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残業代請求の弁護士コラム

文書提出命令とは? 対象となる文書や手順、残業代請求の準備を解説

2024年12月02日
  • 残業代請求
  • 文書提出命令

文書提出命令とは? 対象となる文書や手順、残業代請求の準備を解説

会社に対して未払い残業代を請求するためには、労働者の側で残業があったことを立証しなければなりません。

しかし、すでに会社を退職してしまった後だと、タイムカードなどの証拠は会社にある場合が多く、これらの証拠は会社が任意に開示してくれなければ、入手することが困難です。このような場合には、文書提出命令という制度を利用することで、会社から残業代請求に必要となる証拠を提出してもらえる可能性があります。

本コラムでは、文書提出命令の概要・手続きの流れや残業代請求の準備などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、文書提出命令とは|どのような文書が対象となるのか?

文書提出命令とはどのような制度なのでしょうか。
以下では、文書提出命令に関する基本事項を説明します。

  1. (1)文書提出命令とは?|文書提出命令の法的効果

    文書提出命令とは、裁判所が一定の要件を満たす文書を所持する当事者または第三者に対して、文書の提出を命じることができる制度です

    民事訴訟法では、文書の所持者に対して、文書を提出する義務を課していますので、一定の例外事由に該当しない限りは、文書の提出を拒否することはできません(民事訴訟法220条4号)。

    また、例外事由に該当しないにもかかわらず、文書の提出を拒否すると、当事者であれば、文書提出命令の申立人が主張する事実を真実と認めることができ、第三者であれば過料の制裁があります。

  2. (2)文書提出命令により提出が義務付けられる文書

    裁判所に文書提出命令を申し立てれば、どのような文書でも提出してもらえるわけではありません。一定の例外事由に該当する文書については、文書提出命令の対象から除外されていますので注意が必要です

    • 当事者が訴訟において引用し、自ら所持している文書(引用文書)
    • 挙証者が文書の所持者に対して引き渡しまたは閲覧を求めることができる文書(引渡・閲覧請求権ある文書)
    • 挙証者の利益のために作成された文書(利益文書)
    • 挙証者と文書の所持者との法律関係について作成された文書(関係文書)
    • 提出が義務付けられない文書に該当しない文書

    たとえば、未払い残業代請求にあたっては、以下のような証拠が必要になります。

    • 雇用契約書、就業規則
    • タイムカード
    • 業務日報
    • 給与明細

    これらの文書については、文書提出命令の対象となる「利益文書」または「関係文書」に該当すると解されます。
    そのため、文書提出命令が発令されれば、会社から提出を受けられる可能性があります。

  3. (3)提出が義務付けられない文書

    • 文書の所持者又は文書の所持者と配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあった者及び後見人と被後見人の関係にある者が刑事訴追を受けて有罪判決を受けるおそれのある事項の書類
    • 公務員が関わる職務上の秘密にかかわる文書で、これを公にすることにより、公共の利益を害する恐れのある場合または公務の遂行に著しい障害が生ずるおそれのある文書
    • 医師や士業関係者等が職務上知りえた事実で黙秘すべきものや技術又は職業の秘密に関する事項が記載され、当該事項について黙秘の義務が免除されていない文書
    • 専ら文書の所持者が利用するための文書
    • 刑事事件にかかる訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

    民事訴訟法220条4号では、文書提出義務が一般義務化されていますので、文書提出命令が濫用されると文書の所持者に不当な不利益が生じるおそれがあります。
    そこで、上記の文書については、文書提出命令の対象から除外されています

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2、文書提出命令の手順とその流れ

裁判所から文書提出命令の発令を受けるには、以下のような手続きが必要になります。

  1. (1)訴訟の提起

    文書提出命令は、係属中の訴訟手続きで利用できる制度ですので、文書提出命令を利用するためには、その前提として訴訟提起が必要になります。
    まずは、未払い残業代請求訴訟を提起しましょう。

  2. (2)文書提出命令申立書の作成

    文書提出命令の申し立ては、必ず書面により行う必要があります。そこで、以下の事項を記載した文書提出命令申立書を作成します。

    • 提出を求める文書の表示
    • 提出を求める文書の趣旨
    • 提出を求める文書の所持者
    • 証明すべき事実
    • 文書提出義務の原因

    ただし、申立人が文書の表示または文書の趣旨を明らかにするのが著しく困難な事情があるときは、文書の所持者が対象となる文書を識別できる事項を明らかにすれば足ります。

  3. (3)裁判所に文書提出命令申立書を提出

    文書提出命令申立書の作成ができたら、裁判所に提出します。
    文書提出命令の申し立てがあると、民事雑事件簿に搭載され、雑事件番号が付されます。

  4. (4)申し立て理由の審理|審尋・インカメラ手続き

    文書提出命令の申し立てがあった場合、裁判所は、相手方に対し、文書提出命令の申し立てに関する意見を記載した書面の提出を求めます。対象となる文書を第三者が所持している場合には、審尋という手続きが行われます。

    また、裁判所は、申し立てのあった文書が文書提出命令の例外事由に該当するかを判断するために、インカメラ手続きをとることもあります。これは、文書の所持者に対して、文書の提示を求めるもので、裁判所は、提示された文書を見て例外事由に該当するかを判断します。

  5. (5)文書提出命令の発令または却下決定

    裁判所の審理の結果、文書提出命令の申し立てが相当であると認めるときは、文書提出命令が発令されます。

    他方、申し立てに理由がないという場合には、却下決定がなされます。

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3、相手が文書提出命令に応じない場合の対処法

裁判所から文書提出命令が発令されたにもかかわらず、相手がそれに応じない場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。

  1. (1)当事者が文書提出命令に従わない場合|申立人の主張を真実と認める

    文書の提出を命じられたのが訴訟の当事者である場合で、その当事者が文書提出命令に応じないときは、当該文書に記載された申立人の主張を真実であると認めることができます。

    事例
    たとえば、ある月に30時間の残業をした証拠として、タイムカードの提出命令が発令されたにもかかわらず、会社側がそれを拒否したとすると、裁判所は、労働者が主張する残業時間(30時間)が真実であるとして、事実認定を行うことが可能になります。
  2. (2)第三者が文書提出命令に従わない場合|過料の制裁

    文書の提出を命じられたのが、訴訟の当事者以外の第三者である場合で、その第三者が文書提出命令に応じないときは、20万円以下の過料に処せられます。

  3. (3)相手から不服申し立てがあった場合

    裁判所の文書提出命令に不服がある当事者または第三者は、「即時抗告」という不服申し立てをすることができます。
    即時抗告が申し立てられると、当事者には反論の文書を提出する機会が与えられますので、相手方からの即時抗告の内容を踏まえて、反論をしていく必要があります。

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4、残業代請求する際に必要な準備とは

会社に対して、未払いの残業代を請求するには、事前に以下のような準備を行う必要があります。

  1. (1)証拠収集

    会社に対して、未払いの残業代を請求するためには、残業があったことを裏付ける証拠が必要になります。

    文書提出命令も証拠を入手する手段の一つになりますが、文書提出命令は、裁判所に訴訟が係属していることが条件となります。
    そのため、訴訟提起前には利用できない手段ですので、まずはそれ以外の方法で証拠を集めていかなければなりません。

    そして、会社を退職してしまうと、証拠収集が困難になりますので、未払い残業代の請求を考えている場合には、会社に在籍中から必要な証拠を集めていくことが大切です。

  2. (2)正確な残業代の計算

    残業代に関する証拠が集まったら、それに基づいて未払い残業代の金額を計算します。
    ただし、残業代の計算は、非常に複雑な計算方法であり、雇用契約の内容によって計算方法も異なりますので、一般の方では正確に残業代を計算するのは難しいかもしれません。

  3. (3)弁護士への相談

    会社に対して残業代請求をお考えの方は、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
    弁護士であれば、どのような証拠があれば残業代を立証できるかを熟知していますので、状況に応じた適切な証拠収集をアドバイスしてもらうことができます。

    また、一般の方では難しい残業代計算も弁護士であれば迅速かつ正確に計算することができます。
    一人で対応するのが難しいと感じたときは、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
    弁護士に依頼するメリットはこちらで詳しく解説しています。

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5、未払い残業代の請求には時効がある

未払い残業代の請求には、3年間の期間制限が設けられています。

残業代請求権の時効は、給料日の翌日からカウントします。
そのため、毎月残業代が発生しているような方だと、時間の経過とともに残業代が減ってしまいますので、早めに行動することが大切です。

残業代請求権の時効が迫っているときには、時効の完成猶予または更新の措置を講じることで、時効期間の進行をストップまたはリセットできる可能性もあります。
そのため、弁護士に相談する場合には、早めに相談するようにしましょう。

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6、まとめ

文書提出命令は、証拠として利用したい文書を手に入れるための法的な手段のひとつです。ただし、文書提出命令の制度では、一定の要件を満たすものについては、対象となる文書から除外されていますので、すべての文書が対象になるわけではありません。

残業代請求にあたっては証拠が重要になりますので、会社への残業代請求をお考えの方は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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