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発信者情報開示の仮処分と訴訟について Temporary Orders and Litigation in the Request to Disclose

発信者情報開示の仮処分の流れ

サイト運営者に対する発信者情報開示請求については、削除請求と同様に、仮処分の手続きを利用することが一般的です。仮処分手続き全体の流れは削除請求の仮処分と同じになります。詳しくは、削除の仮処分の流れをご覧ください。担保金の額については、発信者情報開示の仮処分は10万円~30万円となることが多いようです。通常は、後日担保金の還付を受けられることも削除の仮処分と同様です。

発信者情報開示の仮処分が認められるために必要なこと

発信者情報開示の仮処分が認められるためには、以下の要件が満たされなければなりません。

  1. ①被保全権利
  2. ②保全の必要性の要件を満たさなければならないこと
被保全権利とは

被保全権利とは

発信者情報開示請求の根拠となる被保全権利は、プロバイダ責任制限法4条1項に規定されている発信者情報開示請求権です。
プロバイダ責任制限法4条1項は、権利を侵害されたと主張する者が、発信者情報を取得できるようにする必要性が高い一方、開示により発信者のプライバシーが制約されること、一度開示されると原状回復は不可能であることを十分に考慮した上で、前記の要件を定めています。仮処分が認められるためには、規定された各要件を満たさなければなりませんが、ここでは特に問題となる権利侵害の明白性の要件について説明します。
プロバイダ責任制限法4条1項は「開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかなとき」(権利侵害の明白性)に限って開示請求を認めています。
そして、権利侵害の明白性は、不法行為などの成立を妨げる事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまで意味すると理解されています。つまり、請求者は、自己の権利が侵害されたことについて主張・疎明するだけでは十分ではなく、発信者の行為が違法ではないという可能性を排除することまで主張・疎明することが求められているということです。最も多い事例として、名誉棄損を例に説明します。
インターネットの仮処分においては、週刊誌や小説等による名誉棄損と異なり、投稿記事が短いことも多く、他の記事の返答として投稿された記事も多いため、当該投稿記事を読んだだけでは、投稿記事の意味合いが十分に理解できない場合には、権利侵害の明白性の要件を満たしておらず、請求は認められないことになります。
侵害の明白性について、請求者が主張・疎明する際は、①一般読者の通常の読み方を基準として、当該記事がどのような意味・内容を有するのか、②その内容が、なぜ、請求者の社会的評価を低下させていると言えるのか、③投稿記事の内容が、なぜ事実の公共性又目的の公益性の要件を充足しないといえるのか、④仮に、③の要件を満たすとしても、当該記事の内容がなぜ真実でないといえるのか、具体的に主張・疎明することがポイントとなります。

侵害の明白性について

請求者が主張・疎明する際は、以下の要件が満たされなければなりません。

  1. ①一般読者の通常の読み方を基準として、当該記事がどのような意味・内容を有するのか
  2. ②その内容が、なぜ、請求者の社会的評価を低下させていると言えるのか
  3. ③投稿記事の内容が、なぜ事実の公共性又は目的の公益性の要件を充足しないといえるのか
  4. ④仮に、③の要件を満たすとしても、当該記事の内容がなぜ真実ではないといえるのか

4つのポイントについて、具体的に主張・疎明することがポイントとなります。

3. 削除の仮処分の流れ

01管轄

相手が日本法人の場合
3. 削除の仮処分の流れ

通常の民事事件の管轄となるため、被告となるプロバイダの所在地の管轄裁判所になるのが原則です(民訴法4条1項)。

Twitter、Facebook、Googleなど 相手方が国外法人の場合
3. 削除の仮処分の流れ

Twitter、Facebook、Googleなどの国外法人に対して発信者情報開示請求を行う場合、これらは日本法人を置いてはいるものの、各日本法人は個々の通信内容等に触れることはできず、直接的にサービス提供しているのは国外法人になりますが、日本において日本語でサービスを提供する過程で日本において権利を侵害されたことを理由にする請求として、「日本における業務に関するもの」(民訴3の3五)にあたることになります。したがって、これらの法人に対する訴えの管轄は、東京都千代田区を管轄とする裁判所である東京地方裁判所になります(民訴法10条の2、同規則6条の2)。

02訴訟提訴

サイト運営者から開示されたIPアドレスを元に特定した経由プロバイダを相手取って、氏名または名称、住所、電子メールアドレスを開示するよう訴えを提起します。

03期日

法律に基づく正当な権利主張であれば、通常であれば、2~3回の期日で結審します。

04判決

訴訟に勝訴すれば、経由プロバイダは多くの場合、控訴はせず、判決確定後に発信者情報を開示してくれるのが通常です。

発信者情報消去禁止の仮処分

発信者情報消去禁止の仮処分

被害者は、経由プロバイダに対して、発信者情報の消去禁止を求める仮処分命令の申立てを行うことができます。
被害者は、サイト管理者等のコンテンツプロバイダから発信者情報であるIPアドレスやタイムスタンプ等の開示を受けた後に、経由プロバイダに対して発信者の氏名等の開示を求めることになりますが、その経由プロバイダに対する手続きは、原則として通常の民事訴訟による必要があります。通常の民事訴訟の手続きが終了するまでには数か月程度を要することが多いため、その間に経由プロバイダが保存しているアクセスログを消去しないように、この仮処分の手続きが必要となるのです。
この申立ても、コンテンツプロバイダに対する仮処分と同様に、プロバイダ責任法4条に基づく発信者情報開示請求権を根拠とするものであるため、仮処分の可否は、コンテンツプロバイダに対する仮処分と同様の基準で判断されることになります。

その後の法的手段

  • 不法行為に基づく損害賠償請求

    開示された相手方に対して、名誉毀損・プライバシー侵害による損害賠償請求訴訟を提起することが考えられます。損害としては、一般的に慰謝料及び発信者特定のための調査費用、弁護士費用などが該当します。

    事例
    01

    懲戒解雇された元従業員にホームページに不当な処遇を与える会社である旨の書き込みをされた事例

    慰謝料 : 30万円
    弁護士費用 : 3万円
    合計 : 33万円
    02

    インターネット上にいわれのない誹謗中傷を書き込まれた事例

    慰謝料 : 50万円
    調査費用
    (発信者特定)
    : 52万5000円
    弁護士費用 : 10万2500円
    合計 : 112万7500円
  • 刑事告訴

    刑事告訴とは、捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。刑事告訴をした場合、検察が起訴するかを判断することになります。不起訴となったとしても前歴が残ります。

    該当する犯罪の例
    名誉棄損罪(刑法230条1項)
    3年以下の懲役、50万円以下の罰金
    侮辱罪(刑法231条)
    拘留、科料
    威力業務妨害罪(刑法234条,233条)
    3年以下の懲役、50万円以下の罰金
0120-666-694

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