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残業代請求の弁護士コラム

残業代は1時間でいくら? 正しい計算方法と未払い分の請求について

2022年02月03日
  • 残業代請求
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残業代は1時間でいくら? 正しい計算方法と未払い分の請求について

支給された給与の額を見て、「残業代が足りていないのでは?」と不信感を抱いたことはありませんか。

残業代がきちんと支払われているか気になった場合、まずは1時間あたりの残業代がいくらなのか、実際の労働に見合う残業代がきちんと支払われているか、法律や就業規則、契約内容と照らし合わせて確認することが大切です。

本コラムでは、残業代の基礎知識や計算の仕方を解説します。あわせて、正しく残業代が支払われていないことに気づいたときの対応方法についても確認しましょう。

1、残業代の基礎知識

法律では、残業代の支払いについてどのように定めているのでしょうか。
まずは残業代の基礎知識について整理します。

  1. (1)残業代とは?

    残業代は、労働基準法で支払いが義務付けられています。
    労働基準法第32条は、法定労働時間について以下の通り定めています。

    労働基準法第32条
    使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間、1日につき8時間を超えて、労働させてはならない

    そして、労働基準法第37条では、会社が法定労働時間を超えて労働させたとき、「割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。
    つまり、1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させた場合、会社は通常の賃金に一定の割増率を乗じた残業代(割増賃金)を支払わなければならないということです。

    事例
    • 定時が午前9時から午後6時
    • 休憩1時間で仕事をしている
    • 午後8時まで残業

    たとえば、このように働いたとします。
    定時(所定労働時間)が8時間であり、法定労働時間と一致します。

    午後8時まで残業すると、労働時間が10時間となり、法定労働時間を2時間超えるので、2時間分の残業代が発生することになります。

    なお、上記の法定労働時間を超えていない場合でも、所定労働時間を超えて労働した場合には、超過時間分について残業代の支払われなくてはなりません

    たとえば、定時が午前9時から午前12時で休憩なしという契約で働いている場合、所定労働時間は3時間です。このとき午後2時まで働いて実際の労働時間が5時間になったという場合には、法定労働時間の8時間は超えていませんが、所定労働時間の3時間を超えているため、超過した2時間分については残業代の支払い義務があります。

    ただし、法定労働時間を超えた残業とは異なり、法律で割増率が規定されていませんので、就業規則等で割増率が規定されていない限り、時間当たりの賃金が割増されずに支払われることになります。

  2. (2)固定残業代の場合は?

    会社によっては、一定時間の残業代を予め「固定残業代」や「みなし残業代」として支給しているケースもあります。

    この場合は、固定残業代を計算する際に想定されている残業時間を超えて労働すれば、超えた分に対する残業代が追加的に発生します。

    事例
    • 1か月あたり20時間の残業が発生すると想定して、予め20時間分に対応する固定残業代は支払われている。
    • 実際は1か月に30時間の残業をしている

    この場合、20時間分の固定残業代の支払いが有効である場合には、実際の残業時間が20時間を超えていなければ残業代は発生しません
    上記事例のように、30時間の残業をした場合には、超過した10時間分の残業代を請求することができます。

    超過分の残業代の計算方法は通常の残業代と同じです。
    固定残業代の支払いが有効でない場合には、30時間分すべての残業代を請求することができます。

    固定残業代があるようであれば、まずはその固定残業代の支払いが有効であるかどうかについて確認する必要があります

  3. (3)年俸制でも残業代は払ってもらえる

    賃金の額を年単位で決定する「年俸制」でも、法定労働時間を超えて労働した分については残業代が発生します。

    ただし、年俸制の場合も、固定残業代が既に支払われている場合があります。
    この場合、実際の労働時間が想定の残業時間を超えていなければ、改めて残業代が支払われることはありません。

    一方、実際の労働時間が想定を超えた場合、追加の残業代が発生するのは固定残業代のケースと同じです。

  4. (4)時給制、日給制でも残業代は発生する

    時給制や日給制でも残業代は支払われなければなりません。

    割増賃金の支払い義務について定めた労働基準法第37条は、アルバイトやパート、日雇いなどを含む全労働者に適用されます。
    時給制や日給制で働いていても、法定労働時間を超えて労働した場合は、割増賃金を請求することが可能です

  5. (5)要注意! 残業代が請求できる期間には時効がある

    労働基準法では、残業代請求の時効についても定めています(第115条、第143条)。

    残業代請求の時効
    • 令和2年4月以降に発生した残業代については3年
    • それ以前の残業代は2年

    上記の期間を過ぎると請求できなくなります
    たとえば以下のようなケースは残業代が請求できません。

    • 10年前に退社した会社に残業代を請求したい
      すでに時効を過ぎており、請求することがきません。
    • 現在の会社で5年働いており、5年分の残業代を請求したい
      この場合は、まだ時効になっていない2年分または3年分(※)の残業代が請求できます
      ※令和2年4月以降かそれ以前かで時効までの期間が異なります。

    そのため、残業代を取り戻すためには、早めに動かなければなりません。

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2、残業代は1時間あたりいくら? 計算方法

次に残業代の正しい計算方法について、順を追って解説します。

  1. (1)まずは1時間あたりの基礎賃金を確認

    残業代を計算するためにはまず、1時間あたりの「基礎賃金」を確認することが必要です。
    月給制の場合の基礎賃金を算出するには、まずは通常支給されている月給の額から固定残業代や手当の一部を差し引きます。

    差し引くのは、労働との関係が薄く、個人的な事情に基づいて支給されている手当です。
    次に挙げる手当は差し引く可能性が高いものですが、個別の状況(家族の人数、通勤にかかる費用など)に関係なく支払われているなど支給条件によっては差し引く必要がないこともありますので、就業規則等で詳細を確認する必要があります

    • ① 家族手当
    • ② 通勤手当
    • ③ 別居手当
    • ④ 子女教育手当
    • ⑤ 住宅手当

    また、臨時的に支払われた賃金や1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は基礎賃金の計算に入れません

    こうして計算した月の所定賃金額を「1か月の平均所定労働時間」で割ったのが「1時間あたりの基礎賃金」となります。

    1時間あたりの基礎賃金
    月の所定賃金額÷1か月の平均所定労働時間

    なお、所定労働時間とは、就業規則や労働契約などで決められた労働時間のことです。
    1か月の平均所定労働時間は、年間の所定労働時間を12で割って算出します。

    1か月の平均所定労働時間
    ( 365日 - 1年の休日合計日数 )× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月
  2. (2)残業の種類ごとの割増率を確認

    労働基準法第37条および政令は、賃金の割増率について以下のように定めています。

    • 時間外労働 = 2割5分以上
    • 休日労働 = 3割5分以上
    • 深夜労働 = 2割5分以上 ※午後10時から午前5時までの労働

    時間外労働の割増率は2割5分以上ですが、これが1か月60時間を超えると割増率は5割以上にアップします。
    現在は大企業限定の規定ですが、2023年4月から中小企業にも適用される予定です。

    割増率は合算して計算される
    中には

    • 深夜に残業(時間外労働)をした
    • 休日に出勤して深夜労働をした

    というケースもあるでしょう。
    そのような場合、割増率は合算して計算されます

    • 深夜に時間外労働(残業)をした場合の割増率
      2割5分以上+2割5分以上 =5割以上
    • 休日に深夜労働した場合の割増率
      3割5分以上+2割5分以上=6割以上
  3. (3)正しい残業代の計算方法

    1時間あたりの残業代は、1時間あたりの基礎賃金に割増率を掛けることで算出できます。したがって1か月の残業代の計算式は次のとおりです。

    1か月の残業代
    1時間あたりの基礎賃金の額 × 割増率 × 残業時間
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3、残業代が少ない理由や考えられるケース

支給された給与を見て「残業代が少ないのでは?」と感じた場合、その原因についてまずは確認することをおすすめします。
残業代が少なくなっているケースで、よくある原因についてまとめました。

  1. (1)残業代の計算が間違っている

    残業代の計算方法がそもそも間違っているケースです。
    特に、小さな会社で給与の計算ソフトなどを使っておらず、手計算で給与の支払いがされているような場合、給与計算が誤っている可能性があります。
    正しい計算方法に基づき自分で残業代を計算してみると、実は本来の残業代はもっとある、というケースが考えられます。

  2. (2)会社の独自ルールで残業代がカットされている

    会社によっては、たとえば「月30時間以上の残業代は支払わない」などと、独自ルールを定めていることがあります。
    たとえこのルールに、「業務効率化を推進する」といった目的があったとしても、法定労働時間を超えて労働させたにもかかわらず割増賃金を支払っていなければ違法です。

  3. (3)固定残業代扱いにされている

    固定残業代を支給していることを理由に残業代を出さないケースもあります。
    しかしながら、固定残業代に対応する残業時間を超えて労働させた場合、会社は追加の割増賃金を支払う義務があります。
    固定残業代に対応する時間数を超えて労働させたにもかかわらず、超過分について残業代を支払わないのは違法です。

  4. (4)管理監督者として扱われている

    労働基準法第41条では、一般の労働者とは異なる「管理監督者」について、労働時間などに関する規定の対象から除外するとしています。
    すなわち、会社は管理監督者に対し、残業代を支払う義務がありません

    この規定を背景に、管理職であることを理由に管理監督者として扱われ、残業代が支払われていないケースがあります。

    しかし、管理職と管理監督者は必ずしも同一ではありません
    管理監督者として認められるには、

    • 経営者と一体的な立場で、重要な職務内容を担っていること
    • 労働時間に裁量があること
    • 相応の給与が支払われていること

    などの要件を満たしていなければならず、役職名によって判断されるものではありません。
    管理職といっても、いわゆる「名ばかり管理職」で権限もなく、労働時間や職務内容についての裁量も一般社員と同じような場合は、管理監督者には当てはまりません。

    管理監督者として認められないにもかかわらず、役職がついていることを理由に管理職に残業代を支給しないのは違法です

    名ばかり管理について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

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4、未払い残業代を支払ってもらうためにできること

ご自身で確認してみた結果、未払い残業代がありそうだという場合には、どのようなことができるでしょうか。未払い残業代を請求するためにするべきことを説明します。

  1. (1)証拠を集める

    まずは残業をした証拠を集めましょう。
    タイムカードや業務日誌などで会社が労働時間を管理している場合にはタイムカードや業務日誌が最適な証拠ですから、まず確保しましょう。

    それらがない場合や、タイムカードや業務日誌は正確に労働時間が記載されていないという場合には、上司や取引先などとのメールの送受信履歴、パソコンのログ履歴なども証拠として有用です。

    また、所定労働時間や基礎賃金額、残業代の支払い方法を明らかにするため、雇用契約関係の書類や就業規則等、給与明細などを入手しましょう。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    労働基準監督署は、労働時間や賃金をめぐるトラブルに関する相談を受け付けています。
    相談は無料なので、金銭的な負担なしに気軽に利用できるのが労働基準監督署に相談するメリットのひとつです。

    労働基準監督署は相談内容に応じて、会社の調査や関係者へのヒアリングを行い、その結果、会社に問題があれば、指導や是正勧告をします。
    指導や是正勧告によって会社の対応が改まる可能性もあるでしょう。

    ただし、労働基準監督署は「個人的な労働問題の解決」を目的とした機関ではなく、「会社の法令違反を是正する」ための機関です。
    そのため、会社の違法性を示す証拠が十分になければ、そもそも動いてもらえない可能性があります。

    また、証拠があるとしても、労働基準監督署は個別の残業代の有無や額について判断するわけではありませんので、個人の過去の残業代の未払いについて実効的な解決にならない可能性があります。

    さらに、労働基準監督署の指導や是正勧告には法的拘束力がありません
    未払い残業代の存在が指摘されたとしても、会社が支払いに応じないケースもあり得ます

  3. (3)弁護士に相談する

    未払い残業代を請求する場合、弁護士に相談するのがオススメです。
    労働基準監督署と違い、弁護士は「個人的な労働問題の解決」を目的にしており、その目的に絞って動くことができますのでスムーズに解決に向けて動き出すことができます

    また、証拠の収集から依頼することができますので、会社が就業規則などを従業員に開示しない場合にも、弁護士が書面などで開示を求めることで開示される可能性が高まりますし、開示しない場合にも、その状態で残業代請求する方法を検討することが可能です。

    残業代請求はご自身ですることも可能ですが、残業代の計算は複雑なため、残業代の計算を誤ってしまう可能性がありますし、そもそも会社がまともに取り合ってくれないケースも少なくありません。

    弁護士に依頼すれば、証拠の収集から、残業代の計算、その後に会社に請求するところまで弁護士にまかせることができます。

    会社との交渉についても、経験豊富な弁護士にまかせれば個人で対応するよりもスムーズに進み、未払い残業代を回収できる可能性が高まるでしょう。
    会社の対応が不誠実な場合に労働審判や訴訟などの法的手続きに進むことも容易になります。

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5、まとめ

正しい計算方法を知れば自分でも残業代を計算することが可能です。

ただし、働き方などによっては計算が複雑になり、正確に残業代を算出するのが難しい場合もあります。また残業代の請求には消滅時効もあるため、未払いの残業代がある場合には迅速な対応が必要になります。

未払いの残業代を正確に計算し、スピーディーに請求するには弁護士への相談が有効です。未払い残業代の請求に悩まれている方は、労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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