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不当解雇・退職勧奨の弁護士コラム

残業代請求で負ける5つのパターン! 会社に勝つための対策と注意点

2025年02月05日
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残業代請求で負ける5つのパターン! 会社に勝つための対策と注意点

残業をしたのに会社から適切な残業代が支払われていない場合、労働者には未払い残業代を受けとる権利があります。

しかし、労働者が会社に対して残業代を請求しても、準備が不十分だと負けてしまうこともあり得ます。弁護士のサポートを受けながら、万全の準備を整えた上で残業代請求を行いましょう。

本記事では、残業代請求で労働者が負けるパターンや、より確実に残業代請求を行う方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、残業代請求で「負ける」とは?

残業代請求は、勝ち負けを決めるものではありませんが、以下のような状況の場合は、残業代請求をする方にとって「負けた」と感じることかと思います。

  1. (1)残業代請求の支払いが認められなかった

    労働者が会社に対して未払い残業代を請求しても、会社が支払いに応じず、訴訟でも残業代の支払い義務が認められないケースがあります。
    このような場合には、労働者側の「負け」といえるでしょう。

  2. (2)納得がいく残業代が受け取れなかった

    実際の残業時間に従って計算した残業代を請求したのに、それより大幅に少ない金額の残業代しか受け取れなかったなど、納得がいく結果で解決ができなかった場合も、負けたと感じるかもしれません。

    会社の対応に納得がいかず残業代請求をしたのに、このような結果になってしまうのは、悔しいものです。そうならないように、弁護士と相談しながら対応することが大切です。

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2、残業代請求で労働者側が負ける可能性がある5つのパターン

労働者側が残業代請求で負けてしまうパターンとしては、以下の例が挙げられます。

  1. (1)残業の証拠が不十分だった

    残業代請求に当たって、実際に残業をした事実は労働者側が立証しなければなりません。
    残業の事実を立証し得る証拠としては、以下の例が挙げられます。

    • 勤怠管理システムやタイムカードの記録
    • オフィスの入退館記録
    • 交通系ICカードの乗車記録
    • 会社のシステムへのログイン記録
    • 業務に関するメールの送受信記録
    • 業務日誌
    など

    残業の客観的な証拠を確保できないと、残業をした事実が認定されず、請求の全部または一部が棄却されてしまうおそれがあります。

  2. (2)労働者が自主的に残業をしていた

    残業代は、労働者が会社の指揮命令下で働いていた時間について発生します。

    言い換えれば、労働者が会社の指揮命令を受けることなく、自主的に残業していたにすぎない場合には、残業代は発生しません
    自主的な残業時間について残業代を請求しても、労働者側は負けてしまう可能性が高いでしょう。

    黙示の残業指示がある場合
    ただし、会社側がはっきりと残業の指示をしていなかったとしても、所定労働時間内には到底こなせない量の業務を課されていたなどの事情があれば、「黙示の残業指示」が認定される余地があります。
    黙示的であっても残業指示が認定されれば、残業代請求が認められる可能性があります。
  3. (3)残業代の支払いが法律上不要と判断された

    以下のようなケースでは、労働者に対する残業代の支払いが法律上不要とされています。
    該当する場合は、残業代請求をしても労働者側が負けてしまう可能性が高いでしょう。

    ① 事業場外労働及び裁量労働のみなし制が適用される場合
    みなし労働時間が適用されるため、原則として残業代が発生しません。
    (労働基準法 第38条の2~第38条の4)

    ② 農業、畜産、養蚕、水産の事業に従事している場合
    労働時間に関する規制が適用されないため、残業代が発生しません。
    (同法 第41条第1号)

    ③ 管理監督者に該当する場合
    役割・裁量・待遇などの観点から、経営者と一体的な立場にある従業員(=管理監督者)については、労働時間に関する規制が適用されないため、残業代が発生しません。
    (同条第2号)

    ただし、管理職の肩書を持つ方のすべてが管理監督者に当たるわけではありません。あくまでも、経営者と一体的な立場にある従業員のみが管理監督者に当たります。

    そのため、いわゆる「名ばかり管理職」(=管理職の肩書のみを与えられて、法律上の管理監督者の定義に当てはまらない方)については、未払いの残業代を請求できる可能性があります。

    ④ 機密事務取扱者に該当する場合
    職務が経営者または監督もしくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、出社退社等についての厳格な制限を受けない従業員(=機密事務取扱者)については、労働時間に関する規制が適用されないため、残業代が発生しません。
    (同号)

    ⑤ 監視または断続的労働に従事している場合
    使用者が事業場を管轄する労働基準監督署長の許可を得ている場合に限り、その労働者には労働時間に関する規制が適用されず、残業代が発生しません。
    (同条第3号)

    ⑥ 残業時間が固定残業時間の範囲内にとどまる場合
    以下の事項があらかじめ労働者に対して明示されており、かつ残業時間が固定残業時間の範囲内にとどまる場合は、追加の残業代が発生しません。
    • 固定残業代を除いた基本給の額(通常の労働時間に対応する賃金部分と割増賃金部分とが判別できること)・固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
    • 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
  4. (4)労働者ではないと判断された

    残業代が発生するのは、会社の指揮命令下で働く労働者のみです。
    労働者でなければ、「残業」をしても残業代は発生しません。

    たとえば、会社と対等な立場で業務を受託するフリーランスなどは、残業代の対象外です。
    会社と締結している契約が「業務委託契約」などである場合は、残業代請求をしても認められない可能性が高いでしょう。

  5. (5)残業代請求権が時効により消滅した

    残業代請求権は、発生してから3年間が経過すると、時効により消滅してしまいます(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。
    時効の完成を阻止するためには、時効期間が経過する前に、内容証明郵便による請求や訴訟の提起などを行わなければなりません。

    時効期間が経過している場合において、会社側が消滅時効を援用すると、残業代請求が棄却されてしまいます

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3、有利な条件で残業代請求を進めたいなら、弁護士に相談を

  1. (1)負けパターンでも、必ず労働者が負けるわけではない

    ここまで、残業代請求で労働者側が負ける可能性があるパターンを紹介いたしました。
    しかし、前述のパターンに当てはまる場合でも、必ず労働者側が負けてしまうわけではありません
    具体的な状況によっては、「十分に勝算がある」「少し難しいかもしれないが、戦える余地がある」というケースもあります。

    残業代請求が成功する見込みがどの程度あるのかについては、法的な観点から判断する必要があります。
    残業代請求で負けてしまうリスクを極力抑えて、有利な条件で未払い残業代を請求したい場合は、諦めずに弁護士へ相談することをおすすめします。

    弁護士は以下のサポートなどを通じて、適正額の未払い残業代を回収できるように尽力します。

  2. (2)法的に有効な証拠についてアドバイスを受けられる

    会社に対して残業代請求を行うためには、まずは証拠収集が必要となります。
    たとえば、タイムカードやWeb打刻、勤怠記録、給与明細などが証拠になり得ます。

    しかし、自身が所持している資料が残業代の証拠になるのか、判断がつかないという場合も少なくありません。弁護士であれば、どの資料が証拠として有効なのか判断することができます

  3. (3)残業時間に関する証拠の開示を請求できる

    残業代請求を行うための証拠がなくても、弁護士を通じて会社に対して開示請求することができます。開示請求は個人で行うこともできますが、会社がまともに取り合ってくれないケースも少なくありません。

    弁護士に依頼することでスムーズに証拠収集できる可能性が高まりますので、「証拠がないから残業代請求できない」と諦めている方も、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

  4. (4)残業代の計算や会社との交渉を任せることができる

    残業代の証拠を収集したら、どれくらいの残業代が支払われていないのかを正確に計算する必要があります。

    残業代の計算は複雑かつ、時間や労力がかかります
    自身だけで計算しようとすると正確な数字が出せない可能性もありますし、その後、直接会社とやり取りするのは精神的な負担もかかるでしょう。

    弁護士であれば、残業代を正確に計算するだけでなく、その後の会社との交渉も一任できます。

  5. (5)会社との交渉が決裂した場合、労働審判や訴訟手続きを一任できる

    会社との交渉が決裂した場合、労働審判や残業代請求訴訟に移行します
    これらの手続きは、法的な知識が必要となりますので、弁護士のサポートが必要不可欠です。
    弁護士であれば、法的知識に基づいた主張で、未払い残業代の回収を図ることが可能です。

    いずれにせよ、証拠収集の段階から弁護士へ相談することで、適正額の残業代を回収できる可能性が高まります
    会社に対する未払い残業代請求をご検討中の方は、お早めに弁護士へご相談ください。

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4、まとめ

請求した残業代を一切回収できなかった場合や、実際の残業時間に比べて大幅に少ない額の残業代しか認められなかった場合などは、「負けた」「悔しい」と感じてしまうでしょう。
そうならないように、事前に証拠を準備したり、弁護士と相談して戦略を立てて請求することが大切です。

また、残業代を請求して負けても、会社から損害賠償を請求されたり、転職に悪影響が及んだりすることはありません。
残業代請求を受けたことを理由に、会社が労働者に対して嫌がらせ(パワハラ)をすることも違法です。そのため、残業代請求をして負けることのリスクを、過度に恐れる必要はありません

残業代請求の成功率を高めるためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、未払い残業代請求に関するご相談を随時受け付けておりますので、どなたでもお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
残業代請求、不当解雇・退職勧奨、同一労働同一賃金、退職サポート、労働災害、労働条件・ハラスメントに関するトラブルなど、幅広く労働者のお悩み解決をサポートします。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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