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残業代請求の弁護士コラム

運送業は残業代未払いが発生しやすい? 荷待ち時間も労働になる?

2021年01月25日
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運送業は残業代未払いが発生しやすい? 荷待ち時間も労働になる?

トラック輸送は物流の要ですが、運送業界は深刻な人材不足に悩まされています。

国土交通省・厚生労働省が公開している資料「トラックドライバーの人材確保・育成に向けて」によると、運送業界はほかの産業と比較して労働者の年齢層が高く、若手・女性といった層の労働者が圧倒的に低い傾向です。さらに、労働環境が過酷であることも人材不足の要因になっていると考えられます。

また同資料によると、ドライバーの「手待ち時間」について、配達時で24.5%、集荷時で7.4%、配送センターでは45.2%が「1時間以上の手待ち時間がある」という実態が浮き彫りになりました。手待ち時間が労働時間として評価されない会社も多く、ドライバーの賃金に大きな影響を与えていると考えられます。

このコラムでは、運送業において生じやすい残業代未払い問題について、解決法を弁護士が解説します。

1、運送業で誤解されやすい残業代の認識

運送業は、ほかの職種と比較すると特に残業代の未払い問題が生じやすい職種と言えるでしょう。では、なぜ残業代の未払いが発生してしまうのでしょうか。

そこには「労働時間や給与に関する制度に誤解がある」という問題が垣間見えます。

  1. (1)歩合制の誤解

    運送業は「働けば働いた分だけ稼ぐことができる」というイメージが強い職種です。

    労働契約に「歩合制」を採用している運送業者も多いですが、雇用契約を結んでいる場合は、完全歩合制、いわゆる「フルコミッション」は労働基準法に違反します。
    労働基準法第27条は、労働者に対して労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならないという「出来高払い制の保障給」を定めています。

    つまり、たとえ成果がでていなかったとしても、一定額の固定給は支払う必要があるのです。

  2. (2)固定残業代(みなし残業)の誤解

    運送業者のなかには「固定残業代」を採用している会社も少なくありません。
    固定残業代とは、残業の有無に関わらず、一定時間の残業代を固定で支払う制度ですが、いくらでも残業させて良いと誤解している会社が目立ちます。

    固定残業代を支払っていても、固定残業代が想定する残業時間を超えて働いた場合には、超えた時間分の残業代が支払われなければなりません。

  3. (3)労働時間の誤解

    運送業界には「労働時間」の考え方に対して、特殊な視点や慣例が存在しています。

    たとえば、中長距離のトラックドライバーが取引先の倉庫で荷物を積み下ろししている時間や、取引先が荷物を用意している時間などの待機時間について、労働時間と評価しない傾向があります。そのため、未払いが発生しているのです。

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2、法律上における残業の定義とは

残業代の未払い問題を考えていくためには「残業」について、法律に基づき正しく理解する必要があるでしょう。

残業には、2つの考え方があります。
  • 所定労働時間を超えた労働
  • 法定労働時間を超えた労働

以下で詳しく解説します。

  1. (1)所定時間外労働

    「所定時間外労働」とは、会社が定めた労働時間(所定労働時間)を超えた労働のことです。会社が就業規則において「午前◯時に始業し、午後◯時に終業する」と独自に定めた時間が所定労働時間になります。

    始業時間よりも早く業務を開始した、終業時間を越えて労働に従事したといったケースでは、超過した時間分が「残業」です。

  2. (2)法定時間外労働

    「法定時間外労働」とは、労働基準法が定めている労働時間の上限を超える労働時間です。
    労働基準法第32条は、休憩時間を除き1日につき8時間、1週間につき40時間を越えて労働させてはならない旨を定めています。これを「法定労働時間」と言います。

    所定労働時間が法定労働時間を上回っている場合は、たとえ所定労働時間にしたがって労働した場合でも法定時間外労働が発生することになります。

  3. (3)法定時間外労働の上限は、法律で決まっている

    なお、法定労働時間を越えて会社が労働をさせるためには、労使間において協定を結んだうえで労働基準監督署に届け出をしなくてはなりません。
    労働基準法第36条の規定に従った手続きであるため、これを「36(サブロク)協定」と呼びます。

    36協定を結べば法定時間外労働が可能になりますが「無制限で法定時間外労働をさせても良い」というわけではありません。
    労働基準法の改正によって、法定時間外労働は原則として月45時間、年360時間の上限規制が設けられています(労働基準法第36条3項、4項)。

    また、臨時的な特別の事情があり、労使が合意した場合でも、年720時間、休日労働との合計が複数月平均80時間以内、月100時間未満、時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月まで、といった条件を守らなければいけません(労働基準法第36条5項、6項2号、3号)。

  4. (4)自動車運転の業務の上限規制

    なお、「自動車運転の業務」については、上限規制の適用が猶予されていますが、令和6年(2024年)4月1日以降は適用されます。
    適用後は、特別条項付き36協定を結んでいる場合でも、上限は年960時間になります。

    なお、この場合の時間外労働と休日労働との合計が複数月平均80時間以内、月100時間未満、時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月まで、とする各規制は令和6年(2024年) 4月1日以降も適用されません。

  5. (5)法定時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければならない

    法定時間外労働に対しては、労働基準法第37条の定めに従って割増賃金を支払わなければなりません。

    1日8時間、週40時間を越えた労働には、1時間あたりの賃金に2割5分の割増率を乗じた賃金が支払われなくてはなりません。
    さらに、法定時間外労働が月60時間を越えた場合は、超えた時間について、5割以上の割増率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

    中小企業においては猶予期間がもたれていましたが、令和5年(2023年)4月1日より適用されます。

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3、労働時間とみなされる業務内容

運送業、特にトラックドライバーの方は、会社が「労働時間とは評価しない」という時間についても、法的には労働時間と評価される可能性があることに注目しましょう。

  1. (1)「使用者の指揮命令下にある状態」とは

    労働基準法が定める「労働時間」にあたるのかの判断は、労働者が「使用者の指揮命令下にある状態」に置かれているのかが基準です。
    指揮命令下にある状態とは、具体的な作業に従事している時間だけでなく、指示命令の有無、時間的・場所的な拘束があるといった点も考慮されます。

    次のような作業に従事していれば労働時間にあたるといえるでしょう

    • 会社の指示により、出発前・帰庫後のトラック清掃にあたる時間
    • 会社の制服に着替えている時間
    • 伝票整理などの事務作業に従事している時間
  2. (2)荷待ち時間の考え方

    トラックドライバーの業務のなかには「荷待ち時間」が発生します。
    取引先の倉庫に向かったところ荷物を用意している最中だったので、できあがりを待っていた、別の路線便が到着し荷降ろし・仕分けするのを待って出発した、といったケースはめずらしくないでしょう。

    荷待ち時間でも、使用者の指揮命令下にある状態であれば労働時間になります。
    業務から完全に解放され、会社やトラックから離れて何の制限もなく自由に行動できる状態でもない限りは、荷待ち時間も労働時間になる可能性が高いでしょう。

  3. (3)渋滞に巻き込まれた時間の考え方

    道路を使って荷物を輸送している限り、渋滞に巻き込まれる事態はつきものです。
    通常要する時間を超えてしまい到着が遅延した場合でも、超過時間を労働時間とみなさないのは違法です。渋滞に巻き込まれたとしても、運行に要した時間のすべてが労働時間として評価されます。

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4、残業代請求に必要な証拠

残業代の未払いが発生している可能性がある場合は、必要な証拠をそろえて請求の準備を進めましょう。

  1. (1)実際の残業時間を証明する証拠

    残業代を計算するためには、実際の残業時間を正確に算出する必要があります。
    次のようなものが証拠となるでしょう。

    残業時間の証拠となるものの一例
    • 出退勤を示すタイムカードなどの記録
    • 運行状況を示すタコグラフのチャート紙やデータ
    • 運転日報・業務日報
    • ドライブレコーダーの記録
    • 高速道路利用時の領収証や自動料金収受システム(ETC)カードの利用履歴 など

    ここで挙げた記録のほとんどが、運行終了時に会社へ提出するものです。

    特に、運行に関する記録は運行管理者が管理しているため、ドライバー側が入手するのは難しいでしょう。
    そのため、会社側に提出する前に最新のものからコピーを取って保管しておくことをおすすめします。

  2. (2)残業代の計算に必要な証拠

    残業代の計算には、1時間あたりの賃金を算出する必要があります。
    次のような情報が証拠資料となり得ますので保管しておきましょう。

    • 雇用契約書
    • 給与明細
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5、残業代請求でお困りの場合には弁護士に相談を

「残業代が発生しているはずなのに支払われていなかった」という事実に気がついたら、弁護士への相談をおすすめします。

  1. (1)法的根拠をもとに会社と交渉できる

    残業代が未払いになっていることをドライバー個人が会社に訴えても、会社側が交渉に応じてくれない可能性が高いでしょう。社内の規則や慣例を盾にして支払いを拒まれるばかりか、不当な扱いを受けてしまうおそれもあります。

    弁護士に相談すれば、残業代が発生していることを法律の定めに基づいて主張できます。また、会社との交渉を弁護士に任せることで、大ごとにしたくないと考える会社側が交渉に応じることが期待できるでしょう。

  2. (2)法的手続きを一任できる

    法律の定めに従って未払い分の残業代を請求しても、会社が素直に支払ってくれるとは限りません。会社側が支払いに応じない場合は、労働審判や訴訟といった法的手続きによって請求することになります。

    裁判所を利用する際には、書面の作成や証拠の提出が必要になります。
    さらに、ドライバーの仕事を続けているのであれば、手続きにかかる手間や裁判所への出頭も大きな負担に感じるでしょう。

    また、証拠が集められない場合や会社側が提示を拒んでいるといったケースでは、泣き寝入りするしかないと思うかもしれませんが、裁判所を介して証拠の提示を求める「証拠保全手続き」を申し立てることで、証拠を確保できる可能性があります。

    弁護士に依頼すればこれらの手続きをすべて任せることができるので、手間や負担を大幅に軽減しながら残業代請求ができるでしょう。

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6、まとめ

運送業界は、長時間労働に加えて残業代の未払いトラブルが起きやすい職種です。
給料明細をみて「残業手当が少ないのではないか?」などの疑問を感じたら、自分ひとりで悩むのではなく労働問題の解決実績を豊富にもつ弁護士に相談しましょう。

運送業界でドライバーとして働いており、残業代の未払い問題を解決したいと考えているときは、ベリーベスト法律事務所にお任せください。

残業代請求に関するご相談は、何度でも相談無料です。
「おかしい」と感じたら、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご一報ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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