中国民事訴訟Q&A(その18)
中国律師からの回答
「民訴法」第55条によると、環境汚染、消費者権益の侵害等の社会公共利益を損害する行為については、法律で定めた機関及び関係組織は、人民法院に起訴することができます。すなわち、法律で定めた機関及び関係組織が「公益訴訟」を行う制度が存在します。
公益訴訟
- 「民訴法」の第二次改正(2012年8月31日公布、2013年1月1日施行)のときに、「公益訴訟」の制度が明確に規定されました。
- 環境を汚染する行為、多数の消費者権益の侵害を損害する行為等が対象となります。
- 法律で定めた機関及び関係組織のみが「公益訴訟」を行うため、環境保護、食品安全保障、消費者権益保護等に関する法律の関係規定が整備しつつあります。
たとえば、2013年10月25日に改正された「消費者権益保護法」(2014年3月15日施行)では、中国消費者協会及び省レベルの消費者協会は、多数の消費者の適法な権益を 侵害する行為につき人民法院に「公益訴訟」を提起できることが明確に規定されました。
近年、外商投資企業の環境汚染に対する取締り(特に中国から撤退する場合)が厳しくなっている傾向があり、「環境保護法」等の関係規定が整備しつつ、環境汚染に 関する「公益訴訟」が多発する可能性があります。
注意点
現状として「環境保護法」、「食品安全法」等の関係法律では、「公益訴訟」の制度に関する規定はまだ設けられていません。ただ、実務上、「公益訴訟」の制度が明確に規定された「民訴法」の第二次改正の前にも「公益訴訟」が行われました。