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない労働
    割増なし
    時間外労働
    ※法定労働時間を超える労働
    通常の賃金に対して125%以上
    ※月60時間を超える部分については、通常の賃金に対して150%以上
    休日労働
    ※法定休日における労働
    通常の賃金に対して135%以上
    深夜労働
    ※午後10時から午前5時までに行われる労働
    通常の賃金に対して125%以上

    所定労働時間とは?
    所定労働時間とは、労働契約または就業規則によって定められている労働時間のことをいいます。
    所定労働時間は、会社によって取り扱いが異なるため、分からない場合には労働契約や就業規則を確認してみてください。

    法定労働時間とは?
    法定労働時間とは労働基準法で定められている労働時間の上限のことをいいます。法定労働時間は、原則として1日当たり8時間、1週間当たり40時間と定められています。

    法定休日のルール
    法定休日とは、労働基準法上の規定(同法35条)により、1週間に1日、もしくは4週間に4日以上与えられる休日のことをいいます。
    法定休日以外の休日(=法定外休日)における労働は、法定内残業または時間外労働として取り扱います。

  2. (2)基本給と基礎賃金の違いは?

    残業代請求の計算における「基礎賃金」は、1か月の総賃金から一部の手当を除いて算出します。

    いわゆる基本給は基礎賃金に含まれますが、そのほかにも役職手当などの手当が基礎賃金に含まれます。基本給と基礎賃金は混同されやすいですが、同じではない点に注意しましょう。

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2、残業代の計算方法は、雇用形態や給与形態によって変わる

前項では、月給制における残業代の計算方法を紹介しましたが、実際の残業代の計算方法は、雇用形態や給与形態によって異なります。

労働基準法では、変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制などのさまざまな雇用形態が認められており、残業代の計算方法にはそれぞれ特徴があります

また、通常の雇用形態であっても、月給制ではなく年俸制・週給制・日給制などの場合は、月給制とは残業代の計算方法が異なってきます。

雇用形態や給与形態に合った方法で、正しく残業代を計算するためには、弁護士のアドバイスを受けましょう。

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3、固定残業代制における残業代の考え方

固定残業代制で働く方も、固定残業時間を超えた場合は、会社に対して追加残業代を請求できます。

  1. (1)固定残業代制とは?

    固定残業代制とは、時間外労働、休日、及び深夜労働に対する割増賃金としてあらかじめ定められた一定の額で支払われる賃金(固定残業代)を毎月基本給に加えて支給する制度です。

    実際の労働時間にかかわらず、一定の労働時間勤務したものとみなして定額の賃金を払うことになりますので、実際の残業の有無や残業時間にかかわらず、一定の残業代が支給されます

    たとえば、時間外労働月25時間分の固定残業代が設定されている場合、実際の時間外労働の時間が20時間だったとしても、固定残業代として定められた25時間分の残業代を受け取れます。

  2. (2)固定残業代制において会社が労働者に明示すべき内容

    固定残業代制を適用する際には、会社は労働者に対して、以下の事項を明示しなければならない、とされています。
    万が一これらの必要事項が明示されていない場合には、会社に対して確認することをおすすめします。

    • ① 固定残業代を除いた基本給の金額
    • ② 固定残業代に関する労働時間数と固定残業代の金額、金額の計算方法
    • ③ 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して、追加で割増賃金を支払うこと

    上記③のとおり、固定残業時間を超えて残業をした場合は、会社に対して追加残業代(割増賃金)を請求可能です。

  3. (3)固定残業代には2種類ある

    会社が労働者に対して固定残業代制に関する事項を表示する方法には、主に「手当型」と「基本給組み込み型」の2種類があります。

    ① 手当型
    基本給と固定残業代を別々に設定します。

    (例)基本給30万円、固定残業代7万円
    ※固定残業代は、時間外労働の有無にかかわらず、30時間分の時間外手当として支給。超過分は別途支給。
    ② 基本給組み込み型
    固定残業代を、基本給に組み込む形で設定します。

    (例)基本給35万円
    ※○時間分の固定残業代として、○万円を含む。超過分は別途支給。

    どちらのケースにおいても、固定残業代として定められている残業代を超過した場合には、超過した分の残業代を会社に対して請求することができます

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4、固定残業時間を超過した場合の、追加残業代の計算方法

以下では、固定残業代制における追加残業代の計算方法を紹介します。

  1. (1)1時間当たりの賃金額(基礎賃金)を求める

    例えば月給制の場合、下記の計算で、1時間当たりの賃金額(基礎賃金)を求めます。

    1時間当たりの賃金額(基礎賃金)=1か月の総賃金(以下手当を除く)÷月平均所定労働時間

    総賃金から除外される手当
    • 残業手当(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月
    (例)1か月の総賃金(上記の手当を除く)が月給40万円で、月平均所定労働時間が160時間の場合
    • 1時間当たりの賃金(基礎賃金):40万円÷160時間=2500円
  2. (2)割増率を適用して、追加残業代の額を計算する

    次に、以下の式によって残業代の額を計算します。

    残業代=1時間当たりの賃金額(基礎賃金)×割増率×超過時間数
    (例)1時間当たりの基礎賃金が2500円、固定残業代として、時間外労働30時間分に応じた割増賃金額9万3750円が支払われていたが、実際には45時間の時間外労働をした場合
    • 実際働いた分の残業代;2500円×125%×45時間=14万625円
    • 固定残業代;2500円×125%×30時間=9万3750円
    • 差額(追加残業代)=14万625円-9万3750円=4万6875円(計算式が2500円×125%×15時間でも同様となります)
  3. (3)残業代

    このような計算方法で固定残業代を超過した追加残業代を計算することができますが、法的知識がない方が自分で正確な残業時間を出すのは、非常に骨が折れる作業です。
    まずはおおよその残業代の額を知りたい、という場合は残業代チェッカーを利用するのが便利です。

    正確な残業代が知りたい方は、次で述べる通り、弁護士に相談しましょう。

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5、残業代請求を弁護士に相談するメリット

会社から適切に残業代が支払われていないのではないかと感じた方は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すると、残業代の計算や未払い残業代請求の手続きの代行などを依頼できます。これらの事柄を弁護士に依頼することには、主に以下のメリットがあります。

  • 残業代の額を正確に計算できる
  • 残業の証拠収集についてアドバイスを受けられる
  • 会社との交渉や裁判手続きを一任でき、労力やストレスが軽減される
  • 法的根拠に基づく請求により、適正額の残業代を回収できる可能性が高まる
など

未払い残業代請求にかかる労力やストレスなどの負担を軽減しつつ、適正額の残業代を回収したいなら、弁護士のサポートが大いに役立ちます。
未払い残業代請求をご検討中の方は、早い段階で弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼するメリットはこちらで詳しく解説しています。

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6、まとめ

残業代の金額を正しく計算するためには、基本給・基礎賃金・割増率などを正しく理解する必要があります。残業代の計算方法が分からない場合は、弁護士のアドバイスを受けましょう。

特に固定残業代制のケースでは、会社側の不適切な運用によって残業代が未払いとなっている例が散見されます。あらかじめ定められた固定残業代や固定残業時間を超過した場合は、会社に対して追加残業代を請求可能です
弁護士のサポートを受けながら、適正額の残業代の回収を目指しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、未払い残業代請求に関するご相談を受け付けております。経験豊富な弁護士が正確に残業代の額を計算したうえで、法的根拠に基づいて適正額の請求を行います。

未払い残業代請求を成功させるためには、一日も早く弁護士にご相談いただくことが大切です。
残業代の計算方法が分からない方や、固定残業代制で追加残業代が支払われていない方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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