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残業代請求の弁護士コラム

課長は残業代が出ない? 残業手当は? 違法なケースと注意点

2023年08月03日
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  • 名ばかり管理職

課長は残業代が出ない? 残業手当は? 違法なケースと注意点

「課長に昇進したことで、残業代が支払われなくなってしまった」と、不満に感じている方は少なくありません。

課長への昇進は、キャリアアップという面からみれば喜ばしいことですが、残業代が支払われなくなることで、収入面ではマイナスになるケースもあります。そんなとき、残業代が発生しないのは違法なのではないかと考えることもあるでしょう。

課長とはいっても「名ばかり管理職」である場合、残業代が出ない状態は違法となります。そのため、ご自身が労働基準法の管理監督者に該当するかどうかをしっかりと確認することが大切です。

本コラムでは、課長(管理職)への残業代支払いのルールについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、課長(管理職)で残業代が出ないのは違法?

  1. (1)労働基準法上の「管理監督者」にあてはまるかがポイント

    「課長」がその業務の内容や裁量の程度から、労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合には、残業代の支払いが不要とされています。

    管理監督者とは?
    管理監督者とは、労働条件の決定やその他の労務管理について、経営者と一体的立場にある人のことであって、役職の名称によって判断されるものではありません。

    管理監督者に対しては、労働基準法上の労働時間、休日、休憩の規制が適用されませんので、残業代を支給しなくても違法ではありません

    ただし、深夜労働に対する割増賃金の支払いはしなければなりません

    したがって、残業代の不支給が適法となるのは、当該労働者の業務内容や裁量の程度から、管理監督者に該当する場合であり、役職についていれば直ちに残業代を支給しなくてよくなるわけではありません

    つまり、「管理監督者=残業代が出ない」のであって、「課長=残業代が出ない」わけではありません

  2. (2)「管理監督者」の定義・判断基準

    管理監督者とは、「監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法第41条2号)と定義されており、企業内で重要な地位や権限を有し、経営者と密接な立場にある労働者をいいます。

    行政通達や、過去の裁判例に照らすと、管理監督者に該当するか否かは、以下の要素等から、総合的に判断されます。

    ① 経営への参画状況
    • 経営者と一体的な立場において、重要な責任および権限を持ち職務を遂行しているか
    • 会社の事業経営に関する決定過程(例:経営会議など)に関与しており、発言力・影響力を有しているか
    • 採用・解雇・人事評価・昇格・降格などの人事権限があるか
    • 人事について意見を述べたり、決定する機会が与えられているか

    ② 労働時間の裁量
    • 労働時間を自身の裁量で管理できるか
    • 出社、退社、勤務時間の制限を受けていないか

    ③ 賃金等の待遇
    • 管理職としての立場に見合った報酬・待遇があるか

    管理監督者に当てはまるのかについては、「課長」といった、社内の役職や肩書きではなく、実態として、上記のような状況にあるかという観点で総合的に判断されます。

    「課長」という肩書が与えられているからといって、常に残業代の不支給が適法になるわけではないため、ご自身の勤務状況が上記のような状況であるかについて確認してみましょう

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2、課長が管理監督者だと認められるケースは一般的に少ない

課長が労働基準法上の管理監督者だと認められるケースは、一般的には少ないと考えられます。

  1. (1)課長職の方へ。ご自身は「会社の経営に口を出せる立場」ですか?

    管理監督者の定義・基準の1つに「経営者と一体的な立場において、重要な責任および権限を持ち職務を遂行しているか」が挙げられます。
    簡単に言うと「会社の経営に関わる話に、口を出したり、責任を負ったり、決定したりできる立場の人間なのか」ということです。

    しかし、多くの会社では、課長である立場の方が、会社の経営方針など重要事項の決定に参画したり、人事・労務管理上の指揮監督権限まで有していたりするケースは、そう多くありません。

    そのため、「自分は課長だけれど、会社の経営に関わるような重要な決定までの権限は有していない」という方は、管理監督者とは認められず、本来は残業代がもらえる立場である可能性が高いといえるでしょう。

  2. (2)課長職の方は要確認! こんな状況は違法の可能性大!

    課長という役職であっても管理監督者とは認められず、残業代の不支給が違法となる可能性が高いケースをご紹介します。

    こんな状況で残業代を貰っていない場合
    • 肩書だけが課長で、一般社員と同様の業務内容である
    • 経営会議の場での発言権、決定権がない
    • 出社、退社、勤務時間の制限がある
    • 管理監督者に見合った報酬、待遇がない
    • 遅刻や早退をしたら、給料や賞与が減らされる

    もし、このような状況であれば、管理監督者とは認められず、残業代を請求できる可能性が高いと言えます。

  3. (3)雇用形態・給与形態によっては残業代が出ないケースもある

    ですが管理監督者という理由ではなく、給与の内容によっては、課長という役職とは関係なしに残業代が出ないこともあります。

    例1:みなし残業代制の場合
    たとえば、みなし残業代制(固定残業代制とも言います。)が採用されている場合には、一定時間分の残業代をあらかじめ含んだ賃金が支払われています。
    実際の残業時間がみなし残業時間におさまっていれば、別途残業代を請求することはできません

    ただし、この場合も、みなし残業時間を超える分は残業代を別途支払う義務がありますので、支払われていない場合には請求できます。


    例2:残業代の説明が不十分であった場合
    また、以下のような場合には、残業代の支払いとして認められないこともあります。

    • みなし残業代(固定残業代)であると事後的に説明されたという場合
    • 契約や就業規則で明示されておらず、契約を開始する際にも説明がなかったという場合

    この場合には、残業時間すべてについて残業代を別途請求できることになります。

    会社からの説明をそのまま受け入れず、疑問に思われた場合には、弁護士にご相談されることをおすすめします。

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3、残業代の計算方法

  1. (1)基本的な計算方法

    未払いの残業代がある課長職の方は、会社に対して、残業代請求をすることが可能です。
    会社に対して残業代を請求する際には、未払いの残業代がいくらあるのかを計算します。

    残業代の計算は、以下のような計算式で算出します。

    残業代の計算式

    1時間あたりの基礎賃金×割増率×残業時間

    1時間あたりの基礎賃金は、月給制の場合には「月給額÷月平均所定労働時間」で求めることが可能です。

    月平均所定労働時間の計算式
    月平均所定労働時間は、以下のように計算します。

    (365日-年間休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月

    法定労働時間を超えた時間外労働がある場合
    また、法定労働時間(労働基準法で定められた労働時間の上限)を超えた時間外労働については、25%以上の割増率によって計算をした割増賃金の請求が必要です。

  2. (2)雇用形態や勤務状況によっては、残業代の計算は複雑

    上記の計算式は、あくまで基本的なものです。
    たとえば以下のような場合は、もっと計算が複雑になります。

    (例)
    • 変形労働時間制
    • 固定残業代制(みなし残業代制)
    • フレックスタイム
    • 年俸制
    • 休日出勤をしている
    • 深夜労働をしている
    など

    正確な雇用形態や勤務状況が分からなければ、正しい残業代を出すことはできません。
    ですが、正確な残業代を算出するには、計算方法が複雑で一般の方にはハードルが高いでしょう。

    そのため、ご自身の正確な残業代を知りたい場合は、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

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4、残業代請求をする際の注意点

会社に対して残業代請求をする際には、以下の2点に注意が必要です

  1. (1)残業代請求をするには証拠が重要

    会社に対して残業代請求をするには、残業代を請求する側で残業した事実およびその時間を証明しなければなりません。
    実際に残業をしていたとしても、それを証明する証拠がなければ、残業代を支払ってもらうのは困難です。

    残業を証明する証拠の例
    • 就業規則、賃金規定
    • 雇用契約書
    • 給与明細
    • タイムカード
    • 勤怠管理ソフトなどの記録データ
    • 業務日報

    証拠集めは在職中に
    会社を退職した後だと、会社に出入りすることができなくなり、証拠集めが困難になります。残業代請求をお考えの方は、会社に在籍している間に、必要な証拠を集めるようにしましょう。

    手元に証拠がなくてもあきらめないで!
    しかし、手元に証拠がないからという理由で、すぐにあきらめる必要はありません

    会社でタイムカードを押していた場合、会社にはタイムカードは残っています。
    弁護士に依頼し、残業代を請求する際に、資料の開示を求めれば、契約書や就業規則と併せて、タイムカードが開示されることも多いです。

    資料が手元になくても、まずは弁護士にご相談ください。

  2. (2)残業代請求には時効がある

    残業代請求権には、時効がありますので、一定の期間が経過してしまうと、それ以降は残業代を請求することができなくなってしまうことに注意が必要です。

    残業代請求権の時効期間は3年(2020年3月31日以前に発生した残業代については2年)とされており、毎月の給料支払日から時効期間がスタートします。

    未払いの残業代がある状態で放置していると、毎月時効を迎えていき、受け取れるはずの残業代がどんどん減少してしまうことになるため、早めに会社に対して請求することが重要です

    なお、時効期間が迫っているという場合には、会社に対して、残業代の支払いを求める内容証明を送ることによって、時効の完成を一時的に止めることもできます

    ただし、時効を一時的に止めているだけで、完全に止まるわけではありません。
    時効が一次的にストップしている間に、裁判などの適切な手段を講じることが必要です。

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5、残業代の不支給が違法な場合の対処法

残業代の不支給が違法な場合には、いくつかの対処法が考えられます。

  1. (1)会社と直接交渉する

    課長という役職が与えられているものの、実際には業務内容や権限の内容が伴わない「名ばかり管理職」であり、労働基準法の「管理監督者」に該当しない場合、会社に対して、未払いの残業代請求ができます。

    まずは、会社に対して、直接交渉していくことが一般的です。

    残業をしていること、残業代が発生していることを伝えて、残業代を請求していきます。
    手元にタイムカードがある場合にはそれをもとに、手元にない場合には会社に開示を求めたうえで開示された資料をもとに、残業代を計算していきます。

    未払い残業代の金額や支払い方法、支払い時期などについてすり合わせを行い、合意に至った場合には、合意書を作成しましょう。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    未払い残業代がある場合には、労働基準監督署に相談するという方法も選択肢のひとつです。

    労働基準監督署では、会社が労働基準法に違反している場合に是正や指導をしてくれるため、その結果、未払いの残業代が支払われる可能性があります。また、証拠がそろっているのであれば、残業代計算のアドバイスを受けることも可能です。

    ただし、労働基準監督署は、労働者の代理人として会社と交渉し、残業代の支払いを求めてくれるわけではありません
    つまり、労働基準監督署に相談したとしても、残業代の請求は労働者自身で行わなければならないことに注意が必要です。

  3. (3)弁護士に相談する

    会社に対する未払い残業代の請求をお考えの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

    会社が、「課長だから残業代は支払わない」と言っている場合、残業代を支払ってもらうには、「名ばかり管理職」であって、会社は残業代を支払う義務があることを説得的に主張していく必要があります。

    また、会社も交渉では支払いに応じない可能性もあり、その場合には労働審判や裁判をすることも考える必要があります。
    ご自身で会社と交渉することは難しく、労働審判や裁判となれば特に、法律の専門的な知識が必要です。

    弁護士に依頼すれば、弁護士が労働者の代理人として会社と交渉をすることができます。
    ご自身で進めるよりもスムーズに進めていくことができ、ご自身で交渉する必要もなくなりますので、精神的ストレスも大幅に軽減できます

    また、労働審判や訴訟に進む場合には、専門的な知識が必要ですが、弁護士にご依頼された場合には、当然全面的にサポートしてもらえますので安心です。

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6、まとめ

課長は、管理職であるという理由から残業代が支払われないケースも多いです。

しかし、一般的な管理職という呼び名と、労働基準法の管理監督者は、必ずしも同じ意味ではありません。課長という役職がついていても、実質的にみて管理監督者ではない場合には、未払いとなっている残業代を請求することができます。

会社に対する残業代請求にあたっては、弁護士のサポートが非常に重要です
「課長といっても名ばかり管理職だから、残業代を支給してほしい」などとお困りの際には、まずは、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

納得がいく結果になるように、労働問題の経験豊富な弁護士が親身になって対応いたします。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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