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残業代請求の弁護士コラム

年俸制でも残業代はある! その計算方法や例外についても解説

2022年08月08日
  • 残業代請求
  • 年俸制

年俸制でも残業代はある! その計算方法や例外についても解説

年俸制は成果主義を強く反映できる給与体系であることから、多くの企業で導入されています。

しかし、年俸制で働いている場合、残業代の支給はどうなるのでしょうか? 会社から説明もなく、気になる方もいらっしゃることでしょう。

原則として、年俸制だとしても残業代は請求可能です。ですが、例外もあります。本コラムでは年俸制と残業代の関係性や、支払いがない例外ケース、年俸制の場合の残業代計算方法や、残業代請求の流れなどについて解説していきます。

1、年俸制の場合には残業代はもらえない?

冒頭でもお話したように、近年給与の支払い方法として「年俸制」が導入されるケースが増えています。そもそも年俸制とはどのような制度なのでしょうか。

  1. (1)年俸制とは

    年俸制とは、あらかじめその年の年間給料を定めておく給与体系です

    • 定めておいた給料を12か月で割って、1か月ごとの給料とするか
    • 16か月で割って1か月ごとの給料とし、16か月分のうち、4か月分は賞与とするか

    どちらかの方式で支払われることが多いです。毎月給料が支払われていると、月給制との違いが分かりにくいですが、月給制は毎月の給与を決めその額を支払う制度ですので、考え方が違います。

    年齢や勤続年数などを勘案して毎月の給料が決まる月給制と比べ、前年に高い成果を上げればその分、翌年の年棒が大きく上がる可能性があります

  2. (2)年俸制であっても残業代をもらうことができる

    では、年俸制の場合には、残業代は発生しないのでしょうか。

    年俸制を採用していて、残業代を支給しない会社の言い分としては、「年俸制だから、1年間の給与は決定済み。それとは別に、残業代は出さない。」というものがあります。

    しかし、年俸制であっても残業代をもらうことができるのが原則です
    法定労働時間を超えて働いたのであれば、それは残業時間であるため、会社側は「年俸制だから」という理由で残業代の支払いを拒否することはできないのです。

    時間外労働をした場合と同様、休日出勤と深夜残業をした場合にも、残業代は支払われなければなりません。
    時間外労働は25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働(午後10時~午前5時)は25%以上の割増率となっていますので、割増率なども確認しましょう(労働基準法37条1項、4項)。

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2、年俸制でも残業代の支払いがない例外ケースとは

年俸制でも残業代が支払われるのが原則であるということは、第1章でお伝えしました。
しかし、その会社で採用されている制度やご自身の契約状況によっては、原則通りに計算することができない場合や残業代が支払われない場合もありますので、注意が必要です。

  1. (1)みなし残業制(固定残業制)が採用されている場合

    みなし残業制(固定残業制)とは、一定時間の残業代をあらかじめ含んだ賃金や手当を設定することです。
    みなし残業制が有効となるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できることが必要になります。

    この制度が採用されている場合には、実際の残業時間がみなし残業時間内に収まっていれば、みなし残業代(固定残業代)のみが支払われることになります。

    ただし、みなし残業時間以上働いた場合には、超えた時間分の残業代が支払われます。

  2. (2)裁量労働制が採用されている場合

    裁量労働制とは、先に「これだけ働いた」とあらかじめ労働時間を定めておき、その分の給料を支払う制度です(労働基準法38条の3、同法38条の4)。

    裁量労働制が適用される場合、労働者の労働時間はあらかじめ定めた労働時間となります。
    あらかじめ定めた労働時間が法定労働時間以内であれば、現実に法定労働時間を越えて働いたとしても残業代は発生しませんが、あらかじめ定めた労働時間が法定労働時間を超えるものであれば、超えた部分について残業代が発生することになります。

  3. (3)管理監督者の場合

    管理監督者とは、労働基準法41条2号が定める「監督若しくは管理の地位にある者」のことで、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある社員のことです。経営者と一体的な立場で仕事をしなければならないことから、勤務内容や毎日の労働時間が一般的な労働者とは違ってきます。その立場に見合った相応の給与が支払われること等を前提に、残業代などの支払いはしなくてもよいとされています

    しかし、一般的な「管理職」がすべて、この「管理監督者」に当たることはないでしょう。自分の部下と同様の勤務体系で働いていたり、労働時間を自分で決められない場合には、たとえ会社から「管理監督者」だと言われても、労働審判や訴訟となれば一般的な労働者と同じとみなされる可能性が高いです。

    また、たとえ「管理監督者」であったとしても、深夜割増賃金に関しては支払われなければなりません。

  4. (4)年俸制で残業がもらえるか判断が難しい場合

    働いている労働条件や環境は人それぞれです。
    ご自身がどのような契約で働いているか、また上記のケースに当てはまっているか、まずは確認することが大切です。

    しかし、雇用契約書、就業規則、賃金規定、労働基準法の規定など確認しなければならない項目は多岐にわたるため、ご自身の契約形態が果たして適法なものであるかどうか、正しく判断することは難しいでしょう。弁護士に相談し、確認することをおすすめします。

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3、年俸制の場合の残業代計算方法

  1. (1)残業代の計算方法(原則)

    では、年俸制の場合、残業代はどのように計算するのでしょうか。

    年俸制の残業代は、まず、年俸額を12で割って月額賃金を算出します。
    そして次に、月額賃金を1か月の所定労働時間で割って時給を算出します。
    その上で、時給に時間外の割増率および実際に働いた残業時間を掛け算して算出することになります。

    すなわち、

    残業代
    =年俸額÷12÷1か月の所定労働時間×割増率×残業時間

    となります。

    ちなみに、年俸を16分割して支払っている場合でも、残業代の計算は12分割で行います。

  2. (2)実際の計算例

    では、実際に(1)の計算式をもとにして、具体的に残業代を計算してみましょう。

    事例

    • 年俸額が600万円
    • 1か月の所定労働時間が170時間
    • 1か月20時間の残業を行った場合

    600万円÷12÷170時間×1.25×20時間=7万3530円(1円未満切り上げ)
  3. (3)みなし残業制の場合の計算方法とは

    年俸制かつみなし残業制がとられている場合には、みなし残業として定められている時間を超えて働いた時間に上記で計算した1時間の残業代や割増率を掛けて、総額の残業代を求めることになります。

    すなわち、

    残業代
    =年俸額÷12÷1か月の所定労働時間×割増率×(実際の残業時間-みなし残業時間)

    となります。

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4、実際に残業代を請求する方法

  1. (1)そろえるべき証拠

    残業代の請求にあたっては以下のような証拠が必要です。

    • タイムカードや毎日の勤務時間表のコピー、出勤簿のコピー、交通ICカードの通過履歴
    • 雇用契約書や労働条件通知書、就業規則、賃金規定
    • 労働時間が記載されている給与明細、賃金台帳
    • 会社の登記簿謄本(労働審判を利用する場合には必要)

    このような証拠を集めたのち、正しい残業代を計算します。

  2. (2)内容証明郵便を送る

    お客さまのトラブルの状況によっては、会社に内容証明郵便を送るべきケースもあります。内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰宛に送ったのか、郵便局が証明する郵便のことです。

    内容証明郵便を使い、会社に対して残業代の請求や雇用契約書などの証拠の開示請求をした場合、会社側はそのような請求は受けていないと言いづらくなります

    また、内容証明郵便には、一時的に「時効を止める」という効果もあります(民法150条1項)。残業代請求の時効は、以前は2年間でしたが、2020年4月1日より後に発生した残業代を請求する時効は3年となりました(労働基準法115条、同法附則143条3項)。

    会社との交渉や裁判が長引けば、時効となる残業代も発生する可能性があることから、内容証明郵便を送ることには重要な意味があるのです。

    弁護士に相談した場合には、時効との関係性も考慮して、どのタイミングで内容証明郵便を送るべきかについても適切な判断が可能です。

  3. (3)会社と交渉

    残業代の金額を計算して、必要に応じて内容証明郵便を送るなどした後は、会社側と残業代について話し合いを始めます。

    会社側がこちらの主張する残業代を支払ってくれればそれで解決しますが、労働者個人が交渉をした場合には、話し合いに応じずに無視をする会社もあるでしょう
    また、会社側から残業代の金額について対案が出た場合、会社側の提示する残業代の金額が適切なものかどうか判断に迷うことも多いと思います。

    弁護士が代理人として会社と交渉をすれば、会社側は無視することが難しく、和解する場合にも法的に妥当な内容かどうか助言を受けることが可能です。

  4. (4)労働審判

    会社との話し合いがうまくいかなかった場合には、労働審判の申立てや訴訟提起をして、未払いの残業代を請求します。

    労働審判とは、残業代の未払いや解雇といった個々の労働者と事業主との間に生じたトラブルを、裁判所の労働審判委員会が間に入って解決を図る手続きのことです。

    会社側と労働者側、双方を裁判所に呼び、労働審判委員会が双方の事情を聴き、解決方法を探ります。話し合いは原則3回までとされており、話し合いで解決しなかった場合には労働審判が下されます。

    労働審判は、原則3回までとされていることから訴訟に比べて早期の解決が望めます。また、訴訟と比べて当事者の意向を踏まえた柔軟な解決が期待できます。

    なお、労働審判の結果に不服がある場合は、異議申し立ても可能です。その場合は、訴訟に移行することになります。

  5. (5)訴訟

    訴訟提起をした場合や労働審判に異議申し立てをした場合には、訴訟によって解決を図ることになります
    この場合は、双方が自身の主張を法的根拠や証拠に基づいて展開し、裁判所の判断を仰ぐことになります。
    訴訟となれば、解決までに半年~1年以上かかる可能性もあります。

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5、まとめ

今回は、年俸制でも残業代をもらえるかについて、解説してきました。原則として、年俸制の場合でも、残業をすれば残業代の請求が可能です
しかし、自身の労働契約や労働状況で本当に残業代が発生しているか、分かりかねる、といった方も多いでしょう。

そのような場合には、まずは証拠を集め、弁護士に相談することが肝要です。
弁護士に相談すれば、複雑な残業代の計算も正確に行うことが可能ですし、会社との交渉も代理人として行うことができます。証拠に不足があれば、会社側に開示を求めていくことも可能です。

自身の残業代について疑問がある方は、まずは一度ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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