どうやら未払いの残業代を会社に請求できるらしいと知ったものの、どのように請求したらいいのか分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、弁護士に依頼したいが、依頼した場合にはどれくらいの費用がかかるのかも分からない。もし、弁護士に依頼して、未払い残業代よりも費用がかかったら困るという方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、残業代請求を弁護士に依頼する場合の費用について説明していきます。ご参考になれば幸いです。
以前は、弁護士報酬は一律に決められていましたが、現在では弁護士の料金体系は自由に決めることができるようになっているので、法律事務所によって弁護士費用の金額は様々です。
弁護士に依頼した場合には、下記の種類の費用がかかります。
弁護士に相談する際にかかる費用のことです。
弁護士に案件を依頼する際(委任契約時)に支払う費用のことです。
案件終了後に、その具体的な成果に応じて支払う費用のことです。
この報酬金は、裁判で全部棄却判決を受けた場合など、全く残業代を回収できなかったような場合には、原則として発生しないことになっています。
なお、残業代請求事件の解決方法には、以下の通り交渉、労働審判、裁判という手段があります。以下、それぞれの手段についてどのような場合に利用されるかについて書いていきますので参考にしてください。
先程もご説明したように、現在は弁護士の料金体系は自由化されているため、法律事務所によって弁護士費用の金額は様々です。
そのため、正確な金額を示すことは難しいですが、おおまかには以下の通りです。
通常、1時間1万円(税別)程度が相場です。
当事務所を含め、初回相談無料で対応している法律事務所が増えているようです。
また、法律事務所によっては、労働問題に関する相談は何度でも無料というところもありますので、一度ご相談される法律事務所に確認してみると良いでしょう。
着手金の金額は、法律事務所よって様々で、法律事務所の中には完全成功報酬制(お金を回収できなかった場合には費用は一切発生しないシステムのことを言います。)のもとで着手金を請求しないところもあります。
着手金の相場は、おおよそ以下の通りです。
報酬金の相場は、実際に回収できた金額の20%から30%(税抜)程度で、上記①から③のどの段階で回収できても、金額が変わらないのが通常です。
なお、報酬金も着手金と同様、法律事務所によって料金体系が様々ですので、ご相談される法律事務所に一度確認してみると良いでしょう。
例えば、内容証明郵便を作成・送付したり、弁護士の交通費がかかった場合には、上記以外に実費がかかることがあります。
意外に思われるかもしれませんが、残業代を請求するにあたっては、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。ご自身で請求することも可能です。
しかし、会社側も簡単には残業代を支払いません。そのため、交渉のプロである弁護士に依頼した方が回収の可能性は上がるでしょう。
また、以下で述べるようなメリットがあるため、残業代を請求する際には、弁護士に依頼された方が良いでしょう。
弁護士は、法的知識や裁判例、過去の経験に基づいて、裁判や交渉を行う法律の専門家です。ですので、弁護士に依頼すればその豊富な知識・経験を利用することができます。
特に、残業代請求に強い弁護士は、同種の事件を多数扱っていますので、法律や裁判例だけではなく、労働法に関する通達にも精通しており、労働者の方に最大限有利な残業代の計算ができます。
弁護士は、依頼者の代理人として行動しますので、ご本人が会社の社長や人事の方と直接やり取りを行う必要はなく、全ての対応を弁護士が行い、依頼者には、弁護士から経過報告を行うことになります。
残業代請求をお考えの方の中には、これまで会社からパワハラなどの酷い扱いを受けたために、「相手方(会社側)と会うのが怖い、不安だ」だという方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合でも、一切顔を合わすことなく、残業代請求の手続きを進めることができるため、時間や労力だけではなく、精神的な負担も大幅に軽減することができます。
前述のように、残業代請求はご自身でもできます。
しかし、会社側が任意に応じず、それでも残業代を回収したい場合には、労働審判や裁判をして回収する必要があります。
労働審判や裁判をして回収する場合には、高度に専門知識が要求されてくるため、法的知識のない一般の方々にとっては、ご自身のみで行うのは非常に困難です。
この点、弁護士は法律の専門家であり、労働分野に精通している弁護士に依頼すれば、専門的な知識が要求される手続きを全て任せることができます。
また、最終的に裁判で残業代を回収しようとした場合、弁護士は、裁判の場でも代理人として活動できる権限があります。そのため、残業代の支払いに応じない会社や、金額の面で折り合いがつかない場合には、裁判を起こして、残業代を回収することができます。
本人が請求するよりも、弁護士に依頼して請求した方が、会社側が「最終的に裁判になると困る」と思い、案外あっさり要求に応じるケースが少なくありません。
この点でも、弁護士に依頼するメリットはあるといえるでしょう。
最後に残業代請求に強い弁護士を見分ける方法をお伝えしていきます。
そもそも一口に弁護士といっても、職域は広大なので、弁護士全員が残業代請求に強い弁護士とは言えません。残業代請求が得意な弁護士もいれば、苦手な弁護士もいます。
そこで、以下で述べるような点が残業代請求に強い弁護士を見分けるポイントになるでしょう。実際に、弁護士への依頼をご検討されているかたは、ぜひ弁護士選びの参考にしていただければ幸いです。
医師が専門特化しているように、弁護士にもそれぞれ得意分野があり、そこでの実績・経験は大きなポイントになります。
最近では得意としている分野または力を入れている分野の実績をホームページに掲載している事務所も多いので、残業代請求の経験・実績がどのくらいあるのかを確認してみると良いでしょう。
また、最近は相談無料の法律事務所も多いので、実際に問い合わせをしてみて、そこで実績や経験について聞いてみるのも良いでしょう。
残業代を請求するにあたっては、法律や裁判例の知識だけではなく、通達の知識や労働審判や裁判になった場合にどのくらいの金額で最終的に解決しそうかといった見通しなど、多くの案件を扱ったことがなければ得られない経験に基づく知識も必要になります。
残業代請求は、細かな計算も必要になる分野です。
弁護士の中には、「おおざっぱにいくら」で解決したがる弁護士もいますが、そのような場合では本来得られるはずだった利益を得られない可能性も出てきてしまいます。
やはり、残業代請求に強い弁護士を見極めるにあたっては、細かい作業を厭わずやってくれるかどうかもポイントになります。
今回は、残業代請求を弁護士に依頼する場合にかかる費用について説明してきましたがいかがだったでしょうか。ぜひ今回の話が、残業代請求を弁護士に依頼するかどうか悩まれている方の参考になれば幸いです。
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