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刑事事件の時効 Statute of Limitations for Criminal Cases

刑事事件では公訴時効と消滅時効の2つがある

刑事事件について問題となる「時効」には、「公訴時効」と刑の「消滅時効」の2つがあります。

「公訴時効」とは、検察官が犯罪について起訴(公訴提起)できる期間のことです(刑事訴訟法第250条)。
公訴時効は犯罪発生時から進行し、時効期間の経過後は、検察官による起訴はできなくなります。
一般的に、刑事事件の「時効」と言った場合には、「公訴時効」を指すケースが多いです。

これに対して刑の「消滅時効」とは、刑の言い渡しが確定した後、実際にその刑を執行できる期間のことです(刑法第32条)。
実務上は、刑が確定したら速やかに執行が行われるため、刑の消滅時効が適用されることはほとんどありません。

なお、他人を死亡させた死刑に当たる罪については、公訴時効・消滅時効のいずれについても適用がないものとされています。

犯罪類型別の公訴時効一覧

公訴
時効
年数
主な犯罪(一例) 内容
なし 殺人 殺意をもって、本来の死期よりも早く、他人の命を絶つ犯罪
なし 強盗致死 暴行・脅迫によって他人の抵抗を抑圧して金品を奪い、その機会に他人を死亡させる犯罪
なし 強盗・強制性交等致死 暴行・脅迫によって他人の抵抗を抑圧して金品を奪ったうえ、その機会に暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交を行い、さらにその行為により他人を死亡させる犯罪
30年 強制性交等致死 暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交を行い、その行為により他人を死亡させる犯罪
30年 強制わいせつ等致死 暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交以外のわいせつな行為をし、その行為により他人を死亡させる犯罪
25年 殺人未遂 殺意をもって、本来の死期よりも早く、他人の命を絶とうとしたものの、死亡させるには至らなかった犯罪
25年 現住建造物等放火(他人を死亡させなかった場合) 現に人が住んでおり、または現に人が住んでいる建物等に放火する犯罪
25年外患誘致(他人を死亡させなかった場合)外国と通謀して、日本に対して武力を行使させる犯罪
20年傷害致死殺意なく他人に暴力をふるい、その結果他人にケガを負わせ、さらに死亡に至らしめる犯罪
20年危険運転致死あまりにも危険な運転を行い、その結果他人を死亡させる犯罪
20年保護責任者遺棄致死保護責任者が必要な保護をしなかった結果、老年者・子ども・身体障碍者・病者を死亡させる犯罪
15年通貨偽造及び行使等日本の通貨を偽造・変造し、または偽造・変造されたものだと知りながら行使するなどの犯罪
15年強盗致傷暴行・脅迫によって他人の抵抗を抑圧して金品を奪ったうえ、その機会に他人にケガを負わせる犯罪
15年 強盗・強制性交等 暴行・脅迫によって他人の抵抗を抑圧して金品を奪ったうえ、その機会に暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交を行う犯罪
10年 強盗 暴行・脅迫によって他人の抵抗を抑圧して金品を奪う犯罪
10年 傷害 他人に暴力をふるい、その結果他人にケガを負わせる犯罪
10年 強制性交等 暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交を行う犯罪
7年 強制わいせつ 暴行・脅迫によって他人の抵抗を著しく困難にして性交・肛門性交・口腔性交以外のわいせつな行為をする犯罪
7年 窃盗 他人の意思に反して金品の占有を奪う犯罪
7年 詐欺 他人をだまして金品を交付させる犯罪
7年 業務上横領 業務上占有する他人の物を、ほしいままに領得する犯罪
5年 過失運転致傷 自動車の運転上必要な注意を怠った結果、他人にケガを負わせる犯罪
5年 受託収賄 公務員が何らかのお願い(請託)を受けるとともに、賄賂を受け取る犯罪
5年 未成年者略取・誘拐 暴行・脅迫等の強制的な手段や、欺罔(ぎもう)・誘惑などの間接的な手段を用いて、未成年者を自宅などから連れ出し、自己の支配下に置く犯罪
3年 公然わいせつ 公の場で身体の一部を露出するなどのわいせつな行為をする犯罪
3年 公務執行妨害 職務を執行する公務員に対して、暴行・脅迫を行う犯罪
3年 名誉毀損 何らかの事実を摘示したうえで、他人の名誉を害する言動を公然と行う犯罪
3年 器物損壊 他人の所有物を壊し、または他人が飼育する動物を傷害する犯罪
1年 侮辱 事実を摘示せずに、他人の名誉を害する言動を公然と行う犯罪
1年 軽犯罪法違反 軽犯罪法で禁止される行為をする犯罪

公訴時効がある理由

公訴時効が存在するのは、以下の2つの理由によると解されています。

①時間経過による社会的な処罰感情の希薄化

犯罪発生から長期間が経過する中で、社会が次第にその犯罪を忘れていく一方で、犯人も長期間にわたって社会的制裁を受け続けることが想定されます。
これらの事情を考慮して、社会の処罰感情が十分弱まると考えられる期間が経過した後は、訴追・処罰を差し控えるべきという考え方があります。

②時間経過による証拠の散逸

犯罪から発生から長期間が経過すると、犯罪の証拠の多くが滅失してしまい、証拠収集が困難になります。
その結果、犯罪立証が奏功せず、犯人を処罰するには至らない可能性が高くなってしまいます。
捜査機関のリソースは有限なので、直近発生した犯罪の捜査に注力すべきという価値判断により、公訴時効による線引きが行われています。

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